※この作品はR-18です。

黒獣~氷天の剣士~   作:ボルボロックス

32 / 80
腐れイカレ神官爺には、氷の鉄鎚を。


氷狼の力

 イリスは現状に混乱していた。

 

 

 この国の神官であるレイモンドゥスが元凶で、その男が神と崇める異形に親友のセラフィーナが醜く悍ましいモノで犯されそうになり叫んだ。

 

 

 そんな中で突然城内にいた自分とセラフィーナ、そして、レイモンドゥス以外の全てが凍り付いたと思ったら、一度自分が顔を取り調べをした獣人、氷狼族のハクアがいる。

 

 

「(いったい、何がどうなっているのだ……!?)「おい、お姫さん。」っ!?な、なんだ?!」

 

 

「そこのエルフの女の人、無事だが速く助けて離れな。」

 

 

「っ!分かった、すまない!!」

 

 

 イリスはハクアに諭され、セラフィーナの下に駆け寄ると、凍り付いた触手を剣で砕いて彼女を抱えて離れる。

 

 

「セラ!セラ!!」

 

 

「はぁ、はぁ……イリ、ス……。」

 

 

「っ!?待たれよ、イリス将軍!?セラフィーナ様は渡しま『ゴオオオオオオッ!!』っ!!!?」

 

 

 レイモンドゥスは背後から感じた冷たい殺気に、止めようとした動きを止めた。

 

 

 その隙にイリスはセラフィーナを抱え、ハクアの傍を通り過ぎる。

 

 

「……今回の件、必ず相応の礼はする。」

 

 

「良いから、早く離れて。話はそれからだ。」

 

 

「あぁ、すまない……!」

 

 

 イリスはハクアに深く頭を下げると、セラフィーナを連れて離れていったが、それを見ていたレイモンドゥスは涙を流していた。

 

 

「?なに?泣いてんの?」

 

 

「これが、これが泣かずにいられましょうか……!?

あと少し、あと少しで神子が見られるという所で、セラフィーナ様を奪われ、あまつさえ……あまつさえ!!

真なる神に、この様な無礼を働くとは!!?何たる愚かで不信心な“獣(けだもの)”でしょうか!?」

 

 

「……。」

 

 

「あなたのような方には分からないでしょうが、今、この世には”真なる神“の存在が必要なのです。

世を正すために神子を授け、この穢れきった世界を清める必要があるのです!!」

 

 

「ふぅん……で?」

 

 

「は?」

 

 

 自分の意見を熱弁したレイモンドゥス。

 

 

 しかし、ハクアから帰ってきたのは、「で?」だけであった事に呆然とする。

 

 

「いや熱弁してる所を悪いんだが……あんたの言葉、上っ面ばかりで何一つ心に響かねぇんだ。」

 

 

「なっ!?わ、私の言葉が、うう、上っ面ぁ!!?」

 

 

 ハクアにそう言われ、レイモンドゥスは目を見開くが、ハクアは続ける。

 

 

「あぁ。だってお前の言葉矛盾してんだよ。

“世を正すため”?そいつは結構な事だが、そのタコが元凶だろう外に出てきた黒い奴ら。

あれの何処が世の中に必要なんだよ?

それにあんた、あのイリスって姫様にも言ってたけど、人が死んでも、それを“尊い犠牲”なんて言葉で済ます時点で矛盾してんだよ。」

 

 

「っ!だ、黙れ黙れ!!獣には解らないであろう!?

この世を正すのには、少しの犠牲も已む無しなのだ!!

それすら解らぬ畜生に、神の声を聞いた私の言葉な理解出来まい!!」

 

 

「うん、したくもないね。」

 

 

 顔を真っ赤にしてハクアを指差して罵倒するが、軽く返された事で、レイモンドゥスは更に顔を赤くして怒りに震える。

 

 

「こ、の……っ!!獣如きがあああっ!!

我が真なる神よ!!!その戒めの氷を溶き、あの不信心な獣に神罰をお与え下さい!!」

 

 

ピシッ!ピギギッ……バアアアンッ!!

 

 

 真なる神こと黒いタコの怪物は氷を砕くと、ハクアに向かって襲い掛かる為に迫っていく。

 

 

 そして触手を伸ばして、叩き潰そうとするが、その瞬間にタコの足はハクアの出した雪嶺によって一閃され、切断された。

 

 

ドオオオオンッ!!

 

 

「グギイイイイッ!!?」

 

 

「なっ!?わ、我が真なる神よぉぉぉっ!?」 

 

 

「よく見るとグロいな?

