※この作品はR-18です。

身体が女になったからって、オレは男だから!ホモじゃねーから!男とヤるとかありえねーから!ち、ちが……♡ やめ……♡   作:ゲルパンマン♥山崎

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 5 相棒におぶられて

 

……

 

 

 

 サイラスはクリスを背負いながら頭をひねる。

 クリスは確かに抜けているところがあるが、いくらなんでもあんなバレバレの罠にはまるような男ではなかったはずだ。

 薬についても不自然だ。

 クリスは意外にも薬草や毒物に詳しく、味に異変があったらすぐに吐き出す癖をつけている。それで助かった状況もいくつかある。

 それがなんだ、この醜態は。

 こんな状態とは言え、クリスの能力を信用しているから一人で出かけたのだが、それが間違いだったか。

 サイラスは一抹の不安を覚える。

 

「んあ?」

「お、気が付いたか」

「うえ……? さいらす? え? なんで?」

「覚えてるか? お前、酒場のバカどもに一服漏られたんだよ」

「あー……まじ? っかしいなぁ」

「しっかりしてくれよ。俺が間に合ったから良かったものの、連れ去られた後じゃあ、俺でも見つけるのは苦労するからな」

「なはは、わりいわりい。助かったぜ」

「……お前さぁ、少しは危機感持った方がいいぞ」

「あ? んだよ」

「危機感持てっつってんだよ。お前は今女なんだからよ」

「は? 女つってもオレじゃん。お前ホモになったのか?」

「ちげーよ。たとえお前でも、女なら何でもいいやつらがいんだよ。さっきのバカどもみたいな」

「はー、バカだねえ」

「……はっきり言わねえとわかんねえか。いいか? 今のお前はクッッッッッソかわいい」

「うえっ!? な、なんだよぅ、いきなり」

「いいからよく聞け。マジでめちゃくちゃ可愛らしいの、お前。だから身柄を狙われてた」

「いや待て待て。正気か? オレだぞ?」

「いやぶっちゃけ俺でも全然イケる」

「は? マジで言ってんの? ぷふーっ! えっ、なになに、もしかしてオレに惚れちゃった? ぷーっ!」

「イラッ」

「でもごめんな~、オレ、ホモじゃないからノーチャンスなんだわ。ホンットごめんな~。オレがかわいいばっかりに~」

「イライラッ」

「やっぱかわいいって罪なんだな~。相棒に変な性癖植え付けちゃって、オレも心が痛いよ。まま、その内いいことあるって。ご愁傷さま」

「……これは真面目な話だ」

「んぐっ!?」

 

 唐突にサイラスが高速で動き、背負っていたクリスを瞬く間に地面に組み伏せ、自由を奪う。

 

「どうだ? 昔のお前ならこの程度簡単に振りほどけただろうが、今は出来ないだろ? わかるか?」

「お、おい……冗談だって。ハハ、マジになんなよ……」

 

 筋肉質なサイラスが、小柄なクリスを地面に押さえつける。

 昔ならある程度は抵抗出来たが、今はまったく出来ない。

 その時、クリスの頭の中で、何かがカチリとハマった感覚がした。

 ドクン。

 心臓が跳ねる。

 何かがおかしい。

 

「本当にわかってねえのか? ハッキリ言うぞ。今のお前はザコだ」

「ッ!」

「近接戦闘だけじゃない。危機感そのものが欠如している。さっきのやつらの計画くらい、前のクリスなら見破ってたぜ」

「……」

「理解しろよ。俺達はそこそこ有名で、そんな俺達を倒して名を上げたいやつとか、ただのやっかみでイチャモンつけてくるやつらもいるんだ。そんなクソザコどもにお前がぶっ殺される姿なんか見たくねえぞ、俺は」

「……あ、ああ……その、すまん。オレが悪かった。これからは気をつける」

「ま、わかりゃいいんだよ、わかりゃ。そら、もう歩けるか?」

「あ、ああ……大丈夫だ」

 

 クリスはショックを受けた。

 信頼している相棒から、今のお前はザコだと言われるのは、思った以上にショックだった。

 

 だがそれ以上に、クリスは困惑していた。

 得体の知れない感情が、胸の内にぐるぐると渦を巻いている。

 

 心臓がドキドキと高鳴る。

 顔が熱い。自分でもわかるほどに赤面している。

 胸に何かが引っかかったように、モヤモヤする。

 

 サイラスに組み伏せられた瞬間、何かがおかしくなった。

 サイラスの顔が目前に迫り、その強靱な肉体で自由を奪われた瞬間、得体の知れない感情が胸の奥から湧き上がってきた。

 その得体の知れない感情が、鼓動を激しくし、顔を赤く染めるのだ。

 

 太くて逞しい腕。鍛え上げられた身体。今の自分とは明らかに性能の違う肉体。組み伏せられただけで、“勝てない”と理解してしまった。

 だが、違う。そんなことではない。この渦巻く感情の出どころは、そんなものではない。

 今が夜で良かったと心底思う。こんな顔を見られたくない。

 チラチラとサイラスの顔を覗く。

 見慣れたはずの友の顔が、どこか違って見えた。

 

「あ? なんださっきから。おい、気にしてんのかぁ? ハハハ、ウケる。反省はしてもらわないと困るが、済んだことをいちいち気にすんなよ」

「ちっ、ちげえわバーカ!」

 

 バシッ!

 

「って! おいやめろ地味にいてえ!」

「ばーかばーか!」

「シュシュン! はいはずれー」

「あっ! てめ! 避けんじゃねえ! てか無駄に高等スキル使ってんじゃねえ!」

「ギャハハハハ、捕まえてみーやぁ!」

「ガキかてめえ!」

「違いますぅーガキは今のクリスですぅー」

「殺す!」

「ホヒョーウ!」

 

 二人は仲良く喧嘩した。

 

 




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