お久しぶりです。
クリスマスに合わせてアフターな番外編を用意しました。
お楽しみください!
十二月は東京にとって、眩しい季節のように思う。
深さを増した夜闇には煌びやかな電飾が光り、僅かばかりだが体感気温を上げてくれる。そんな情感豊かな感性を得ることができたのも、隣を歩んでくれる人ができたからかも知れない。
「えっと、何に乾杯します?」
ホテルの高層階。そのディナー会場で、イブニングドレスを着た妻がそう問うてくる。グラスを持つその左手には、指輪がきらりとその存在を主張していた。
比企谷いろは──旧姓一色いろはは、俺の妻である。結婚式なんていう盛大な儀式も経た後だし、戸籍も書き換わっているし、それはもう間違いなく。
「別にメリークリスマス、とかでいいんじゃねぇの」
「じゃあそれで。メリークリスマース」
俺も小声で声を合わせると、シャンパングラスを触れ合わせるフリをする。ドレスコードが指定されているこの店で、実際にグラスを合わせる客は一人としていない。
結婚して初めてのクリスマス、ということもあり、奮発して高級ホテルに泊まることにした。当然と言えばそうかも知れないのだが、客層は俺たちよりずっと上に見える男女ばかりだ。きっと夫婦と思しきカップルから見れば、俺たちは背伸びしている若者として映るのだろう。
「んー、美味しいですね。居酒屋で飲むチューハイとは全然違います」
そんな中であっても、いろはの様子はいつも通りだった。肝が座っていると言えばそうなるのだろう。いろはのメンタルの強さには、昔から舌を巻いていたものだ。
「先輩、どうかしました?」
そんなことを考えながらいろはの顔を見ていると、はてと小さく首を傾げる。どこか幼い仕草は少女だった頃の面影を残していて、郷愁やら可愛らしいやらで頭がバグってきそうだった。
「いや⋯⋯。なんかこういう場所で先輩って呼ばれると、違和感あるな」
考えを直截に語る代わりにそんなことを言ってみるが、いろはの答えはもう分かっている。
「まあ、先輩は先輩ですし」
結婚した直後にも「呼び方は先輩のままなのな」と言ったことがあるが、いろはの答えは今と同じだ。俺とて名前で呼ばれたら呼ばれたで違和感が凄いだろうし、それ以外の呼び名で呼ばれるところをうまく想像できない。親族の前で「八幡さん」と呼ばれるだけで変な声出そうになるからな⋯⋯。
「お待たせ致しました」
こちら前菜の──と続くウェイターの言葉は、聞き馴染みのない単語ばかりであまり頭に入ってこない。給仕を終えたウェイターが辞去した後に、俺たちはカトラリーを手になんちゃらのアンティパストと向き合った。
「あ、美味し」
前菜を一口食べた後、いろはは目を丸くして料理を見つめていた。俺も一口目を嚥下した後、思わずううんと唸ってしまう。
高級レストランという場所は、まれに仕事で使うことがあった。それなりの値段がする料理は色々と食べてきたが、身銭を切って食べるディナーは特別に美味しく感じる。
「先輩」
美味しそうに食事を続ける奥さんを眺めていると、不意に目が合った。いろははうっかり惚れ直してしまいそうな微笑みを俺に向けると、ルージュに彩られた唇を開く。
「ありがとうございます。色々セッティングしてくれて。こういうイベントを大事にするのは、結構ポイント高いですよ?」
「おお⋯⋯。まあらしくないことも、たまにはな」
「別にらしくないなんて思ってないですよ。先輩はなんだかんだマメなところはありますから」
「そうか?」
「わたしがそう思ってるから、そうなんです」
全く、結婚してもこんな調子だから一生勝てる気がしない。まあ年下の奥さんにはこんな関係性がちょうどいい気もするし、不満などあろうはずもないのだ。
「ちなみにもう一言あると百点満点なんですけど、何か分かります?」
いろはは口に運んでいたシャンパングラスをテーブルに置くと、片肘をついて顔を傾けた。
昔の俺であれば気付きもしなくて、気付いたとしても思ったままに伝えることを躊躇しただろう。しかし、今ならばいろはの求める答えはすぐに分かったし、それを実行に移すことだってできるのだ。
「ドレス、よく似合ってる。綺麗だ」
「はい。正解です」
満足そうに言ったいろはの顔がほのかに赤く見えるのは、酒が入っているからか照れがあるからか。
まあどっちでもいいかと、俺は苦笑を返すのだった。