これは煮ても焼いても食え無さそうだ。」

 

 

 神(タコの足)を2本も切り落とされ、それを見たレイモンドゥスは恐れ慄くが、ハクアは興味なさげであった。

 

 

「き、きき、貴様なんたる事を!!?

真なる神の足を切り落とすなど!!!」

 

 

「いや知らねぇよ。んで、もう終わり?」

 

 

「ひっ!?か、かか、神よ!?どうかあの獣に神罰をおおっ!!」

 

 

 タコはハクアに向かって突進していき、巨大なタコ足を振り上げて襲い掛かるが、ハクアはそれを躱しながら、距離を取ると自分の前に3つの氷で出来た狼の頭を作り出す。

 

 

「氷狼の牙。行けっ!」

 

 

ゴオオオオオッ!!!

 

 

ガブッ!ガブッ!!ガブッ!!!

 

 

「〜〜っ!!?」

 

 

「なっ?!か、かか、神よおおおおっ!?」

 

 

 ハクアの放った3体の氷の狼の牙、それはタコの身体に深々と突き刺さり、今度は身体の芯まで凍結させていくと、タコは完全に動かなくなる。

 

 

 その光景を信じられないとばかり震えるレイモンドゥス、しかし、そんな彼に対してハクアはただ一瞥すると、雪嶺を鞘に納めて後ろを向く。

 

 

「な、ど、どこに行く!?」

 

 

「帰る。あんたみたいなのに割く時間が勿体ない。

あとは姫さんに処罰なりなんなりされるんだな。

俺はあんたに興味は無いし。」

 

 

「な、何だと……?!私が、裁かれる……?

この、私が……!!?」

 

 

 この後自分に訪れる結末を知ったレイモンドゥスは、震えながら自身に背を向けて歩いているハクアを見ながら、懐に隠していた短剣を取り出すと、背後からハクアを刺そうとする。

 

 

 

 

「分かった。どうやら……死にたいらしいな。」

 

 

 

 

「〜〜っ!!!?う、うわあああああああああっ!!?」

 

 

 レイモンドゥスはその時、ハクアの眼を甲高い悲鳴を挙げた。

 

 

 その後、セラフィーナを自身の部屋に避難させたイリスが部下の騎士団員を連れて、ハクアの下へと向かう。

 

 

 すると、そこには氷の牢獄に閉じ込められたレイモンドゥスと、それを見ながら立っているハクアがいた。

 

 

「ハクア殿!?これは、レイモンドゥスはどうなったのだ!?」

 

 

「これは“絶氷牢”。この氷の檻に閉じ込められた者は命を搾り取られながら、ゆっくりと死んでいく。

氷は俺が解除しない限り溶けない。」

 

 

「そうなのか……?それは、凄いな。」

 

 

「とりあえず城の氷だけ溶かしておく。」

 

 

 ハクアは城の氷を溶かすと、兵士や騎士達は驚いていたが、イリスの咳ばらいでハッとして片付けを始めた……。

 

 

 2日後、ハクアはイリスに連れられて、アウレリア王国の彼女の自室へと向かっていた。

 

 

 そこで彼に会わせたい人物がいるとのことだ。

 

 

「(会わせたい人って誰だろ?個人的には、そことなく何か……。)」

 

 

「ここだ……セラフィーナ様、件の人物を連れて参りました。入ります。」 

 

 

「えぇ。お願いします、イリス。」

「……ハクア殿。これから会う人物には失礼の無いように頼む。」

 

 

「?あぁ、分かった。」

 

 

 イリスが扉を開けると、そこには1人の“裸のハイエルフ”が立っていた。

 

 

「お初にお目にかかります。白き狼の戦士、ハクア殿。私はセラフィーナ・レナトゥス。

この度はアウレリア王国を助けてくださり、感謝いたします。」

 

 

「……。」

 

 

「?あの、どうかなさいましたか?」

 

 

「ハクア殿?」

 

 

「ぶはっ!!?」

 

 

「「なっ!?」」

 

 

 ハクアは鼻血を吹き出し、そんな彼を見てイリスとセラフィーナは戸惑ってしまう。

 

 

 ハクア、ラドミラに会って以来、2度目の出血である。(いい加減に慣れろよ。)

 

 

「(な、何でラドミラさんといい、この人といい、極端な人が多いんだ…?)」

 

 

「は、ハクア殿?どうかなさいましたか!?」

 

 

「え!?あ、い、いえ!大丈夫、です……!!」

 

 

 心配しながら近づいて来るセラフィーナに、ハクアは大丈夫と言いながら顔を背けている。

 

 

 この男、女に早く慣れればいいのに……。




コメントなど待ってます。

オリキャラ出して良いか?

  • 出す
  • 出さない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。