急に書いてみたくなったので、書いてみることにしました。
元の作品ほど展開を作り込んでいないため、行き当たりばったりなところもありますがよろしくお願いします。完全に独立したものなので、特に影響し合うようなことはありません。あちらだけ読んでいただいて、こちらを読まなくても全く問題ありません。
月一程度の不定期更新になるかと思います。
また、一応オチは決めています。特別試験などの描写はほとんどスキップするので、さほど長い作品にはならないかもしれません。
ちなみにR-18展開があるので、ご注意いただけたらと思います。
桜舞う季節。俺はバスに揺られながら、微睡んでいた。
高度育成高等学校。つい噛みそうな名前のついたこの学校は、今日から俺が通う……否、生活することになった場所である。
俺の隣には誰も座っていない。そのことにまだ違和感を覚える程度には、あの少女とは長い付き合いがあった。
しかし、もはや関係のないこと。俺は捨てられたのだから……
あいつは壊れたおもちゃを廃棄するかの如く、俺という存在を排除した。最後の最後まで、お礼の言葉は一つもなかった。きっと、俺はあいつにとって踏み台でしかなかったのだろう。努力は報われないとはよく聞く言葉だが、本当のことであると実感した。
まあいい。そもそも、俺と縁を切る選択自体は間違ってはいないのだ。常に最善の行動をとる天才少女……あいつをそう認めていたからこそ、俺はそれを抵抗なく受け入れることができた。
さて、平凡で何の取り柄もない俺が、なぜここにいるのだろうか。その理由は、父親にある。
『半年だ。最低半年間、高度育成高等学校に通ってくれ。その後は退学しようが何をしようが、必ず面倒を見てやる』
『俺は普通の高校に行きたいのだが』
『わかっている。だが、今回だけは父の顔を立てると思ってどうか聞き入れてほしい。あのガキが晴翔を切ったこと。それは、俺に対する最大級の侮辱だ。大事な息子を傷つけた人間を見過ごしてやるほど、俺は優しくない』
『……俺があの学校に行けば、親父の溜飲が下がるのか?』
『ああ、お前は好き放題やってくれて構わないし、面倒なら教室に顔を出すだけでもいい。きっと、退学までには面白いものが見られるはずだ』
その話を聞いて、俺は半年間この学校へ通うことにした。父が言う「面白いもの」とは何なのか、興味があったからだ。
あいつから決別の言葉を受けた時、俺の両親はショックを受けた俺に対して精一杯の行動を取ってくれた。母は俺の身体を抱きしめて、父はあいつに対する怒りを示した。二人が思うほど、俺は傷ついてはいなかったのだが……とても嬉しかったのは事実だ。そのことについての感謝の気持ちは、これからも忘れずにいたいと思う。
だが、俺にはもう「優しさ」は必要ない。あくまでも自分勝手に、自分のやりたいようにやるだけだ。それが結果的に誰かを不幸にするとしても、関係ない。
俺が守りたいと思う人は……両親しかいない。その人たちから切り離された環境で、遠慮することなど何もない。気の赴くまま、好きにさせてもらう。
学校へと到着した。俺はすっくと立ち上がり、軽やかな足取りでバスを降りた。
……俺は世界の異物。そう認識できるのは、俺自身だけ。
この学園に立ち入ってしまった以上、確実に物語の流れに影響を与えてしまうだろう。
だから何だというのだ。半年で退学する人間が、そんなことを気にする必要はない。それに、この学校は俺の父の「テリトリー」だ。俺がこの学校にいることを望まれている以上、ある程度のことは揉み消してもらえるだろう。せっかくならやりたい放題、好き放題してやる。
今までの人生は、あいつに振り回されてばかりだった。これからは、俺の生きたいように生きると決めたんだ。自分で自分を縛るのは、もうおしまいだ。
逆に言うと、その点においては捨ててくれたことに感謝している。俺の人生をあんな奴に捧げなくて済んだ。前世で得られなかったものを、これから得られるかもしれない。
気分良く、俺は玄関までの道を歩いた。
校舎の前に来た。貼ってあるクラス割を見ると、Dクラスに俺の名前がある。
この学校を卒業するわけではないので、そこに興味はない。
