※この作品はR-18です。

MAR-ナイトランカーズ   作:るしふぇる

30 / 40
ACT.30「無秩序の狩人」

ガンレイズアリーナ

氷原フィールド

午後15時05分

 

闘いに敗れ、うつ伏せに倒れるアイリス

 

闘いと拷問により、ショーツ1枚で片膝を付き傷だらけの身体を庇うドロシー

ズタズタに切り裂かれた背中、両腕、両足...

 

ガラス片の様な刃が纏わりついた氷の蛇腹剣による拷問は死の境界線ギリギリのダメージ

打たれた背中、お尻2発、右と左の太ももをザックリと切り裂き、深い凍傷を刻んでいる。

 

「くぅッ...!」

 

ドロシーが声を漏らす。

立ち上がろうにも、痛みで戦意が削がれる。

 

そのドロシーに炎を纏った刀を向けるブレア

 

「さぁて、次は私と遊びましょう、ドロシーちゃん♪」

 

ドロシーが返す

 

「こんな状況で...容赦ないわね。

最強のナイトっていうのは

手負いの相手を甚振るのが趣味なのかしら?」

 

ドロシーの挑発にブレアは笑顔を崩さない

 

「全部、自分が引き受けた事でしょ?

シキはアナタに月読を託し、アナタはそれを受け取った。

 

アイリスと私の二人掛かりに、ぶっ殺されても文句言えない状況よ?

それを、わざわざタイマンにしてやったのに。

 

引き受けたのもドロシーちゃんの意思、深手を負ったのもドロシーちゃんの力不足

都合が悪くなれば手負いの相手を甚振るのが趣味なのかって?

 

挑発するにもクチの利き方には気を付けた方が良いわよ?

殺すわよ?」

 

笑顔で殺気交じりの正論をぶつける。

ドロシーのプライドを壊しに掛かるブレア

 

ここまで、言われればドロシーも立ち上がらないわけには行かない。

 

「気が早いわねブレア...

この程度の怪我...大したことない

望み通り相手してやるから...武器(ゼピュロスブルーム)拾わせてよ。

仕切り直しくらい、呑んでくれても良いでしょ?」

 

(とはいったもの...やばいわね...

身体が、思うように動かない...

全身が凍傷で痛い...このままだと確実に殺される。)

 

「いいわよ、早く拾いなさい。」

 

ゼピュロスブルームまでの距離は約20メートルくらいだろう。

歩を進める度に激痛が両足に走る

呼吸で肺が膨らむ度、背中が焼けるように痛む

永遠にも思える距離

 

(シキ...

マスター、キサラちゃん、ホップくん...

街の皆...

会いたいなぁ...皆、元気かなぁ...)

 

唐突に、トウキョウでの生活が恋しくなる。

お客さんと談笑したり、買い出しで挨拶をしたり

公園で子供と遊んだり、迷い犬を撫でたり...

 

絶望的な状況で、寂しさが込み上げてくる。

 

 

刹那

 

 

キィィン!と音を立てる2つの飛来音

 

 

「何だ?」

 

ブレアが顔をしかめる。

上空から飛来したのは2つの黒い棺桶

一つには「KNIGHT」、もう一つ大きな棺桶には「DRAGON」と金の刻印

 

「今度は...何よ...」

 

ドロシーもようやくゼピュロスブルームを拾い

同時に、二つの棺桶の蓋が開く。

 

姿を現したのは何とリーパーだ!

 

KNIGHTの棺桶から姿を現したのは黒い甲冑に赤いマント

そしてライオンの頭、阿修羅の如く6本の腕に、6本の剣を持たせた不気味な獅子騎士

 

大きなDRAGONの棺桶から姿を現したのは体長5メートルはあろう怪物

恐竜ブラキオサウルスのような4足歩行、太い尾、コウモリの翼

そして2つの竜頭

 

6本腕の獅子騎士リーパーが名乗る

 

「我が名は騎士のディソーダー、マルバス

此方は竜のディソーダー、ブネ」

 

まさかの新手にドロシーの額を嫌な汗が滴る。

 

「リーパー...恐らく剣のウェポンARMとガーディアンARM...

けど、何でリーパーが口を利けるのよ!?」

 

その答えをブレアは知っている。

 

「今言ったでしょ?

こいつらはリーパーの中でも特異種"ディソーダー"

見るのは初めてかしら?

