つけたばかりのファンヒーターが、ごうごうと熱気を吐いている。
「⋯⋯んっ」
キスを始めると、甘ったるい声が鼓膜をくすぐった。
回された腕に段々と力がこもってきて、いろはの身体に覆いかぶさったまま上体を押し付ける形になる。そのまま舌で唇をノックすると、いろははおずおずと唇を開いた。
「んっ、ふ⋯⋯、んんっ⋯⋯」
艶めかしい声に愚息をバキバキにさせながら、舌を絡ませ合う。いろはのこんな声を聞けるのは自分だけなのだと思うと、否応なく興奮してしまうのだ。
「ん⋯⋯、はぁ⋯⋯」
ゆっくりと唇を離すと、陽光を受けた銀糸が光る。首筋に吸い付きながら身体を弄ると、いろはは布団の中で身をくねらせた。
「ん⋯⋯っ。先輩の手付き、やらしいです⋯⋯」
「そりゃやらしいことしてるからなぁ⋯⋯」
そう言いながら、パジャマの中に滑り込ませた手でいろはの身体を撫で回した。なめらかな肌目を堪能したのちに、下着の上からその膨らみを揉み始める。
「ぁ⋯⋯んっ⋯⋯」
反応を確かめながら胸を揉んでいると、その後一枚が邪魔くさく感じてくる。以前のように片手でブラジャーのホックを外してやると、パジャマの中でそれをずりあげた。左手で乳房を愛撫しながら、右手でぽちぽちとボタンを外していく。
「あ、の⋯⋯」
やがてパジャマを全開にさせると、いろはは俺から目をそらしながら自らの身体を掻き抱いた。
「⋯⋯今さら隠すなよ」
「明るいところ、すっごい恥ずかしいんですけど⋯⋯」
そう言うといろははカーテン越しの柔らかな日差しの中で、頬を赤く染めていた。
⋯⋯こいつ、わざとか? そういう反応されると、堪らないんですけど。
「俺としては、もっと見せて欲しいんだよなぁ⋯⋯」
言いながらいろはの手首を掴むと、するりとその手は落ちて乳房があらわになる。ピンク色の乳首はツンと上を向いて、ハリのあるそれは形を一切崩さない。
思わず、生唾を飲み込んでいた。初めての時も綺麗だとは思ったが、明るいところで見るとより鮮明にその佳麗さを認識させられる。
「ゃ、ん⋯⋯っ。んん⋯⋯っ♡」
上半身をはだけさせたまま愛撫を続けると、いろはの声に甘さが混じる。思わず乳首を口に含んで転がせば、びくびくびくっといろはの背が反った。
「あぁぁ⋯⋯っ!」
充分に感じているとは知りつつも、俺はそのままいろはの下半身に手を伸ばす。ショーツの中の秘裂に触れると、そこは既にしっかりと水気を帯びていた。
「⋯⋯めちゃくちゃ濡れてる」
「んあぁっ♡ そ、そういうの、言わないでください⋯⋯あぁ⋯⋯っ♡」
そうは言うが、いろはの身体は快感に正直過ぎた。俺の愛撫で受け入れる準備を整えてきているのは、反応を見ても明らかだ。
「脱がすな」
「え⋯⋯。あ⋯⋯」
恥ずかしがるいろはから、一枚いちまい衣服を剥いでいく。ものの数十秒でいろはを丸裸にさせると、俺は覆いかぶさったままその神秘的なまでに美しい肢体を眺めていた。
「だ、だから⋯⋯。そんなに見ないでください⋯⋯」
いろははそう言うと、また自らの身体を抱いて大事な部分を隠した。そうされる方がエロく感じてしまうのだが、いろははそれに気付いた様子もない。
「⋯⋯先輩ばっかり、ずるいです」
不意にいろははそう言うと、俺の股間に手を伸ばす。それは本当に予想できなかった行為で、気付いた時には寝間着越しに肉竿を触られていた。
「うぉ⋯⋯っ」
突然の快感に、思わずそんな声が漏れ出る。行為に及ぶのはこれで二度目だが、そう言えばいろはに触ってもらうのは初めてだ。
「もう硬くなってる⋯⋯」
いろはの言う通り、俺の分身はガチガチに勃起していた。それにしてもこうして感想言われるの、妙に気恥ずかしいものがある。
「ほら、先輩も」
「あ、ああ⋯⋯」
いろはの手が俺の身体に伸びてくると、俺がいろはにそうしたように一枚いちまい丁寧に脱がされていく。やがて俺も全裸になると、見なくてもわかっていたことだがペニスはそり返るほど硬くなっていた。
