うん、ここで口をきくのは久しぶりだね。すまない。でも、分かってくれたまえ。いくら「リコリス・リコイル」の世界にいるとは言え、向こうの吾輩を見ていると、どうにも恥ずかしくてね。特定の女の子に夢中になっちゃって、まあ。
そんな話も、ひとまず最後だ。吾輩に心を委ね、千束ちゃん・たきな君との催眠ハーレムを楽しんで欲しい。
さあ、この指を見て……。
[季節:夏]
[天気:晴れ]
[時間:午前]
[登場人物:催眠おじさん 千束 たきな]
[場所:千束のセーフハウス]
千束ちゃんが住むセーフハウスのリビングに、朝の光が差し込んでいた。大型のテレビがニュースを映し出している。世間は今日も「平和で安全」なようだ。
「ふんふ~ん♪」
パジャマ姿の千束ちゃんが、キッチンでコーヒーを淹れてくれていた。芳醇な香りを豆から引き出しながら、食卓に座る吾輩たちに明るく話しかけてくる。
「たきなさあ」
「はい」
「ちょっとお疲れモードでしょ」
「疲れてません」
「嘘つけぇー。わかるんだぞぉー?」
千束ちゃんはコーヒーマグを食卓に並べながら、たきな君の顔を無遠慮に覗き込む。二つ結びにした髪をぴょこぴょこと揺らしながら、いたずらっぽい目でたきな君を見つめる。
「一晩中エッチしてた顔だもん」
「してません」
「ぁ~、図星だぁ~♪」
「図星じゃないです」
「デート、上手くいったんだ」
「まあ」
「わたしのおかげだね、えっへん」
たっぷりしたバストの下で腕を組みながら、千束ちゃんは胸を張る。
自信たっぷりの声だ。学校の先生か、あるいは子供をあしらう親のような。
しかし、たきな君は淡々と返す。
「そうですかね」
「え、なになに? たきなクン、どったの?」
たきな君は一瞬深呼吸すると、千束ちゃんの方へ体を向けた。
夏用の制服姿で穏やかな表情を保ち、決意のようなものを真っ直ぐな瞳にたたえている。そして、まっすぐ千束ちゃんの目を見つめていた。
「
「うえっ?」
静かに言い放たれ、千束ちゃんは驚いた顔をした。
「いや、おじさんだって……」
「私が女の子だって、おじさまは抱きしめて教えてくれます。でも千束は私と同じ女の子です。だから“クン”って言われると、女の子として見下されてるみたいで傷つきます。やめて下さい」
千束ちゃんは、その言葉にぐっと息を吞んだ。それからしばらく、何か考え込んでいたが……やがて笑顔になると、指を振りながら、いつもの調子でたきな君を茶化す。
「そっかぁ~、たきなも心機一転、女の子デビューしたわけだ! まあ、これからも? 困ったことがあったら、この千束さんを……」
「いいえ。これからは、千束を頼りません」
ガタッと音をさせて、たきな君は椅子から立ち上がった。決意に満ちた瞳をして、もう千束ちゃんの軽口など相手にしないとでも言いたげだ。
「私と千束は、今日からライバルです!」
たきな君は、千束ちゃんにビシッと指を突きつける。そして高らかに宣言した。
「もう私、千束と同い年なんです! だから自分のやり方で、おじさまとお付き合いします!」
「……ふーん。そういう態度に出るんだ」
千束ちゃんは、たきな君と吾輩を交互に睨んでから、おどけた調子で肩をすくめた。
「言っとくけど、前にじゃんけんで決めたエッチ時間の配分は、まだ有効だかんね」
「それが何ですか」
「ここでも、リコリコでも、たきなはおじさんとエッチできない。分かってんの?」
「分かってます。だから返してもらいます。おじさまと抱き合う時間は、私の宝物だから」
たきな君は、千束ちゃんを真正面から睨み返すと、迷いなく宣言した。
「もう一度じゃんけんで勝負です」
「それ私にメリットある?」
「負けたら、なんでも言うことを聞きます」
「へえ。へえ、へえへえへえ~」
千束ちゃんは舌なめずりすると、指をボキボキと鳴らした。国民的アニメのガキ大将みたいに、優越感に満ちた半笑いでたきな君を威圧する。
「なんでも言うこと聞くんだ。へーえ?」
「千束もですよ。私が勝ったら」
「エッチの時間は返したげる」
「それから?」
「は? わたしが負けるわけないし」
「そうですかね」
「うわ。たきなのクセに生意気だ~」
「私は勝ちます」
「い~よ、なんでも言うこと聞いたげる」
売り言葉に買い言葉、二人の会話はどんどんヒートアップしていく。メラメラという音が聞こえてきそうだ。
「本当に、なんでも、ですね? あとで吠え面かいても知りませんよ」
「泣いて謝るまでギッタンギッタンにして、教えたげる。たきなのモノはわたしのモノ、わたしのモノもわたしのモノだって!」
そこで初めて、吾輩は声を発した。
「君たち、吾輩の意思は?」
「おじさんは黙ってて!」
「おじさまは黙ってて!」
二人は同時に叫んだ。吾輩のほうを見ずに、目の前のライバルと真っ向から火花を散らす。
吾輩は、ニヤニヤしながらコーヒーを飲んだ。
う~ん、これだよこれ。見目麗しい二人の女子高生が、朝も早くから吾輩とのエッチをかけて真っ向勝負! やっぱり催眠おじさんっていうのは、こういうシチュエーションでエッチしなくっちゃあな!
