ガンレイズアリーナ決勝
ファイナルステージ 文明の墓場
スクラップヤード
午後14時40分
翼が折れ、スクラップと化した大型旅客飛行機のコックピットでキサラ
「もう、何も分からなくなってしまいました...
出発しま~す!」
レバーを引いても飛ぶわけもなく...
あれから涙も枯れ、呆けていた
『シキさんなんて大っ嫌い!』
自分で言った言葉が、何度も脳裏に木霊する。
「シキさんのバカ...
もう、シキさんの家に墜落させてやる、この飛行機!」
試合を放棄し、上の空で飛行機で遊ぶキサラ
こうしてる間に、20人の参加者は減り残り4人!
パキンッ!
キサラの目の前で窓ガラスが割れる!
襲撃だ!
割れた窓の外
撃ったのはライトマシンガンを手に...
踊り出す彼は...
褐色の肌
ウェーブのかかった黒のロングヘア
つばの浅い白の中折れハット
黒いシャツに白いネクタイ
その上から白のジャケットを羽織り
白のボトムス
踊る白いライトマシンガン使い
劇団スリラーイット所属
俳優、ミュージシャン:ポーンクラス
プレイヤーネーム:マイク・ジャンクソン
ジャンクソンにスポットライトが当たる!
ムーンウォークをしながらライトマシンガンを乱射!
「デンデン、デケデンデン、デンデン、デケデンデン、テーテー♪」
それも、謎のリズムに合わせて...
ライトマシンガンから放たれる銃弾の雨がコックピットを荒らす。
キサラは大股で機外に飛び出し...
「うるさいなぁ、もうッ!」
レーヴァテインでジャンクソンの頭を撃ち抜く!
「アウチッ!」
被弾したジャンクソンは謎の甲高い悲鳴を上げ、大きく一回転
ステップを踏み、飛びかけた中折れハットを片手で押さえ、もう片方の手で正面を指さしポーズを決める。
「イェアッ!」
しかし、ヒット判定だ。
光となり、派手に退場するマイク・ジャンクソン
これで残るは3人
「誰か、見つけたのかな。」
キサラは待っていた。
誰かがダインスレイヴを見つけるのを。
闘ってみたかった...
「シキさんのお姉さんを倒した魔銃...」
刹那
殺気を察知し、キサラが身を翻す。
背後から遅れてくる炎!
火炎放射器じゃない!?
銃声の正体は12ゲージのショットガンから放たれる特殊な焼夷弾
ドラゴンブレス弾
通常のショットシェル(散弾)にはペレットと呼ばれる金属の粒が入っていて、これが拡散する事で相手を殺傷する。
ドラゴンブレス弾はマグネシウムのペレットが詰められていて、発砲時の火花が化学反応を起こし炎となり拡散する!
飛距離は30メートル程で一瞬で燃え尽きる事から、軍や警察では採用されることなく娯楽や威嚇などに使われる程度の代物ではあるが...
ここは、ガンレイズアリーナ
散弾、拡散する炎は全て一撃必殺の当たり判定!
その、火龍の様なショットガンを持つ男が姿を現した。
死神を思わせる迷彩のローブとマント
銀のドクロの仮面はクロームメッキの光沢が施され緊張するキサラの顔を反射する
ターミネーターを彷彿させる赤い目
手にする得物は黒い軍用のセミオートショットガン、ファブニールM3
所属不明
ランク:不明
プレイヤーネーム:スカルフェイス
この大会の優勝候補3人
予選100人の生き残り、ベスト3のキルスコア
1位、スカルフェイス
23人、ショットガン
2位、オキナ
15人、レイズブレード
3位、シスター・キサラ
12人、スナイパーライフル
現時点で最強と言って差し支えない強敵
キサラも把握していた。
「もういいです、全員倒して私がダインスレイヴを見つけ破壊します!」
キサラの決断
(シキさんが私を利用してたのは許せないけど...
でも、シキさんのお姉さんの仇を壊せば...
スターク・アルバーンは倒したことになるよね?
もう、シキさんが誰かを騙さなくたっていいよね?
売れば大金になるのは知ってる。
でも、お金なんて要らない!
私も酷い事言っちゃったけど...
もう、会わないって決めたけど...
私がシキさんを好きだった気持ちに嘘はない!
すごく強いナイトなのに、お金も地位も関係なく、困った人を分け隔てなく助けてくれる優しいシキさんに、誰かを守るために臆せず闘えるかっこいいシキさんに憧れてた!
シキさんには、復讐の為に生きてほしくない!
皆を守ってあげる、笑顔にしてくれる存在であってほしい!
シキさんの復讐は私が終わらせる!
それが、私のガンレイズアリーナ、最後の闘いですッ!)
