カルデアシティ
オリエント埠頭 午前 5:05
「二時間も前に来てしまった...」
俺の名前はシキエル・ヴァレンタイン
皆が略してシキと呼ぶ、デートに緊張するナイトランカーだ!
待ち合わせは午前7時の予定。
ドロシーとのデートは初めてではないが前回は成り行きだった。
俺が些細な事で喧嘩をして飛び出してしまったのを、ドロシーが追いかけ来てくれた。
あれは全部俺が悪かった。
ドロシーの厚意で仲直りは出来たが、あの日から俺は頭が上がらない。
まぁ、デート中、ハプニングや良い事もあったが...
触手プレイ?何のことだ?
そして今回!
キサラが出場するガンレイズアリーナ決勝大会
ディメンションARM内で繰り広げられるDゲームコンテンツ
銃のリコイル、オブジェクトの破壊まで再現されつつも、人体には影響のない安全配慮された仮想空間、光弾銃(レイズガン)を用いたサバイバルゲーム
通称GRA
『銃器製造企業 スレイプニル・インターナショナル』と『ARM製造会社 メルテクノロジーズ』の共同事業。
どちらも俺の所属する『刀剣製造老舗 ムラマサ社』とは敵対関係
銃、魔法、刀、本来は3つ巴にある3大企業
しかし、抗争は裏世界での話。
互いの利益の為なら表向きの業務提携は不思議ではない。
そして密売、裏取引、暗殺、企業間の闇を請け負う仕事人が
各企業に所属する俺達ナイトランカーだ
かつて最強のナイトと謳われた俺の姉貴
ブレア・ヴァレンタイン
その姉貴を殺害し、新たにナイトの頂点に君臨する男
スレイプニル・インターナショナル所属
ナイトランカー1位
魔弾 スターク・アルバーン
姉貴の仇であること以外、一切の素性が知られていない
ムラマサ社の俺が敵地に乗り込んだ所で警戒されるだろう。
しかし、今回のGRA決勝大会はスレイプニル社とメルテクの合同イベント
更にスレイプニル社所属プロゲーマー キサラに招待されての入場となれば掴めるかもしれない。
スターク・アルバーンの正体
時は過ぎて...
オリエント埠頭 午前 6:50
思えば、ここの埠頭倉庫で初めてドロシーと出会ったんだっけな?
もうすぐ1か月が過ぎようとしている。
ドロシーの居た世界、そしてこの世界を亡ぼす最悪のARM"竜の鍵"と問題は山積みだが
今は一つの目的に専念しよう。
いや...デートも正直、楽しみではあるが..
その為、白のワイシャツにグレーのジャケット
それに合わせた黒のスラックスとオシャレに時間を掛けてきたんだからな。
勿論、前回ドロシーに貰ったカッコイイARMも付けてきた!
「早いねシキ、待たせちゃった?」
待ち望んだ声のする方向に振り替える。
朝日に照らされた優雅なシルエット
初めて会った時と同じ、桜色の長い髪を2に下げた三つ編み
黒い魔女のドレスを思わせる、肩と胸元を大胆に広げたオフショルダーのワンピース
ロングスカートで今日は太ももはお預けかと一瞬寂しくなったが
潮風が大きく開いたスリットを軽く靡かせる。
太ももは健在!
現代の魔女を思わせるドロシーらしいコーデに思わずドキっとした。
「いや、今来たところだ。」
緊張しながらもドロシーに答える。
朝3時に起床して服選んで、待ち合わせ2時間前に来てソワソワしていたなんて...
口が裂けても言えねぇ!
朝日の温かい光が、彼女の顔を優しく照らす。
魔女というより、もはや女神...
化粧をしていなくても美人で通用するドロシーだが、今日はバッチリとメイクを決めている。
口紅をさした唇も大人の色香が漂う。
俺は今日、この人と一日過ごすのか...
そう考えるだけで胸の鼓動が高鳴る!
「なんか、ドロシー...今日はいつもと違うな。」
「シキもオシャレじゃん♪
ワンコのくせに~、私が買ってやったパーカーどうしたよ?」
やはり、デートで黒い服(いつものパーカー)は避けるべきか悩んだが被らなくて良かった!
ドロシーの場合、白い肌と明るい髪色、モデル顔負けの抜群なプロポーションで黒が芸術的に引き立つ!
俺はどうだったんだろうな...
「パーカーも迷ったけど、ドロシーも黒選ぶと思ったから今日はこっち。
でも、貰ったリング(ARM)はちゃんと付けて来たぞ。」
右手にはドロシーから貰ったARM
中指に月のリング、薬指に黒のリング
ARMスイッチハンダーとカーボンブレード
それを見てドロシーも「うん、よろしい!」と上機嫌。
「また、リーパーに触手責めされるのは勘弁してほしいからね。」
それは、願ったり叶ったりだが...
