冬休みも明けてしばしのこと。
「ちょーっと、行きたいところがあるんですよねぇ」
いろはがそう言ったのは、バイトの入っていない土曜日のことだ。
行き先を言おうとしないいろはに抵抗の意思を見せたものの、あえなく撃沈。可愛い彼女には滅法弱いどうも俺です。
そうして外出に至り、電車を乗り換えること二回。目的の駅で繁華街を通り過ぎると、不自然な静けさを湛える一画に出た。
「なあいろは。⋯⋯行きたい場所って」
そこにはあるのはまるで普通のホテルのようでいて、まったく違う。別の方向を見ればそういう場所であることを全く隠す素振りのない派手な看板が掲げられていて、つまりここはラブホテルが林立しているエリアだった。
「ここなんですけど⋯⋯」
さっきまでの意気揚々とした感じはどこに行ったのか、いろはは恥ずかしそうにそう言った。
いや、うん。えー⋯⋯マジか。そうだよな、女の子にも性欲あるっていうもんね⋯⋯。
「本気かよ⋯⋯」
ちょっと予想外過ぎて、思わず頭を抱える。俺が行きたがらなさそうなカフェにでも連れていかれるぐらいだと思っていたのだ。
「っていうかするだけなら家でよくない?」
「はぁ⋯⋯。分かってないですね」
何か思いっきり呆れられてしまった。
しかし俺の提案の通り身体を重ねるのに適した場所は、わざわざお金を払わなくとも確保できているのである。コスパ云々の話をしだすと更に呆れられそうだから、決して口には出さないが。
「⋯⋯嫌でしたか?」
そう覗き込んでくる目には、微かな不安がのっている。
嫌かどうかなんて聞き方は、ちょっとずるい。言わずもがな、嫌なわけがないからだ。
俺が答えあぐねていると、いろはふっと口端に笑みをのせ、不意に耳元へと唇を寄せてくる。
「⋯⋯一緒に行ってくれたら、わたし色々頑張っちゃいますよ」
「──っ」
はっとして身を引くと、いろはは「あはは」と艶やかな息を零す。あ、あどとい⋯⋯。というか小悪魔すぎるでしょ、この子。
「そこまで言われたら、断れんだろ⋯⋯」
「まあ、最初からそうですけどね」
いろはは嬉しそうに笑うと、俺の腕に絡みついてくる。
なし崩し的だが、仕方ない。
いざ征かん、人生初のラブホテル⋯⋯。
* * *
「おーっ、本当にスイッチがいっぱいあるんですねぇ」
なるべくキレイ目のホテルを選んで部屋に入ると、いろはは興味津々な様子で部屋を見渡していた。
やたらと大きなベッドと、その横には派手な赤色のソファ。調度品はそこいらのビジネスホテルより立派だし、部屋も十畳以上はあるかと感じるほど広い。しかしそこが普通のホテルではないことは、ヘッドボードにおいてある個包装を見れば明らかだ。
「あ、やっぱり照明の色が変わるんですね」
いろははポチポチとヘッドボードのボタンを操作すると、急に部屋が薄暗くなる。いろはがスイッチを触るたびに、部屋は青くなったりピンク色になったりと忙しい。
それにしてもいろはさん⋯⋯。ベッドに乗り出して弄っているせいで、僕に生足を見せびらかしているような感じになってしまっているんですよねぇ⋯⋯。
「⋯⋯まあ好きなだけ遊びなさい」
俺は老師めいた口調でそう言うと、ソファに腰を落とした。
ここは一旦落ち着こう。たかが恋人とラブホに入っただけだ。ちょっと生足にムラムラしてしまっただけで、俺はまだ冷静さを取り戻せる。
「先輩」
いろははスイッチ弄りに満足したのか、そう言って俺の隣に腰をおろした。そのままくいと俺の袖を引っ張ってくる。
「⋯⋯一緒にシャワー、浴びますよね?」
あ、やっぱ冷静とか無理。
というかやはりその流れになるんですね。マジで堪えられるのか、俺⋯⋯。
「まあ、お前がいいなら⋯⋯」
「ふふっ。前から言ってるじゃないですか。けっこう本気で言ってたんですよ?」
上目遣いのままくてんと首を倒す姿が、大変あざとくて可愛らしい。こいつ、付き合う前に「なら一緒に入るか」とか答えたら、どうするつもりだったんだろう。
「さ、行きましょう」
いろはに促されて脱衣所に向かうと、そこはやたらに明るかった。ここまではっきりと明るい中で服を脱ぐのは、少しだけ戸惑いがある。
「なんか、ドキドキしますね」
いろはは俺と向き合うと、さっきまでの調子はどこに行ったのか、床を見つめながら言う。やはりいざその時が訪れると、気恥ずかしさがあるのだろう。
俺と目を合わせようとしないいろはは、セーターの裾をぎゅっと握り込んでいた。
「⋯⋯っ。むこう向いてるわ」
「え」
「え?」
んん? と二人で顔を見合わせる。
いったい何だというんだ、その反応。
「いえ⋯⋯。ここはついつい凝視しちゃって、わーって盛り上がるところだと思うんですけど」
「⋯⋯お前、今結構やべぇこと言ってんぞ」
俺が冷静につっこむと、いろはの頬が赤くなってくる。なんだこいつ自分から仕掛けてきたくせに可愛いな、色々反則だろ可愛いな。
「まあ、見たくないならいいんですけど」
いろははそう言うと、俺の前でセーターを脱ぎ始めた。慌てて背中を向けるが、一体何やってるんだろうという気分にもなる。結局いろはの裸は見ることになるし、そもそも見ること自体初めてでもない。
「先に入ってますね」
衣擦れの音の後にいろははそう言うと、カチャと扉を開いてバスルームに入っていく。サァァとシャワーが床を叩く音が聞こえてきて⋯⋯何か普通にエッチする時よりも興奮してきた。やだ八幡ってば素直過ぎるわよ!
