中身考えてたら遅くなってしまいました!
東方での出会い。
ハクアside
領地を旅立った俺は見聞を広めるのと、強くなるために旅に出て、とりあえずは誰も行ったことのない未踏の地、“東方”へと向かって旅を続けていた。
東方、そこには独自の文化が根付いており、セレヌス大陸で主神とされているラーレンティアとは違う神を奉っており、その神……カムナグラを善神として、一族の長の巫女が祈りを捧げているらしい。
らしいのだが……。
「ここ何処だよおぉぉ…!!!?」
俺は今、どことも分からない森の中で立ち往生しており、頭を抱えて座り込んだ。
行けども行けども同じ景色で、目印付けてもその場所に戻ってしまう。噂では“狐人族”という存在が結界を張っていて、東方には簡単には立ち入れないようになっているとのことだが、まさかそれでなのか?
「ヤバい……。腹が減ってきたぁ」
眩暈がする中、近くにある木に触れた時に何かを破ったのか、バリッという音がして音の方を見ると、そこだけが景色が違っていた。
手には札、そして景色の違う風景……。
それらを見た俺は、目的の国……東方を見つけたのであった。
「や、やっと見つけれた……。はぁ~、疲れたなぁ……。」ぐぅ~~!
腹の虫が鳴り、その場に寝転んでしまうが空腹で一歩も動けずにいると、そこには黒髪の少女が立っていて、こちらをじっと見据えている。しかも、何やら警戒しているようである。
「お~~い、そこの人。俺は何もしないから……。こっちに来てくれ。」
「…………あなた?だれ?狼?」
「俺はハクア。旅をしてる獣人だ。……キミは誰?」
「…………カグヤ。」
「カグヤ、か……。あのさ、カグヤ。東方に食べ物屋ってある?」
「え?」
◆◆◆
カグヤに案内されて東方に入国したハクアは早速食事処へ寄り、そこで食事を摂っていた。しかし、東方の民達はどこか恐れているようにカグヤを遠目に見ながらであったが、ハクアは食事に夢中であった。
「あぐっ!あぐっ!むぐっ!むぐっ!」
「お腹、空いてたの?」
「まぁね!3日3晩、何も食べてなくて!……ごくんっ!!それに、ここを目指して旅してたから。」
「?何で東方に?」
「ぷはぁっ!見聞を広めるためだよ。俺は今、世の中を知るために旅をしてるんだ。」
ハクアは口に入れた料理を飲み込むと、カグヤに旅の目的を伝えた。すると、話を聞いたカグヤは不思議そうかつ意外そうに頷く。
すると、数人の豪華な服を着たお年寄り達がカグヤを取り囲む。
「カグヤ様!見つけましたよ!」
「本殿に戻りましょう。」
「うん……。ハクア、さようなら。」
「あ、ちょっ!なんだあれ?」
「坊主知らないのか?あれは巫女衆のオツボネ様だよ。」
「おつぼね?なに、偉いの?あの婆さん達。」
ハクアの言葉に店主が辺りを見回すと、そっと耳打ちしてきた。
「……あのオツボネ様達は、実質的にこの国の実権を握ってんだ。さっきの子、カグヤ様のお母上様であるカグラ様が亡くなってから、急に態度が変わったんだ。……全く、カグラ様に胡麻擦ってた癖によ。」
「ふ~ん……そうなんだ。あの、カグヤって子は何処に住んでるんですか?」
「カグヤ様かい?確か本殿にいらっしゃるらしいが?」
「ありがとう!ご馳走さま!」
ハクアは会計を済ませると、食事処を出るとカグヤの気配を探すと、その場所……東方の社本殿へと向かった……。
◆◆◆
カグヤSide
私のお母様は死ぬ前に言った。
“誰か信じられる人を見つけなさい”、と……。でも、この国では誰も私の話を聞いてはくれない。
『貴女はこの国の為に生きるのです。』
叔母様達は皆が私にそう言う。誰も、私の話なんて聞いてくれないし、誰かも分からない神様の為にしか生きられないなんて……。私は……。
「おーーい……。」
「……?誰?」
外から声が聞こえて小窓の方を見ると、そこにはさっきまで一緒にいた男の子、確か……ハクアくん……彼がいた。
「なんでここに?」
「いやさっきのお礼に来たんだ。死に掛けてたから助かった!ありがとうな、カグヤ!」
「……お礼をするために来たの?」
「それもあるけど、まぁ少し話をしたくてな。何か思い詰めてる感じがしたから……話せば少しは楽になるぞ?」
「……ハクアくん。」
私は何故かは分からないけど、ハクアくんと話をしたくて話をすることにして、他愛ない話をしながら彼が“外”の事を沢山教えてくれて、自分が小さいながらも国を治めていることを聞いた。
何でもない。本当に他愛ないお話をしていただけなのに、何だかとても楽しくて、快活に笑うハクアくんに釣られて笑っていた。……こんなに笑ったのはお母様とサクラモチを食べながら過ごしていた時だけ。
そんな時だった。
「か、カグヤ、さまぁ……ああぁああああっ!!?」ガムッ!!バクッ!!グジュッグジュッ!!