* * *
あれから二時間ほど後のこと。
「大丈夫か?」
ホテルの部屋に戻るなりベッドにダイブした奥さんを見て、俺はそう声をかけていた。
「大丈夫ですよぉー⋯⋯」
すっかり酔いのまわった様子のいろはは、ベッドの上で大の字になりながらそう答える。
一応ちゃんと歩けてはいたから、泥酔ってわけではないだろう。ただ、いつもに増していい気分になっていることは間違いない。
「シワになるから、ちゃんと着替えてからにしろよ」
「んー⋯⋯」
いろははそう唸りながら身体を起こしてくると、傍に立った俺と目を合わせる。ニコッと笑いかけてきたかと思うと、そのまま俺の手を引き倒れ込む。
「うぉ⋯⋯。おい」
「なら先輩が、脱がしてください」
俺の鼻先に触れるだけのキスをしてくると、いろはは蠱惑的な声でそう言った。艶めく唇に目を奪われて、思わずごくりと唾を飲み込む。
「お泊りしに来て、ディナーだけってわけがありませんもんね?」
醸し出される妖艶さに、本当にこいつは年下なんだろうかと疑ってしまう。
しかしまあ、そう言われてしまえば俺の答えは決まっているわけで。
「⋯⋯いいんだな」
「はい。もちろん」
夫婦になったというのに何を今更な問いだったかも知れない。しかしこういう場所柄もあってか、今はその台詞で正解な気がするのだ。
ベッドの上でいろはの身体を抱きしめると、正面からその唇を奪う。最初は
「⋯⋯っ、はぁ⋯⋯。ひとつ問題がある」
「ん⋯⋯っ。なんですか?」
「脱がせ方が分からん」
「もう。スマートじゃないですね」
小さく笑うと、いろははベッドの上で身体を起こす。
「もっとよく見て、先輩の手で探り当ててください」
試すような口ぶりは、なるほど俺を昂ぶらせるのには充分すぎた。
ふわりと抱くように手を這わせて、いろはの着ているドレスを探る。女性らしい曲線をなぞり、肌触りのいい生地に指を滑らせ、金属の感触を見つけ出した。
「⋯⋯正解です」
じぃぃ、とチャックを下ろしていくと、いろははそう言ってまた鼻先にキスをしてくる。そのままドレスを脱がし取ると、見覚えのない下着が見えた。
「こんな下着、持ってたっけか」
「最近買ったんです」
レースのあしらわれた水色の下着は、語弊があるかも知れないが勝負下着というやつだろう。結婚してもまだそんなサプライズを仕込んでくるあたり、いじらしいやらあざといやらで頭が大忙しになる。
「見すぎですよ」
いろはがそう言って身体を隠すように身を捩ると、胸の谷間が強調されてまた目が離せなくなる。
こうして身体を重ねる関係になってもう何年も経つが、いろはのプロポーションは何ら変わっていないように見えた。表情や仕草に艶やかさを覚えるようなった分、年々エロくなっているんじゃないかと思うぐらいだ。
「⋯⋯脱がすのがもったいないな」
「なら今度は、わたしが脱がせてあげます」
そう言っていろはは俺のシャツに手をかけると、焦らすように上からボタンを外していく。ベルトを外す手付きは焦るでもなく丁寧に、しかし着実に一枚いちまいと俺の衣服を剥いでいた。
「もう大きくなってきてますよ?」
「うぉ⋯⋯っ」
俺が下着一枚の格好になると、いろははボクサーパンツの上からその膨らみを愛撫してくる。
いろはは唇を耳に寄せてくると、鼓膜を舐めるような声で言った。
「まるで童貞さんみたいな反応ですね」
「⋯⋯っ」
挑発的な物言いが、また一段と俺の肉棒を大きく膨らませていく。酔いもあるのか一段といろはが艶めかしく感じられて、今すぐ押し倒したくて仕方がなくなってくる。
「んぁ⋯⋯っ♡」
負けじといろはのショーツに手を伸ばすと、可愛らしい喘ぎが耳朶を撫でた。布地越しで分かりにくいが、その中はしっとりと湿り気を帯びてきている。
「は、あぁ⋯⋯」
「ぁっ♡ ん⋯⋯っ♡」
俺はパンツ越しに肉竿を愛撫されながら、いろはの下着の中に手を滑り込ませた。もう少しでその核心に辿りつくというところで、いろはは身を捩って俺の手から逃れる。
「ん⋯⋯っ♡ ⋯⋯口でしてあげますね」
「ああ⋯⋯」
いろははそう言うと、俺から最後の一枚を脱がし取ってくる。やたらに広いベッドで仰向けになると、いろはは下着姿のまま俺の脚の間に入ってきた。
「んぅ⋯⋯っ」
ムクムクと大きくなっている最中の肉棒が咥え込まれると、温かさと気持ちよさで包まれる。