俺も裸になると、ふぅと深呼吸をしてからバスルームに入る。シャワーの飛沫と湯気の向こうに、いろはの白い肢体が見えた。
「⋯⋯いろは」
「はい」
俺より一回り小さい身体がやたらに愛おしく感じてきて、俺はそう言うと後ろからいろはを抱きしめた。うーん、やっぱりちっとも我慢できる気がしませんね、色々と。
肩越しに覗いた鏡には、いろはの裸身が映し出されている。しなやかな曲線も、柔らかそうな膨らみも、見ているだけで感動してしまうほど綺麗だった。
「身体、洗ってあげますね」
「⋯⋯おう」
いろはは嬉しそうに微笑むと、そう言ってボディソープで泡を作り始めた。
身体を隠すようなことさえしないが、やはり多少の恥じらいはあるらしい。
「はい、いきますよ」
そう宣告すると、いろはは作り出したモコモコの泡を俺の胸板につけた。ボディタオルでその泡を広げていくと、優しく俺の身体を洗ってくれる。
おそらくカップル同士であれば大抵の人が経験することなのだろうが⋯⋯初めてということもあって、感慨深いものがある。あの一色いろはが、あざと可愛い元生徒会長の女の子が、丸裸になって俺の身体を洗っているというその事実。それだけで身体が興奮状態になるには充分だった。
「⋯⋯大きくなってますね」
「いや、そりゃまあ⋯⋯」
俺のペニスはまだ触れられてもいないのに、隠しきれないほど勃起していた。いろはは泡まみれの手を背中に回してくると、ぴったりと身体を密着させてくる。反り返った肉竿の裏筋がいろはの下腹部に擦り付けられ、思わず全身がぶるると震えた。
「わたしの裸、見てるだけで興奮しちゃったんですね?」
耳元で甘い声が囁かれると、脳まで溶かされるようだった。これはえっち過ぎる⋯⋯なんて考えていると、不意にいろはの手が俺の股間に伸びた。
「うおっ⋯⋯」
「こんなに硬くして⋯⋯。興奮し過ぎじゃないですか?」
いろはは蠱惑的な声で言いながら、泡まみれの手で俺の肉棒をしごく。いや、洗っているつもりなのかも知れない。それにしては刺激が強すぎるし、カリと亀頭を狙ってくるのがいやらしすぎた。
「いろは⋯⋯。うぁ⋯⋯っ」
「ふふっ。ほーんと、先輩って身体は素直ですよねぇ」
愉悦すら含んでいるその表情に、びくんとペニスが反応を返した。泡まみれで分からないが、たぶんだらだらとカウパーが出てきてしまっているだろう。
「⋯⋯もう、いいだろ。今度は俺が洗う」
「あ⋯⋯」
その手からボディタオルを取ると、俺はいろはの肩から腕へと泡をつけていく。順番に洗っていくと、どうしても避けて通れなくなるのはその形のいい乳房だ。
「あ、ん⋯⋯っ」
俺は特に断ることなくいろはの胸を洗い始めると、艶めいた吐息が漏れた。どうしても手付きが愛撫のようになってしまうのは、仕方のないことだと思う。
「そう言えば」
俺は自分の手の中でふにふにと形を変える乳房を見ながら、前から聞いてみたかったことを口にした。
「いろはって、何カップあるんだ?」
「ん⋯⋯っ。そうですね」
いろはは俺に胸を揉まれながらも、くすっと笑って見上げてくる。
やたら妖艶な表情に、思わず唾を呑んだ。
「A」
「は?」
「B」
「ん?」
「C」
「ほう」
「D」
「なるほど」
「E」
「マジか」
そんな俺の反応に満足したのか、いろはは「ふふん」と笑って見せる。ああこれ⋯⋯完全に手玉に取られてるやーつ⋯⋯。
「さて、本当は何カップでしょうか?」
「いや、教えてくれないと分かんないんだけど⋯⋯」
答えを求めてそう言ったのだが、くてんと首を倒して誤魔化されてしまった。うーんあざとい⋯⋯。めちゃくちゃ可愛いしえっちぃ⋯⋯。
「まあ、教えてくれないならいいんだけど⋯⋯」
俺はそう言うと、いろはの大事な部分は避けてその太ももに触れた。いろはの前でしゃがみこむと、その綺麗な脚を優しいタッチで洗い上げていく。
「やっ、んん⋯⋯っ。先輩、手つきが⋯⋯」
「別に、普通に洗ってるだけだろ」
手つきがやらしい、とまた思っているのだろう。だがそれは事実だ。できるだけ多くの性感を得られるように、いろはの肌に触れているのだから。
「ん⋯⋯っ。もうだいじょうぶです。いつまで洗ってるんですか」
「いや、まだまだだろ」
いろはは俺の手を止めようとするが、当然それでやめるつもりはない。さっきベッドの上で見せつけられていた生足。それを好きに触れられる貴重な機会なのだから、当然だ。
「も、もういいですから⋯⋯」
「いーや、まだ⋯⋯」
「せんぱい⋯⋯ったら、もうっ」
「うぉっ」
不意にそんな声が聞こえたかと思うと、頭からシャワーをぶっかけられた。
ちょっと調子に乗りすぎたかも知れないが、いろはが魅力的すぎるのが悪いのだ。
「先輩って、ひょっとして変態さんですか?」
「いや、そんな脚してたら触りたくなっちゃうでしょ、普通」
「やっぱり変態じゃないですか」
立ち上がった俺と目を合わせると、いろははちゅっと唇を啄んでくる。たったそれだけの行為で、勃起しっぱなしのペニスがぶるんと震えた。
「身体洗ってただけなのに、もうこんなになってますし」
「うぉ⋯⋯」
