※この作品はR-18です。

MAR-ナイトランカーズ   作:るしふぇる

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ACT.4「カルデアシティとナイトランク」

カルデアシティ

オリエントタウン埠頭

食料倉庫

PM9:45

 

「美味しい!」

 

生れて初めて食べるカレーパンにご満悦のドロシー

食糧倉庫に逃げ込んだ彼女は段ボールを物色。

 

パンは元の世界にもあったが、ビニールに梱包された色とりどりの形、可愛らしいキャラクターや美味しそうな宣材写真のプリント、全てが斬新だ。

 

カレーやパンは元の世界にもあった。

元々パンが好きだったドロシーにとって、カレーが中に入ったパンは衝撃の一言だったのかもしれない。

倉庫の壁にもたれかかり、小さな口で夢中になり、はむはむと食べる。

 

あっちの世界で思い付いて売ってれば大儲けだったろうな。と邪な欲望が頭をよぎった。

魔女と言えど女の子なので甘い物にも目はないが、肉やカレーなどコッテリしたものも嫌いじゃない。

気が付けば胸とお尻に栄養がたっぷり蓄えられてる気もするが...

 

 

竜に飲み込まれたドロシーは、何故か近未来の都市にワープしていた。

 

高層ビルに煌びやかな街の明かり、機械の乗り物、夜も問わず交差点をごった返す人の群れ

目新しい物はワクワクするが...

 

ドロシーのドレスは至る所が破れ、生足、左肩から乳房まで完全に露出した半裸状態。

おまけに、所々に闘いと拷問で受けた傷。

 

こんな格好で、都会に降り立てば騒ぎどころの話ではない。

 

ホーリーARM 癒しの天使

形状はペンダントで神聖な力が傷を癒す

 

唯一所持している回復アイテムだが全回復する程の魔力は、今のドロシーに残っていない。

足の火傷と顔に傷は残したくないので、そこだけは念入りに回復させた。

 

生身で鋼の雄牛(ミノタウルス)と闘い

壁に叩き付けられ、背中を踏み付けられ、逆さに吊るされ殴打され、足を焼かれ、股を裂かれ、股間を強打され

その後も、革ベルトで後ろ手に縛られ締め上げられる。

最後に金属で出来た巨大な鍵のオブジェで顔面を殴られる。

 

常人だったら死んでもおかしくないレベルの拷問を約30分前に受けていたと思い出したくもない。

幸い顔に傷も残らず、火傷も消えた。

 

壁にもたれたまま、ゆっくりと立ち上がるドロシー

 

「んんッ!」

 

股間の痛みで堪らず下唇を噛む。

ボロボロのドレスの帯をほどき窓から差し込む光が、ドロシーの整った裸体を照らす。

豊満なバストと、綺麗に描かれた腰のライン、引き締まった脚線美を確認する。

止血まで何とか出来たが、白い肌の所々に打撲や擦り傷がまだ残る。

立ち上がったり、歩いたりすると股間がズキズキと痛む。

 

カレーパンのお陰で体力は少し回復できたが、魔力ばかりはどうにもならない。

後は自分の回復力に期待するしかないが、この格好でどうしたものかと...

 

刹那

 

バァン!と扉を破り入ってくる人影

身長は自分より少し高いくらい、顔立ちからして歳は自分より下だろう。

赤みがかった茶髪に、フードが付いた上着、右手には東洋の侍が持つ刀、左手には四角いアタッシュケースを手にした少年

 

茶髪の彼は続けた、追われているのだろうか?

 

「しつけぇ!国民放送の集金並みにしつけぇ!

何人いるんだよあいつら!」

 

良くわからない独り言を言いながら入ってきた彼のダークレットの瞳と目が合った。

 

「あッ...!」

 

「えッ…?!」

 

ドロシーの全裸を目の当たりにし硬直する彼

放心状態なのか、手にした刀とケースが音を立て床に落ちる。

血色の瞳が胸、お腹、太もも、そして全身の順でフォーカスし

 

・・・

 

しばしの沈黙を彼の言葉が破った

軍隊宜しくサッ!と機敏な動作で両足を揃え一礼

 

「ありがとうございますッ!」

 

何故かお礼を言われた。

 

-ちょっと、え?何?