もう何度してもらったか分からない、口での奉仕。いろはは俺の肉竿に舌を絡ませ、時折強く吸い付きながらフェラチオを続ける。
「ん⋯⋯。はぁ、ん⋯⋯っ♡」
「は、あぁ⋯⋯。いいぞ⋯⋯」
「んちゅっ、ん、れろっ、んぅぅ⋯⋯。ふふっ♡ もうカチコチですよ♡ んぅ⋯⋯っ」
いろはは一瞬口を離してそう言うと、また俺の肉棒を咥え込む。情熱的なオーラルセックスはそれだけで果ててしまいそうなぐらい気持ちよく、堪能するには刺激が強すぎた。
「⋯⋯いろは」
俺はそう呼びながらいろはの頭を撫でると、名残惜しそうにペニスから唇が離れていく。興奮した手付きのままいろはの下着を脱がすと、生まれたままの姿になった彼女をベッドに横たえる。
「先輩」
ゴムを取ろうとしたところで、いろはは俺を見上げながら言った。
「前にクリスマスプレゼントは何がいいって、わたしに聞きましたよね」
「ああ⋯⋯」
いろはが指すのは、数週間前のことだ。俺がそう聞いた時、お泊りとディナーが決まっていたからかいろはは何もいらないと答えていたのだが。
「わたしやっぱり、欲しいものがあります」
いろははじっと瞳を見つめてくると、赤らんだ顔に真剣な表情を浮かべる。
今、この状況でそれを言うということは。
なんとなく続きが想像できてしまって、そしてそれは現実になる。
「先輩との赤ちゃん、です」
その言葉は思っていたより強い衝撃となって、俺の心臓を逸らせていた。
昔なにかの拍子で子どもは一人か二人ですかね、なんて話をしていたことはあるが、具体的な家族計画までは話したことがない。
漠然と、そういう時期になればと思っていたが⋯⋯俺とて覚悟が決まっていないわけではない。いろはと一緒になることを決めた時から、彼女と添い遂げるための覚悟は全て済ましてきているのだ。
「ノリで言ってるわけじゃないんだよな?」
「当然です。ずーっと前から考えていたことでした」
いろははそう答えると、覆いかぶさっている俺の身体を抱きしめてきた。耳元で「はぁ」と熱い吐息が溢れ、次第に俺といろはの呼吸のテンポが合ってくる。
「だから今日は、そのままください」
そこまで言われて断る理由が、どこにあるだろうか。
俺は身を起こすと、そっといろはの脚を開く。
「⋯⋯分かった」
すっかりガチガチになったペニスの先を、いろはの入り口に添える。亀頭を擦り付けると確かな滑りを感じて、大した愛撫をしていないのに濡れているのが分かった。
「入れるぞ」
「はい⋯⋯。あ♡ ああぁぁっ♡」
ゆっくりと腰を押し進めると、いろはの中に裸の性器が進入していく。何にも隔てられない、膣そのままの感覚が肉竿を包んでいた。
「は、あぁ⋯⋯」
「あぁ、ん⋯⋯♡ これ、すっごい久しぶりですね⋯⋯♡」
いろはの言う通り、こうして生で繋がり合うのは本当に久々のことだった。
ずっと昔、大学生時代に安全日だからと言って酒に酔った勢いで中出ししまくってしまったことがある。それに猛省して、あれ以来どれだけ興奮しようが酔っていようが、セーフセックスだけは守ってきたのだ。
「ああ⋯⋯。やっぱ生のいろはの中、すごいな⋯⋯」
数年ぶりにもなる生挿入は、もはや初めて入れたに等しい感覚だった。
いろはの膣襞は容赦なくカリ首を刺激し、その膣道はいつもより狭い。見つめ合い、ただ呼吸を合わせているその微かな動きだけで気持ちいいのだ。
「ふふっ♡ やっぱり先輩、今日はまるで童貞さんですね♡」
その言葉が妙にエロティックに感じて、俺はいろはの膣内でビクンと肉竿を脈打たせた。確かに童貞だった頃に戻ったんじゃないかというぐらい敏感になってしまっているし、興奮しすぎている。
「動けますか?」
「⋯⋯ああ」
俺はそう言っていろはに軽くキスをすると、ゆっくり腰を動かし始めた。ガチガチに勃起しきったペニスを抜ける寸前まで引き抜くと、ずぶぶと再び挿入していく。
「あ♡ ああぁぁ⋯⋯っ♡」
そのたった一往復で、いろはは堪らないとでもいった様子で艶めかしい声をあげていた。最奥まで到達すればキュンと膣内が狭くなって、また一段快感の強度が上がる。
「は、あぁ⋯⋯。いろはも、生の方が気持ちいいのか?」
「ん⋯⋯っ、はぁ⋯⋯♡ はい♡ なんか、これが本当のえっちなんだなーって感じです♡」