いろはの手が、また直に俺のペニスを包んだ。そのままさすさすと擦られて、またもガチガチに勃起した肉竿を刺激されてしまう。
「入れたそうな顔してますけど、まだダメですよ。さすがにゴムは持ってきてないですから」
「おう⋯⋯」
正直今すぐにでも挿入したい気分ではあるのだが、いろはの言う通り避妊なしでセックスはできない。
俺たちは互いに泡を流し合うと、バスルームを出た。いろはは身体から水気を滴らせながら、俺の身体をタオルをあててくる。
「はい。拭いてあげます」
「ああ⋯⋯。なら俺も」
いろはの行動に合わせるような形で、俺もその女性的な肢体をタオルで拭き上げていく。柔らかな肌をわずかでも傷つけないように、ゆっくりと丁寧に。
「先輩、見すぎじゃないですか?」
「見ながらじゃなきゃ拭けないだろ⋯⋯」
たしなめるようないろはの声に、俺はそんなつまらない答えを返す。
いろはの言う通り、全身をまんべんなく拭き上げるその行為は、互いの身体の部分ぶぶんを認識し合っているかのようだった。それが妙にエロチックに感じてしまって、さっきから身体の火照りが収まらない。
二人してバスタオルを巻いて大事な部分だけを隠すと、ベッドルームに戻った。そしていろはは何を思ったのか、ベッドではなくソファに座る。
「はい、先輩も」
「⋯⋯おう」
ポンポンとソファの座面を叩いて促されると、俺はその隣に腰を下ろした。ぶっちゃけ今すぐ押し倒したいぐらい興奮しているのだが、いろはの意向は無視できない。
「なーんかこうしてると、本当にラブホに来たんだなって感じがしますね」
「まあ、そうだな」
恋人とシャワーを浴びて、こうして半裸で同じ時を過ごして。確かにラブホテルという行為を目的にする場所に来たのだという実感はある。
こういうところに来る初めての相手がいろはになるとはなぁ⋯⋯なんて童貞だった頃に思いを馳せていると、不意にいろはは俺の胸に耳を押し当ててきた。
「⋯⋯何してんの、君」
「先輩、すっごい心臓ドキドキいってますよ」
どうして急にそういう可愛いことしちゃうのかなぁ、この子⋯⋯。
マジで襲いかかってやろうかと思っていると、何を思ったかいろはは俺の乳首を舐めた。
「うぉぉ⋯⋯っ」
「あはっ♡ やっぱり先輩、身体だけは素直ですね」
いろはは眼下で妖艶な笑みを浮かべると、ちろちろとその小さな舌で愛撫を続けてくる。ついでと言わんばかりにその白い手が俺の股間に伸びて、バスタオルの上から固くなったモノを擦り上げてきた。
「お、おい⋯⋯」
「言ったじゃないですか。わたし色々頑張りますよって」
確かに言っていたが⋯⋯バスルームでお預けを食らっていた状態の俺にとって、その刺激は強すぎる。
しかし、いろはにとってそんなことは関係ない。バスタオルを脱がしとってくると、ブルンッ! と元気よく肉竿が弾け出た。
「うわ⋯⋯。もうガッチガチですね」
いや、ガッチガチて⋯⋯。まあそうなんですけど。
いろははそう言いながら、俺のフル勃起したペニスを見つめていた。初めての時に比べて、いろはも慣れたものである。
「先輩って、普段真摯なのにエッチの時になると野獣化しますよね」
「野獣は言い過ぎだろ⋯⋯」
現に襲いかかるギリギリで堪えているわけだし、この状況で理性を保てているのは奇跡に近いと思う。何せ理性の化け物と呼ばれた俺がここまで追い込まれているわけなんだから。
「野獣ですよ。特にここなんて」
「うぉ⋯⋯っ」
いろははそう言うと、俺の肉竿を握って上下に擦り始める。また手コキが始めると、さっきよりも強烈な快感が体中を駆け巡った。
「いつもより大きいんじゃないですか?」
いろはは唇で孤を描くと、情欲を浮かべた目で俺を見ていた。あまりにいやらしすぎるし、俺も興奮し過ぎている。
「んっ⋯⋯」
「うぉ、ぉ⋯⋯ぉっ!」
またいろははチロチロと乳首を舐めてくると、目を細めて俺を見上げてくる。それと同時に、手での愛撫は激しくなっていく。
「あ⋯⋯っ。え⋯⋯」
快感を我慢しすぎた末に、カウパーがびゅんびゅんと飛んでいた。
飛散した先走り液がいろはの手首につくと、驚いたのかその動きを止めてしまう。まるで射精する直前のように膨張した肉竿は、いろはの手の中でビクビクと脈打っていた。
「これ、ひょっとして出しちゃったんですか?」
「いや、まだだけど⋯⋯」
「⋯⋯ですよね。前はもっと濃かったですし」
俺を興奮させられたことに満足したのか、いろははペニスから手を離すとヘッドボードに置いてあったコンドームを持ってくる。ピンク色の個包装を、いろははくるくると回しながら見分していた。
「どうかしたか?」
「いえ。こういうところに置いてあるの、針で穴を開けるいたずらがされていることがあるって聞いたので」
確かにそれは聞いたことがあるし、必要な行為なのだろうが⋯⋯。いろはが男性用避妊具を眺め回している姿というのは、やたらエロチックに感じてしまう。
「大丈夫そうなんで、着けてあげます」
「お、おお⋯⋯」
マジか、とちょっと身構えてしまう。彼女にゴムを着けてもらうというシチュエーション⋯⋯ちょっとえっち過ぎるのでは?