「次は俺も闘うよ。」
午前7時10分
連絡船が到着し乗船
小さな蒸気船だが、GRA決勝大会の会場はオリエント埠頭からヴァイト海を1時間ほど移動した先
サイバネティックタウン
カルデアシティで最も近未来化したエリア
電光モニターが街中至る所に設置されており様々なニュースや情報を24時間表示
ロボットやアンドロイドまでもが労働する、まさに未来都市を彷彿させるエリア
「1時間も船で移動するんだね。」
「あそこのエリアは電車で行くと路線が複雑で乗り換えが面倒くさい。」
「私、船に乗るのなんて初めてだよ。
あっちの世界では、殆ど飛んでたから。」
ドロシーのARM ゼピュロスブルーム(西風の箒)は風に乗って空を飛ぶことが出来る。
しかし、ここカルデアシティでは、そういった飛行アイテムは航空機と見なされ規制されている。
出港し、デッキの上で風に当たるドロシー
正直、メイクをしてオシャレを決め込んだドロシーは刺激的だ!
潮風でチラチラと捲れたスリットから覗く太もも
大きく開いたオフショルダーの胸元から、こぼれ落ちそうな胸の谷間
後ろを向けば、トレードマークのお下げを結んだうなじ、白い背中と肩
黒の衣装が、余計にドロシーの白くきめ細かい肌を強調させる。
周囲の羨ましがる目線2割、妬みから来る殺意の視線8割を感じる。
他の乗客もGRA決勝大会の観戦目的だろう。
女性客は少数
そして、こんなエチエチなお姉さんはドロシー以外、皆無と言っていい。
殺意の目線の正体
こいつらは、彼女も作らずゲームに生涯を捧げてきた所謂オタク!
『隣の男、海に落ちてスクリューに巻かれてバラバラになった後、魚に食われてクソにならないかなぁ~』
という、心の声まで聞こえる気がする。
勝ち誇るんだ、俺...シキエル・ヴァレンタイン!
今の俺はナイトランカー7位で、隣のエチエチなドロシーの彼女...?!
いや、告白はうやむやにされたが、ワンコなんだッ!
犬らしく誇れッ!
※彼女が出来た際は男らしく努めましょう!
「キサラちゃん、優勝できると良いね♪」
今日を楽しみにしていたのは俺だけじゃない。
乗船してから、ドロシーも太陽の様な笑顔を絶やさない。
何事もなく、今日が終わればどれだけ幸せだろうか。
「そうだな。」
目的地で合流するキサラにも闘いはある。
ゲームといってもキサラにとって育ての家、教会を守るための闘い!
約束通り優勝したのにキサラを泣かせる事があれば...
俺もドロシーもスレイプニル社を許さないだろう。
その時は企業間の立場なんて知ったことじゃない!
今日、闘うとすればその時か...
「ねぇシキ、売店でアイス売ってたから食べに行こうよ。」
そうだな...ここはアイスでも食って冷静にならないと。
2人で手摺から離れるも...
刹那
「きゃッ!」
船が揺れバランスを崩したドロシーが小さな悲鳴をあげる。
危ねぇッ!
咄嗟に俺が肩を掴み受け止める!
ドロシーも倒れないように身を預けてきた...って嘘だろオイッ!?
掌から伝わる肩の、きめ細かい肌の感触
密着した柔らかい胸の弾力
桜色の髪の香り
「ありがとう、シキ」
ご馳走さまっ...じゃねえぇッ!
「おう、揺れるから気を付けてな。」
やばい...このまま目的地に着くまで、こうして居たいと思った刹那
「あれ?シキくんとドロシーさんじゃないっすかぁ~」
至福の時間をぶっ壊す知った声に視線を向ける
ドロシーも離れ...って、てめぇ、何してくれてんだッ!
ダボダボのフリースにサングラス、KISARAのサインが入ったキャップ
ヒップホップ系を彷彿させる彼の名は...
「あらホップくん、奇遇ね。」
ドロシーの勤務先 、バーガーショップ Trick or Treat!常連にして
宣材写真担当のカメラマン、ヒップホップくん。
ちなみに本業は介護職25歳
Dアリーナ プロゲーマー キサラの大ファン
ヒップホップな身形から、ヒップホップくんと皆に呼ばれていたが
ドロシーがホップくんと略し始めたのをキッカケに今に至る。
「何しに来たホップ!
ここに来てもメドローアは習得できねぇぞ?」
「いや、シキくん、それダイ大のポップね。
それに俺の名前は...」
"ブォーーーーッ!"