キサラとスカルフェイスの一騎打ち
先に動くのはスカルフェイス!
言葉はない
シュー!シュー!とマスクからドライアイスの様な冷気を吐き
灼熱のドラゴンブレス弾をキサラに浴びせる!
ドラゴンブレス弾は見た目こそ派手で広範囲だが射程が短い!
炎故に視認しやすい為、対処は難しくないが...
厄介なのは、このスカルフェイスというプレイヤー
好んでプレイヤーを至近距離で火だるまにしたがる悪質なプレイヤーキラーだ!
炎に包まれ、パニックを起こすプレイヤーを見て喜んでいる節も見えた。
殺戮を楽しむために参加...
それも、ゲームの醍醐味なのかもしれないが...
炎を吐くショットガンでキサラを追い回す!
バックステップで射程外に距離を取りながら、セミオートライフルで迎撃するキサラ!
スカルフェイスはサーカスのピエロの様なアクロバティックな動きでキサラの弾幕を回避する!
「速い!
こんなに外すなんて、初めてですッ!」
(ボルトアクションライフルだったら、詰んでました!
流石、優勝候補の筆頭!?)
そして、スカルフェイスの身体能力も高い!
警察や軍の動きではなく、間違いなくリアルで人を殺傷している裏社会の住人
ファブニールM3はセミオートショットガン!
いくらでも、ドラゴンブレス弾を連射できる。
火炎放射器の如くファブニールが咆哮を上げる!
また、炎は強烈な光を放つ!
長期戦になれば、キサラの視力も徐々に落ちてしまう!
まぁ、余興は此処までか。
スカルフェイス...
俺はこいつの正体を知っている。
マフィア:リビングデッドコープス所属
元ナイトランカー10位
本名:フィアマ・バイオネッタ
抗争に乗じて無抵抗な民間人を焼き殺して除名された殺人犯だ。
指名手配後、マフィアの殺し屋として暗躍していると聞いたが...
ガンレイズアリーナ、どうやら盛り上げてくれれば裏世界のクソ野郎も歓迎らしいな。
刹那
ブォン!
という剣閃がキサラの間に割って入り...
スカルフェイスの胴を居合い斬りで一刀両断し退場させる。
乱入したのは最後の一人
黒の着物に、灰色の袴、草履
そして翁の面
サムライの出で立ちからは掛け離れた赤いビームサーベルもとい、刃渡り90センチのレイズブレード
カルデアシティのランクはキサラと同じポーン
しかし、彼は歌舞伎役者であり剣術の達人
この銃の世界、ガンレイズナリーナでレイズブレード1本で生き残った猛者
プレイヤーネーム:オキナ
のはずなのだが...
翁の面を外す。
キサラが驚愕する...
「どうして、貴方がここに居るんですか...
シキさん!」
ごめん、オキナと入れ替わった。
俺はキサラに返す。
「俺もガンレイズアリーナ...
いや、ダインスレイヴ争奪戦に興味を持ってね。
本物のオキナは、控室でお昼寝でもしてるよ。」
決勝戦でキサラと別れた後、俺はオキナを拉致してプレイヤーパスと身包みを剥ぎ取り退場させた。
カメラの死角など、事前に調査してある。
後スカルフェイスの件も、俺が斬り捨てる前に警察に通報済み。
退場して今頃、お縄に付いてるだろう。
これで邪魔者は居なくなった。
「言いましたよねシキさん、私はもうシキさんとは関わらないって。」
「あぁ、大っ嫌いだったのはショックだよ。
でも、それで踏ん切りが付いた。
キサラの大事な戦場を"ゲームなんか"と吐き捨てたケジメは付ける。
勝負だキサラ、俺がダインスレイヴを奪う!」
「確かにシキさんは強いかもしれません...
でも、ガンレイズアリーナは私の戦場
プロの私に勝てると思ってるんですか?」
乗ってくれた事に感謝する。
俺はキサラを睨み...
人を日常的に殺してるナイトの、本気の圧を掛ける!
動揺するキサラ
(何これ...動けない...
まるで、巨大な獣に睨まれてるみたいで怖い...
心臓が、今にも破裂しそう...
これが...ナイトランカー?)
俺が続ける
「俺は14の時から裏社会で人を斬ってる殺しのプロだ。
お互いプロ同士、相手にとって不足はないと思うぞ?」
「シキさん...
どうして、こんなイジワルするんですか?
ここは、ゲームの世界で、本物のナイトなんて...勝てるわけ...
私はただ、ダインスレイヴを壊して、シキさんの復讐を終わらせたいだけなのに!」
「やっぱり、ゲームなんか遊びだったのか?
本物の闘いでイジワルされたなんて言い訳、聞いたことないぞ?