お礼?私の裸の...?

えええええええッ!?-

 

ドロシーも混乱と恥ずかしさが入り混じり、顔を真っ赤に沸騰させる。

気が付けば

 

爆発

 

「きゃああああああぁぁぁぁー---ッ!」

 

天まで届くような黄色い断末魔と

 

バシィン!

 

「ぐべぇぇッ!」

 

一礼する茶髪のエロガキに平手打ち!

身体の痛みと消耗を無視、全力をも度外視したリミッター解除の一撃がエロガキの右頬に炸裂し吹き飛ぶ。

 

続いて来る2つの足音

黒のスーツにサングラス、角刈りとマフィアのお約束の様な格好

 

「声がしたぞ!」

 

二人の黒スーツが倉庫に入るや否や、全裸の魔女ドロシー電光石火!

 

顔面に飛び蹴り

「ぐばあぁぁッ!」

 

右足からの着地と同時に、それを軸に回転。

遠心力が乗った裏拳を炸裂!

「おっぱッー--ッ!」

 

羞恥心により暴走した魔女が、自慢のおっぱいを揺らしながら鮮やかな格闘術で二人の意識を彼方へと飛ばす。

おっぱい魔女が騒ぎ始める。

 

「見るなーーーー!

ていうか、忘れろー---!

死ねーーーーッ!

(自主規制)ー----ッ」

 

「落ち着けって!」

 

「むぐううううー--ッ!」

 

右頬に赤い手形が刻まれたエロガキが慌ててドロシーの口を塞ぐ。

 

「追われてるんだ!

見ちまったことは謝るから、頼む...」

 

「むぐぅ~!」

 

口を塞がれたまま冷静さを取り戻すドロシー

ひとまず、極力音を立てないよう、倉庫の扉を閉め内側から施錠。

黒スーツから身ぐるみを剥がし、裸のドロシーの間に合わせにしようと思ったが

 

「絶対いやッ!おっさん臭い!」

 

そんなわけで

 

ドロシーが破れたドレスのスカートで簡単な腰布を作り大事な所を覆い隠す。

エロガキから奪ったパーカーのジッパーを胸元まで閉め...

 

丈の長いパーカーからスラリと伸びた脚線美と、キュッと引き締まった太もも

胸の形も衣類の上からクッキリとしていて、胸元が開いたジッパーからは零れそうな谷間が...

 

これはこれで、良い!

 

「ありがとうございますッ!」

 

再び礼をするエロ軍曹と

 

「おめぇ、また引っ叩くぞ!」

 

一喝する魔女

 

落ち着いたところでエロガキ...もとい

まず名前から。

 

「シキエル・ヴァレンタイン君?

シキエル君で良い?」

 

「シキでいいよ、皆そう呼ぶし。

お前は?」

 

シキの問いに

 

「その、お前って言い方、何かムカつく!

シキより私の方が年上だと思うんだけど?」

 

「その、おっぱい見れば分かるよ。」

 

パァンッ!

 

 

本日、2発目の平手が炸裂した。

 

 

「二度もぶった!?親父にもぶたれたことないのにッ!

もう、ガ〇ダムになんか乗ってやらないからなッ!」

 

妙な声で訳の分からないことを言うシキと

 

「殴って何が悪いの?