いろはは俺を抱くように背中に手を回してくると、ふふっと微笑みかけてくる。その表情ひとつにすら昂ぶってしまって、俺の肉竿は膣内でビクビクと跳ね回っていた。
「正直、あんま持たないかも知れん」
「あは⋯⋯♡ 反応みてれば分かりますよ」
どこか余裕のある様子でそう言うと、いろはは俺の背中を擦ってくる。
「別にすぐイッちゃってもいいですけど、ちゃんとわたしも気持ちよくしてくださいね?」
「⋯⋯ああ。分かってる」
つまりそれは、いろはがイけるまでニ度でも三度でも出せということだ。俺とて一度で満足できたためしがないし、最近はタイミングが合わず相当溜まっている。それに付き合ってくれると言うのなら、いろはが満足するまで抱き続けるだけだ。
「先輩」
俺を見上げてくる瞳には、愛情と情欲が
「たくさん、愛してください」
それはありふれた台詞だったはずなのに、鷲掴みにされた心臓がバクンバクンと早鐘を打ち始めた。返事をする代わりに腰を振り始めると、またも強烈な快感に包まれる。
「は、あぁ⋯⋯っ」
「あぁ♡ んぁっ♡ ああぁっ♡」
いろはの膣内を裸のペニスで往復すると、最奥に到達するたびに可愛らしい喘ぎが漏れる。
久しぶりの生セックスは、記憶の中以上に凄まじい。たった一分も動いていないのに射精感がこみ上げてくるほど気持ちよくて、徐々にペースを落とさざるを得なくなる。
「んあっ♡ は、あぁ⋯⋯♡ 生だと、いつもより擦れてる感じがしますね⋯⋯♡」
俺がペニスを突き入れた状態で止まると、いろははそう言って抱きしめてくる。いろはに覆いかぶさる形になって抱き返すと、耳元にキスをしながらまた腰を振り始めた。
「あんっ♡ あ♡ あぅぅっ♡ 先輩のっ♡ 深、いっ♡ ああぁっ♡」
突きれる時はパァンっ! と音が鳴るように早く、引く時は焦らすようにゆっくりと、深くその中を堪能するように腰を動かす。頭の芯まで痺れるほどの快感に満たされながら、求められるがままに彼女を愛していた。
「はぁ、はぁ⋯⋯。いろは」
少しだけ身体を起こして、その名前を呼ぶ。熱っぽい瞳に見つめられると堪らなくなって、俺はその唇を塞いだ。
「んっ♡ ふぅ、ぁん⋯⋯♡ んんっ⋯⋯♡」
舌を絡ませ合いながら、俺はズンッ、ズンッといろはの奥を突く。ねっとりと濃密なセックスは、その濃度が高いが故に射精も近くなってしまう。
「っはぁ⋯⋯っ」
深く長いキスを終えて身体を起こすと、だらしなく開かれたいろはの唇と俺の唇の間に銀糸が引く。その陶然とした表情にまた刺激されてしまって、どうにも我慢ができなくなってくる。
「いろは⋯⋯。最後は中でいいんだよな?」
「ぁん⋯⋯♡ はい⋯⋯♡ 先輩の、中にください♡」
その誘いの言葉で、耳まで溶けてしまうんじゃないかと思った。蕩けた声が、艶めいた唇が、俺から一切の理性を奪っていく。
「は、あぁ⋯⋯。ちなみに今日は?」
「あん⋯⋯♡ 今日は排卵日なので、一番妊娠しやすい日ですよ♡」
一応、と思って聞いてみれば、より一層俺を興奮させる答えが返ってくる。どうにも堪らなくなって、俺は腰の動きを加速させていく──。
「はぁ、はぁ⋯⋯っ。じゃあ、出すぞ⋯⋯っ。いろはの中に⋯⋯っ!」
「あぁっ♡ んあっ♡ はい♡ ください⋯⋯♡ 先輩の赤ちゃん⋯⋯♡」
気付けば一瞬で、パンパンパンと音が響き渡るほど激しく腰を振り付けていた。
いろはの熱く狭い膣内を、全ての我慢を捨てて往復する。満たされていく快感に抗うのを止め、ただ気持ちのいい射精の為だけに尿道に力を入れていた。
「はぁっ、あっ、出る! イクっ!!」
「あ♡あっ♡あ♡ あああぁぁっ♡ わたしも、イキますっ♡ あ♡ あああぁっ♡ 先輩っ♡ せんぱいぃぃっ♡♡ たくさん、中に♡ あああぁぁっ~~──♡♡」
びゅるるるううぅぅぅっ! ビュッ、びゅくっ! ドピュっ! ドぷぅっ!!
いろはに覆いかぶさったまま激しく奥までペニスを突き込むと、その膣内で射精を開始した。
より深く結合するよう互いに身体を抱きしめ合いながら、いろはの子宮口に向けて生殖液を発射していく。びくびくと別の生き物になったみたいに蠕動する膣内に絞られるがまま、大量のザーメンを注ぎ込んでいた。
「は、あぁぁ⋯⋯っ」
「あぁ♡ あん⋯⋯♡ ふっ、あぁぁ⋯⋯♡ 先輩の、熱い⋯⋯♡♡」
びゅくビュクびゅくっ! ドぴゅっ、びゅ、びゅるるっ! ドピュぅぅぅっ!!
