コハク率いる狐人族のくノ一達とレオナ率いる餓狼族の白狼傭兵団がカグヤから承けた依頼。
それはこの東方に棲むと言われる頭が八つある怪物、“オロチ”の討伐であった。
“オロチ”とは東方の森林、その中に流れる川に棲息している巨大な大蛇であり、人々から恐れられているのだが、ただの大蛇ではなく、オロチは“妖術”を使うのだ。
オロチは人に、それも女子供に化け、餌となる人間を川辺まで誘うと、誘われてしまった者達を絞め殺してから貪り喰うのである。
さらには狡猾なことに罠を巡らせ、オロチは幻覚も使うために倒そうとした勇士達は無残な姿となった……。
☆◆◇
大妖蛇オロチを討伐するために、カグヤは己の母の友人であった“狐人族”に依頼を頼んだのだが、それを快く思わないオツボネ達は、あろう事か“餓狼族”の傭兵団である白狼傭兵団に依頼をした。
狐人族と餓狼族、この2つの種族は同じ獣人族でありながら、互いに反りが合わず、以前に餓狼族の中で“狐人族の女性を凌辱した者達”がいたのだ。
その者達はレオナの父から族を追い出されたが、そこから両種族の溝はさらに深まってしまい、時折小さな諍いが起こってしまう程であるが、大きな喧嘩には至っていないが互いに良好な関係……とは言えなかった。
そんな中に加わったハクアは割り当てられた場所にて待機しており、命令があるまで待機と言われていたが、ハクアは嫌な胸騒ぎがしていた……。
「……悪い、ここを頼む!」
「あ!お、おい!どこ行くんだ!?」
ハクアはレオナとコハクが向かったとされる、オロチの棲む森へと走って向かったのであった……。
◆◆◆
その頃、レオナとコハクは少数の仲間達を連れてオロチの棲む森の中を進んでいた。
森の中は静かで、それに加えて不気味な雰囲気が漂っており、レオナとコハクは辺りを警戒しながら見回っている。
「しっかし不気味だな?こんな所にオロチとかいうのはいるわけ?」
「間違いない。この森の中で8つの頭を持つ大蛇を見たと、実際に見た民が言っていたからな。」
「オロチ、ねぇ。んで?その……あ?」
その時、レオナは後ろを振り返って、とある違和感を覚えた。
「あのさ、さっきまであたしらの後ろ……10人くらいは居たよね?今居ないんだけど?」
「なにっ!?……本当じゃ、皆!何処へ行った!?誰か居らぬのか!?」
「おい!ふざけたことするなっての!早く」
その時、レオナとコハクは上から人の気配を感じて上を見ると、そこには8つの頭を持つ大蛇、オロチが仲間達を貪り喰っているところであり、その姿に2人は震えたが、そんな2人を見てオロチは咆哮を挙げた。
「ジュワアアアアアアアアアッ!!!!」
「ちぃっ!!この化け物がぁぁ!!!」
「はぁ!!!!」
「ジュワアアアアアアアアアッ!!!!」
「「がはっ!!?」」
レオナが大剣を、コハクが苦無をオロチに投げて応戦するが、オロチは縦横無尽に動いて攻撃を避けると頭で2人を地面に叩きつける。
「くそっ……!この、化け物がっ!!?『ドゴォォッ!!』がはっ!!?」
「レオナ!?しまっ!!?」
レオナはオロチを斬ろうとしたが、そこにはオロチはおらず横から振られたオロチの尾に叩きつけられて吹き飛び、コハクもオロチの縦横無尽な攻撃に圧されて、苦しそうに歯軋りをする。
そのあまりの巨体と、先程見せた相手を欺ける幻覚。そして、その巨大な尾の一撃……確かにオロチは怪物の名に相応しかった。
そして、オロチがコハクを喰らおうと大口を開けて迫ったその時だった。
「
「ジュワアアアアアアアアアッ!!!!?」
オロチに向かって、巨大な氷の槍と落雷が降り注ぎ、さらにハクアとそれぞれの仲間達が現れる。
「っ!?ハクア!?それにお前達も!?」
「すまない!悪いが割り込ませてもらうぞ!みんなはコハク達を安全な所へ!!俺が奴を引き付ける!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」