「明るいところで見ると⋯⋯本当におっきいですね⋯⋯」
「⋯⋯そうか?」
こいつ、自分が見られるのは恥ずかしがっていたクセに⋯⋯。マジマジと見られながら、俺の肉竿はそれに悦びを覚えるかの如くびくびくと脈打っている。
さすがに勃起した状態で他人と比べたことはないが、確かに平均よりは大きいのかも知れない。アダルトなアレを観ていても、俺のより小さいのでは? と思うことはあったし。
俺はいろはの視線を感じながら、ベットサイドに用意しておいたコンドームの箱を取った。個包装を一つ取り出すと、破って薄っぺらいそれを取り出す。薄ピンクの避妊具をつけるその様子を、やはりいろはは見続けていた。
「⋯⋯いいか?」
「⋯⋯はい」
いろはに覆い被さると、俺はその目を見つめながら確かめる。こくっと首肯したのを認めると、俺はパンパンに張り詰めた肉棒をいろはの秘部にあてがった。
「あ⋯⋯っ」
ゆっくりと、いろはの中に入っていく。十分に濡れていたそこは、やはり前と同じく狭い。しかし、いろはの顔に苦悶の表情はなかった。
「大丈夫か?」
「あ、ぅ⋯⋯。はい、あの⋯⋯」
最後まで挿入すると、いろはは潤んだ瞳で俺を見上げていた。⋯⋯え、何その反応。
「全然、痛くないです」
「おう⋯⋯」
まあそりゃ二回目だし⋯⋯と思ってしまったが、いろはにとってそれは重要なことであったらしい。びっくりするぐらい嬉しそうな表情を浮かべると、俺の頭を引き寄せてくる。
そのまま唇を触れ合わせるだけのキスをすると、いろはは幸福そうに笑んでいた。
「その、今、めちゃくちゃ嬉しいです。先輩とちゃんとエッチできて」
その素直なのか狙っているのか分からない台詞に、俺の分身はびくんと反応を返した。性的に結合した状態でそんなことを言われると、いやらしいやら可愛らしいやらで頭の中が大乱闘スマッシュブラザーズだった。
「まあ、まだ入れただけなんだけど⋯⋯」
「ですね⋯⋯。動いても大丈夫ですよ」
俺はその言葉に「ああ」と頷くと、ゆっくりと腰を引いた。亀頭が見えるギリギリまで引き抜くと、腰を送ってまたいろはの奥に入っていく。
「ああぁ⋯⋯っ♡」
途端に、さっきまでの愛撫とは比べ物にならないぐらい大きな声が漏れていた。どうやらいろはも感じてくれているようで、心底安心する。
「あぁ⋯⋯んっ、あぁっ♡」
そのまま腰を振り始めると、いろはの口からポロポロと溢れるように喘ぎが溢れた。肉棒を突き入れるたびにいろはの胸は揺れ、強烈な締めつけと快感で身体が満たされていく。
「⋯⋯気持ちいいか?」
反応を見ていれば分かることを、あえて聞いた。いろはは快感につむっていた目を開くと、はぁっ、と桃色の吐息をついて俺を見上げる。
「はい⋯⋯っ。すっごい、気持ちいいです⋯⋯っ」
それが本当に素晴らしいことのように、情感のこもった声でいろはは言う。
そのまま手を伸ばしてくると、両手で俺の頬に触れてきた。
「先輩。これからいっぱい、エッチしましょうね♡」
「──」
言われた瞬間、頭の中で何かが弾け飛んだ。
今のはさすがに、反則だ。
「いろは──っ!」
「あぁっ、あんっ♡ あぁぁっ♡ 先輩、激しっ、あぅっ♡」
気づいたら、後先考えることなく腰を振っていた。あり得ないぐらい熱くて狭い膣を、パンパンに膨張したペニスが往復する。
いろはとのセックスは、手淫などとは比べ物にならないぐらい気持ちいい。可愛い声で啼くたびに腟内は精液を搾り取ろうとするかの如く締めつけてきて、絡みついてくる膣襞は
そんな快楽の
「はぁっ、はぁっ⋯⋯! いろはっ、出るっ! イク⋯⋯っ!」
「あぁあぁぁっ、んっ、あんっ、あっ♡ はぁぁ⋯⋯っ♡」
どぴゅっ、びゅるルルルッ! びゅくビュクびゅくっ、びゅるるるる!!