きつく抱きしめ合いながらの膣内射精は、何もかもが今までのセックスと違っていた。
いろはの膣奥で出してしまった精子は、きっと彼女の子宮まで届くのだろう。これで受精したかどうかは分からないが、妊娠を目的にした中出しは頭がおかしくなってしまうほど気持ちがよかった。
「⋯⋯全部、中に出したぞ」
「はい⋯⋯♡ ふふっ♡ これで妊娠しましたかね?」
そう言って俺が身体を起こすと、いろはは微笑みながら肉竿が収まっているあたりを撫でる。その仕草がやたら扇情的に見えて、びくんと肉竿が脈打った。
「やっぱりまだ先輩、満足してないんですね」
俺のペニスが硬くなったままなのは、膣内に入れたままでもよく分かるのだろう。いろははそう言うと身体を起こしてきて、対面座位になる。
「もっとシたいですよね?」
「ああ⋯⋯」
俺はそう答えるといろはの腰に手を回し、彼女もそれに倣う。淫靡に蕩けた顔を見ながら、俺はまた腰を振り始めた。
「んあぁっ♡ あんっ♡ あぁぁっ♡♡」
さっきとは違った角度から膣奥を突くと、いろはは仰け反りながら可愛らしい声で喘ぐ。腰を動かしながらその身体を抱き寄せると、自然と唇同士が重なり合った。
「んっ、ふぅ⋯⋯♡ んっ♡ ああぁぁっ♡♡」
舌を絡ませ会いながら、性器同士を深く結合させて互いに快楽を貪る。もっともっと裸の快感が欲しくて、性の動きは段々と加速していく──。
「はぁ、んっ♡ あぁぁっ♡ せん、ぱいっ♡ あん♡ ちょっと待ってください⋯⋯♡」
その一言にペースを緩めると、いろはは俺の胸板を押してくる。俺がベッドの上で仰向けになると、いろははそこに跨ってくる体勢になった。
「今度は、わたしが動きますから⋯⋯♡」
ああ、と俺が頷くと、いろははゆっくりと前後に腰を振り始める。また違った角度から締めつけられて、快感の強さに腰が浮きそうになった。
「は、あぁ⋯⋯。すっげぇ、気持ちいい⋯⋯」
「あん♡ あんっ♡ ん、あぁ⋯⋯♡ あは⋯⋯♡ 先輩の表情見てたらわかりますよ♡ きっといつもより感じてるんだろうなって」
そう言ったいろはの腰に手を回すと、前後の腰の動きが上下に変わる。途端にぷるんぷるんと乳房が跳ね出して、思わずそれに見入ってしまう。
「ああぁぁ♡ わたしも、先輩の気持ちいいです⋯⋯♡ あっ♡あっ♡あんっ♡ あぁぁっ♡♡」
快楽に酔いしれるいろはを見ながら、その形のいい胸に手を伸ばす。俺がおっぱいを揉み始めると、いろはの膣内がキュンと締めつけを増した。
「うぁ、あぁ⋯⋯。これ、やばいな⋯⋯。すぐイカされそうだわ」
「あん♡ あっ んあっ♡ ふふっ⋯⋯♡ 別にいいんですよ? いつイッても♡」
その笑みはあまりに妖艶で、腰使いは淫猥だった。一気に射精が近くなったのを感じるが、俺には我慢する以外選択肢がない。
騎乗位での快感の強さは、主導権が自分にないところにも依るのだろう。ある種のスリルが俺を高まらせて、過剰なまでに感度が上がってしまうのだ。
「は、あぁ⋯⋯。マジで、やばいわこれ⋯⋯。またイキそうなんだけど」
「あは⋯⋯♡ じゃあ先輩、またわたしと一緒にイキましょう⋯⋯♡」
いろははそう言って手を伸ばしてくると、俺たちは手を重ねて互い違いに指を絡めた。手を引き合うようにしながら俺も腰を動かし始めると、いろはもまた上下の動きを激しくしていく。
「うぁ、ぁあ⋯⋯。いろは⋯⋯っ、出すぞっ。また、中に⋯⋯っ!」
「ああぁぁっ♡ はいっ♡ もっとわたしにください♡ あっ♡ あっ♡ んあっ♡」
パンパンパンと、本能のままのセックスの音がベッドルームに響き渡る。性の衝動も快感も一気にボルテージを上げ、もうこれ以上射精を堪えきれない。
「あぁっ⋯⋯! 出るっ! いろはっ、イクっ!」
「あっ♡あっ♡あっ♡ んっ、あぁっ♡ きて、先輩っ♡ わたしもイクっ♡ イクっっ♡ あっ♡ あああぁぁっ~~──♡♡
びゅるるるるるるるるうううぅぅっ!! びゅっ、ビュクッ! びゅくんっ、ドピュぅぅっっ!!
お互い手を引き合い、求め合うように腰を密着させながら、俺は思いっきり膣内に射精していた。
いろはの膣奥に届くように、重力に逆らって生殖液を射出していく。尿道を濃いものが駆け抜けていく感覚が、二度目の発射とは思えないぐらいの快感を運んでいた。
「あぁぁ♡ 先輩の、また♡ ぁんっ♡ すご⋯⋯♡ あっ♡ 噴水みたい⋯⋯♡ ああぁぁ⋯⋯っ♡♡」
びゅぷっ、びゅるるるるるっ! びゅるるっ、ドピュッ、びゅクゥッ!!
