身体が女になったからって、オレは男だから!ホモじゃねーから!男とヤるとかありえねーから!ち、ちが……♡ やめ……♡ 作:ゲルパンマン♥山崎
◇ ◆ ◇
なんやかんやあって。
クリスはサイラスの前で、買った衣服を一通り着て見せることになった。
サイラスに頭を下げて頼み込まれると、どうしてもNoと言えないのだ。
上手いこと乗せられてるという自覚はある。実は結構悔しい。だがそれでもクリスは、なんだかんだ満更でもなかった。
サイラスが、喜んでくれるから。
「次はこれ着てくれ」
「セーターとホットパンツねぇ……お前ホント大丈夫か? オレが知らない所でさ、性犯罪とか犯してたりしねえよな?」
「しないしない。こんなの頼めるのお前だけだよ」
「そ、そっか。ならいいんだ」
「……」
「な、なんだよ……」
「……着てくれないのか?」
「え……う……まぁ、着てやるけど……」
「だからお前のこと好き」
「ばーか。じゃあ着替えてくっから……もう覗くなよ?」
「おう!」
「覗くなよ!?」
「おうよ!」
「……覗くなよ!!?!?」
「わかってるって!」
「……」
疑惑の視線をサイラスに向けながら、クリスは部屋へと入っていった。
「よし、覗くか」
サイラスに迷いはなかった。
「そーっと、そーっと……ウヒッ、ウヒヒヒ、ウヒッヒッヒ……」
カチャ……
バスン!
ほんの少しだけ開いたドアの隙間から、ボウガンの矢が飛び出してきた! ブービートラップだ!
放たれた矢はサイラスの頭上を掠め、頭皮の薄皮を引き裂いて、後ろの壁へと突き刺さった!
サイラスは驚きおののき、青ざめた顔で尻餅をついてしまう。
いくらサイラスと言えど、気が緩んでいる時に、この至近距離でボウガンを放たれれば避けることも防ぐことも出来ない。もちろん、刺されば無事では済まない。
「……オヒッ……オヒッ……オヒィッ」
哀れサイラスは恐怖のあまり過呼吸に陥る。
「 覗 く な っ て 言 っ た よ な ?」
バタン!
クリスは冷酷な視線をサイラスに向け、扉を閉めた。
サイラスは大人しく待つことにした。正座で。
「……ほら、着てやったぞ」
クリスは渡された服を着て出てきた。特に怒っている様子はない。
だぼだぼのセーターの大きな襟首からは鎖骨と片方の肩が露出し、長い袖と裾が両手と太ももを隠している。
「わー! かわいー!」
「……ふーん。お前こんなん好きなの」
「オヒョヒョヒョ、エッチだねぇ……」
「きんも」
「ちょっとポーズとってポーズ」
「ええ? こ、こんな感じ? こうか?」
「うーん、ポーズのセンスが十年古い……」
「てんめ、やらせておきながら……」
「……ちゃんとホットパンツ履いてる? だぼだぼセーターで見えないからって、履いてなかったりしない? ちょっと見せてみなよホラ」
「はいてるはいてる。ほら」
ぴら。
「オッホォ……!」
「何うろたえてんだよ、自分から言っといて」
「いや、不意打ちすぎて……! てっきり抵抗するもんだとばっかり……! はぁーありがたやありがたや!」
「ふぅ~ん……なるほど……」
「え、なに? 何がなるほどなの?」
「ちょっと待ってろ」
そう言ってクリスは一度別室へ引っ込み、20秒程で戻ってきた。
何かが変わった様子はない。
「……?」
「さぁ、どこが変わったでしょーか」
「んん……? 別にどこも……」
「にひひ……♡ ほんとにぃ?」
クリスはニヤニヤと笑みを浮かべながら、だぼだぼのセーターの裾をつまみ、ほんの少しだけ持ち上げる。
艶やかな太ももが現れ、もう少しでその上まで見えそう、というところでピタリと止まる。
二つの太ももが一つに重なる付け根は、だぼだぼのセーターに隠されたまま見えない。
見えそうだが、見えない。
「な……! ま、まさか……!」
わざとらしく腰を振りながら、裾をゆっくりと上げ下げする。
もちろん、その中は見えない。いや、見せない。
「えっ! ちょっ! クリス!? どどどどっち!? はいてるの!? はいてないの!?」
「さ~て、ど・ち・ら・か・なぁ?♡ にしし♡」
なんという粋な演出!
