※この作品はR-18です。

その悲鳴が地上に出ることはない   作:片倉

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救いなどない



アイズ・ヴァレンシュタイン
捕獲


 

ここは迷宮都市オラリオ。ダンジョンと呼ばれる地下迷宮の上に築き上げられた巨大都市。

 

そこには下界に降りた神が神の恩恵を与えた人々を集めファミリアと呼ばれる組織を結成している。ダンジョンの攻略を目指す探索系、物を売って商売をする商業系、武器などを作る鍛冶系などファミリアによって様々なことをしている。

 

そんなオラリオには最近不可解な事件が起きる。それは冒険者がダンジョンにて失踪し、死んでしまうことだ。

冒険者がダンジョンで死ぬこと自体は何も珍しくはない。不可解なのはパーティとして何人かと一緒にいても少し目を離した隙に人が突如として姿を消してしまうのだ。

 

最初はモンスターに襲われて殺されたのではと言う者もいたがそれはない。神の恩恵を授かった者が死ぬと神血を通じて恩恵を与えた神はその者が死んだことがすぐに分かる。すると失踪した日から死ぬまで数日ほど間が開いていたのが分かった。モンスターに襲われたのならば失踪した日に死んでいるはずだからそれはありえない。

 

誘拐やダンジョンに飲み込まれたなど様々な考察がなされたが、失踪した階層、所属するファミリア、年齢、種族、レベルなどがバラバラだったため原因などを突き止めることはできず、次は自分ではないかと一部の冒険者は恐れている。

しかし失踪する人たちには共通点が1つだけある。

 

 

 

  それは全員が女性であることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー11階層

 

 

 ザッ、ザッ

 

ここはダンジョンの11階層、常に霧が立ち込め、木や植物までもが白色に染まっている不思議な場所だ。まだ早朝のためかモンスターの数は少なく、冒険者は足音を出している人物を除いて誰もいない。

そんな場所を早朝にも関わらず1人で歩いているのは数多くあるファミリアで最強の一角を占め、ダンジョンの攻略を目指している探索系ファミリアのロキ•ファミリア、その中核を担っているヒューマンだ。

 

(誰もいない………)

 

彼女の名はアイズ・ヴァレンシュタイン。金髪金眼の16歳で神をも魅了する美貌を持ち、剣の腕もかなり高くそれも相まって剣姫の二つ名がつくほどの強さを誇る冒険者だ。神や冒険者の間でも名を馳せていて人気も高く、もはやオラリオで彼女の名前を知らない人などほとんどいないだろう。

 

(どこまで行こうかな……夕方までに帰らないとまた怒られるし……)

 

アイズは特に目的もなくダンジョンを歩いている。上層のモンスターはレベル1の冒険者にさえ倒されるほど弱いためレベル6であるアイズにはあまり近づいてこない。そのためアイズはダンジョンに入ってから剣を抜くことなくここまで来ていた。

 

(ベル、どんどん強くなってる………負けてられない……でも………)

 

そんな彼女の頭の中はある少年のことでいっぱいだった。アイズはあることがきっかけで別のファミリアに所属しているベル・クラネルという少年と手合わせをしているのだが、彼の素直な性格もあってか上達のスピードは常人より遥かに早い。

 

(どうすれば、あの子みたいになれるの………)

 

アイズは密かに焦っていた。手を合わせていくうちに、いずれ私はほとんど歳も変わらないこの子に抜かれてしまうのではないかと。日々強くなっていくベルと比べて成長の遅い自分に歯痒い思いをしていた。だからこうして休日にも関わらず早朝からダンジョンに潜っていた。

 

(………? なんだか、いつもより霧が濃いような………?)

 

しかし一つのことばかり考えすぎて周りが見えていなかったアイズはいつもより霧が濃いことに気づいたのは11階層に着いてから随分後のことだった。いくらいつもファミリアでの遠征で通っている上層、そしてレベル6の冒険者とはいえダンジョンではそういった少しの油断が命取りになる。

 

「あ……れ………?」

 

突然アイズの視界が傾く。アイズは体勢を整えようとするも足に力が入らず倒れてしまう。

 

(か、身体が……まさか………!)

 

身体が痺れる感覚にアイズはようやく気づいた、霧の中に有毒なガスが含まれていることに。ダンジョンから出たものか人為的なものなのかは分からない。それよりも一刻も早くここから逃げなければ。しかし走ろうとするも身体をうまく動かすことができない。

 

「ゔっ!、かふっ!」

 (ま、ずい……)

 

そうこうしているうちに毒が回ってきたのかアイズは血を吐いてしまう。その間にも霧は濃くなっていきアイズの身体を侵食していく。いくら多少毒の耐性があるアイズでも長時間晒されては身体はもたない。

 

「ゴホッゴホッ!」

(くるし………はやく……にげ、ないと………)

 

アイズは片手で口を覆い、身をかがめながら出口へと向かおうとする。

 

 

 

 ドサッ

 

しかし気づくのがあまりにも遅かった。

 

「ぁ………ぅ……ぁ……ッ……ぁぁ……」

 

それよりも先に身体が限界を迎えてしまいアイズは地面に崩れ落ちた。必死に手足を動かそうとするも力が入らない。

 

(……だ………め…………………)

 

最後の力を振り絞り出口に向かって手を伸ばすもその手が届くことはなく、意識は闇へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 ビクッ、ビクッ

 

アイズの意識がなくなってから数分が経った。うつ伏せのまま身体を痙攣させていることから毒がまだ猛威を振るっていることが分かる。さらに口の端から流れている血の匂いに反応したモンスターが周りによってきた。このままだとモンスターに喰い殺され、骨すら残らないだろう。

 

 

そして一体のモンスターがアイズに襲い掛かろうとした、その時。

 

 

「…………死んでないよね」

 

 

いきなり霧の中から声が聞こえるとフードを被った人物がアイズの元に現れた。その姿を見たモンスター達はそそくさとその場を立ち去っていった。

 

コートを着て顔が隠れるくらい深くフードを被ってはいるものの声と体つきから女性なのはすぐに分かる。

 

「………よかった生きてた」

 

女はアイズの様子を見て生きているのが分かりホッとした様子を見せる。すると女はうつ伏せになっているアイズを仰向けにすると、服の上からアイズの腹を触り小声で何かを唱える。

 

「ようやく捕まえた」

 

気を失ったアイズに向けて不適な笑みを浮かべる女。その後2人はダンジョンから姿を消し、これ以降アイズの姿を見たものは誰もいなかった。

 

 

 







初めて書きましたので読みにくい部分もあると思いますのでよろしくお願いします
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