俺は挿入して数分と経たずに、いろはの中で射精していた。
まるで全身が性感帯になったかのような激しい快感に飲まれながら、いろはの膣内で肉棒を暴れ回らせる。何度も硬くなったものを脈打たせ、そのたびに大量の精を放っていく⋯⋯。
「あぁ⋯⋯っ♡ 先輩の、すご⋯⋯♡」
びゅくびゅくびゅくぅっ! びゅっ、ドピュッ、びゅるるっ!!
いろはは頭を持ち上げて結合部を見ると、その膣内で飛び跳ねている肉竿を見て言う。それがあまりにもいやらし過ぎて、またビュッといろはの中で精液を吐き出した。
「ん⋯⋯っ♡ 先輩、イッちゃったんですね⋯⋯」
「ああ⋯⋯」
正直、自分でもびっくりのスピード射精だった。
っていうかこれ普通に早漏じゃねぇかなんて思っていると、いろはは繋がりあったまま俺の首に手を回してくる。そのまま引き寄せられて俺が覆いかぶさる格好になると、いろはは耳元で囁いた。
「わたしの中、そんなに気持ちよかったんですか?」
ゾクゾクゾクっと、何かが背中を奔った。俺が返事をする代わりに、いろはの中に入ったままのペニスがびくんと脈打つ。
「⋯⋯正直、めちゃくちゃよかった」
素直にそう答えると、いろはは抱擁を解いてにんまりと笑った。こっちは情けなさすら感じる状況だが、別の意味で満足させられたなら何よりだ。⋯⋯ということにしておきたい。
「⋯⋯抜くな」
「はい。⋯⋯あっ♡」
宣言した後に射精の終わったペニスを引き抜くと、半分取れかけたコンドームの先にたっぷりと精液が溜まっているのが見えた。自分でも呆れるぐらい、大量に射精していたらしい。
「ちょっと、見せてください」
使用済みのゴムの口を縛っていると、いろははそう言って手を伸ばす。とてつもない事後感を醸し出しているそれを渡すと、いろはは目の前に持ってきてマジマジと見ていた。
「これが先輩の⋯⋯」
⋯⋯いや、うん。
もうちょっと控えてくれませんかね。そうやって見られるの、やたら恥ずかしい上にめちゃくちゃエロいんですけど⋯⋯。
「っていうか先輩、その⋯⋯」
そう言ったいろはの視線はもうゴムには向かっておらず、見ているのは俺のペニスだった。
「まだ、満足してないんですね?」
「いや、これは⋯⋯。まあ、そうだな⋯⋯」
自分でも驚いたことに、俺のペニスは射精を終えてもまだ勃起を続けていた。
こんな状態になるのは初めてだったが、呆気なく出してしまったせいでもっといろはの中を味わいたかったというのも事実だ。
「じゃあ⋯⋯。もう一回、します?」
「ああ、する」
「返事が早いし素直ですね⋯⋯」
めちゃくちゃ呆れられてしまったが、いろはから提案してくれるというのなら乗るしかない。このビッグ性欲に。
俺はコンドームの箱からもう一つ避妊具を取り出すと、するすると分身に装着させる。そしてまた挿入⋯⋯といきたいところだったが、毎回同じ体位というのも味気ない。
「今度は後ろからいいか?」
「え⋯⋯。あ、はい。いいですけど⋯⋯」
いろはは若干戸惑いを見せながらも、ベッドの上で四つん這いになった。眼下にいろはの生尻が見えるという初めての状況に、俺のペニスがまたぶるんと震える。
