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いつも優しくて
いつもどんな時も味方でいてくれて
いつも向けられる眼差しは暖かくて
ずっと、ずーーっと昔から大好きだった
ねぇ、目の前にいるこの男は
一体誰なの―――
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「……ッ…う…」
ズキズキと頭が痛む。
微かに瞼を持ち上げると酷く目眩が起きれば、あまりの不快感に吐き気さえ感じる。
「((……私……何があったんだっけ……
…エリアストレスの対処をして…
戻ろうとしたら…ノブ…))」
先程起こった事がフラッシュバックするように一気に駆け巡ると、舞白は体を起こそうと力を入れる。
「!?」
ジャリジャリと鉄の鈍い音が聞こえると同時に、左手首と自分の首に冷たい感触を覚えれば、目を細めて状況を確認する。
モヤがかかっていた視界が徐々に鮮明に映るようになると、舞白は自分の状況に目を見開く。
白いシャツに、スーツスカート。
監視官ジャケットとスーツジャケットは傍らの床に投げられていた。
左手首は鎖に繋がれ、細い華奢な首には赤い首輪、そしてそれも鎖に繋がれていた。右腕の義手は破壊されたままで、感覚もない。
ゆっくりと上半身を起こし、自分がベッドの上に居ることが分かれば、薄暗い室内に目を向ける。
微かに寒さを感じる、そしてよく耳を澄ませれば聞こえてくる波の音。奥には階段もあり、ここはおそらく1階ではなく2階だろうか。
そして顔を右に向けると、写真立てが目に入る―――
「…征陸さんと…ノブ兄…」
若き頃の征陸と幼い宜野座が笑いあっている姿の写真。
そしてその近くのテーブルには―――
「本物の銃…?」
何丁か置かれている小型の銃火器が目に入る。
「((もしかして、この場所は…
征陸さんのセーフハウス…))」
兄から聞いたことがあった。
征陸さんは都内にいくつかのセーフハウスを持っているとか。
6年前に、兄が槙島を追う為に使ったセーフハウスがあると、過去に聞かされていたのだ。
その場所は安易に人が近づくような場所にはなく、サイマティックスキャンも数少ない場所にあるとか―――
辺りを観察していると、微かに足音が聞こえる。
目の前の階段から誰かが姿を現すと、舞白はじっと見据えていた。
「…舞白」
その声は、紛れもなく宜野座の声だった。
目の前に現れた宜野座は、いつも通りの、普通の様子。
舞白と同じくスーツ姿でジャケットは脱いでおり、漆黒の髪の毛は解かれており、サラサラと揺れていた。
しかし、おかしすぎる
この状況が異常すぎる―――
明らかに怪我をした舞白に首輪をつけ、唯一脚は自由なものの、左手は拘束され、何も抵抗などできない。
目の前のこの男は
自分を殴り、頭を目掛けてドミネーターを殴り当てた人物だ。
「……ねえ……これ、解いてよ?」
ベッドの傍らに立つ宜野座を見上げ、鎖を解くようにと声をかける。
「それに頭も痛くて…、ねえ…ノブ兄…?」
宜野座は言葉を発すことなく、ベッドへと腰かけると舞白の頬に触れる。重なる瞳、聞こえてくる呼吸音。
それは以前の宜野座の面影はどこにも見当たらない。
本当に"潜在犯"そのものだった―――
「どうしちゃったの?…じょ、…冗談きついよ本当に。……それに早く戻らないと、皆心配してるよ」
「…………」
頬、唇、目元、額―――
宜野座の大きく、ゴツゴツとした男性らしいその手が顔を厭らしく撫で回していた。
「ねえ…ねえったら…ノブ兄…」
「…………」
「……いい加減反応してよ…
…ねぇ!?宜野座執行―――」
"宜野座執行官"といつもの張った声で呼びかけようとした瞬間、とてつもない力でベッドに押し倒されれば、舞白の上に馬乗りになると、両手を細い首にかける。
首を掴むその両手は次第に力が込められ、舞白の呼吸を止めるように気道を塞いでいく。
「ぁぁぁあッ……」
酸素を取り込めない状況に、舞白の顔が歪んでいく。視界に映る男の顔は"狂っていた"。まるで楽しむような、満足気な、征服感を味わっているような表情にゾッと背すじが凍りつく―――
「お前と離れるくらいなら―――」