いろはは薄っぺらいそれを取り出すと、裏表を確認した後に俺の分身へと被せていく。くるくるとコンドームが下げられていくたびに、その僅かな快感で肉棒が脈打つ。
「先輩、そのままですよ」
「ん⋯⋯?」
そう言うといろははストンとバスタオルを床に落として全裸になった。ソファに座ったままの俺にまたがってくると、形のいい乳房が目の前に迫ってくる。
「今日はわたしが上になりますね。⋯⋯んっ、あ⋯⋯っ♡」
「うぉ、おぉぉ⋯⋯っ!」
いろはが俺のペニスを握ったまま腰を落とすと、ゆっくりとその膣内へ入っていく。相変わらずいろはの中は俺の侵入を拒絶しているかの如く狭いのに、歓迎しているかのように
「あ♡ ああぁぁっ♡ やっぱり先輩の、大きすぎて入りきりませんね♡」
いろははそう言うと、最奥に到達しても露出したままの根本を見ていた。血管を浮かせた怒張は、いろはに挿入しただけでビクビクと暴れまわっている。
俺たちの身体の相性がいいのかどうか分からないが、いろはの膣内はやたらに気持ちいい。狭くて熱いし、絡みついてくる感触はねっとりと濃厚だ。いつまででも入れていたいぐらい、その快感は凄まじい。
「ホテルに来たら、こういう風にしてみたかったんです」
いろははそう言うと、俺の方に身体を倒してキスをしてくる。そうするのが当然のように舌を絡ませると、上も下も密着した粘膜が溶けていくかのようだった。
「ん⋯⋯っ。はぁ⋯⋯。動きますね」
「ああ⋯⋯」
いつの間にか頬を火照らせていたいろはは、そう宣告すると腰を上下に振り始めた。俺の首に手をまわして、引き抜けるギリギリまで腰を浮かしては重力に任せて落ちてくる。
「あっ ああぁっ♡ 先輩の、すご、いっ♡ ああぁぁっ♡♡」
「くっ、あ、うぁ⋯⋯っ」
ぎこちない動きだったが、その慣れていない様子が可愛らしくていやらしい。いろはが腰を落とすたびに、身体中が痺れるみたいな快感に満たされる。
「あぁ⋯⋯。あんっ♡ 先輩の、すっごい奥まできてます⋯⋯っ♡」
いろはがリズミカルに腰を振れるようになってくると、いよいよ俺は追い詰められてしまう。いろはの中が気持ち良すぎて、ちっとも我慢できそうにないのだ。
「い、いろは⋯⋯。もうちょっと、ゆっくり⋯⋯」
「あぁんっ♡ ダメ、ですっ♡ あぁっ♡ 先輩の気持ちよくて、止まれません♡」
こいつわざと言ってるだろってぐらい痴女めいたことを言うと、いろはは妖艶に顔を綻ばせた。尚も跳ねるいろはの肢体に合わせて、魅惑的なおっぱいが目の前で揺れている。
「いろは⋯⋯っ。マジでやばいから、うぉ⋯⋯っ!」
「あは⋯⋯♡ じゃあ、わたしが先輩をイかせてあげますね♡」
いろははそう言うと、また俺にキスをしてくる。まるで口内を蹂躙するかのように激しく舌を絡ませたまま、腰を振り続けていた。
「んっ⋯⋯。はぁ⋯⋯」
キスが終わって唇が離れると、俺といろはの間に銀糸が光る。艶めく唇も、眼前でぷるんぷるんと揺れまくっている胸も、何もかもが俺を限界の先へと
「あぁ⋯⋯っ! 出るっ! うっ⋯⋯!」
「あぁんっ♡ あ⋯⋯♡」
ビューッ、びゅっ、ビュくぅぅぅっっッ!! びゅぷっ、ドピュッ、ビュルルルルルッ!!