 

魔力を持たない人間がARMに支配され、本能のままに殺戮する。

それが、リーパー(狩人)

 

でも、こいつらは違う。

本能ではなく自らの意思を持つARMと人間の融合生物。

それがディソーダー(無秩序)を名乗っている。

さて...」

 

ブレアが2人のディソーダーと向き合い

 

「"カルデアシティの外"から何の用かしら?

今、お楽しみの真っ最中なんだけど?」

 

マルバスが返す

 

「やはり復活していたか!

ブレア・ヴァレンタイン!

かつて最強のナイトと呼ばれた貴女と立ち会えるとは光栄だ。」

 

「ドロシーちゃんのお友達ではなさそうね?

それと、私はブレア・ガーネット。

ヴァレンタインの方は死にましたわ、人違いですぅ。

か弱い乙女なので暴力反対ですわ。」

 

何とも都合の良い言い訳をするブレアにマルバスが返す。

 

「我は、ある方の使命で

そこのドロシー女史とゼピュロスブルームを回収に参った。

同時に貴女の持つ天照、迦具土命、村雨の3刀も頂きたい。」

 

ゼピュロスブルーム、天照、迦具土命、村雨が竜の鍵と呼ばれる特殊なARMなのは理解できる。

しかし、目的はドロシー...?

 

 

ガンレイズアリーナの勢力図

・優勝者をリーパー化させる目的のスレイプニル社

・スタークの素性を探る俺とドロシー

・スタークの殺害、及び竜の鍵を狙うブレア

・新たに竜の鍵と"ドロシー"を狙うディソーダーという新勢力

 

マルバスがブレアに歩を進める!

 

「見る所、ドロシー女史は手負い!

ここは、貴女と立ち合わせて頂こう、ブレア・ヴァレンタイン!

我が名は6魔剣のマルバス、推して参る!」

 

ブレアも炎の刀を構える

 

「そういう、推し活はNGなんだけどなぁ。」

 

ディソーダーについては、俺も詳しくは知らない。

カルデアシティの外に、意思を持つリーパーが居るとは聞いては居たが...

 

マルバスの腕は6本

そして、その剣技は人外な6刀流!

 

軽い身のこなしで6剣を1刀で受けきるブレア

 

キキキキキン!

と、凄まじい金属音が木霊する。

 

マルバスの6剣も神速の域

常人であれば既に細切れだろうが...

 

「おぉ~、早い早い!

うちのアイリスと互角か、それ以上か?」

 

涼しい顔で刀1本で弾き、流し、受ける。

一筋縄ではいかないブレアの剣技に「ぐぬぅ!?」とマルバスが顔をしかめる。

流石、元1位のナイト

 

「すごい...」とドロシーも目を奪われる攻防

 

刹那

 

竜のディソーダー、ブネが霧となって姿を消し、ドロシーの背後に回り込む!

ブネの能力は身体を霧に変える瞬間移動!

その動きは巨体に見合わず俊敏!

 

ブネの踏み付けを身体を転がし回避するドロシーだが

 

「うぐぅッ!」

(身体が...痛いッ!

でも...これはチャンス!)

 

俺の言葉をドロシーは覚えていてくれたみたいだ。

 

『ドロシー頼む、勝たなくていい!

月読を持って逃げてくれッ!』

 

「行くよ、ゼピュロスブルーム!」

 

ブネが咆哮!

 

『グォオオォォ!』

 

2本の竜頭から炎、雷のブレスを放つ。

巨体と霧化しての高速移動、炎と雷の属性が竜のディソーダー、ブネの能力なのだろう。

 

銀の箒にまたがるドロシー!

手負いの魔女が出来る最善の脱出手段!

 

今残る全魔力をゼピュロスブルームに集中し...

 

「フルバースト!」

 

穂先からロケットエンジンの様な凄まじい突風!

 

そのまま氷原を飛び出し、荒野を抜け、廃都へ逃れる!

遅れてブレアが気付く!

 

「あぁッ!?

あの子、逃げやがったッ!!

私に全部押し付ける気かよッ!?」

(しかも、いつの間にかARM全部、取り返されてるし!)

 

そしてマルバス

 

「安心しろブレア・ヴァレンタイン!

どの道、このフィールドに出口は存在せぬ!

ドロシー女史は貴女を葬った後で、我々が丁重にお迎えしよう!」

 

「ドロシーちゃんは生け捕りで、私は抹殺ってわけねぇ。

じゃあ、こっちもそのつもりで反撃して良いのかしら?」

 

「復活してまだ、日も浅いであろう?