いろはは俺から中出しを受けながら、ビクンビクンと背中を仰け反らしながら絶頂に達していた。
ぷるぷると快感に震える乳首が堪らなくエロティックで、俺は視覚からの興奮だけでまたビュッと追撃射精をしてしまう。亀頭のまわりが精液で満たされていくのを感じながら、俺は快楽のままにペニスを脈打たせていた。
「はぁ、はぁ⋯⋯。やっぱ、生はヤバいな⋯⋯」
「ん、あ⋯⋯♡ ふふっ♡ そうですね♡ でもお陰で、先輩の感覚がよく分かりますよ」
いろははそう言うと、また下腹部のあたりを撫でた。まるで身体越しに俺の竿を撫でられているようで、また興奮してしまう。
「わたしの中で先輩のがぶるぶるって震えた次の瞬間に、いっぱい入ってくるのが分かるんです♡ あー、今先輩と子作りしてるんだなーって思うと、わたしもすっごい興奮しちゃいました」
微かな照れを残しながら、いろははそう言って笑みを零した。可愛らしいやらエロすぎるやらで、頭が沸騰しそうだ。
「先輩」
不意にいろはが身体を倒すと、すぐ目の前に上気した顔が広がっていた。ぴったりと上体をくっつけてくると、俺の胸板に裸の胸が押しつけられる。
「好き」
そう言って、チュッ──と。
俺の唇を
「好き。先輩、大好き。わたし、本当に、おかしくなっちゃうんじゃないかってぐらい、先輩が好き」
まるで子を諭すように頭を撫でながら、いろははそう言って耳元にキスをしてくる。愛情が溢れ出して止まらない、とでも言った行動に、俺の方もおかしくなってしまいそうだった。
「⋯⋯そういうのを、愛してるって言うんだろうな」
「わたしはずっと前から、先輩のこと愛してますよ。先輩は中々言ってくれないですけど」
「それはまあ⋯⋯。うん」
確かにまあ、普段から言っているわけでもなければ睦言の中でも言うのは稀だった。しかし流石の俺でも、言うべきタイミングは分かっている。
「愛してる、いろは。俺も一緒の気持ちだ」
「⋯⋯はい」
いろはは俺に笑みを見せると、また唇を重ねてくる。俺の頭を両手で抱くと、いろはの方から舌を入れてきた。
さっきまでの軽いキスとかではなく、濃厚なディープキス。性欲の扉をこじ開けてくるような積極的な舌使いに、俺の下半身はまた反応してしまう。
「あは⋯⋯♡ 先輩の、ビクンってしましたよ♡」
いろはは絡めていた舌を解くと、淫靡な瞳に興奮しきった俺の顔を映していた。
「ああ⋯⋯。今度はバックがいいんだけど、一回抜いて──」
「ダメです。抜いたら先輩のが溢れてきちゃうじゃないですか」
そう言っていろはは密着させていた身体を離すと、半回転して背を向けた。器用なことに、俺の肉棒を膣内に咥え込んだまま。
「せっかく中に出してくれたんだから、零しちゃもったいないです♡」
「うお⋯⋯っ」
いろははそう言うと、俺に背を向けたまま軽く上下に腰を振ってみせた。
思っていたよりも強い快感が身体を駆け抜けて、一瞬このまま続けるのもありかと考えてしまう。しかし、いろはにばかり動いてもらうのもフェアじゃない。
「いろは⋯⋯っ」
「やっ、ぁん♡」
俺は身体を起こしていくと、いろはを四つん這いにさせる。形のいい尻の向こうに裸のペニスが入っていることを認めると、俺はいろはのくびれを持って腰を振り始めた。
「は、あぁ⋯⋯。もう一回、中に出すからな⋯⋯っ」
「あぁん♡ はい♡ 赤ちゃんできるまで、中に出してください♡ あぁっ♡♡」
その言葉がまた俺を刺激して、いろはの中でまたグンと肉棒が大きくなる。
後背位でのセックスは、さっきよりも膣の締めつけが強いような気がした。数の子天井というやつなのだろう、裸のペニスに容赦なくいろはの膣襞が絡みついてくる。
