身体が女になったからって、オレは男だから!ホモじゃねーから!男とヤるとかありえねーから!ち、ちが……♡ やめ……♡ 作:ゲルパンマン♥山崎
……
「なぁサイラス」
「なんだクリス」
「なんで女性用防具は、ランクが高くなるほど布面積が小さくなってくんだ?」
「さぁ……?」
店内に並べられた防具を見て、二人は首をかしげる。
安いモノならば男女差はほぼない。だが高性能になっていくにつれて、女性用防具は革や板金は薄っぺらでひらひらな布地になり、徐々に肌を覆う面積が減っていき、露出が増えていくのだ。
男性用は普通だ。硬い素材で身体を覆い、急所部分は厚く仕上げ、衝撃吸収の素材を内側に仕込み、しっかりと身体を守る作りになっている。
なぜ女性用だけが?
それは誰にもわからない。わからないのだ。誰にも……
「これなんかいいんじゃないか?」
そう言ってサイラスが持ってきた物は、マイクロビキニのような防具?だった。
「防具じゃねーだろこれ! どこも守れてねぇじゃねえか!」
「いやちゃんと守れてるだろ。大事なトコをよ」
「じゃあてめーが着ろよオイ大事なトコを守ってくれるからよォ!」
「お客様ァ」
「うぉお!」
「なにこのオッサン」
店員が現れた!
「そちらの防具は、こちらのシールドビットとのセットになっておりまして、着て頂くことでこれらが自動で空中に浮かび上がり、お客様をお守りする製品で御座いますゥ。現在の最上位ランクである26に正式認定された最新式の装備で御座いますので、性能面でも随一で御座いますゥ」
店員がメガネをクイッとしながら語る!
「もし、性能に不安などが御座いますれば……」
店員のメガネが怪しく光る!
「試着して頂いても、宜しいのですよ?」
「話がわかるじゃねーか! なっ! 試着して性能確かめてみようぜ! なっ!」
「着るわけねーだろ! こんな布っきれ! もっと、こう、普通な感じの革鎧とかさぁ……」
「つまらん」
「お客様のランクで革鎧を装備していますと、イメージに悪影響が懸念されます……」
「あのさぁ……てかオッサン俺らのランク知ってんの?」
「はい、クリス様やサイラス様のような有力な冒険者様は、一通り把握させて頂いております」
「はーん、オレらが誰かってのもわかってんの。すごいな」
「クリス! 観念してこれを着るんだ! わがままはいかんぞ! さぁ早く! さぁ! あ、こっちもいいな! これもいいぞ! ほら早く!」
「いやいやいや、どれもこれも薄着すぎだろが。ペラッペラじゃん。守るとか以前に寒いわボケ」
「お客様ァ、これらはすべて、下着も兼ねた装備で御座いますので、この上に別の衣服を着用して頂くのが一般的でございますゥ」
「あ、そうなん? それならまぁ、いいかな。隠せるなら」
「え……? か、隠しちゃうの……?」
「ただし、必ず素肌に着用してご利用下さいませ」
「はあ~? 何言っちゃってんの、このオヤジ。いくらなんでもキモいんですけどぉ?」
「防具と素肌の間に別の生地が入りますと、シールドビットの動作に悪影響が出るおそれが御座いますゥ。私めは防具担当として、お客様のご安全、ひいては製品の正常な動作を保証するため、正しいご利用方法を解説する義務があるので御座いますゥ」
「……まぁそれはそれとして、着てみようぜ! なっ!」
「……やだよ。なんか、お前の目つきが嫌だ」
「……ふ~む」
サイラスは考える。
クリスは本気で嫌がっている素振りだ。あまり無理強いすると、怒って帰ってしまいかねない。
こういう時は、理屈で通すのだ。
クリスもこう見えて理屈派の人間だ。なんだかんだ、感情論よりも実利のある理論を優先できる人間である。そうでなければ生き残れない。
まず正当な理由を述べ、そしてこちらも譲歩する形を取れば、この卑猥な防具を買わせるのは難しくないだろう。
さっそくサイラスは、もっともらしい事でクリスを丸め込みに入る。
「クリス、今日は何のためにここに来た? そう、お前の防具新調のためだ。まともな防具の一つは買っとかないと食費すら稼げないぜ」
「ぬぅ……」
「もう今ここで着て見せろとは言わねぇからよ。サイズ測って貰って、せめて一度はフィッティングして、良さそうなの買おうぜ」
「……はぁ、そうだな。いつかは買わなきゃならんしな……」
「そのちっこい体格じゃ、今までのような積極的に前に出る戦い方も考えものだしよ。高くてもいいから良い物買っとけ。まずは安全第一だ」
「はぁ……しゃあねえかぁ。わーったよ。おい、採寸頼むわ」
(っしゃあ!!)
サイラスは隠れてガッツポーズをした。
「はい、只今女性の店員をお呼び致しますゥ」
店員は怪しい笑みを浮かべながら引っ込んでいった。
サイラスはとある方を指さしながらクリスに語りかける。
「おい、あっちも買っとけ」
「……やっぱ?」
サイラスが指を指した先は、女物の下着だ。下着のような防具ではなく、普通の女性の下着である。
クリスは目を反らして頬をポリポリと掻く。
流石に照れくさいのだ。
「どうせ採寸するんだ。こっちもきちんとした物を選んどけ」
「え~……めんどっちぃ……どれでもいいじゃん」
「やめとけ。わからないからこそちゃんとした物を選べ」
「へーへー」
ぞんざいな返事をするクリスだが、なんだかんだそれが重要なことだと分かっている。
照れくさいので言わないが、クリスは最近悩んでいた。
乳首がシャツに擦れると少し痛いのだ。
いい加減ブラを付けるのもやぶさかではないと思っていた所だ。
それに、『美少女が、乳首がシャツに擦れて痛むことに悩んでいる』というシチュエーションを考えると変な気分になってしまう。
たとえそれが自分の事であっても。
そうこうしていると、女性の店員がやってきた。
「あら~、可愛らしいお嬢ちゃん」
「キッ!」
「見た目のことは言わないでやってくれ。気にしてるんだ。俺らこれでもこのランクの冒険者でね」
クリスは、開口一番で女児扱いした店員を睨みつけ、サイラスがすっとフォローを入れる。
今のクリスは、自分自身を可愛いと自覚しているが、他人から小娘扱いされるのは嫌(ただしサイラスは除く)という、とても面倒くさい小娘だ。
「あら~、すごいのねぇ。それでは、採寸致しますねぇ」
「ほら、いつまでも睨んでねえでよ。お姉さん、頼んます。ついでに下着を数点……いや、上下それぞれ十着ほど見繕ってやってください」
「む……よろしく頼む」
「承りました。ご希望のメーカーやデザインなどは御座いますか?」
「あーいや、もう全部任せる。あ、出来るだけ動きやすくて、露出の少ないやつで頼む」
「あーダメダメ。めっちゃ布が小さい、こういうやつを一つお願いします」
「だあー! 違えから! お前はあっち行ってろ! しっしっ!」
「ウフフ、仲良しさんね。はい、どうぞこちらへ。シャツを脱いでくださいね」
「お、おう……」