そして呆気なくも、いろはの中で射精してしまう。さっきからずっと締めつけてくる極上の膣が、俺の生殖液を搾り取っていく⋯⋯。
「あぁ⋯⋯っ♡ すっごい、出てますね♡」
ビュルルルゥぅぅっ! どぷっ、ドピュッ、ぶピュゥっ!!
いろはに実況され、俺は顎を逸らしながらその快感に耐えていた。
本当に、どうにかなってしまいそうなほど気持ちいい。いろはの積極的なセックスで俺はバカみたいに興奮しているし、大量に出してしまっていた。
「先輩って」
射精が落ち着いてきた頃合いを見計らって、いろははふっと微笑んだ。
「実は早漏だったりします?」
そう言われて、ちょっとしたショックを受ける。うそ⋯⋯私の射精、早すぎ⋯⋯?
しかし、これではそう言われても仕方がない。いろはと繋がりあってから発射まで、おそらく三分かそこらと言ったところだろう。前にいろはと行為に耽った時も、一発目は暴発だったし。
「⋯⋯違うと思いたいが、否定できん」
「ま、可愛いからいいんですけど」
不思議な表現に「ん?」と首を傾げて見せるが、いろははそれに気付いてか気付かずかゆっくりと腰を上げていく。ペニスがぬるんと抜け出ると、案の定その先っぽには大量の生殖液が溜まっている。
「うわ⋯⋯。またすっごい量出しましたね」
いろははたっぷりと白濁液の溜まったコンドームを脱がし取ると、いつかのように目の高さまで上げて眺めていた。どこかその表情が満足げに見えるのは、気のせいだろうか。
「これって、気持ちいい分たくさん出るんですよね?」
「まあ、そうね⋯⋯。そうなるね⋯⋯」
確かに気持ちよさに比例する部分もあるだろうし、付け加えるならばより興奮した方が出るのだと思う。そんなことを正直に伝えようものなら、いろはのことだから俺のリミットを外しにこようとするに違いない。それはそれで気持ちとしては嬉しいものだし何なら期待しちゃうまであるが⋯⋯。今日は少しばかり、刺激が強すぎる。
「あは⋯⋯。やっぱりまだ大きいままですね」
いろはの見つめた先は、未だに射精するかのようにビクビクと脈打つ肉竿だ。まだ足りないとでものたまうように、何の刺激もないままガチガチに勃起している。
「次は、ベッドがいいです」
「ああ⋯⋯」
いろはの具体的な要望に、俺はこくりと頷きを返す。いろはが先に立ち上がると、俺の手を引いてベッドに向かった。
ヘッドボードには、もう一つコンドームが残っている。いろはがそれにすっと手を伸ばすと、その拍子に指がボタンに当たって部屋がピンク色になった。いろははそれに気付きながらも、そのままベッドの上で俺と向き合う。
「もう一回、着けますね」
「⋯⋯おう」
いやこれ結構恥ずかしいんですけど⋯⋯と思いながらも、その提案をむげに断ることなどできるはずもない。さっきよりも慣れた手つきで避妊具が装着されていくと、僅かな刺激を与えられるたびに肉棒が暴れまわっていた。
そうして挿入の準備が整うと、当然のように目が合う。何か言うでもなく、頷き合うこともなく、俺はそっといろはをベッドに押し倒した。その美しい脚に触れ、ゆっくりと股を開かせる。
「⋯⋯なんか部屋がピンク色なのって、恥ずかしいですね」
「お前がしたんだろ⋯⋯」
恥ずかし紛れの台詞が、さっきまでのいろはに比べてやたらにシャイに感じた。やはり自分で責める時とは、テンションも変わってくるものなのだろう。
そんなことを考えながらいろはの入り口に肉竿の先を擦り付けると、んっと可愛らしい声が聞こえた。俺から目をそらしたいろはの顔を見ながら、ゆっくりと腰を進めていく。
「あ♡ あぁぁ⋯⋯っ♡」
まだ最奥に到達していないというのに、いろはの口からは艶めかしい声が漏れていた。二回目なのだから当然と言えばそうなのだが、いろはの中はすんなりと俺の淫棒を受け入れている。
「は、あぁ⋯⋯。相変わらず、狭いな⋯⋯」
「んっ、あぁ⋯⋯♡ 先輩のも、凄いです⋯⋯♡」
互いの性器の感想を言い合うのは、いつしか気恥ずかしさよりもエロティックさを強く感じるやりとりになっている。こうして行為に耽溺していくのに背徳感を感じる反面、引き返す気もさらさら起きないのだから困ったものだ。
「あぁっ♡ あぅっ♡」
俺が腰を動かし始めると、いろはの可愛い声が間近で聞こえた。両手をついていろはの顔を見下ろし、その表情の変化を見ながら剛直を抜き差しする。
「あぁ、んっ♡ せん、ぱい⋯⋯っ♡」