大体、殴られずに一人前になる男が何処に居るのよ。」

 

本人は自覚していないが、奇跡的な返しをするドロシー

このまま話を整理すると

 

この世界にもチェスの駒を模した階級が存在し

 

一般人のポーン

 

公務を行ったり犯罪を取り締まる警察階級のルーク

 

政治や軍事力など権力を持ったビショップ

 

そして、魔法や特殊能力を用いて治安を守る特殊階級のナイト

この世界では魔力を持つ人間は稀で、ナイトもこの街には12人しか存在しないらしい。

 

警察や軍が取り締まれない犯罪に立ち向かう特殊な階級である為、ランキングも存在し貢献度や戦力、またナイト同士の死亡、投獄による除籍で順位も変化するのだとか。

ナイト階級のみ呼ばれる総称がある。

 

それが"ナイトランカー"

 

「ちなみに俺、ランク7位だぜ!」

 

「えぇ~、アンタが...」

 

自慢気に親指で自分を指すシキと、それに疑いのジト目を向けるドロシー

シキが続ける。

 

「でも、このチェス階級って昔の軍隊の名残らしいぞ。

今じゃ魔法使いなんて特異体質みたいなもんだから信じらんねーけど。

このカルデアシティが魔法使いばかりの国だったらしくてさぁ。」

 

カルデアというワードにドロシーが反応しシキの両肩を掴む。

 

「いでぇッ!何すんだよ!」

 

「その話、詳しく聞かせて?」

 

シキの胸倉を締め上げ、もはや脅迫のように問い詰める。

ドロシーの気迫に押されたままシキが続ける。

 

「いや、だからさ、俺も歴史は詳しくねーけどメルとクロスガードの伝説とか、

盗賊ルべリアの冒険とか聞いたことあるだろ?!

歴史小説にもなってるし、テレビでドラマもやってるしさ!

1000年前に戦争があって、カルデア出身の魔女が作ったチェスの駒っていう軍団が...」

 

-メル、私がいた時代が1000年前?

ってことは、ここは-

 

カルデアシティ

ここは1000年後の未来のカルデア?

 

ドロシーが更に追い詰める

 

「首が8本あるドラゴンの話があるだろッ!

そいつはどうなったのッ!」

 

「くッ...苦しいッ!首、首がぁッ!」

 

これではシキが答えられない。

冷静になり開放するドロシーにシキが激高する。

 

「馬ッ鹿野郎、殺す気かッ!

はぁ、はぁ、死ぬかと思ったわッ!」

 

呼吸を整え涙目のシキが続ける。

 

「お前、どこの世界の住人なんだよ!

ヤマタノオロチ、1000年前に討伐された竜の怪物だろ。

この怪物のせいで世界人口が10分の1になって...

昔は魔法なんて誰でも使えたらしいんだけど、こんなの夢みたいなおとぎ話だし

島よりデッカイ竜なんて存在するわけねーしな。」

 

自分がその1000年前の世界から来たこと

実際にその怪物を見たこと

出来ることなら、どうやってアレを倒したのか

元の世界の住人の安否も知りたい

しかし、シキの話では、その部分は空想、伝説の類になっているらしい。

 

(話しても信じて貰えないよね)

 

確かに、こんな突飛な話、いきなりされて信じろというのが無理があるだろう。

自分もそういう経験はあり信じられなかったし。

冷静になり、ドロシーは自分の素性を話すことを諦めた。

散々詰められ不機嫌なシキが続ける。

 

「しかし、こんな誰でも知ってるようなこと、何でそんな剣幕で聞くんだよ!」

 

「歴史のテストよ、1問でも間違えたら死刑。

命拾いしたわね。」

 

「どんなイベントだよ、ブライト艦長ッ!」

 

「誰よそれッ!」

 

「だって俺、まだお前の名前...うげぇッ!」

 

再びドロシーが胸倉を掴みシキを締め上げる。

 

「お前って呼ばないで、ドロシーよ!

次お前って呼んだら刻んで犬の餌にするわよ?」

 

冷たい表情と声で脅迫するドロシー。

怒鳴るより恐い、そういう人居るよね?

まさにこの人だ。

 

「はい、ゴメンナサイ...ドロシー姉さん..」

 

震えた声、涙目で怯えきってしまうシキ

 

 

おっかねぇ~!

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