と船がもうすぐ目的地に到着の汽笛を鳴らす。
どうあっても本名を名乗れない運命にあるホップくんが続ける。
「しかし、ドロシーさん今日は一段とセクシーっすねぇ。
GRAのチケット手に入ったんすか?」
バカッ!
何の躊躇もなく、この男...踏み込みやがった!
ドロシーもホップくんがキサラのファンである事は承知
招待である事は彼の為にも伏せ
「ありがと。
マスターの知人から2枚貰ったから有給使って来たんだ。」
「おっと、それは邪魔しちゃ悪いっすね。
だからシキくんも、こんなオシャレで?」
「本当だ、邪魔だ消えろホップ!
今すぐ救命ボートに乗って消えろ!」
「こらシキ!
お友達にそんな事言わないのッ!」
ドロシーに怒られちまった...
調子に乗ったホップくん、スマホを取り出し
「そうだ、ドロシーさん!
今日は一段と綺麗だし記念に写真撮って良いっすか?」
「いいわよ、可愛く撮ってね♪」
ドロシーも写真を撮られるのが好きだったりする。
ブロマイドやコースターも店で売ってるし、近々トレーディングカードも出すのだとか。
ハンバーガー屋でだぞ?
待てよ?
ホップが写真撮ってOKなら、俺も写真撮って良いんじゃないか?
何で気が付かなかったッ!?
ランダム封入のブロマイドとコースターをコンプすんのにいくら使ったよ!
ちなみに
ブロマイド 12種類 1パック3枚入り 500円
コースター 全8種類 ドリンクに+300円で1枚
「なぁ、ドロシー!
俺も撮って良いか?」
「じゃあ、一緒に撮ろっか?」
え?
ドロシーとツーショット!?
「俺撮るっすよ、シキくんスマホ貸して!」
「シキも何、今更照れてんのよ!
ほら、もっとくっ付いて!」
ドロシーが左に立ち、俺の左腕にグイッと抱き着く。
ムニッ!とした柔らかい感触!?
む、むむむ、胸が当たってるんすけど...!?
「シキくん、ドロシーさん、俺は物販ダッシュするんでコレで。
あとシキくんも、もっと肩の力抜かないと。
ドロシーさんがせっかく、オシャレしてデートしてくれてるんだから。」
「あぁ、そうだな...頑張るよ。」
サイバネティックタウン
埠頭 午前8:05
気が付けば目的地
降船準備をする中、俺に着信
「あ、ホップからメールだ。」
『シキくん、デート頑張ってくださいね。
俺もキサラさん死ぬ気で応援します。
ドロシーさんの写真1枚送ります。』
送付されていたのは、デッキの手摺にもたれ掛かり、海を背に優しい笑みを見せるドロシーの写真
『あと、女の子の耐性を付ける為にコレも使ってください』
前かがみで谷間を強調するドロシー
しかも、目元は写さず、あえて口元...あの天才めッ!
ドロシーもよく撮らせるな...
一時はどうなるかと思ったが緊張もほぐれて
ツーショットで写真まで撮ってもらったし
何だかんだで感謝しておかねぇとな。
『本当っすか?じゃあ今度、回らないお寿司奢ってください!』
メールで会話してくんな死ね
トラブルはあったが無事到着
見上げれば、トウキョウエリアとは違う景色
ガラス張りでチューブ状の高速道路が摩天楼の間に張り巡らされ
飛行船や街の至る所にある電光掲示板が、今日のニュースや天気、SNSのトピックを掲載している。
売店、駅の改札、タクシードライバーは何とロボット
ここのエリアだけはSFの世界、サイバーパンクを彷彿させる。
映画好きのドロシーも余程感激したのか子供の様にはしゃぐ!
「ねぇシキ!?
空飛ぶ車はないの!?
あと、光る剣でチャンバラしたい!」
「残念だけど、車はまだ空を飛べないよ。」
「少し見て回りたいんだけど時間ある!?」
「キサラから貰ったゲストパスもあるし、入場待機列に並ばず入れそうだ。
開場は10時からで時間もあるな...朝飯でも食っていくか。」
「やったぁ~!」
ドロシーのこのギャップに俺は弱い...
それと、さっきから殺気がする...?!
ダジャレじゃねーぞ?
船で睨んでいたオタク共じゃねぇなコレは
間違いなくプロだ
ドロシーも気付いたのか纏う空気を
子供の無邪気さから、魔女の空気へと一変させる。
気配の主が俺達に近付く。
冷気の様に冷たい女の声
「これは、これは...
メルテクとスレイプニル社の事業に何の御用でしょうか?