俺にとってスタークの手掛かりを追う闘いは命懸けだった!
ガキの頃から何度も殺されかけて来たんだからな。
キサラの覚悟はどうなんだ?」
(そう...ですよね...
シキさん...私が思い上がってました!
私にとって、このガンレイズアリーナは本物の戦場!
お世話になった教会、子供達の未来をかけて、今まで闘って来たんだ!
もう、恐くない!
私の全てを、シキさんにぶつけたいッ!)
キサラの目から恐怖と緊張が消える。
「今ので目が覚めました...
半端な気持ちでシキさんの心に土足で踏み込んでいたのは私の方でした。
ごめんなさい...
シキさんの気持ちも考えず、大っ嫌いなんて酷いことを言ったのに、またシキさんに助けて貰いました。
シキさん、アナタを倒して...私がダインスレイヴを破壊します!
ここは私の戦場、例えシキさんでも譲れませんッ!」
「助けに来た覚えはないよ。
ボコボコにぶっ潰して挫折させようと思ってる。
来いよ、プロゲーマー!
天才スナイパー、シスター・キサラ!」
「やっぱり...大っ嫌いです。」
(大好きですシキさん、私の憧れ...
この戦場だけでいい、ゲームなんかでもいい!
本気で倒して、今だけでもアナタを超えて、私も強くなりたい!)
ガンレイズアリーナ決勝
ファイナルステージ 文明の墓場
スクラップヤード
午後15時00分
刀剣製造老舗
ムラマサ社所属
ナイトランク7位
シキエル・ヴァレンタイン
VS
銃器製造大手
スレイプニル・インターナショナル社所属
プロゲーマー
シスター・アルスカー
ファイナルバトル開幕!
さぁて、ここからが厄介だ...
キサラ自身気付いてるのか分からないが
本気になって、もし実銃を手にしたのなら...
キサラは俺でも勝てるか分からないくらいメチャクチャ強い!
キサラがセミオートライフル、レーヴァテインを構える!
「速攻で殺しますッ!」
ダダダン!ダダダン!ダダダン!と、さっそく3点バーストの乱射!
俺は弾丸の雨あられをサイドステップで回避する!
マフィア共の乱射とは段違いの精度だ!
どれを避けても紙一重
キサラもバックステップで距離をキープしながら弾幕を緩めない!
厄介なのは今、キサラが装填しているのは50発の拡張マガジン!
レーヴァテインSPRのベースはアサルトライフル
これ1本で狙撃から白兵戦までこなせる万能装備!
こんなカスタマイズまで出来るなんて、やはり天才だ!
やっぱ、もう少しビビらせないとダメか!?
俺は弾幕の中に強烈に踏み込む
そして...
「流石ナイトです!
狙いは完璧なのに!」
確かにレーヴァテインSPRは万能だが、弱点がないわけではない。
大口径の対物ライフルや、貫通力のある7.62ミリ弾を使用する本格的なスナイパーライフルと異なり
パーツの互換性、連射による白兵戦も想定する場合
弾薬は5.62ミリ
1発当てれば終了の決勝ステージでは決して選択ミスではない。
むしろ、全ての戦局を想定したベストなのだと思う。
しかし、銃VS銃を想定した場合に限る。
レイズブレードでキサラが放つ弾道を斬り進みながら距離を詰める!
読み通り貫通はしない!
難なく斬れるし、防ぐこともできる!
俺が至近距離まで詰め、手加減抜きで稲妻の様な袈裟を落とすも...
まるで、舞踊のターンの様に回避し、レーヴァテインを棒術の様に振り回し
「そこですッ!」
片手で即射してくる。
それを、俺はギリギリで回避!
キサラが叫ぶ!
「まだまだぁッ!」
眼球、肺、ミゾオチ、金的、大腿動脈、5か所の急所を狙った5連射!
至近距離で斬り掛かってるのに、刀と銃の不利有利を感じさせない!
会場の3Dモニターに映し出されるキサラと俺の闘い!
ガンレイズアリーナで銃VS剣、誰がこの決勝を予想できただろう!
会場は大歓声
声援は歓喜の絶叫に変わり、この世紀の闘いに涙するものまで出てくる程...
やはり武器の弱点を見抜いた程度では勝たせてくれない。
キサラはスナイパーでありながら、近距離での白兵戦も強い!
スカルフェイスとの一騎打ち、決着を見届けるのは時間の無駄と思い割り込んだ。
あんなカス、本気になった今のキサラの敵じゃない。
俺もお返しと言わんばかりに首、胴、両足を狙って連撃を返すも!
「当たりませんッ!」
大きく跳躍し距離を取るキサラ...っておい嘘だろ!
コンテナを蹴り三角飛びからの宙返り
そのまま空中でスコープを覗き、此方に照準を合わせてる?