[場面転換]
「「最初はグー! じゃんけんぽん!」」
「わたしの勝ち~♪ 罰ゲームは『一発ギャグを披露』だぁ!」
「く……『ウルトラマン』!」
「やるなお主、スプーン二つで目を隠してウルトラマンとは! 次! 最初はグー!」
「「じゃんけんぽん!」」
「またまた、わたしの勝ち~♪ 罰ゲームは『動物の真似をする』だぁ!」
「にゃん……『にゃん』! どうですか!」
「くっ、かわいい。真面目な美少女がネコの物真似。たまらん! 次! 最初はグー!」
「「じゃんけんぽん!」」
「やったー! またわたしの勝ち~♪ 罰ゲームは『告白をする』だ!」
「おじさま、好きです!」
「罰ゲームになんねーじゃん、バカかわたし!」
千束ちゃんは、自分は絶対に負けないと確信しているようだ。矢継ぎ早に勝負をしかけ、実際に勝って勝って勝ちまくる。たきな君に他愛のない罰ゲームをふっかけては、笑ったり、赤面したり、悔しがったりしてじゃれ合いを楽しんでいる。
「次は何にしよっかな~」
つまり、油断していた。
吾輩の目配せに、たきな君が小さくうなずく。
「ぜったい負けません! 最初はグー!」
「「じゃんけんぽん!」」
「ハイわたしの勝ち~♪ 罰ゲームは『ほっぺにチュー』だ!」
「わかりました! ほら、ちゅーっ」
「へっ? く? うぅ??」
たきな君は、千束ちゃんの頬に素早くキスした。唇でほっぺたをプニッと挟むように口づけし、すぐに顔を離す。
千束ちゃんは、予想外の行動にドギマギと戸惑った表情を見せた。
「あ、ありがとう……って! 違う! 次ぃ! 最初は────」
「────じゃーんけん!!!」
「うえっ!?」
たきな君が勝負に出た。千束ちゃんの動揺につけこみ、お腹の底から大声を絞り出して、主導権を奪い取る。
「ぽん!」
たきな君がチョキ。千束ちゃんがパー。
「たきな君の勝ちだ」
「いよっし…………! しぃ…………!」
吾輩が宣言すると、たきな君はその場で両脚をどたどた踏み鳴らしてガッツポーズ。
千束ちゃんは悔しげに歯噛みしながら、ガックリとうなだれた。
「たきなに、負けた……!」
「たきな君」
「おじさま!」
たきな君は吾輩とハイタッチ。喜びを顔にみなぎらせながら、千束ちゃんに指を突きつけた。
「どうですか! 私だってやるんです!」
「ちきしょー、わたしの必勝法が、なんで……」
千束ちゃんは歯嚙みしながら、悔しそうに地団太を踏む。しばらく悔しそうにしていたが、そのうち、吾輩をじろっと睨み上げてきた。
「おじさんの仕業でしょ」
「なんの事だろう」
「ないしょだって言ったのに……!」
千束ちゃんはメチャクチャにじゃんけんが強いが、それは優れた動体視力と洞察力で「相手が手を変えるか変えないか」が見て分かるからだ。つまり、「最初はグー」で始めるじゃんけんを千束ちゃんがすると、相手は絶対に勝てない。
そして、その勝ち方ばかりしてきたため、タネがばれるとビックリするほど勝てなくなる────という話を、吾輩は千束ちゃん本人から寝物語に聞かされていた。
「おじさんが教えたんでしょ。絶対そう!」
「ははは」
「笑ってごまかすなー!」
「そんな事を気にしている場合かね?」
吾輩はニヤニヤしながら、クイクイと親指でたきな君の方を指した。
「うっ……」
千束ちゃんは、顔をこわばらせて後ずさる。
たきな君が、さらにずいっと身を乗り出したからだ。
「さあ、どうしましょう千束」
「た、たきなの癖に生意気だぞぉ…………」
たきな君はドヤ顔で腕組みをすると、千束ちゃんを壁まで追い詰めていく。
「エッチの時間、もらいます」
「うっ」
「私が勝ったんですから、当然ですよね?」
「くっ……も、もう一回やろ!」
「往生際が悪いですよ、千束」
たきな君は、じりじりと追い詰めていく。
しかし千束ちゃんも負けてはおらず、綺麗な顔に挑戦的な表情を浮かべた。それも当然だ。勝負の主導権を握るか、あいこになるか、そうすれば彼女は絶対に負けないのだから。
「言ってろ、いくよ! 最初はグー!」
そして、千束ちゃんは戦いのベテランでもある。たきな君の不意をつくタイミングを冷静に……しかし高速で見極めて、
「またまたグー!」
「へっ?」
そして見事に裏をかかれ、リズムを乱された。
「えっ? えっ? えっ?」
「いか○や長介! 頭はパー! 正義は勝つ! じゃんけんぽんっ!」
「いかっ?」