グググッとさらに力が込められていく。
「お前が、誰かの手に渡る事が怖い。俺じゃない誰かが、お前と瞳を交じ合わせ、唇を重ね、体を重ね、愛を囁き、―――」
「…ぅ……は……ぁ…」
脚をバタバタと動かし抵抗するも、流石に相手の体格差には敵わない。
「だったらいっそ…この手で全部壊して、俺のものに…」
「…ッ………っ!」
段々と耳が遠くなっていく。
視界に白いモヤがかかり、意識が遠のいていく。
「苦しみも、全て俺が味合わせるんだ―――」
その瞬間、パッと手が離されると思いっきり酸素を吸い込む舞白。同時に激しく咳き込み、口の端からは涎がダラダラと垂れ落ちる。
「ゲホッゲホッ!!…ゴホッ…」
首を絞められたせいか、目からは無意識に涙がポロポロと溢れ、ベッドのシーツを濡らしている。白く細い首は真っ赤に染まり、手の型が残るほど強く絞められていたのが分かる。
「はぁ…はぁ……舞白…、舞白…」
宜野座はそのまま舞白のスカートへ手をかけると右手を下着へと忍ばせる。足と足の間に自身の右足をかませば、舞白の顔へと自身の顔を近づけ、哀し気な表情で見つめていた。
「舞白…」
ツプ…、と舞白の密壺に男の細く長いゴツゴツとした指が差し込まれると、舞白はビクッと体を揺らす。
この行為が初めてでは無い、しかしいつもとは違う恐怖心に駆られた舞白はいつもと違う反応を見せていた。
「舞白、…舞白…」
「…ぁ……あぁ…あッ…」
怖くて、やめて欲しいのに、その行為に体は反応してしまう。更に指が2本、3本と増やされると、徐々に恐怖は快楽へと変わっていき、舞白の口からは甘い艶のある声が更に漏れていく。
グチャッ…ぬちゃっ…
厭らしい水音が部屋中に響く。
それと舞白の声が合わされば、男の興奮が高まっていく―――
「ふぁっ…あぁ!…はぁあん……あ……ッ」
「舞白……」
「…やめ……やめて……あぁっ…」
「……まし、ろ……はぁ…」
その瞬間、舞白は思いっきり宜野座を蹴り飛ばす。
微かに生じた隙を狙った舞白、体を飛ばされた宜野座は呆気に取られた様子で、ボーッと動かない。
「…ッ…ぐ………」
「((逃げないと…、ここから逃げて、助けを―――))」
左手首がちぎれるのではないか、というくらい強く引っ張る。真っ赤に鬱血していく手。痛みなどどうでもいい、とにかくここから逃げなければ。
「ッ……ぅーーっ……!」
無我夢中で引っ張ると、左手首から鎖が抜け、なんとか左手は自由に。残すは首輪と繋がれた鎖。幸いにも、宜野座は床に座り、動く気配がない。
ガチャガチャと首輪を引っ張る。どうやらベッドの鉄格子に繋がっている鎖。流石にそれを外すことは難しいと判断すれば、革製の首輪をなんとか外せないか、ゴソゴソと触れる。
「((お願い…外れて……ッ…外れてよ!!))」
片手だと全く埒が明かない。手首のように外すことはできる訳もなく、ただ気持ちだけが焦っていく。
「……そうやって…俺から逃げるのか…?」
漆黒の長い髪の隙間から、宜野座の鋭い瞳が見える。
「ッ……!…」
無我夢中で首輪を引っ張る。
「…ダメだ……お前は…俺のものなんだ。」
項垂れていた男は、のっそりと立ち上がると傍らのテーブルに乗せられていたある物を手に取る。
"それ"を手に取った男、舞白はそれに気がつくと動きを止め、体を震わせる。
「…待って……待って!…ノブ兄!!」
「傷つけることができるのも…俺だけなんだ―――」
手に持っていた"それ"は、部屋の明かりに反射すると、キラッと光を放つ。しかし、鋭く尖ったそれは舞白の恐怖心を更に高まらせる危険な物。
刃渡り10cmほどのナイフ。
鋭く尖った刀身の切れ味は、おそらく相当のものだろう。
ゆっくりと近づく男
それに反応する舞白は体を後退させ、恐怖に脅えていた。
「……やめて……お願い……」
「…こうでもしないと、お前は逃げるだろう?」
舞白の左足に触れ、足首に唇を当てる。
ここでもし、再び抵抗したとしても逃げられない、大人しく反抗しないのが得策だろう。
「逃げないッ!逃げないから……」
「………」
足首を食むように唇を当て、じっと瞳を見据える男。
そして右手に握られているナイフをゆっくりと持ち上げる。
「…ッ…ノブ兄……怖いよ……やめてよ!」