「み、見てないで入れてくださいよ⋯⋯」
「⋯⋯ああ」
思わず、いろはの身体を眺めてしまっていた。
振り返ってそう言ったいろはの頬は、さっきより明らかに赤い。確かにこんな格好で見られていたら、相当恥ずかしいだろう。
俺は装着したコンドームの精液溜まりの部分をぴとりといろはの入口に這わせると、そのまま腰を前に進める。──しかし。
「あれ⋯⋯」
「あ⋯⋯。違います。もう少し上です」
そう言われてもう一度入れようとするが、するりと股の間に滑り込んでしまった。真上からだといろはの入口が見えず、なかなか狙いが定まらない。
「えっと、ここ⋯⋯です」
いろははそう言うと、俺の肉棒を握ってガイドしてくれる。そのまま腰を押し進めると、ぬるりとまたいろはの中へと迎え入れられた。
「ああぁぁっ♡」
いろはの喘ぎ声に呼応するように、俺の肉竿はびくんと脈打つ。相変わらずいろはの膣道は狭く、特に入口あたりの締めつけが凄い。異物を拒否するかのような膣圧なのに、奥まで咥え込んで離さないのだ。
「は、あぁ⋯⋯。なんか、さっきより締めつけてきてる気がする⋯⋯」
「ん⋯⋯。別に、力入れたりはしてないんですけど⋯⋯」
ということは、これがいろは本来の膣の狭さなのだろう。通りで初めての時は痛がっていたはずだ。
「⋯⋯動くぞ」
「はい⋯⋯。あっ♡ あんっ、ぅんっ♡」
いろはの腰を掴むと、俺はパンパンとリズミカルに腰を振り始めた。一度射精した後だからか、充分な快感を得られつつもすぐにイッてしまうような兆しはない。
「はぁっ、はっ、あぁ⋯⋯っ」
「あぁ⋯⋯っ。先輩のっ、んんっ♡ 深いです⋯⋯っ♡」
それにしても、この後背位という体位は視覚的な刺激が強すぎる。
顔や胸が見える状態も当然興奮するのだが、こうして見下ろすといろはの女性的なラインがよく分かった。その上いろはの膣が俺の肉竿をずっぷりと咥えているのが見えるのだから、堪らない。
「はぁっ、あぁ⋯⋯。いろは⋯⋯」
「あ⋯⋯♡ あんんっ♡♡」
俺は後ろから抱きつくように、両手でいろはの胸の揉みしだく。その途端にキュンと膣内が狭くなって、一気に快感の強さが変わった。
「は、あぁ⋯⋯。また締まったぞ⋯⋯」
「あぁぁっ♡ それっ、だめっ、ですぅ⋯⋯っ♡」
もみもみと胸への愛撫を続けていると、いろははその快感から逃れるように背中を仰け反らせる。そのしなやかで健康的な裸体に神々しさすら感じながら、俺は腰を打ち付け続けた。
「やぁ、あ♡ んっ♡ あんっ♡ あっ♡あっ♡ あっ、くぅ⋯⋯っ♡」
パンパンパンと後ろから責め続けていると、いろはの肢体がびくびくと
「はぁ、はぁ⋯⋯」
このままでは俺もイカされてしまう、と腰を止める。奥まで挿入しても入りきらなかった肉竿の根本が、ひくひくと脈打っているのが見えた。
「いろは⋯⋯」
「あ⋯⋯あぁっ♡」
急激に訪れた射精感が過ぎ去ると、俺はまた腰を振り始める。いろはは力が入らなくなったのかベッドに突っ伏すが、俺はそれを追うように覆いかぶさった。そのままリズムを変えずに、いろはの奥を突き続ける。
「あぁっ♡ あんっ♡あんっ♡ やっ♡うぅっ♡ 先輩、だ、めっ♡ あぁぁっ♡ イッ、ちゃうっ♡」