千束ちゃんは、混乱で自分の手を変えられない。結果は────
「ぱ……ぱー……」
「勝った!」
勝者はたきな君だ。吾輩が教えたド○フ式ジャンケンでリズムを乱し、千束ちゃんのグーをパーで破ったのだ。
「さあ、罰ゲームです」
「え……えっと……」
千束ちゃんは、目を白黒させながら言い訳を考える。しかしたきな君は、問答無用で命令した。
「まずは犬のマネ」
「い、いや……ちょっとそれは……」
「や、り、な、さ、い」
「…………わう……」
千束ちゃんはしぶしぶ犬の鳴き真似をした。そっぽを向いて、手は後ろにしたまま、いかにも不満そうに。
うーん、これは失格だな。
たきな君がさらに強い口調で命令する。
「もっと大きな声で。それから、四つんばいになって」
「うぅ……」
千束ちゃんは、渋々命令に従った。両手を床について四つんばいになり、「くぅ~ん」と悲しげに鳴いた。
金に近い白髪を子供っぽく二つ結びにした十七歳の美少女が、白いパジャマで包んだナイスバディで犬のポーズをして、あわれに鳴きながら上目遣いでたきな君を見る。
吾輩は思わず口笛を吹いてしまった。
「こぉら! おじさん!」
「千束、犬が人間の言葉を使うんですか?」
「こ、この、調子にのりやがってぇ……」
千束ちゃんは悔しそうにうなる。
やれやれ、仕方がない。これは教育的指導が必要だな。吾輩はパチンと指を鳴らす。
「あっ、こらっ、いま催眠はダメッ」
[催眠:勝者の命令は絶対]
「あっ──わん! わんわん! わふわふっ」
「わっ……かわいい……」
「くぅ~ん、くぅ~ん」
千束ちゃんは、さっきまでの威勢はどこへやら。たきな君の足元にすがりついた。
たきな君が手を差し出すと、ぺろぺろと舐めだす。おいしそうに、丹念に、犬みたいに。
「わっ、ふふっ、くすぐったいです!」
「くぅ~ん、くぅ~ん」
千束ちゃんは尻尾を振る犬のようにお尻を振って、たきな君を舐め続ける。その顔は満足げで、飼い主に甘える大型犬のようだ。
「わぉ~ん♡」
「わわっ」
グラマラスな千束ちゃんは、スレンダーなたきな君より重い。全身でのしかかられ、さすがのたきな君も押し倒されてしまった。
「くぅ~ん♡」
「あっ、あっ、千束っ」
千束ちゃんは、たきな君に自分の匂いをつけようと必死だ。ぐりぐりと顔を押し付けて、たきな君のすべすべの肌と自分の肌をすり合わせる。
「はっ、はふっ♡」
「きゃっ、くぅっ!」
「くぅ~ん♡ くぅ~ん♡」
千束ちゃんは、切なげに鼻を鳴らしながら、たきな君の顔を舐めまわす。そのうち興奮したのか、パジャマの股間をたきな君の太ももにこすりつけ始めた。
「あんっ♡ あぁん♡」
「ちょ、ちょっと、ちさっ……お、おしまいです! 罰ゲームは終わりです!」
「え……あ、ああっ。ごめっ、ごめんたきな!」
千束ちゃんは、自分の痴態に気付くと顔を真っ赤にして飛びのいた。恥ずかしさのあまり、たきな君に背を向ける。
「ごめん、ちょっと暴走してた……」
「いえ……その…………おじさま?」
「ごめんごめん」
さすがに遊びすぎたか。少し反省しよう。少しだけね。何しろ吾輩は、催眠おじさんだから。
「え、ええと…………勝負、続けますか?」
「そ、そーだねー……あ、あはは……」
気まずいムードの中、千束ちゃんはもじもじしている。たきな君も、気まずそうにうつむく。
そして吾輩が、少しだけ背中を押してやる。
「めったにない機会だよ。なんでも言うことを聞かせられる。他愛のないことも、恥ずかしいことも、それから…………」
「それから……」「そ、それから……?」
二人がゴクリと唾を吞む。
「なんでも……だよ。エッチなことも、気持ちいいことも、屈辱的で、頭がおかしくなっちゃうような事も……ね」
「そ、そんな……」「だ、だって……」
「何も気にしなくていい。何を命令しようと、君たちに責任はないんだ。だって君たちは、吾輩に催眠されているのだから」
吾輩は二人にウインクする。
二人は赤くなった顔を見合わせ、それから首をカクカクと縦に振った。
「ま、まあ……ちょっとだけなら」
「わ、私も……」
「じゃ、じゃあ、行くよ……じゃんけん」
「ぽん」
気を取り直して勝負を再開。二人は吾輩をちらちらと気にしつつ、一発勝負のジャンケンを繰り返す。勝ったり負けたり、なかなか決着がつかない。
そして、お互いに罰ゲームを出し合う。それもエッチなやつだ。
「たきな、このバナナ、エッチな食べ方してよ」