いろはは俺と目を合わせると、頭の後ろに手を回してくる。そうやって抱き寄せられると、俺たちは上半身を密着させた。いろはの胸の感触を胸板に感じながら、俺は腰の動きだけでいろはの奥を突く。
「あぁぁ⋯⋯っ♡ また、忘れてますよ」
そう言われて身体を起こすと、いろはと視線を合わせた。春情に濡れた瞳が、試すように俺を映し込んでいる。
「えっちの時は、ちゃんと気持ちを伝え合わないと」
「ああ⋯⋯」
俺はそう呟いた後に、もごもごと口を動かした。
分かっちゃいるが、難しい。難しいから、大事なことなのだろう。
「いろは⋯⋯好きだぞ」
「ああぁ⋯⋯♡ はい⋯⋯っ。わたしも大好きです♡」
小刻みに腰を動かしながらそう言うと、いろはは悩ましい声で喘ぎながらそう応えてくれる。
こんな風にいろはから直情的に好きだと言われるのは、確かに悪いものではない。心も身体も丸裸になっているからこそ、素直にその気持ちが受け取れる気がした。
「本当可愛いな、お前⋯⋯」
「あぁぁっ♡ あぅ⋯⋯っ♡」
チュッと頬を啄んで腰の動きを大きくさせると、いろはの喘ぎ声が大きくなる。途端にキュンキュンと膣内の締めつけも増して、性交の快感が一気に膨らんだ。
「はぁ、はぁ⋯⋯。大好きだぞ、いろは」
「ひぁっ♡ あっ♡ ああぁぁ⋯⋯っ♡♡」
言いながらパンパンパンと腰を振り続けていると、いろはは俺に組み敷かれたままビクビクと身体を跳ねさせる。その反応は、軽く絶頂に達してしまったことを示していた。
ふーん⋯⋯これはこれは。なんだか少し分かった気がする。
ひょっとして、いやひょっとしなくてもいろははこういうプレイスタイルが好きなのだろう。何かにつけて俺の気持ちを言葉にさせようとするし、その欲求を満たすことが彼女の性的な満足に繋がるのは、反応を見ていれば明らかだ。
そうであるなら、愛情表現の苦手な俺としても努力するべきなのだろう。愛しい彼女を気持ちよくするためならば、八幡もっと頑張っちゃう!
「愛してるぞ、いろは」
「あぁぁっ♡ あんっ♡ あっ♡うぅぅっ♡ わたしも、ですっ♡ あっ♡ あぅぅぅっ♡♡」
愛を囁きながら腰を打ち付けていると、またもいろはの肢体が反り返った。オルガスムに達しているのに気付きながらも、俺はその動きを止めない。あまつさえキスを耳に、頬に、唇にと落として、いろはの愛欲を満たすことだけを考える。
「綺麗だ、いろは。うっ、はぁ⋯⋯。お前は最高だよ。大好きだ」
「あうぅ♡ あぁぁっっ♡♡」
まるで外国の映画みたいだなんて思いつつ、クサい台詞を浴びせ続ける。それが堪らないとでも言うように、いろはの身体は何度も何度も痙攣するように震えていた。
「イキすぎだろ⋯⋯」
「んあぁっ♡ は、あぁぁ⋯⋯♡ だ、誰のせいですか⋯⋯あぅ♡」
確かにさっきよりも激しいセックスに興じてはいるが、明らかにいろはの絶頂のペースは早かった。俺に早漏なんて言えないぐらい達しているし、そこに至るまでの時間が短すぎる。
「世界一可愛いな、いろはは」
「あうぅぅ⋯⋯っ♡♡」
そう言いながらズンッ! と剛直を突き入れると、いろはは顔を仰け反らせながらまた絶頂に達する。さっきからイキっぱなしの膣内は、容赦なく俺の肉棒を締めあげていた。不随意に蠕動するその奥深いところは、俺の精液が出てくるのを口を開けて待っているようにさえ感じられる。
「はぁ、はぁ⋯⋯っ。いろは⋯⋯」
「せん、ぱぁいっ♡ あっ♡あっ♡んっ♡ あぁぁ♡ んぅ⋯⋯♡」
俺は堪らず、いろはの唇を奪っていた。
それだけに飽き足らず、舌をねじ込んでその口内を蹂躙する。上半身を密着させ合ったまま腰をぶつけ合って、お互いの性器から最上の快感を貪り合う。
「は、あぁ⋯⋯。いろは⋯⋯っ、そろそろイクぞ⋯⋯っ!」
俺はいろはの反応に焚き付けられるように、腰の動きを激しくさせていく。ここまで淫らな反応と強烈な快感を与えられては、二回戦目だとしてももう堪えきれなかった。
「はぁぁ♡ あぁっ♡んっ♡ せん、ぱいっ♡ あぁっ♡ わたしも、またっ、ああぁぁ~~──♡♡」
ビュルルるるるぅぅぅ!! びゅっ、ビュルルっ! ドピュぅぅぅっ!!
パァンッ! と
「は、あぁぁ⋯⋯っ!」
「す、ごいっ♡ ですっ♡ あぁぁっ♡ また、イクっ♡ い、くぅぅ⋯⋯♡♡」
ドピュぅぅぅぅぅうううっ! びゅるるっ、びゅくんっ! ビュプッ!