防戦一方の貴女にこれが避けきれるか?

 

我が6魔剣は火、氷、雷、毒、闇の引力、聖属性の光!

6つの属性を持つ!

属性の相性など、我が剣の前では無ッッッ!」

 

マルバスの言葉通り

 

赤く燃える剣

白い冷気の剣

青い雷を纏った剣

緑の毒霧を纏った剣

黒い波動が渦巻く剣

金の光を放つ剣

 

6色の剣が解放され、ブレアに襲い掛かるが

 

「うっせーよ、やりチン野郎」

 

ガンッ!

 

ブレアの前蹴りが、マルバスの股間に直撃

その威力は甲冑を砕き、宙に浮かせる程の衝撃

 

「うがああああぁぁぁッ!」

 

マルバス、大事な所を蹴り潰され、自慢の6本の剣を落とし絶叫!

ブレアが続ける

 

「ディソーダーと言えど所詮リーパー

そしてリーパーも元は人間

股の間に"7本目"がぶら下がってるみたいね?

お前、見た目と喋り方が気持ち悪ぃから子孫繁栄やめとけよ。」

 

「ぐぅ...卑怯者な...」

 

「人の闘いが終わった後を見計らって乱入しといて、どの舌が言うんだ?

上になんかあるなぁ~とは思ってたけど、私が気付いてないと思った?

いくら口が利けるといっても、所詮はリーパー。

バカだなお前w」

 

ブレアの精神口撃!

マルバスが痛みを堪え、再び6魔剣を構える。

 

「ブネッ!

手を貸せ、この女をぶち殺すッ!」

 

本性を露わにするマルバスにブレア

 

「何が騎士のディソーダーだよ。

魔法の基礎も分からない、属性に浮気しまくるやりチンじゃねーかお前!」

 

「黙れええぇぇッ!」

 

マルバス自慢の6魔剣が唸り

ブネも炎と雷の咆哮を上げる!

 

そしてブレアの言う魔法の基礎

 

「属性っていうのは、多ければ良いってモノじゃない。

一つを極める事で、その相性も凌駕する。

冥土の土産に見せてあげるわ。

炎属性最強の妖刀 迦具土命の力を!」

 

「我が6魔剣の前では炎など無属に等しい!

思い知るが良いッ!」

 

 

ガンレイズアリーナ

氷原フィールド

午後15時15分

 

オリュンポスレコード所属

元ナイトランク1位

歌姫 ブレア・ガーネット

 

VS

 

リーパー

騎士のディソーダー マルバス

竜のディソーダー ブネ

 

 

 

その決着はあっけない物だった。

 

 

勝者 ブレア・ガーネット

午後15時18分

 

「あはははは、よわッwww」

 

嘲笑うブレア

氷原は焦土と化し、その風景がブレアの恐ろしさを物語る。

 

「ば...バカな...」

(この女の力...人間の域じゃない...バケモノだ!)

 

全身を燃やされ、バラバラに刻まれ、首だけになり転がるマルバス。

ブネも巨体の腹を引き裂かれ、焼かれ、燃やされた臓物が異臭を放ち焦土に零れ落ちる。

 

首だけになり、命の灯が風前のマルバスが続ける。

 

「我を...倒したとて...まだ、罪と罰...ディソーダーが控えている。

"我が主"は、メルヘヴンとカルデアシティ...二つの世界を統べる王となる。

決して...貴女も...ドロシー女史も、"スタークの依り代"も逃しはしない!」

 

ドロシーの世界、メルヘヴンと繋がりがあり

ドロシーを狙う新勢力 ディソーダー

 

何故、リーパーが意思を持つのか...

何故、ドロシーを狙うのか...

此方としては知りたいことは山積みだが、ブレアには興味がないのだろう。

 

マルバスの頭を踏み付ける

 

「逃げやしねぇよ。

全員皆殺しにしてやっから、向こう(あの世)で楽しみにしておけ。」

 

グシャ!

 

マルバスの命の灯が消える...

 

 

「アイリス?

おーい、アイリス起きろ!」

 

ドロシーとの闘いでグッタリとしたアイリスをブレアが起こそうとするが

 

「魔力の枯渇と疲労による失神か。

しゃーない、充電してやるか。」

 

アイリスのスカート、その奥の水色のショーツに手を突っ込むブレア

そして、大事な所に指を入れ...