「!?」
「……お客さんか。」
叔母の一人がボロボロになって床を這いつくばって入ってきたのを見て、私は驚いたがそんな中、叔母は後ろに思いきり引きずられて行った後に骨が砕けて、肉を食べる音が響いたと思うと、扉を開けて入ってきたのは……昔ここに暮らしながらも、外法に手を出して社を追い出された包帯を巻いた男性“シャムハザ”が入ってきた。
「懐かしいな、カグヤ。」
「あなたが何故ここに……。東方には入れない筈なのに……!?」
「やり様は幾らでもある。入り口さえ抉じ開ければ何とでもな……ん?」
シャムハザはハクアくんに視線を移して一瞥する。しかし少し見ただけで興味を無くしたのか、私の方を見ると手を伸ばしてきた。
「カグヤ、お前には俺の創るカミの為に身を捧げてもらう。さぁ、共に来い……。」
「い、嫌です!私は行かない……!」
「断るのならば、お前の亡骸を使うまでだ……。役に立たずに死んだ、お前の母のようにな。」
「え……!?それはどういう……!?まさか……あなたが!?」
「そんな事はどうでも良い。共に「おい。」!?」
シャムハザが私に手を伸ばしてきた時、その手をハクアくんが掴んで止め、シャムハザを横目で睨み付けていた。
「なんのつもりだ、小僧。」
◆◆◆
「なんのつもりだ、小僧。」
「あのさ、あんまりしつこいのもどうかと思うぜ?嫌だって言ってるんだから、早く消えなよ。」
「ガキは黙ってろ。お前こそ消え『パキッ!』!?」
「手を引っ込めろ。引っ込めないなら砕くぞ?つうか、こっちはお前の身勝手な言い分に半分キレてんだ。何?亡骸を使うまで?役に立たずに死んだ?……舐めた口利くなよ。」
「くっ!!?」
シャムハザの言動に怒りを覚えていたハクアはシャムハザの腕を凍らせていき、ミシミシッと腕から嫌な音が鳴る中、シャムハザは彼の手を振り払い、後ろに下がる。
「……小僧の分際で口出しするとは。それに貴様は、よく見れば餓狼の男か?良いだろう、邪魔するのなら貴様を消すまでだ!」
シャムハザは懐から水晶を取り出すと、紫の赤ん坊の頭をした虫のような怪物を数体産み出す。それを見たハクアは頷いた。
「蟲使いか。」
「貴様など蟲の餌だ……殺れ。」
「駄目ーーーーー!!!」
蟲達がハクアに向かって飛び掛かり、カグヤがハクアの身を案じて手を伸ばすが、ハクアは左手を前に出すと慌てること無く、力を発動する。
「吹っ飛べ、“神羅冥征”。」
「っ!!?ぐああああああっっ!!」
ハクアの神羅冥征により、蟲達もシャムハザも大きく吹き飛んでいき、ハクアの力を見たカグヤは驚いて瞬きをする。
「す、凄い……。ハクアくん、今のは……?」
「ん?あぁ、あれが俺の力だ。……少し待っててくれ。あいつ、やっつけてくる!」
ハクアはそう言うとカグヤにニカッと笑い、シャムハザへと向かっていくと剣を抜く。すると、そこには神羅冥征で負傷したのか片腕を押さえるシャムハザがいた。
「貴様……!」
「まだ生きてんだ?まぁあれじゃ殺られないか。」
「ナメるな!!!ここで殺し「喚く前に殺るもんだぜ?おっさん。」なっ!?ほざけ!?」
挑発に怒ったシャムハザが無数の蟲をハクアに放つが、ハクアは魔法を放つ。
「
ザンッ!!!パキパキッ!ズバアァァァァンッ!
低温の冷気を纏った刃が無数に放って蟲を切り裂き、更にその刃はシャムハザをも切り裂いていく。
粉微塵に切り裂かれたシャムハザはバラバラに倒され、騒ぎを聞き、その様子を見ていた東方の民達は口をあんぐりと開けていたのであった……。
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