いろはの中で射精を続けていると、悩ましくその身体はのたうち回っていた。まるで膣内で射精を受け止めるのが至上の快楽であるかのような反応に、俺も吐精を止められない。
抱き締め合いながらお互いの絶頂が終わるまで、恐らく一分ぐらいだっただろうか。そのたった数十秒が永遠のように長く感じられ、快楽が減衰していくたびに短く感じられる。
「はぁ、はぁ⋯⋯っ。はぁぁ⋯⋯」
「あぅぅ⋯⋯んっ♡」
射精の終わったペニスを、いろはの膣内から引き抜く。案の定ペニスの先にぶら下がったコンドームには大量のザーメンが溜まっていて、ともすれば最初の射精よりも多いぐらいだった。
「先輩、凄すぎますよ⋯⋯」
俺が使用済みになったゴムの口を結んでいると、いろはは手の甲で口元を押さえながら顔をそらした。上下する胸が、やたらに艶かしく感じてしまう。
「しかも、またおっきいままですし⋯⋯」
ちらと向けられたいろはの視線の先で、まるで当然かのように俺のペニスは勃起を続けていた。先程までのいろはの痴態に興奮しすぎて、性欲は満たされることを忘れたようだった。
「ああ⋯⋯。でももうゴムないしな⋯⋯」
ヘッドボードにもう避妊具はなく、俺もラブホに行くと聞かされていなかったから持って来ていない。
今日のところはここまでか⋯⋯と自分を納得させていると、いろはは床においてあった自分の鞄を漁り出した。目的のものはすぐに見つかったのか、はいとその長方形の箱を渡してくる。
「たった二回じゃ、満足できませんもんね?」
「⋯⋯おう」
まったく、こいつは一体どれだけ俺を手の内で転がせば気が済むんだか。
しかしていろはも続きを望むというのならば、俺にはそれに応じる義務がある。
「⋯⋯いいんだな?」
「はい⋯⋯♡」
嬉しそうに返事をしたいろははとんでもなく可愛くて、どこまでも扇情的で。
俺はまた分身に避妊具を装着すると、我慢のきかない野獣へと成り下がるのだった⋯⋯。
* * *
数時間後。
「はぁっ、はぁっ、は、あーっ! 出るっ! いろはっ。また出すぞっ!」
「あんっ♡あんっ♡あんっ♡ あぁっ♡ はいっ♡ 出して、くださいっ♡ あ♡ あぁぁぅっ♡ せんぱいっ♡ 奥にぃっ♡♡」
ビュクビュクビュクゥゥゥゥウウウ! びゅるるるるるっ!!
俺はいつかのように寝バックでいろはに覆いかぶさりながら、その最奥に性欲を解き放っていた。狭すぎるいろはの中で怒張を脈打たせ、びゅくびゅくとスペルマを注いでいく。
「ああぁぁっ♡ いくっ♡ あぁぁっ♡ またクるっ♡ あ♡ あぁぁっ♡♡」
びゅるるるるるっ! ドプッ、ドピュッ、ドプぅっ!!
もはや何度目とも分からぬ絶頂に、いろはは釣り上げられた魚の如く身体を跳ね回らせていた。それを押さえつけるようにのしかかると、これでもかといろはの中に生殖液を注ぎ込む。
「はぁ、はぁ⋯⋯。いろは⋯⋯よかったぞ」
「あ♡ あぁ⋯⋯♡ わたしも、素敵でした⋯⋯♡」
ぬるんとペニスを抜くと、肉竿にコンドームをぶら下げたままいろはの横に寝そべった。
ほとんど休憩すら取らないまま、いろはと繋がり合ってどれだけたったのか。休憩の時間ではとても行為を終わらせることもできず、宿泊に切り替えた後はひたすらに互いの身体を貪り合っていた。
「せんぱぁい⋯⋯」
快感に蕩けた目が俺を捉えた瞬間、いろはがキスをしてくる。溶け合うような深いキスをした後に、ゆっくりと唇を離した。
「好き。せんぱい、大好き」
そう言っていろはは、チュッチュと触れるだけのキスを顔中に繰り返してくる。もはやそこにはあざとさも策略も何もなく、溢れ出してとまらない気持ちの分だけ愛情を注ぎ込まれているようだった。
「はぁぁ⋯⋯」
やがてキスの雨が止むと、いろはは俺の胸を枕にして頬を擦り付けてくる。猫が甘えるような仕草はやたらにいろはに似合っていて、可愛くて堪らない。
追加でもう一回戦⋯⋯といきたいところだったが、今ペニスについているゴムが最後の一個だった。またもコンドームを使い切ってしまった自分の性欲には、呆れるほかない。
「ぶっちゃけ、最高だったわ⋯⋯。もういろはの身体なしには生きれないかも知れん」
「ふふっ⋯⋯。それはわたしもです。先輩とのえっちを知っちゃったら、もう戻れません」
くすりと笑うと、いろははまた触れるだけのキスをしてくる。身悶えしそうなほどのくすぐったさを感じながら、いろはの髪を撫で続けていた。
こんなの繰り返してたらそのうち腰をいわすんじゃないか⋯⋯なんて考えていると、いろはが俺の顔を覗き込んでくる。
「先輩って⋯⋯本当、ベッドヤクザですね」
「ベッドヤクザて⋯⋯」
一体どこでそんな知識を仕入れてくるのかしらこの子⋯⋯。
しかし今日はちょっと興奮しすぎたし、性欲を爆発させすぎた。そう言われても仕方ないぐらい大ハッスルしてしまったし、ちょっと責め立て過ぎたのは事実である。