「はぁ、はぁっ。いいぞ、いろは⋯⋯っ!」
その一言に、俺は腰振りの速度を上げていく。さすがにこのペースで致していては俺も射精してしまいそうだったが、構わなかった。何せ初めて、恋人と一緒に絶頂を迎えるチャンスなのだから。
「はっ、はっ、はぁっ⋯⋯。俺も、出る⋯⋯っ!」
「あぁぁっ♡ これっ♡ すごいです⋯⋯っ♡ あっ♡ 本当に、イッちゃうっ♡ あ♡あっ♡あぁぁ~~──♡♡」
ビュルルルルルルゥゥッ! びゅっ。ビュルルルルッ! ビュクンッ!!
快楽に跳ね回るいろはの身体を捉えるように覆いかぶさって、俺は激しく射精する。強烈すぎる快感をもたらすいろはの中で、何度も何度も精液を放出していく。
「あぁぁっ♡ せん、ぱいっ♡ あぁぁ⋯⋯っ♡♡」
ビュクビュクビュクッ!! ビュプッ、びゅっ、ビュルルルルッ!!
甘い喘ぎを漏らすいろはの中に、俺は快楽にまかせて生殖液を注ぎ込んでいた。今日だけで二度目の射精だというのに、今までにないぐらい強烈な快感で全身が震えている。
いろはとの後背位は、想像以上だった。未だにイキ続けているのかキュウキュウと締めつけてくるし、いろはの乱れ方も今までで一番だ。
「は、あぁ⋯⋯。すげぇ出た⋯⋯」
「あぁっ♡」
いろはの中から肉竿を抜くと、俺はゴロンとベッドに寝そべった。いろはは息を整えると、俺の方を向く。
「やばいですねこれ⋯⋯。クセになっちゃいそうです」
いろははそう言いながら、俺の頬を撫でてきた。上気しているいろはの頬が、やたらに艶っぽく感じてしまう。
「俺も⋯⋯。めちゃくちゃ気持ちよかったわ」
頬を撫でられるお返しに髪を撫でると、いろはの口元が笑みを浮かべる。本当可愛いなこいつ⋯⋯と思っていると、もう片方の手が俺の股間に伸びていた。
「うぉ⋯⋯」
「⋯⋯まだ硬いんですね」
そう言って、片手でゴムを取ろうとする。しかしすぐにそれは無理だと判断したのか、いろはの両手が俺のペニスに伸びて、するすると使用済みになったコンドームを取り去った。
「うわ⋯⋯。またこんなに出したんですか? すっごい量入ってますよ」
「君さぁ⋯⋯」
目の前までゴムを持ってきてはしゃぐいろはに、俺は呆れた声しか出せなかった。なんでそんなナチュラルにえっちぃことしちゃうの? いろはす⋯⋯。
「あ⋯⋯」
徐々に萎えようとしていたペニスは、いつの間にかパンパンに張り詰めていろはの
「まだ、足りないんですね?」
「⋯⋯ああ」
これはもう、認めるしかない。どう誤魔化そうとも身体の方は正直だし、俺の思考も未だいろはを求めていた。
「いいですよ」
いろははそう言うと、枕元に転がしていたコンドームの箱を手にした。
そこから個包装を一個取り出すと、生まれたままの姿でにこりと笑って言う。
「先輩の気が済むまで、付き合います」
その笑顔を見てごくりと唾を呑むと、俺はまたペニスを脈打たせたのだった⋯⋯。
* * *
──数時間後。
「はぁ、はぁ、はぁぁ⋯⋯っ。もう、出ない⋯⋯」
「やぁ、あぁぁっ♡ 先輩⋯⋯っ♡ あぅ⋯⋯♡」