「えぇ……? どうやるんですか、それ」
「その……おじさんのをフェラするみたいに」
「えっ!? そ、そんなこと──」
「いいじゃん、一緒にフェラした仲じゃん」
「そ、それはそうですけど……」
「今更恥ずかしくないでしょ。ほら」
千束ちゃんはバナナを突き出す。皮をむいて、中身をさらけ出して、たきな君の口元に長くて太いものを近づける。
たきな君は当惑した様子でバナナを見ていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「あー……ん」
「まずは先っぽを舐めて……ぺろぺろって」
「はい……れろぉ……」
千切ちゃんの指図通り、たきな君は舌を出して、バナナの先端をいやらしく舐め回す。唾液で濡らし、唇でついばむようにして口の中に迎え入れた。
「はむ……んっ……んっ……」
「うんうん、いいよ~」
千束ちゃんは満足そうに笑い、たきな君の肩を撫でる。そして、濡れた声でささやく。
「そのまま……口をすぼめて……」
「ん…………」
「そう、吸いながら動かして」
「ちゅぷ……ちゅっ……」
「あはっ、すごーい……♡」
言われるままに、たきな君はバナナに吸い付く。唇をすぼめ、歯を立てないように、ゆっくりと前後に動かし始めた。唇がめくれては戻り、唾液でぬらぬらと光る。
「んっ……ちゅっ……」
「上手ぅ♡」
千束ちゃんは興奮してきたらしく、顔を赤くしながらたきな君を見つめている。
「も、もういいよ……ありがと」
「ん……」
たきな君が口を離すと、唾液でてらてらと光るバナナの先端が現れる。それを、千束ちゃんは躊躇なく口に含んだ。
「ちゅっ……んっ……♡」
「はむ……んっ……」
二人は一緒にバナナを舐める。いやらしく舌を絡ませ、時には舌同士を交差させた。
「ふぅ……んっ……ちゅぷ♡」
「はふ……んっ♡」
[場面転換]
「私の勝ちです、千束……」
「うん……命令して……?」
「ち、千束がっ、ひ、ひとりで」
「うん」
「どんな風にシてるか、見たいです……」
「えぇ……マジで……?」
「マジです! 見せてください!」
「わかったよぉ……」
千束ちゃんは恥ずかしそうにうつむいてから、ソファにころんと横になって、両足を大きく開く。
「うー……はずかしぃ……」
千束ちゃんは顔を真っ赤にしながら、パジャマのズボンに手を突っ込んだ。そしてもぞもぞと指をうごかして、すりすりと小さな音を立てる。パンツの上から自分の敏感な場所をなぞっているのだ。
「たきなのえっち……」
「そ、そんなつもりじゃ……ほら、早く!」
「うぅ……」
千束ちゃんのオナニーショーは続く。徐々に指の動きが激しくなり、呼吸も荒くなる。髪を結ぶ、赤いリボンが揺れる。
「はっ……はっ……」
「い、いきたいですか?」
「たきなは?」
「わたしは別に……」
「ほんとにぃ……?」
千束ちゃんは、たきな君の下半身にちらりと目を向けた。
たきな君は、制服のスカートに包まれたお尻をもじもじと揺らし、太ももをすり合わせている。
「たきなも、い……いきたいんじゃん……」
「千束がいくところ、見たいです」
「うぅ……」
たきな君が命令する。千束ちゃんは逆らえない。観念したようにパンツの中に手を突っ込むと、熱を帯びた割れ目をこすり始めた。
「あっ……はぁっ♡」
「ち、千束っ……!」
「はぁんっ♡ あは♡ たきなもっ……」
千束ちゃんは自分の股間をこすこすといじりながら、ぺろり、と舌なめずりをする。
「んっ……あはぁ♡」
「ち、千束……わたしっ……!」
「はやくぅ♡ いっしょにいこうよぉ♡♡」
たきな君のスカートが、じりじりと持ち上がっていった。
[場面転換]
「はあ、はあ……♡」
「あう、ああ、はあ……♡」
パジャマ姿の千束ちゃんと制服姿のたきな君が、肩で息を繰り返している。
たきな君のスカートはまくれあがり、真っ白な太ももがあらわになっている。下着はすでに脱ぎ捨てられ、ソファの下に放り投げられていた。
そして、彼女の両手は股間に伸びており、細くしなやかな指が割れ目に差し込まれている。
「あはっ……♡ たきなぁ……♡」
「ち、千束ぉ……♡」
お互いに、相手の名前を呼び合う。顔と顔の距離は数センチで、鼻がこすれ合いそうなほど近い。今にも百合の花が咲きそうな、とろける雰囲気。
「君たち」
そして、そこに吾輩はペニスを突き出す。二人の痴態で半勃ちになった、自慢のイチモツである。