 

くちゅ!

 

「ひゃんッ!」

 

アイリスが飛び起きる

 

「はうぅぅぅううッ!

や、やめ...ブレア...様!

何を...!?」

 

もう片方の手でアイリスの水色のブラをずらし...

 

「オ・シ・オ・キ♪

ドロシーちゃんに負けやがって。

可愛い乳首も味わってやらねぇとな。」

 

形の整ったバスト、その上にあるピンク色の乳首にブレアが舌を滑らせ...

 

「あんッ、んんんッ!」

 

アイリスが声にならない叫びをあげる

下に入れた指をピストン運動の様に上下させ濡らす。

 

そして、舌で転がされコリコリに固まった乳首に吸い付き...

 

チュウゥゥゥ!

 

「ひゃうううぅぅぅッ!」

 

アイリスが絶頂

 

...

 

「身体の調子はどう、アイリス?」

 

「問題ありません、復活しました。

感謝します、ブレア様。」

 

どういう事か、アイリス完全復活!?

そのままブレアが続ける。

 

「私はドロシーちゃんを追う。

アイリスはシキを連れてきて。

 

あと、ドロシーちゃんとの約束。

キサラ・アルスカーは必ず生存させること。

恐らく、他のディソーダー達もシキとキサラちゃんを狙ってる。」

 

「承知しました。

キサラさんの件は、私に責任があります。」

 

アイリスは表向き、ブレアとキサラの護衛に付いたナイト

万が一の為に全フィールドにアクセスできるキーARMも携帯している。

 

何処から出したのかスペアのメガネを装着しアイリスが出動。

そして、ブレアも廃都に逃げたドロシーを追う。

 

「さぁて、ドロシーちゃん。

アナタはどんな味がするのかしら?」

 

 

ドロシーサイド

 

廃都 教会

礼拝堂

午後15時30分

 

廃都と言えど服や食料が健在だったのは救いだ。

逃げる道中、ブティックでノースリーブにロングスカートの黒いドレスを物色。

 

スーパーマーケットのパンも賞味期限が新しい。

サンドイッチや弁当、魚や肉、野菜などのナマモノは作り物のオブジェだったが

カレーパン、メロンパンと言った菓子パンとペットボトルの水は健在で恐らく緊急用の備蓄だろう。

 

何とか体力は回復できた。

 

「カレーパンかぁ...懐かしいな。

私がこの世界に来て、初めて食べたやつとパッケージも同じね。」

 

ドロシーと初めて会ったのはオリエント埠頭の食糧倉庫だった。

異世界から来て、初めに感動したのは美味しそうに包装されたパッケージだったとか。

家電製品、自動車、飛行機、インターネット、ゲーム、アミューズメント施設

ドロシーにとっては、この世界の探索こそ、かつてない冒険だっただろう。

 

思考を闘いへ切り替える。

 

竜と騎士のディソーダー

あの二人にブレアが負けるとは思えないが、消耗させてくれれば嬉しい。

 

ドロシーの魔力と体力も、回復したとはいえ全快ではない。

傷はホーリーARM"癒しの天使"で塞いだ。

傷跡や打撲跡は何とか残さずに済んだが、あくまで形だけの回復。

痛みは残りダメージは蓄積されている。

 

「早く帰って、フカフカのベッドで寝たいなぁ...

シキもとんでもない厄介ごとを抱えたもんだよ。」

 

ブレアはかつてない強敵だろう。

"今の現状"もヨハンにSNSで送った。

 

やれることはやると伝える。

相手が最強のナイトだとしても、黙ってやられる気はない!

 

礼拝堂の扉が開く

 

ドロシーVSブレア

開幕




妖刀 迦具土命
所有者ブレア・ヴァレンタイン

爆炎を操る炎属性最強の刀
熱風による斬撃、炎による属性攻撃と標準的な炎の魔剣の性能に加え

刀身、また触れたものに熱エネルギーを蓄積し、任意のタイミングで爆破することができる一撃必殺の妖刀
砕けた刀身も瞬時に再生する。

操刃の術式 烽火連天
爆破可能な刃を遠隔で操る

葬星の術式 煉獄輪廻
炎竜を召喚し炎のブレスで焼き払う

虚空の術式 焦熱地獄
周囲の酸素を瞬時に燃焼し、溶岩の海に変える

獄炎の術式 焔帷子
自身の身体を炎に変換する
※物理攻撃を無効
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