※この作品はR-18です。

ソリテール「百合を咲かせる魔法?」   作:socio

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第1幕 百合を咲かせる魔法
第1輪 死以外の結末


フリーレン「命乞いをするんじゃなかったの?」

 

ソリテール「して欲しかったの?」

 

フリーレン「いいや」

 

閃光に焼かれ私の意識はそこで途絶えた。

それが私の最期の記憶だった。

 

後の時間はただ暗黒だけが支配していた。

 

ソリテール「魔族らしくて面白い最期だったわ」

 

私が負けたのは、私が油断したから。人類の、同胞を信じるという不合理な感情、思考を理解し想像することができなかったから。

 

もし私にも、そんな利害を超えた相手がいたら結果は違っていたのかな?

 

魔族同士で利害を超えて信じ合うこと。駄目だわ、想像できない。だって不合理的だもの。

だけど人類は往々にして不合理な判断や行動をする。そして想像もつかない結果を導き出す。

 

その人類の思考や思想の中でも、最も不合理だと感じていた概念があった。

 

ソリテール「あれはなんていう名前だったかしら? 不合理の極地、種としての矛盾、神への反逆にも等しいもの。時に命さえ奪う」

 

それなのに最も尊ばれる。一輪の花の名に喩えられるもの。

 

ソリテール「そう。その概念の名前は、百合――」

 

女性同士の恋愛を扱う人類の創り出した物語。あまりの尊さに、時に人を死に至らしめるとされる。不可解な概念。

 

ソリテール「もし百合を知ることができたら、人類や魔族を超越できるかもしれないわ」

 

胸が高鳴った。風穴の空けられた胸。体は灰になっただろう。この思索も私が消滅する間際の残響に過ぎない。

それでも私は私が消えてしまうまで、探究への陶酔をやめられずにいた。

 

不意に視界が明るんだ。

 

ソリテール「どうして? ここは?」

 

午後の穏やかな日差し、目の前の丸テーブルには紅茶の入ったカップとポットが置いてあった。部屋の中には、標本と人類の書籍が棚に並んでいる。風が窓を震わせた。海鳴りが遠く聞こえる。

 

ソリテール「ここは造船所跡を再利用した私の研究所」

 

それより私は胸に穴を空けられて、灰となって死んだはず。

 

お気に入りの服も無事。上着がないわ。どこかに無くしたのかしら。クローゼットの中にしまったまま?

 

戦闘の余韻と死の感触を鮮明に覚えている。だけど生きている。無傷で。

 

ソリテール「そういえば人類の話で聞いたことがあるわ。人は死ぬと、天国や地獄に行ったり、無になったりする以外に、別の世界へ転生したり、記憶を引き継いで過去へ遡ることがあるって」

 

理解が追いつかない。不可解すぎて素敵。

 

どういう魔法なのかしら。それとも呪い? とても知りたいわ。だけどそれよりも今は――

 

百合、人類の生み出した至高とされる自己矛盾、その極致を知りたい。

 

私は研究所を後にした。

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