「あぁぁっ♡ あんっ♡ あぁっ♡ 先輩の、奥っ♡ くるっ♡ ああぁっ♡♡」
腰を動かすたびに聞こえてくるいろはの喘ぎ声は、まるで鼓膜を愛撫してくるかのようだった。その声をもっと聞いていたくて、俺はパァンッ! と激しくペニスを突き入れる。
「んああぁぁっ♡♡」
いろはは軽くイッてしまったのか、俺の肉竿を膣内に収めたままびくびくと身体を跳ねさせていた。
腰を引いて結合部を見てみれば、ガチガチに勃起したペニスがザーメンと愛液でコーティングされている。ズブブ、とまたいろはの膣内に収めていくと、また熱い感触が俺の肉竿を包んでいた。
「はぁ、はぁ⋯⋯♡ なんか今日、ヤバいです⋯⋯♡ 感じすぎちゃって、あぁっ♡♡」
「うぁ、あぁ⋯⋯。俺も、すっげぇ気持ちいい⋯⋯」
そう言いながらまた腰を振りを再開させると、いろはの桃尻を撫で上げる。それだけで気持ちいいのか、いろははヒクヒクを尻穴を反応させながら喘ぎ声を上げていた。
数え切れないほど身体を重ねたというのに、今が一番興奮している気がする。一番の理由はこれが本気の生殖行為だからなのは間違いないが、さっきからいちいち可愛すぎるのだ。
「あっ♡ あぅっ♡ んあぁっ♡ んっ、ふぅっ♡ ああぁぁっ♡♡」
頭の中をいろはのことでいっぱいにさせながら、彼女の最奥を突きまくる。
多分これは本当に奇跡的で、幸せなことなのだ。子を宿すために最愛の人と交わって、最上の快感と幸福感に包まれる。興奮しているのに心の芯は温かく、込み上げてくる愛しさが止まらない。
「は、あぁっ、はぁ、はぁ⋯⋯っ。いろは、そろそろイクぞ⋯⋯っ!」
「んあっ♡ はぅ♡ んんあぁぁっ♡ はいっ♡ またいっぱい中にください♡ たくさん、出して欲しいですっ♡」
その返事を聞き届けると、俺はもう何も我慢できずに激しく腰を振り始めた。
際限なく増していく快感と、全てを忘れ去ってしまうような多幸感。完全にいろはの虜になって、ただひたすらに俺は彼女を求めていた。
「はぁ♡ あんっ♡ せん、ぱいっ⋯⋯♡」
いろはは俺を呼びながら、こちらを振り変える。蕩けた表情のまま俺を見ると、美しくも妖しい笑みを浮かべた。
「今日でわたしを、妊娠させてくださいね♡ 元気な赤ちゃん、産みますから♡」
その台詞が今まで一番深く刺さって、俺は全ての我慢を諦めた。こんなのもう、エロすぎるに愛らしすぎる。
「は、あぁっ、いろはっ!」
「んああぁっ♡ んっ、あぁっ♡ 先輩っ♡ せんぱいっ♡♡ ああぁぁっ♡♡」
全速力で腰を振り始めると、もう耐えられないとでも言うようにいろははベッドに突っ伏した。寝バックの体位になってもなお、いろはの最奥を突き続ける。
「はっ、はっ、はぁ、はぁっ⋯⋯! いろはっ、出すぞっ。全部、中にっ⋯⋯!」
「ああぁぁっ♡ はいっ♡ 中にくださいぃっ♡♡ わたしの、あんっ♡ 赤ちゃんの部屋に、いっぱい精子くださいっ♡♡ あっ♡あっ♡ ああぁぁんぁぁぁっ~~──♡♡」
ビューッ、びゅっ、ビュくぅぅぅっっッ!! びゅぷっ、ドピュッ、ビュルルルルルッ!!
パァンッ! と奥深くまで腰を打ち付けると、いろはの熱い胎内に向けて射精を始める。
本当にもう、ダメになってしまうぐらい、いろはへの膣内射精は気持ちいい。またも絶頂に達しているいろはの膣はひたすらに狭く、精液を搾り取ってくるかのようだった。
「ふっ、は、あぁ⋯⋯っ。いろは、まだ出るぞ⋯⋯っ!」
「んあぁっ♡ あぅ、ふっ♡ んんああぁっ♡ 先輩の、いっぱい♡ あ、つい⋯⋯っ♡ ああぁっ♡♡」
ビュルルルゥぅぅっ! どぷっ、ドピュッ、ぶピュゥっ!!