「逃げようとしたお前が悪い」
刹那、ナイフの刀身が舞白の足首を思いっきり引き裂く。狙いは足の腱。切られてしまえば、もう歩くことさえできないのは確実だった。
熱を帯びたような、激痛が脚から伝わると、舞白は声にならない悲鳴をあげる。
「……ッ…―――!!!!!!!」
ボタボタと右足首から血液が垂れ落ちる。
そして容赦なく左足首にも容赦なくナイフを当てると、引き裂いていく―――
「ぅぁああぁあああぁあああっ!!!」
「…痛いのか?」
今まで、これ以上の痛みを味わってきた舞白。
焼印が肌を溶かす痛み、腹を貫かれる痛み、太ももにナイフを突き立てられる痛み……他にも何度も経験してきた。
しかし、この痛みは今までで一番辛く、痛みも比べ物にならない。
だって、大好きな相手に…突きつけられた痛みなのだから―――
「…ふ……はっ……ふーー…」
痛みを堪える為にゆっくりと深呼吸をする。
足に感覚が無くなっていくと、ついに戦意消失してしまう。
「……舞白…
…俺はお前を愛してる」
「…………」
「舞白…舞白、舞白」
ナイフを床へと投げ捨て、再び舞白の上へと伸し掛る。無表情で自分の名前を呼ぶ男。大好きな人なのに、大好きな…大好きな瞳なのに…
「……舞白、舞白…
舞白舞白舞白舞白舞白舞白舞白―――」
ビリッとシャツを破かれると、ボタンがあちらこちらに散乱する。
既に、舞白から表情は消えていた。
ただ、涙だけが零れ、悲しい瞳で宜野座を見上げる―――
「戻ってきてよ―――」
「―――ねぇ、ノブ兄…」
「俺はここに居るじゃないか…?」
男はシャツを脱ぎ捨て、パンツのベルトを緩める。シャツから覗くその肉体は逞しく、もはや力では敵わないことに気づく。
ただただ、哀しい瞳で見上げる。
「…居ないよ……違う人だよ……
…私の目の前の人は……違う人だよ!」
「………」
溢れる涙が止まらない。
こんなの…違う……あのノブ兄なんかじゃない…
「……この…瞳が…」
一瞬、宜野座が現れる。
自分の瞳を見つめるその瞳
愛おしい……その瞳の持ち主…
「俺を映さないなら、要らないんだ」
男の左手が視界に映ると、それは近づいてくる。
瞳に、自分の瞳に、義手の左手の指が―――
「ぎゃあぁああああぁああああぁ!!!!!」
右目が熱い、熱くて熱くてたまらない。
何が起こったのかが理解できない。
グチュグチュ…と聞いた事のないような音が体を通して聞こえてくる。
男の左指が舞白の右目に突っ込まれると、眼球を引き抜かれていた。左目で唯一確認できたのは、男の指に摘まれていた丸いもの。
それがまさか自分の眼球だとは想像もできない。
「痛い……痛いッ…」
「…はぁ……はははっ……
俺の声だけ…聞いていればいいんだ、舞白…」
グッと顔が近づくと、男は妖しげに笑っていた。
「この声…好きだよな…?お前の大好きな……俺の声…」
耳元に顔を近づけられ、あの声が脳内にずっと響く。
そしてカチャカチャとベルトを外す音が聞こえると、硬い男のものが当たる。履いていたストッキングが破かれれば、下着の隙間から男のものが自分の中へと押し込まれるように挿入されていく。
「……ぅ……う……」
いつもよりも受け入れるのに時間がかかる舞白の密壺。しかし、快楽へ変わるのは時間の問題だった。
耳元で宜野座のいつもの甘い声が囁かれると、それは麻酔のように、痛みが和らいでいくのだ。
こんな酷い状況なのに、体は正直に反応する。そんな自分に悪意さえ覚えてしまう―――
男の…彼の……宜野座の体温は心地良い。不覚にも、この状況にハマっていく自分。薬物のように、何かに洗脳されるように、この狂った状況をだんだんと受け入れていく自分の姿がそこにはあった。
「…はぁ…あー…ぁ…ああっ…のぶ……にッ」
突かれる事に甘美な声が漏れてしまう。激しく突かれる度にまた堕ちていく―――
真っ赤に染まったシーツ、その上で狂ったように交わる2人の姿。
「((…あぁ……もう、どうでもいい―――))」
「((彼のものになれるなら…彼に殺されるなら…))」
「((それは本望―――でしょ?舞白…))」
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