ハクアがラドミラと出会った日からテュルルに向かうまでの間、彼は魔物や盗賊団を相手に戦闘を繰り返していた。
その中でハクアは自身の種族について調べると、その中で餓狼族と氷狼族には、共通の力“野生解放”という力があるらしい。
野生解放は自らの本能を解放するものであるが、誤った解放をすると、かなりの危険がある代物なのである。
「さぁて、なんたらパンジー。悪いが“実験”に付き合ってくれよ?」
そう呟いた瞬間、ハクアは
「はぁ!?は、ハクア!?」
「ど、どど、どこ行ったの!?」
「あ!あそこ!!」
エヴリンが指差した先、そこはエモラ・パンジーの真上であり、そこには拳を構えたハクアがいた。すると、ハクアは氷と雷の2つの属性を纏わせる。
「喰らえや……!“
ダアアアアアアンッ!!
凄まじい勢いで雷と氷が竜巻の如く、螺旋状にエモラ・パンジーを空中から地上に向けて広範囲を回転しながら殴り付ける。
その痛みにエモラ・パンジーは金切り声のような悲鳴を挙げた。
ギィィアアアアアアアアアアッ!!!!
「っ!?その馬鹿みたいな金切り音出せなくしてやる!“
ザバババババババババババババハッ!!
縦方向に鋭利な爪を思わせる斬撃を無数に同時に打ち下ろす。
多くの斬撃で体を切り刻まれたエモラ・パンジーは体の傷の為か、動きが鈍くなっており、それを見てタイガは止めを差すために、拳に最大限の力を込める。
「喰らえや……。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
巨大な雷と氷を合わせた狼のような姿をしたエネルギーは、真っ直ぐにエモラ・パンジーに向かっていき、その牙と爪はエモラ・パンジーの身体を容易く貫き、ボロボロの木屑へと変える。
その姿にマイア、ルー・ルー、レオナ、エヴリンは……。
「「「(゜ロ゜)。」」」
口をあんぐりと開けて呆然としていた……。
「ふぅ………。?どうしたのみんな?」
「「いやハクア、今のなに!?」」
「?何って……あぁ、俺の力だよ。鍛えてる内にあんな風になった。」
「いや普通はならないからね!?なんなの!?凄すぎるよ!?」
「いや、あれでもまだまだな方だ。」
「まだ何かあるわけ?ハクア、あんた凄いわ。「退いて!」あ、なに?」
ルー・ルーとマイアがハクアと話していると、エヴリンが前に出てハクアを見上げる。
「な、なんだ?」
「ふふんっ♪普通の獣人の男だって思ったけど……よく見たらあんた、良い魔力と体してるじゃない。……決めたわ。ハクア、あんた私のモノになりなさい♡」
「え?」
「はぁ!!?」
「「ああ"っ!?」」
◆◆◆
エヴリンのとんでも発言にマイア、ルー・ルーが驚く中、遥か北にある黒き巨城……その玉座に座る美しい黒いエルフ……ダークエルフの女王、オリガ・ディスコルディアとその妹、ミスティオラ・アーテー、その2人の騎士となったクロエとルカ。
4人はハクアの放った魔力を感じ取り、城の外を見る。
「……ミスティ、感じたか?」
「はい姉様、今の魔力……何者なのでしょうか?」
「この感覚は……ルカ。」
「間違いない。ハクアだ……!あいつも元気なようだな。」
「ハクア?クロエ達の言っていた人間か……これほどの魔力を持つ者が居ようとはな。」
楽しげに微笑むオリガ。
彼女と妹のミスティオラがクロエ、ルカと会ったのは偶然だった。
ハクアに助けられた後に一緒に旅に出たが、その道中で自分とルカの窮地を救ってくれたオリガとミスティオラの力に惹かれた2人はオリガ達の騎士となり、この時、ルカとともにクロエは彼女らに、ハクアとマイア、そして領地の事を話し、その領地には手を出さないように懇願して2人もこれを承諾している。
「クロエ、ルカ。主らの仲間は面白いな。」
「はっ。なんと言いますか……戦馬鹿ですが、まともな獣人です。」
「戦馬鹿がまともなのか?」
◆◆◆
その頃、キミア魔法師団領……そこでは感じたことのない桁違いの魔力に住人達が驚いていたが、唯1人……アストリットは違った。
「この魔力、ハクア?」
アストリットはハクア達のいる方向を見ると、何を感じたのか微笑んだ。
「私も負けてられないわね!」
そう言うとアストリットは教え子達の授業に向かうのであった……。
◆◆◆
そして、ニグラムスティア帝国。その玉座にいた女帝……ラドミラもハクアの魔力を感じ取り、微笑んだ。
「ふふっ、調子良いみたいねハクア♡ また、彼と交わるのも良いかしらね♡」
そう言うとラドミラは杯の酒を煽るのであった……。
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