「ちゅっ♡」
「ん……♡」
吾輩のペニスを、二人は左右からキスして出迎える。口をきくよりキスが先と言わんばかりだ。
「ちゅぷっ、ちゅっ……♡」
「ちゅっ♡ ちゅっ……♡」
千束ちゃんは、先っぽに唇を押し当てて何度もキスをする。たきな君は竿の裏筋や横側に吸い付くように舐める。何度も。
「千束ちゃん」
「ふぁい……♡」
「吾輩とじゃんけんしようか」
「んっ……うん……」
千束ちゃんは、吾輩のペニスから口を離した。そして、とろんとした目で吾輩を見上げる。
たきな君も同じだ。二人とも息が荒い。
「吾輩はパーを出す。いいね」
「うん、分かったぁ」
「勝者の命令は絶対だ。いいね」
「はぁい……♡」
千束ちゃんは素直にうなずいた。ぽけーっとした表情で吾輩の言葉を待っている。
「では、ジャンケンをしよう」
「じゃぁんけぇん……」
吾輩が手を開くと、二人はそれを凝視する。そして……。
[場面転換]
「お゛ぉおおおっ! イグゥウウッ! イギまずぅっ! わらひ! お゛っ! んぉおおぉおっ!」
服を脱いだ千束ちゃんが、吾輩の下で獣のような声を上げていた。リビングのカーペットに押し倒され、屈曲位で吾輩にのし掛かられ、オーガズムに身を任せて全身を痙攣させている。
「お゛ーっ…………♡♡♡ お゛っ…………♡♡♡ お゛ぅうっ…………♡♡♡」
吾輩のペニスが千束ちゃんの奥深くを圧迫し、押しつぶしている。グラマラスな女子高生は首を左右に振りたくり、エクスタシーのてっぺんを極め続けた。体の動きに合わせてたゆんたゆんと揺れるおっぱいが、吾輩の目を楽しませる。
「あ゛っ……♡♡♡ あ゛っ……♡♡♡ いっでる……♡♡♡ いっでるがらぁっ……♡♡♡ お゛ぉおおっ……♡♡♡」
「命令しただろう。もっとオホ声を出すんだ」
「んほ……♡♡♡ おほ……♡♡♡ ほぉぉおおっ……♡♡♡」
千束ちゃんは、吾輩に命令された通り、下品なオホ声を発し続けた。キスしたら気持ちいいだろうなと思わせる唇を下品に突き出し、鼻の下を伸ばし、目尻を下げて、おほ♡ おほ♡ と喉を震わせる。
「ほら、もっと」
「おほ♡♡♡ お゛ぉおおっ……♡♡♡ 恥ずかひぃっ……♡♡♡ おほっ♡♡♡ おほぉぉおおっ♡♡」
「恥ずかしがったら駄目だよ。ほら、もっとオホ声を出して」
「おほっ♡♡♡ おほぉぉっ♡♡♡」
軽く腰を揺すってやると、千束ちゃんは足をピンっと伸ばした。しばらく硬直してから、天国に上ったみたいなトロ顔で脱力する。
「ふふっ、そんなに良かったかい? もっとしてほしいかい?」
「おほぉっ♡♡♡ ほひっ♡♡♡ ほひひぃっ……♡♡♡」
千束ちゃんは舌を突き出して、汗と涙でべたべたになった顔で何度もうなずいた。エクスタシーの極みにいるような声で、おほぉ♡♡♡ おほ♡♡♡ と鳴く。吾輩に奉仕し、吾輩に支配されるがままになる。
幸せそうだと思う。可愛いと思う。素敵だと思う。こんなになっても千束ちゃんは、いや、こんなにも溶け崩れてくれるからこそ、彼女は綺麗で、可愛くて、素敵で、吾輩のスターなのだ。
吾輩は千束ちゃんを褒め称えるように、腰を振り始めた。吾輩のペニスが千束ちゃんの中を蹂躙する。
「おほっ♡♡♡ ほひ♡♡♡ ほっひぃ♡♡♡ んぉおおぉおおっ……♡♡♡」
何かとんでもないものが、吾輩の背筋に宿っている。それは昨日たきな君に感じたのと同じ、この娘をママにしろという命令だ。
吾輩のガキを産んで、ガキに乳を吸わせるメスになるんだ。千束ちゃん、君は最高のママになるんだ。吾輩はそう念じながら、彼女の体を貪り続けた。
「おほ♡♡♡ んぉおおっ♡♡♡ おほっ……♡♡♡」
「あぁ、そろそろ出るよっ」
「でりゅ? でりゅの……? だひて♡♡♡」
「出すよ、出すよ、千束ちゃん、吾輩の赤ちゃんを、産んでくれ!」
「うむぅっ……♡♡♡ うむっ……♡♡♡ うむぅううぅぅうっ……!」
吾輩が叫ぶと、千束ちゃんは白目をむいて何度も頷いた。メスになって、吾輩のガキを孕んで、ママになりたいと願ってくれた。
吾輩は嬉しくなって、さらに激しく腰を振る。
「孕め! 子宮開け! 卵子出せ!」
「おほぉおおっ♡♡♡ おほ♡♡♡ おほ♡♡♡ うほぉおおぉっ……♡♡♡」
千束ちゃんのアクメ声を聞きながら、たきな君のほうを見る。
黒髪の美少女は制服を脱ぎ捨て、ブラも捨て、千束ちゃんの右隣に横たわり、自分の股間に手を伸ばしていた。