「先輩は、普段自分でシたりはしないんですか?」
「へ⋯⋯?」
自分でする、つまりは自らを慰めることがあるかということだろう。いろはからそんなことを聞かれるとは思っていなかったから面食らってしまったが、別に隠すようなことでもない。
「いやまあ、するけど⋯⋯」
「へぇ⋯⋯。してるのに、こんな何回もするんですね」
俺が正直に答えると、いろははどこか不満そうな顔をしてそう言った。自分から聞いておいて、何なのその反応⋯⋯。
「決めました。先輩はわたしとえっちする時以外、自分でもしちゃダメです」
「え⋯⋯。いや、は? なんで?」
「だって、自分でする時はえっちなビデオとか観たりするんですよね?」
あまりに具体的な問いかけに、うぐぅと返しに詰まってしまう。
俺とて健全な男子大学生。自慰のお供で最近のお気に入りは部活のマネージャーが童貞を卒業させてくれるいわゆる筆下ろしモノだ。いろはに似た子ばかりで致してしまうのは、この際許して欲しい。
「黙ってるってことは、そうなんですね」
「いや、まあ⋯⋯。さすがにそこまでしなくてもよくない?」
「ダメです。わたし以外の子で先輩が興奮するの、許せません」
「⋯⋯ならいろはのことを考えながらするというのは」
「それはそれでキモいのでダメです」
「えぇ⋯⋯」
ダメだこいつ、横暴すぎる⋯⋯。
ただでさえいろはと体験してから性欲が増強されているというのに、それを自分で開放できないというのはハードモードすぎるのではないだろうか。
「先輩が約束してくれるなら、わたしもっと頑張りますよ?」
頑張る⋯⋯その言葉は、このホテルに入る前にも聞いた言葉だ。そしていろはが
「なら、いろはも」
「え?」
「いろはも、自分でするのは禁止だぞ」
「えー⋯⋯。あー⋯⋯」
いろはが普段オナニーをしているのかどうかは知らないが、俺は確信に満ちた声音でそう告げる。急にうろたえだしたいろはの反応を見るに、どうやら自分で致すことがあったのは事実のようだ。
「ちなみにいろはは、どんな風にしてるんだ?」
俺がそう聞くと、いろははキョトンとした目をしてしまった。いや、この聞き方はちょっと変態すぎるだろうか。でも聞いている中身が完全に変態だからどうしようもありませんね!
「ど、どんな風にって⋯⋯」
「ほら、本読みながらとか、それこそビデオ観ながらとか。⋯⋯どうなんだ?」
具体例を出すと、いろははすーと目をそらして口をもにょらせた。そんな反応を見せられると、より知りたくなってしまう。
「言ってくれなきゃ、約束はできんなぁ」
「うぅ⋯⋯」
俺とて内容までは暴露していないものの、恥ずかしい部分をさらけ出したのだ。いろはの方も教えてくれなければ、フェアじゃないというものだ。
「い、言っても引きませんか?」
「安心しろ。全てを受け入れる準備は整っている」
俺は適当ぶっこいて言うと、いろはの顔がだんだんと赤くなってくる。これは白状する姿をリアルに想像してしまった時の顔だな? その反応が可愛くて、俺の口端に意地の悪い笑みがのってしまう。我慢しなくてはと思うのだが、それを引っ込めることができない。
「せ、先輩がうちに泊まった後とか⋯⋯ですけど」
「ああ」
戸惑いがちに喋り始めたいろはに、首肯を返して続きを促す。俺が話に出てきたのは意外だったが、ここは最後まで話を聞こうではないか。
「先輩が着ていたパジャマを洗濯する前に、その⋯⋯。嗅ぎながら、自分でしてたりしました⋯⋯」
「お、おぅ⋯⋯」
マジか、この子⋯⋯。なんか思ってたよりガチなやつだったわ。
っていうかいろはす、可愛すぎん? 今度実際にやっているところ、見せてくれないかしら⋯⋯(変態)。
「や、やっぱり引いてるじゃないですかっ」
「い、いや、引いてはいないが⋯⋯。思ってたより乙女だなぁと⋯⋯」
俺がそう感想を言うと、いろはの顔がかぁぁと更に赤くなっていく。全力照れはすになったいろはは、顔を隠すように俺の首筋に額を押し付けてくる。
「い、言いましたからねっ。もうこれで先輩はわたしとのえっち以外で出しちゃダメです。約束ですよ」
めっちゃ早口で言うと、いろははぎゅうぅと俺の身体に抱きついてきた。
当然ながらそんなことをするといろはの胸が押し付けられることになるわけで、せっかく萎えかけていたペニスがにわかに反応する。
「ああ、約束だ」
ぶっちゃけ俺にとって辛すぎる約束になりそうだが、男に二言はない。それにいろはが頑張ってくれるというのなら、それに期待するしかないだろう。
「⋯⋯見ててください」
いろはは不意に俺の首筋から顔を離すと、覚悟の決まった顔で見上げてくる。
その頬にはまだ赤みが残っていて、びっくりするほどその瞳は熱っぽい。
「わたし、もっと先輩を夢中にさせてあげますから」
いろははそう、俺に宣告してくるが。
もう完全に夢中になってるんだよなぁ、と俺は心中独り