何度目とも分からない射精の後に、いろはの体内からペニスを引き抜いた。コンドームの先に溜まった精液は最初よりずいぶん薄くなったし量も少ないが、確かにいろはの中で吐精したことを表している。
「はぁ、はぁ⋯⋯先輩⋯⋯。また出すとか⋯⋯」
呆れたように言いながらも、いろはの声音は艶がのったままだった。いろははまるでもう癖になったかのようにコンドームの箱を手に取ると──その中身が空であることに気づく。
「うそ⋯⋯。一日で一箱使い切るとか、どれだけ性欲強いんですか⋯⋯」
「お前がエロすぎるからだろ⋯⋯」
もはや避妊の術がないという事実を認めたのか、ようやく俺のペニスは力を失っていく。
本当に信じられないぐらい出したし、呆れられても仕方ないぐらい興奮してしまった。これはもう、性欲の扉が大開放されてしまったかも知れませんね⋯⋯。
「その言い方はアレですけど⋯⋯。まあ先輩が魅力を感じてくれているならいいです」
そう言っていろはは丸裸のまま密着してくると、
「もうこんな時間ですね」
時計を見れば、時刻は完全に夜と言っていい時間だった。夕方にはお互い実家に帰る予定だったが、食事すら忘れて行為に耽ってしまっていたらしい。
「だな⋯⋯。時間も時間だし、千葉に帰るのは明日にするわ」
「ええ⋯⋯。わたしもそうします」
そこまで言って、ふと考える。ということは、またいろはは俺の家に泊まって行ってもいいわけだ。
そんな思いつきに具体的な行動計画まで立てていると、いろははすっと俺と距離を取る。
「⋯⋯ひょっとしたらですけど、コンビニ行けばゴム買えるなーとか思ってません?」
「思ってましぇん」
即答の上に噛んでいた。
いや、ちょっとは考えたよ? けどさすがに身体が持たない気がするし、これ以上いろはの身体に負担をかけてもいけない。
「⋯⋯とりあえず、買い出しいかないとな。冷蔵庫ほとんど空だから」
誤魔化すようにそう言うと、いろははすすっと近づいてくる。またぴっとりと密着してくると、拗ねたような目で俺を見上げた。
「それはいいですけど⋯⋯。先輩、これだけえっちなことしておいて、言っていない言葉があります。それは何でしょう?」
その声音から、ああまただ、と思ってしまう。
今の俺にとっていろはの意図を汲むのは簡単で、言葉にするのは難しい。しかし、いろはの指摘はもっともだ。
「あー、うん⋯⋯。分かるけど、そう促して言われても嬉しいもんなのか?」
「だって先輩なんだから仕方ないじゃないですか。それに言ってもらえないよりはマシですから」
そういうもんなのだろうかと思うと同時に、諦められているのが安心するやら悲しいやらである。いや、安心する要素一個もねぇな⋯⋯。
「⋯⋯好きだぞ。いろは」
「ふふっ。こういう時は『愛してる』が鉄板だと思うんですけど」
いろははそう言うと、俺の唇に人差し指を押し当てた。そしてその上から、唇を押し付ける──。
「今日はこのぐらいで、許してあげます」
裸のままベッドから立ち上がったいろはが浮かべているのは、小悪魔的で天使みたいな笑みで。
「次が怖いんだよなぁ⋯⋯」
俺はいろはに目を奪われたまま、そんな呟きを漏らすのだった。