※この作品はR-18です。

短編   作:御代川辰

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スライム×悪戯×お仕置き

 先ほど起きた出来事で未(いま)だに鈍(にぶ)い痛みの残る腰と背を撫(な)で摩(さす)りながら、少年は後ろに粘液を従えて洞窟を進んでいた。しかしその表情(かお)は苦痛(くつう)に歪(ゆが)んだものでもなければ、不機嫌に染(そ)まっているわけでもなく、むしろ上機嫌に笑みを浮かべている。

「どろぬ」

 開けた分かれ道の前に立ち止まった彼に振り向き様(ざま)にドロヌ(泥沼)と名を呼ばれ、同じく動きを止めた粘液は彼を見上げるように大きく膨(ふく)らませる。その様子はあたかも飼い主に向かい、主(あるじ)の顔を見上げんばかりに背筋(せすじ)を伸ばした姿勢でその場に座(ざ)す犬のようである。

「今朝のあふま、様子がおかしくなかった?」

 少年は何故アフマの機嫌が悪くなったのかを理解も自覚もしていない様子だった。ドロヌは先ほどの主が|行(おこな)ったことが彼(・)に凄まじいまでの精神的圧(プレッシャー)を与えていた、ということに気付いていたために、「知った事か」とばかりに彼の脛(すね)を小突く。

「ちょっ、痛(いた)っ!どろぬまで何するのさ!」

 痛みのあまり小突かれた方の弁慶(べんけい)の泣き所を両腕(りょうて)で庇(かば)うように抱(かか)えて跳(は)ね回り、涙目になりながらドロヌの行為を非難するように叫(さけ)ぶ様は一糸纏(いっしまと)わぬその姿(すがた)を含(ふく)めても滑稽(こっけい)そのもの。

「痛い!痛いったら!危ないからやめなよ!」

 激痛に耐えながらの抗議(こうぎ)の声など意(い)にも介(かい)さずただ向(む)こう脛(ずね)を一方的に叩いているが、それはまるで主(あるじ)が喚(わめ)き散らす様子を楽しんでいるかのようにも見える。

「いい加減にっ……うわっ!」

 そして数分間に渡って足を攻撃し続(つづ)けた末(すえ)、少年は遂に足を踏み外し豪快な転倒を決め込んだ。

 今度は背中を守るものが何もないため、ゴツゴツとした洞窟の岩肌に向けて強(したた)かに背中を打ち付ける格好だ。

「痛(いった)いなぁ……!」

 肩から腰にかけて直(じか)に伝わる痛みに涙になりつつも、キッと睨み付けて威嚇するがドロヌはどこ吹く風とばかりにくつくつと破裂音を鳴らす。

 言うまでもなく、主人の痴態を笑っているのだ。

「もう!どろぬなんて知いらない!」

 その様子を見た少年はぷりぷりと怒りながら、改めて地上へと足を進め始めた。

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