サイラスは感激した。
今までクリスが色っぽい仕草を見せたことは何度かあるが、それはあくまでも意図せず、不意にやった動作が、結果として色っぽく見えたものばかりである。
普段からして、色気とは皆無の格好と生活態度だ。サイラスがほっといたら、スルメかじりながらカップ酒飲んでてもおかしくない。それがクリスという人間である。
そんなクリスが、男を手玉にとるようなエッチな仕草をしている! それも、クリスの意思で!
なんてエッチ!
すこぶるエッチ!
これにはサイラスの股間将軍も有頂天に怒髪天!
ただ一つ残念なことに、その仕草はどうにも古臭さく……例えるなら、寂れたストリップ劇場のオバチャンがやっているかのような仕草だった。
まぁ、そのようなことはサイラスにとって些末なことだ。
「フォオオッ!」
サイラスは飛び込むようにヘッドスライディングし、クリスの足元から覗き込もうとする。
「ちょおおい! 這いつくばるなよ! プライドねえのか!」
床にべたりと顔をつけて、真下から怪しげな笑顔と視線を向けるサイラスに、クリスはセーターの裾と手を股の間に挟んでガードする。
「おほっ! その仕草かわいい! おんなのこ!」
「うっさいバカ!」
「ちょっ、蹴らないで! あ! 見え……! 見え……! 見え……ない! クッッッッッッッソァ!!!!」
「本気で悔しそうにすんなよ……なんかオレが悲しくなってくるじゃん……」
「ふぅ……ふぅ……よっこいしょ……んで、まさかとは思うけど……本当に脱いでたり……する?」
「……んん~? 実力で確かめてみたら? にひひ」
「ほう? この俺の絶技から逃れられるとでも?」
「やれるものなら?」
「……ヌウン!」
「おほっ! はずれー!」
「こしゃくな!」
クリスはひらりひらりとサイラスの魔の手を避ける。
その間もセーターの中は見せない。まさしく鉄壁。
サイラスのボルテージが上がっていく。
この瞬間は楽しい。とても楽しいが、それはそれとして辛抱たまらん。焦らされ、焦らされ、まだ焦らされ続けるサイラスの将軍様は、真っ赤になってイライラしっぱなしだ。
「ぬうおおおおおお!!」
「おぅっ!?」
「おわわわわわ!」
悪ふざけの域を超えたサイラスの一撃をクリスは避けきれず、しかし直前で冷静になったサイラスが拳を逸らせるが、変わりに身体はバランスを崩し、二人はもみ合いになって倒れてしまった。
クリスの上にサイラスがのしかかりそうになるところを、瞬時に床に手をついてクリスを下敷きにする事だけは避ける。
壁ドンの床バージョン、俗に言う『床ドン』の構図だ。
二人の視線が交差する。
お互いの息遣いが聞こえるほど、二人の顔が接近する。
セーターがめくれ上がっていた。
サイラスの視線が、クリスの下半身へと下がっていく。
「……」
サイラスの熱視線が、クリスの腰から下に集中する。
「あは……♡」
シミ一つない、きれいな肌。
見ていると撫でたくなるおへそ。
産毛しかない股間。
細く華奢ながら艶のある太もも。
クリスは、本当に、はいていなかった。
下着すらも、はいていなかった。
何も、はいていなかった。
「なはは……」
「……」
「な、なんか言えよ……」
「ヤろっか」
「うん……♡ ったく、おっせぇんだよ……いつまで待たせんだ……♡」
そう言いながら、クリスはサイラスの首に両手を回し、唇を重ねる。
「んちゅ♡ はぁ♡ ちゅる♡ れるっ♡ んちゅるっ♡」
すぐに舌が絡み合い、二人の時間が始まった。
次回、本日19時更新