ムラマサ社所属、ナイトランカー7位 シキエル・ヴァレンタインくん。」
俺はこの女を知っている。
厄介な相手だ。
ドラマで見る女性刑事を思わせる紺のスーツに白のブラウス
色香で油断でも誘おうって言うのかミニスカートからスラリと伸びた脚線美
水色のショートヘアに、フレームのない知性的な眼鏡が彼女のトレードマーク
そして、右手に持った青い柄巻のサムライソードが彼女をナイトと知らしめる証
ナイトランカー6位
音楽業界最大手
オリュンポスレコード 所属
アイリス・コールクライン
武器:氷の魔刀 村雨
パッと見、知性的な女性だが...ナイトランカーとしての実力は本物
スタークの素性を探りたいのに厄介な相手に目を付けられたものだ...
穏便に済ませたくアイリスの問いに答える。
「友達の招待っすよ。
ゲストパスも持ってるし、今日は俺も楽しみにして来ました。
今回は見逃してくれませんかね、アイリス先輩。」
アイリスの視線がドロシーに向けられる。
「そちらの女性は...?」
「こっちはドロシー、俺の連れでナイトランカーとは関係ないっすよ」
ぶっちゃけ、ナイトランカー同等の強さだから2対1なら負ける事はねぇけどな。
ただ、ムラマサ社の俺はここでトラブルを起こしたくない。
今度はこっちのターンだ。
「アイリス先輩こそ"今は"オリュンポスレコードだろ?
今日は音ゲーの大会じゃねぇっすよ?」
「いえ、私は護衛の任務で。
スレイプニル社所属プロゲーマー、キサラ・アルスカーさんと...」
言い終わる前に
「シキさーーーん!
ドロシーさーーん!」
数日ぶりに、そのキサラ・アルスカーさんこと
シスターのキサラと再会
大声で名前を呼びながら小走りで来るのだが...
キサラ、お前までその格好!?
初めて会った時のキサラは肌を覆い隠す修道服だった...
トレードマークの青いシスターベールに細長く繊細な金髪
サファイアブルーの大きな瞳に白い肌
147cmの身長に、丸みのある童顔は俺もドロシーも納得の美少女
今日はベールの青に合わせた軽装の修道服だが...
ノースリーブ、ミニ巻きスカート、ニーハイソックスと目の保養にはてんこ盛りだ。
肩に乗った白のケープ
お腹から首元までの銀のファスナーが、ギャップのある大きな胸をピッタリと封じ込めている。
開けたら大変な事になりそうだ...
膝丈の短いミニ巻きスカート
そこから露わになる、想像より肉付きの良い太ももにグイッと食い込んだ白のニーハイソックス
キサラがこちらへ手を振る
ノースリーブで露わになるツルツルな腋の下
走る度にフワフワと揺れる胸
ドロシーの胸も張りがあって、形が綺麗に整っているが
キサラの胸はマシュマロの様に柔らかい印象
ドロシーの太ももはプリプリした肌触りだったが...
キサラのはプニプニしてそうで、これもまた違った魅力!?
って...この緊張状態に何を考えてるんだ俺は!
キサラの登場で戦闘の気配が無くなったのを察し、ドロシーもいつもの空気に戻る。
「キサラちゃん可愛いなぁ、シキ襲わないでよ?」
そう言うドロシーに続き、アイリスも続ける。
「その時は即、首と胴体の泣き別れだシキエルくん!」
「襲わなねーよッ!」
流石にドロシーとアイリス先輩二人を相手に勝ち目はない!
特にアイリス先輩には昔、半殺しにされた事がある。
その話は後日...
ってか、アイリス先輩...?
アンタ、さりげなくブラウスのボタン2つ外してない?
何で対抗してんの!?
「今日は...暑いな..シキエルくん。」
言い訳苦しいぞアイリス先輩!
キャラクター紹介
アイリス・コールクライン
年齢:24
誕生日:5月2日
身長:160cm
体重:43kg
スリーサイズ:B84、W59、H86
血液型:O型
趣味:アニメソング、ライブ通い
特技:タイピング、ハッキング
好物:スープカレー
苦手:アニメを否定してくる男はダニ以下
所属:オリュンポスレコード社
ナイトランク:6位
武器:氷の魔剣 村雨
イメージ国:ロシア
今回からシキの視点で物語を進行していく試みです。
ドロシーやキサラの視点での回も構想中
今後、この3人が中心になるので。
今回紹介する新キャラクターはアイリス先輩
以前から書きたかったスーツ姿でショートヘアの女性キャラ。
シキとは過去に先輩後輩の関係にあった氷の魔剣士です!
15年前に書いていた旧作では、キサラが氷の魔剣使いでしたがシナリオ一新で彼女が氷担当になりました(笑)
旧作キサラ・コールクラインの名残