いろはの尻に腰を押し付けながら、何度も何度もその膣奥に子種を注ぎ込んでいく。いろはは寝バックで押しつぶされるような体位のまま、びくんびくんと背中を反らしていた。
これでいろはは、俺の子を妊娠したのだろうか。そうであって欲しいと思うと同時に、もっとこの行為に耽っていたいとも考える。
「はぁ、はぁ⋯⋯♡ ん、あぁ⋯⋯♡」
いろはは俺に覆いかぶさられたまま、肩で息をしながら身じろぎする。後ろから見えた横顔は淫蕩の限りを尽くした後のように艶めかしく、唇と頬に髪が張り付いていた。一向に目を開けないところを見るに、軽く飛んでしまったらしい。
「先輩、んっ、あ⋯⋯っ♡」
俺がペニスを引き抜くと、いろはの膣口からコプッと中に出した精液が逆流してくる。連続三発分の精液は大量で、孕ませるのに充分なほど濃厚だった。
「ぁん⋯⋯♡ どうして抜いちゃうんですか⋯⋯♡」
いろははこれ以上精液を溢れさせないようにか、股を閉じる。しかし、太ももを伝う生殖液が流れを止めることはない。
「んなこと言われても⋯⋯」
ずっと入れたままで過ごせるわけでもない。そう続けようとした矢先に、いろはは俺を目だけで振り返りながら言った。
「もぅ。今日は入れてもらったまま寝ちゃうつもりだったのに」
あまりに現実感がないのに魅力的な提案に、またびくんとペニスが脈打つ。そんな夜を過ごせたのなら、どれだけいいだろうか。
「これで赤ちゃんできたと思いますか?」
いろはの横に寝そべると、いろははチュッと俺の鼻先にキスをしてから聞いてくる。
「さあな⋯⋯。あんま期待しすぎると、出来てなかった時のショックがでかいぞ」
「別に、そのぐらい大丈夫です。妊娠するまでするだけなので」
そんな現実的すぎる俺の回答など気にした様子もなく、いろははそう言い放った。俺の頬に手を当てると、慈しむように親指の腹を滑らせた。
「今度からえっちの時は、ゴム禁止ですよ? 赤ちゃんが出来るまで、出す時は全部中にくださいね」
その提案はあまりにも扇情的で、勃ちっぱなしだったペニスがびくんと反応する。腹に伝わった感覚でそれがわかったのだろう、いろはは俺の下半身を見ると艶笑を浮かべていた。
「今日はもっと、出してくれるんですよね? わたしの中に」
「⋯⋯ああ。もっと、な」
そんな風に誘われて、もう我慢も何もできるはずがない。
だから、俺たちは──。
「んあぁっ、あんっ♡ 先輩の、さっきよりおっき♡ ああぁぁっ♡」
「あんっ♡あっ♡あ♡ ああぁっ♡ 先輩、出してっ♡ またいっぱい中に♡ ああぁっ♡♡」
「あぁぁ⋯⋯♡ これ、すごい、です⋯⋯♡ 一番奥にキスしながら、先輩のがビューッ、ビューッって♡ ああぁっ♡♡」
「あ♡あっ♡あっ♡ あぁぁんああぁぁっ♡♡ はい♡ くださいっ♡ 絶対今日で、あぁんっ♡ 先輩の赤ちゃん妊娠します♡ 先輩♡ せんぱぁいっ♡ わたしを受精させてくださいっ♡♡」
「んんっ、はぁぁっ♡ んあっ、ふっ、んああぁぁっ♡♡ いっぱい、出て、る⋯⋯♡ ああぁぁっ♡♡」
「先輩っ♡ せんぱい♡ 先輩っ♡♡ 中っ、なかぁっ♡ 中がいいんですっ♡ わたしの中っ♡ せんぱいのでいっぱいにして⋯⋯♡ 赤ちゃんください♡ あっ♡ あっ♡ ああぁぁ~~──♡♡」
だから俺たちは何度も何度も、求め合い愛し合う。
新しい命を宿すまで。あるいはその後も、ずっと──。
* * *
その目覚めは、微かなベッドの揺れとともにやってきた。
「ん⋯⋯っ」
暖房の効いた部屋には、カーテン越しの朝日が届いている。眠たい目を擦りながら目蓋を開いていけば、真正面から俺を見ている愛妻の顔があった。
「おはようございます」
「⋯⋯おぉ。おはよ」
どうやら俺が目覚める前からこちらを眺めていたらしいいろはは、そう言って柔らかく微笑んだ。
いつもと違うベッドの上で、裸身のいろはは大事なところだけを布団で隠している。まるで女神が寝そべっているみたいだなんて考えると同時に、昨晩のことが頭の中に呼び起こされていた。
「ぐっすり寝てましたね」
「まあ、そりゃな⋯⋯」
昨日は子どもが欲しいといういろはに応えるために、ひたすらハッスルしていたのだ。それは至高の時間でもあったわけだが、流石にまだ疲れが残っている。
「いろはは大丈夫か?」
「何がですか?」
色々やり過ぎちゃいなかっただろうかと思って聞いてみたのだが、質問に質問が返されてしまう。
「いやまぁ、身体とか」
「あー⋯⋯。まあ激しかったですけど、いつものことですし」
そう言っていろはは、俺の頬を突いてくる。可愛らしいやら気恥ずかしいやら、まるで結婚する前に戻ったかのようだった。
「それより先輩。昨日、わたしが言ったことは覚えてますか?」
「⋯⋯ああ。覚えてる」
いろはが指していることは、俺の中で一つしかなかった。
妊娠するまで、避妊は禁止。今思い出してもその言葉の意味は、俺を昂らせるのに充分すぎていた。堪らずいろはを抱きしめると、彼女もまた抱き返してくる。
「あのー⋯⋯」
顔が見えなくとも、いろはの言いたいことは分かる。
下腹部に当たっている硬いものの感覚は、何なのかということだ。
「チェックアウトは、十一時までだったよな」
「そうですね」
いろははそう言うと身体を少しだけ離して、ちゅっと俺の唇を啄んでくる。
視界いっぱいに広がる、可愛らしくもあざとい笑み。それは出会った時から、何も変わっていないように思えて──。
「たくさん愛してくださいね?」
──俺はきつく、愛しい人の身体を抱きしめるのだった。