「はぁあ……♡ ああ……♡」
たきな君は自分の指を二本揃えて、蜜壺に差し込んでいる。切なげにヒクつく小さな穴を、ぐちっ♡ ぬちゅっ♡ と音を立てながらかき回す。吾輩が千束ちゃんを犯しているのを見ながら、自分で自分を慰めている。
「はぁあんっ♡ ちさ……ちしゃとぉ……♡ かわいい……♡ わらひも……♡ いきそぉ……♡」
たきな君の全身がのたうつ。軟体動物のように身もだえしながら、それでも瞳は千束ちゃんの痴態から離そうとしない。よがりまくる相棒の手を握りしめ、ともに高みへ登ろうとする。
「ちしゃとぉ……♡ いっしょ、いこっ♡」
「たきにゃぁ……♡♡♡ うんっ♡♡♡ いっしょにぃ……♡♡♡」
「ママになろっ♡ いっしょにママになろっ♡」
「うんっ♡♡♡ なりたいっ♡♡♡ ママになるっ♡♡♡」
「いっしょに赤ちゃん育てよ♡ ママになろっ♡♡」
「うんっ♡♡♡ 育てるぅっ♡♡♡ 二人でママになってぇ……♡♡♡」
たきな君の手が加速する。ぐぽぐぽと音を立てる。
肩を寄せ合い、二人は一緒にエクスタシーの頂点へと駆け上がっていく。
「あ、ちさとっ、いくっ♡♡♡ 私いくっ♡♡♡ ああいく……♡」
「おほぉおおっ…………♡♡♡
たきなといっひょ…………♡♡♡
いっひょ…………♡♡♡
うれひい…………♡♡♡
しゅごい…………♡♡♡
ひあわせ…………♡♡♡
きもひ、い、いぃいいっ♡♡♡
おほっ♡♡♡ ほおぉおおっ♡♡♡♡」
「う、うおっ!」
吾輩が壊れた機械みたいに動きを止めた瞬間、美少女たちの身体がピンと反り返った。
丸々と実ったたっぷりおっぱいと、健気に育つすこやかなおっぱいが、二人の絶頂に合わせて激しく揺れる。
「「すきっ♡♡♡♡」」
美少女たちの声がそろい、ハモった。それは素晴らしい音楽と同じように吾輩の心を慰撫し、キンタマを優しくほぐし、時の感覚を麻痺させる。
「おおっ…………!!!」
ドクン、ドクンと吾輩の下腹部が脈動し、精液がほとばしった。千束ちゃんをママにするための、元気な赤ちゃんが産まれるための精液。それを千束ちゃんの子宮めがけて、何度も何度も放出した。
「お゛ぉおおぉおおおおぉぉおおぉっ♡♡♡♡」
千束ちゃんも獣の声で吠える。最高の女の子が、今、たった今、自分の子宮に吾輩の精子を注がれ、その喜びに打ち震えているのだ。
その征服感! とても言葉では言い表せない。
「あちゅい♡♡♡♡ あちゅいぃぃっ……♡♡♡」
千束ちゃんは目を白黒させながら、精液を受け止め続ける。吾輩が射精するたびに、彼女の体はびくんっ♡ びくん♡ と跳ねた。
「おほぉおっ……♡♡♡♡ んぉおおぉ……♡♡♡♡」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
千束ちゃんのイキ声を聞きながら、ゆっくりと腰を引こうとする。だがむっちりした太ももと引き締まったふくらはぎが、吾輩の腰を捕まえて離さない。
「だめぇっ……♡♡♡ ぬいちゃらめぇ……♡♡♡」
「うっ……」
吾輩のペニスは、千束ちゃんのおまんこにすっぽりと包み込まれ、ちゅうちゅうと吸い付かれている。まるで、それがないと生きていけないみたいに。
「おほぉおおっ……♡♡♡ おほぉおおぉおおおっ……♡♡♡ しゅご……♡♡♡ いっぱ、ぃ……ッ♡♡♡」
「くぅううんんっ……♡♡♡」
たきな君も千束ちゃんに同調し、エクスタシーにひたり続ける。ゆうべ一晩じゅう吾輩に犯され続けた記憶をはんすうしているのか、くびれた腰をひねりながら、甘い吐息を漏らし続けた。
「千束ちゃん、たきな君……どうだ? 気分は」
「んっ♡♡♡ はぁ……はぁ……ッ♡♡♡♡ さいこぉ……ッ♡♡♡」
「しゅき♡♡♡ らいしゅきぃ……♡♡♡ おじさまがらいしゅき……♡♡♡♡」
熱いまなざし。あられもない嬌声。汗に濡れた肌。すべてが吾輩を狂わせる。
「二人とも、すごいよ。素敵だ」
「うん……♡」「はい……♡」
「君たちは最高だ。ずっと吾輩のものだ。誰にも渡さないぞ」
「「はひぃ……♡♡♡」」
千束ちゃんが吾輩のペニスをキュウキュウと締め付ける。もっともっととおねだりされているようだ。
「たきなぁ……♡♡♡」
千束ちゃんは相棒のほうを見た。そして、両手を広げて彼女を招く。
「仲直りしよ……♡♡♡」
「ちさ、とっ……!」
たきな君は千束ちゃんにすり寄ると、その体に抱き着いた。汗まみれの肌をこすりあわせ、気持ちよさそうに目をつむる。