靴を履き替えた時、見たくないものを見てしまった。
銀髪の少女は、かつて俺が仕えた「お姫様」であった。
「……」
俺は心の中で舌打ちをして、目をそらした。
ここに来る上で最も嫌だったのは、あいつと出くわす可能性があることだった。早速それが的中してしまったことになる。
長年にわたってあいつを支え続けたのは、俺の意思だ。
幼少の頃より、できる限りの手を尽くしてきた。
実はかなり前から、使い捨ての道具と思われている自覚もあった。
それでも、最後まで俺の方から離れるようなことはしなかった。
だから、捨てると決めたのなら二度と関わらないでほしい。
あいつは俺との縁を切ることで、新たなる一歩を踏み出した。ならば、俺にだって違う道を歩む権利があるはずだ。他人となったあいつが俺に何をしてくるかと、ビクビクするような生活はまっぴら御免である。
やはり、ここにいるのは半年限りだ。それ以降は、普通の高校で普通に学校生活を送りたい。
そう決意を強めて、俺は教室へと向かった。
「あっ……」
その女の身体に無数の傷ができていたことは、知る由もなかった。
入学式はずっと寝ていた。
担任の茶柱の話も、直接生活に関わる部分以外は聞いていない。その後自己紹介のようなイベントが始まったが、無視して帰ることにした。
無駄な時間を過ごすぐらいなら、家で読書でもしている方がマシだ。
それに、どうせ半年限りだと思うと友達を作る気にもならない。この学校の生徒が敷地外に出られないことは知っている。つまり、誰かと仲良くなったところで退学後二年半は会えなくなる。そうなれば当然疎遠になるだろうし、卒業してから仲良くできるイメージが湧かない。
だからこそ、こういう「遊び」もできるのだ。
深夜、俺は意味もなくコンビニにいた。そこで偶然出会ったのは、櫛田桔梗という女子生徒。同じDクラスになった、ぶりっ子女子である。早速クラス内で人気を集めているようだが、俺はこの少女が抱えている闇を知っている。
誰もいない路地で、俺は口を開いた。
「お前、裏があるよな」
「ええー、どうしたの突然。ていうかあなたは、確か同じクラスの」
「仮面に興味はない。中学時代に何があったかも知ってる。そして、おそらくお前は今そこの公園で、今日受けたストレス……堀北鈴音に対する憎悪を、暴言に乗せて撒き散らしていた。これ以上の説明が必要か?」
「……さいあく」
その直後、いきなり胸を触らされた。
しかし俺は一切動じることなく、こう言い放った。
「ああ、レイプされそうになったって言いふらしてもいいよ。どうせ俺は半年で退学するから、悪い噂が立ったところで大したことはない」
「あんた、本当に最低……」
最低か。まあ、きっと合っているのだろう。
「まあなんでもいい。周りに黙っていてほしいなら、俺についてこい」
楽しくないであろう学校生活を、少しでも楽しくすること。そのためにどうすればいいか考えてみたが、ずっと一人でいてはすぐに退屈を感じてしまうだろうと思った。
そこで、わかりやすい弱点のある櫛田を揺さぶってみることにした。
必ずしも彼女である理由はない。これは単なる思いつきだ。先の予定なんて立ててないし、何か企んでるわけでもない。何となくやってみようと思ったから、動いただけだ。
「それか、実際にレイプしてやろうか?」
「ひっ」
手首を強い力で握りしめると、櫛田は怯えた。こんなクソみたいな脅しでも効くあたり、思ったよりメンタルは弱いみたいだ。口が悪いだけで、根は優しいのかもしれない。
少なくとも、あいつよりは確実に弱い相手だ。何かやりたいことがあるわけでもないし、雑魚仲間として仮初の関係を構築してみようか。退学までの暇潰し程度にはなるだろう。
俺は櫛田の手を引いて、今日与えられたばかりの部屋へと連れ込んだ。
……このタイミングで急に優しくしてみたら、どうなるんだろう?
面白そうだし、あとでやってみようかな。
退屈をしのぐこと。守るべきものを失った俺は、それだけを考えて行動する。
周りに及ぼす影響など、知ったことではないのだ。
こんな駄文をここまで読んでくれてありがとうございます。