ハクアは連れてきた狐人族と餓狼族の兵士達に指示すると、自身はオロチへと雪嶺を構えて向かっていく。
その姿を見てレオナが苦しそうに呟く。
「む、無茶、だ。いくら
「それよりも、何故あの者はここに!?山の入り口の警備をしていたのでは!?」
「……あのハクアという者は、我々狐人族と餓狼族。互いに手を取り合って力を貸して欲しいと頭を下げて言ってきたのです。初めは理解できませんでした。しかし、オロチの討伐には私達の両種族の力がいると……。」
コハクは自身の部下であるオリベから話を聞いて驚き、レオナも頭を抱えてため息を吐く。
関係ない人間の男が、自分達の間をわざわざ繋ぐために頭を下げる……聞けば馬鹿馬鹿しい事この上無いが、それがどれだけ大変なことなのかは理解出来る。
そんなハクアにコハクとレオナは、ある
「「(馬鹿みたいに正面しか見てないんだな。)」」
……と、そんな思いを抱いたが、不思議と嫌悪感などは無く、寧ろ好感が持てた。
「なぁ、狐の姉ちゃん?」
「何じゃ、狼女。」
「ここは1つ、仲良くやらないか?
あいつ1人に良いとこ持ってかせるのも癪だし。」
「……良いだろう。じゃが、足を引っ張るなよ?」
「はっ!あんたがなぁ!!」
レオナとコハクはそれぞれの得物を手にして駆け出したのであった……。
◆◆◆
ガギィィンッ!!
オロチの首を3つほど切り落としたハクアであったが、オロチはタイガの動きを学習したのか、他の首や真ん中の首が落とされそうになると、牙で防ぐようになったのだ。
「ちぃっ!この化け蛇が!」
「ジュワアアアアアアアアアッ!!!!」
「はぁぁぁっ!!!」ズバンッ!!!
「はぁっ!!」ザザザッ!
「ジャアアアアアアアアアッ!!!!?」
オロチの首2つをレオナが切り落とし、1つをコハクが苦無で倒し、2人はハクアの近くに着地する。
「っ!?レオナさん!?コハクさん!?」
「何やってんだい?しゃんとしな!」
「皆で共に奴を討つぞ!」
「あぁ!よろしく頼むぜ!!お2人さん!!」
レオナとコハクにそう言うと、ハクアは雪嶺を持って立ち上がり、オロチに向かって駆けていく。
オロチは彼らを飲み込もうとするが、レオナの大剣による一撃に7つ目の首も落とされ、最後の首はまるで狂気乱舞のごとく暴れる。
それをくノ一達が止めにかかり、その首をタイガ、コハク、レオナが叩き落としたのであった。
「お前ら!!勝鬨を挙げろ!!あたしらの勝利だ!!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」
レオナの叫びに、餓狼族、狐人族は揃って雄叫びを挙げてコハク、ハクアも笑みを浮かべるのであった。
その後、東方に戻ったハクア達は宴を行い、夜遅くまで騒いだ後、ハクアはコハク達から次の目的地となる場所を聞いていた。
「キミア?」
「あぁ、何でも魔術や魔法に関しては、様々な学を得られる場所らしい。良ければそこへ行ってみると良い。」
「キミアか、中々面白そうだな!ありがとうな、コハクさん!」
「ふふっ、良い。それなりの「な~に硬っ苦しい会話してんらよ~!」な!?れ、レオナ!?」
「ほら、呑むろ~~!あははっ!東方の酒は旨ぇ~~!」
「や、やめんか!狼女!はしたない!!」
楽しげにじゃれあっているコハクとレオナを見て、ハクアとカグヤ、そして、コハクの弟のメノウは笑うのであった。
その夜、皆が寝静まった頃。ハクアはマイア、クロエ、ルカに手紙を出し、夜明けと共にキミアことキミア魔法師団領へと向かうのであった……。
遅くなって申し訳ありません。
次回も遅くなります。
なるべく早く書く。
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