「偉そうにしてごめんね、たきな」
「私こそ、反発してすみませんでした」
「競争して、キレイになろ?」
「競い合って、大人になりましょう」
「ママになろうね」
「はい。一緒に育てましょう」
「うん…………」
千束ちゃんは、どこか後ろめたそうな微笑みを浮かべた。
[場面転換]
[季節:夏]
[天気:晴れ]
[時間:夜]
[登場人物:催眠おじさん フキ サクラ]
[場所:真島のアジト]
潮風が吹きすさぶ、貨物港の埠頭。貨物船の甲板には、フキ君とサクラ君によって、真島君がねじ伏せられていた。
真島の部下から得た情報で、本拠地である貨物船をDAが叩いたのだ。
「しかし、残念だなあ、真島くん」
「ハ、黙れよ催眠おじさん…………!!」
どこで知ったのか、真島君は吾輩を『催眠おじさん』と呼んだ。
彼はズボンとパンツを下ろした格好で、制服姿のJKふたりにねじ伏せられている。間抜け極まる格好だが、別に彼自身が間抜けなわけではない。
「耳がいいんだねえ。トイレに行きたくなる催眠にはあっさりかかった」
「ケツがゆるくなっちまったぜ」
「なのに、女の子に謝りたくなる催眠には、まるでかからないなんて」
ボサボサの頭を緑に染めた男は、歯を剥き出しにしてケモノのように笑った。
「当然だろ。俺は正しいことをしてるんだぜ」
「正しいこと、とは」
「バランスだ。社会を裏から支配してる連中がいる。そいつらをボロクソにぶちのめすのさ。正義の味方だぜ」
ふーむ。正義ねえ。吾輩は真島君を見下ろしながら、顎をなでた。
「なら、そのまま正義の味方を続けてもらおう」
「ああ? 何言っ」
「真島くん。君は今から、一生、正義の味方だ」
吾輩は指をパチンと鳴らす。
[催眠:正義とは、若く美しい女の子を守り、慈しむこと]
「なん……だと……」
彼の顔からみるみるうちに生気が抜けていく。目はうつろになり、口は半開きになり、口の端からよだれを垂らす。
「ちが……大事なのは、バランス……」
「しぶといなあ」
吾輩はさらに指を鳴らす。
[催眠:正義とは、エッチしたくなる女の子を守り、慈しむこと]
「あ……」
真島君の目が見開かれる。全身から力が抜ける。むき出しのケツが、ひく、ひくと震えた。
「男の本能を利用させてもらうよ。男なら女の子とエッチしたい。エッチしたいなら女の子を守らなくっちゃ。そうだよね?」
「そ……だ……守ら……ないと……」
「守るにはどうしたらいい?」
「戦うんだ……踏みにじられてる女どもを……助ける……」
「そうだ。どこで戦う?」
「世界だ……」
「なぜ?」
吾輩は問いかけを重ねた。
したくない事はさせられない。それが催眠の限界だ。
だが誰の心にも、ほんの小さな善意や本能はある。それらを刺激すれば驚くほど簡単に、しかも自らの意思で、人は吾輩の言うなりになるのだ。
「世界には……泣いてる女が……いっぱいいる」
「そうだ。その涙を知っている以上、見て見ぬ振りは出来ない」
「見て見ぬ振り……できない」
こうして真島君は正義の味方となり、DAに連行されていった。ま、彼ならそうそう殺されたりはしないだろう。たぶんね。
[場面転換]
「大丈夫かい、二人とも」
「ご心配には及びませ、ううっ」
「素直に痛いって言いましょうよ先輩、あいててて…………」
フキ君とサクラ君、二人の美少女が肩を寄せ合って歩く。制服はボロボロだが、幸いにも体の方は簡単な手当てで済んだようだ。
吾輩はホッと胸をなでおろし、二人の肩に手を置いた。
「お疲れ様。君たちが無事でよかった」
「は、はい……」「あざっす……」
二人は目をぱちくりさせてから、吾輩に礼を言う。戦闘後に大人から
「何か甘いものでも食べに行こうか」
「は、はい」「やったっ……あいたたた」
「着替えも買ってあげるよ」
吾輩が促すと、二人は素直にうなずいた。それから、吾輩が乗ってきたクラシックカーの後部座席に乗りこむ。
今の二人は戦闘員ではなく、吾輩専属の性接待奴隷なのだ。いつどこでデートしようと、楠木さんに許可を取る必要もない。
「ところで、二人とも」
「はい」「なんすか?」
吾輩は車を発進させた。ハンドルをきちんと握り、湾岸線を走りながら問いかける。
「吾輩の子供を産んでくれるかい?」
「あっ……♡」
バックミラーの中で、二人は同時に反応した。サクラ君はもじもじと太ももを擦り合わせ、フキ君はそっと下腹部に手のひらを当てる。