射撃体勢が早い!
あれは、避けられるか?
「終わりです!」
銃身の位置で読むしかねぇ!
狙いは心臓か!
レーヴァテインの乾いたサプレッサーが銃声を上げる!
俺も切り返す!
「うおぉッ!」
レイズブレードで弾丸を斬り落とす!
だが、セミオートライフルの厄介なところ!
射撃体勢のまま落下し2弾、3弾と凶弾が襲い掛かる!
こっちとしても、銃身の位置から弾道を予測してドンピシャのタイミングで切り落とさなきゃならない!
加えて、あのレーヴァテインの弾速も今まで裏社会で相手してきたマフィア共の銃とは比較にならないくらい速い!
マフィア10人に拳銃を向けられても、正直鉄パイプ1本あればどうにでも出来る。
しかし、キサラにライフル1丁向けられてる時の緊張感は、間近に死を感じる。
ここが、ゲームの世界であることを忘れる程に。
キサラの着地のタイミング
狙うならここしかない!
キサラも反応
「居合い、シキさんの得意技ですね!」
電光石火の踏み込みでキサラに急接近!
キサラの背後には鉄くずの山
俺が赤い剣閃を放つ!
キサラがバク転で、その隙間を縫うように回避
まったく、覚醒したら身体能力まで上がるのかよ!
この距離で居合いを外した事なんて、今までないぞ!?
斬撃の風圧で、鉄くずの山が吹き飛ぶ!
その刹那だった...
キサラと俺が同時に反応する!
鉄くずに埋もれていたライフル銃
近代的なデザイン、黄金のフレームにハンドガード
単発のボルトアクションレバー
独立したピストルグリップ
チークパッド・バットプレートの高さが変更できる折畳式の精密ストック
そして、上部のレールには大型のスコープ、下部のレールにはバイポッド
精密射撃に特化し容易なバレル交換、ストック調整機能、上下にピカティニーレールを持ったモジュラースナイパーライフルだ。
それが、何なのか理解するのも同時だった!
ダインスレイヴMSR
キサラが弾を撃ち尽くしたレーヴァテインを放り、身軽になったままバク転、バク宙でダインスレイヴを先に回収する!
レーヴァテインと違い、単発のボルトアクション!
距離を取られれば勝機はない!
そう判断し踏み込む!
キサラがボルトを引く!
(ボルトのストロークが短い!
スコープも見易い、まるで...吸い込まれるように照準が合うッ!?
これが、伝説の魔銃!?)
キサラにとっても勝機はここしかなかったのだろう。
俺は判断を誤った...
ダインスレイヴが単発とはいえ、弾速はどうなんだ!?
レーヴァテインのような自動小銃に比べてボルトアクションは構造が単純であり、故に精度は比にならない!
そして、俺にとって最悪の誤算!
ダインスレイヴに装填されていたのは、ゲーム仕様の光弾なんかじゃなかった。
「ごふッ...」
右わき腹から背中を貫く灼熱の様な激痛...
口の中に込み上げてくる塩気と鉄の味...
ダインスレイヴに装填されていたのは紛れもない実弾!
「シキ...さん...?」
唖然とするキサラ
脇腹と口から血を吐き、膝から崩れ落ちる俺...
やばいな...腎臓が...1個潰れたな...
痛い...
身体に力が、入らない...
凄いなキサラ...俺の...負けだ...
ガンレイズアリーナ決勝
ファイナルステージ 文明の墓場
スクラップヤード
午後15時20分
ムラマサ社所属
ナイトランク7位
シキエル・ヴァレンタイン
VS
スレイプニル・インターナショナル社所属
プロゲーマー
シスター・アルスカー
勝者:キサラ・アルスカー
第三回ガンレイズアリーナ優勝者決定
ダインスレイヴMSR
モデルはレミントンMSRです。
スレイプニル・インターナショナル社最強の銃にして現最強のナイトランカー、スターク・アルバーンの愛銃!
さて、7年前のブレアVSスタークで本来スタークという人間は存在せずダインスレイヴによってスレイプニル社の傀儡と化したリーパーが、スタークの正体という事実に辿り着きました。
スターク(リーパー)自身は7年前に死亡
今回のガンレイズアリーナも、キサラが次のスタークとして適正かを見定める目的で開催されてます。
ダインスレイヴMSRもウェポンARMの一つで、特殊なマジックストーンを宿した竜の鍵の一つです。
魔力を持たない人間が、強力なARMを発動した場合、ARMに身体と精神を乗っ取られリーパーとなる設定。
この日の為に温めてきた設定だったりします。
次回、キサラが最大のピンチを迎えます!
シキは立ち上がる事が出来るのか...