「こ、こんなときに聞くなんて……卑怯っすよ」
「………………………………すみません」
あまり良い返事はもらえないようだ。
吾輩は、人差し指でハンドルをトントンと叩いてから、二人に問いかけた。
「駄目かな? 産んでくれるなら、君たちの一生は保証しよう」
「……や」「でも……」
二人は目を合わせる。小さくうなずきあって、意を決したように吾輩を見返してくる。
「十九歳になるまで、お待ちいただけませんか」
「リコリスができる年じゃなくなったら、どっかに売られるんで」
「その時まで、私たちが生きていたら」
「そしたら買って、産ませてくださいっす」
バックミラーの中で、二人はすがるような目をしている。
吾輩は、そうか、とだけ言った。
[場面転換]
[季節:夏]
[天気:晴れ]
[時間:朝]
[登場人物:催眠おじさん ミズキ]
[場所:喫茶リコリコ]
一夜明けて、朝。
「え、あ、んむ……」
喫茶リコリコの厨房で、吾輩はミズキちゃんを抱き寄せた。メガネ美女を後ろから優しく抱擁して、その唇にキスをする。
「ぷは……な、なによダーリン……」
「無理に媚びなくても、吾輩はここにいるよ」
「ん……わ、分かってるわよ。たきなと千束がいるからでしょ……あ、やぁん……」
化けの皮がはがれた気の強い女を、さらに優しく抱きしめる。そして吾輩の子を宿した腹を撫でながら、耳元でそっとささやくのだ。
「約束しよう。万が一、千束ちゃんたちがいなくなっても、この子が大きくなるまで君のそばにいると」
「本当……?」
「もちろんだとも」
「ん……信じてもいい……?」
ミズキちゃんの手が、そっと吾輩の手に重なる。千束ちゃんたちには負けるが、まだまだ若々しい肌だ。すべすべした手触りが心地よい。
「あのね……ダーリン」
「なんだい、ハニー」
「う……♡ ワタシ、ダーリンに教えなくちゃいけない事が…………ちさ」
その時、せき払いが聞こえた。
ウエイトレス姿の千束ちゃんが、カウンターの向こうからジト目でこっちを見ている。
「お取込み中すみませんがー」
「おお、千束ちゃん。どうしたんだい?」
「お客さんが来てますよー」
吾輩はミズキちゃんと顔を見合わせ、笑い合う。ミズキちゃんはさりげなく吾輩から身を離した。名残惜しいが、これ以上は今はまずい。
「ミズキ」
「分かってるって」
千束ちゃんに手招きされて、ミズキちゃんは厨房からフロアに出た。残された吾輩は、クルミと二度寝でもしようかと従業員室への扉に手をかける。
スマホが鳴った。
「もしもし。久しぶりだね、吉松さん」
『やあ、催眠おじさん。最近ご活躍らしいね』
「おかげさまで」
スマホの向こうから聞こえてきたのは、落ち着いた男性の声だった。吾輩が以前に寄生していた、吉松シンジ氏である。
『君のことだから心配はしていないが、一応言っておくよ。くれぐれも自分の才能を無駄にしないように』
彼は電話の向こうで、くくっと小さく笑った。
────その背後から、他の男性による息づかいが聞こえる。
「大丈夫だよ、吾輩は催眠おじさんだからね」
『そうかい。ところで聞きたい事があるんだ』
「なんだい? 吾輩に分かる事ならいいが」
『君は、「人を殺す才能」についてどう思う』
「え?」
人を殺す才能?
「ゴ○ゴとか、シティーハ○ターみたいな?」
『そう』
吉松さんの背後で、かすかな声。頭をかきむしるような、苦しむような、声にならない声。
『私は……』
『こら、黙ってなさい』
吉松さんはたしなめるように言うと、吾輩に話の続きをうながした。
「どう思うって……そりゃあね」
吾輩は頭をひねってから言った。
「下らないと思うよ。もっと大事な事があるだろう。特にシティーハ○ターの方は、さっさとヒロインちゃんを押し倒して、ママにしてあげればいいのにね」
『君ならそう言うと思ったよ』
「もっこりもっこり言い続けて、いったい何年になるんだか。さっさと幸せに…………あれ」
電話は唐突に切れた。
◆◆◆
吾輩が、千束ちゃんの寿命について知るのは数ヶ月後。秋が深まった頃である。
さあ、目を覚ましてくれ。
以上が今お見せできることの全てだ。この後ご存知の通り、まあ色々な事が起こるわけだが……。
いずれ機会があれば、あの吾輩が千束ちゃん・たきな君と、どうやって幸せになる……いや、幸せになったのかをお話しよう。
どうか、気長に待っていてくれたまえ。それでは。