ソリテール「さぁ、百合のためのお茶会の始まりだ」
私たちは食堂に集まり、五人でちょっとしたお茶会にする。テーブルの上には紅茶にクッキーと果物。
私は上座で、左手にアウラ、リーニエ、右手に人間のラヴィーネ、カンネの順に座った。二人の人間は顔色が悪い。温かい物を食べさせて血行をよくしてあげよう。
ソリテール「改めて自己紹介をするね。私は大魔族のソリテールよ。彼女は私の恋人で妹のアウラ。そして可愛い可愛い末の妹のリーニエ。リーニエと私はセックスフレンドなの」
ラヴィーネ「イカれてやがる……クソ魔族が家族ごっこかよ……」
ソリテール「さぁ、君たちのことも教えて」
ラヴィーネ「…………」
カンネ「ラヴィーネェ……」ぽろぽろ
アウラ「お姉様が質問してるのよ、答えなさい」
ソリテール「答えて。それだけ寿命が延びるわよ」
リーニエ「早く食べたい」しゃくしゃく
ラヴィーネ「……ラヴィーネ。三級魔法使いだ。カンネとは幼馴染で同じ魔法学校の出身だ」
カンネ「……カンネだよ……同じく三級魔法使い」ぐすん
ソリテール「素敵。二人はずっと一緒に生きてきたんだね。死ぬ時も一緒だなんて、二人は結ばれる運命だったんだね」
カンネ「ひぐぅ……」ぽろぽろ
ラヴィーネ「カンネを怖がらせんな!」
ソリテール「ふふ。素敵だね、君たち」
ラヴィーネ「そもそも何が目的なんだ? 何が目的で私たちを生かしている?」
ソリテール「言ったでしょ。私は人類の百合について研究しているの。だから実際に、君たちに百合を見せてもらいたいんだ」
ラヴィーネ「……どうして人類の百合を知りたいんだ?」
ソリテール「<百合を咲かせる魔法>を完成させるため」
ラヴィーネ「なんだそりゃ?」
ソリテール「百合を見た人類は尊死するという。人類を滅ぼす魔法だよ。私とアウラは百合の魔法を完成させて、全人類を滅ぼすの」
ラヴィーネ「????」
ラヴィーネ(コイツ本気でイカれてやがる。魔族同士で百合だと? 人類を滅ぼす魔法? てかクソ魔族に正常な思考や発想を求めるのが間違ってるな。魔族は魔族だ)
ソリテール「だから君たちの百合を教えてほしいの」
ラヴィーネ(ここで私たちが付き合ってない、百合じゃないと否定し続ければ、最悪殺される。時間を稼ぐためにも、話に乗っかったフリをするしかねェ)
ラヴィーネ「百合を教えろって、具体的にどうすればいいんだよ?」
ソリテール「二人が愛し合っているところを見せてほしいな」
ラヴィーネ「イカれてやがる……」
ラヴィーネ(つまりコイツは私たちに、目の前でセックスしろって言ってるんだよな?)
ラヴィーネ「どうして私たちを殺そうとしてる奴に、わざわざ見せなくちゃいけないんだよ」
ソリテール「別に従わせる方法はいくらでもあるよ」
ラヴィーネ「<服従させる魔法>で強制的に百合をさせても、それは百合にはならないぞ。百合っていうのは誰かに強制されてするもんじゃない。自分たちの意志で選び取ったことだから、百合は尊いんだ」
ソリテール「君は百合について詳しいみたいだね」
ラヴィーネ「少なくともテメェよりはな」
ラヴィーネ(うまく興味をもたせられた)
ラヴィーネ「私たちを拷問して、百合をさせても無駄だぞ。テメェは一生、百合を理解することはできない」
ソリテール「随分と強気だね」
ラヴィーネ「二人の少女が純粋に愛し合うからこそ百合は美しいんだ」
ソリテール「君たちは愛を知っているんだね」
ラヴィーネ「……ああ」
ソリテール「君たちの愛を、是非私に教えて」
ラヴィーネ「……私たちを解放しろ」
ソリテール「口で約束しても信じられる?」
ラヴィーネ「無理だな。テメェらクソ魔族の言葉は人を欺くためのものだ。信用できねェ」
ソリテール「だったら平行線だ。強制した場合、本当に百合にならないか、君たちで実験するとしよう」
ラヴィーネ「……カンネを解放しろ」
カンネ「ラヴィーネ!?」
ラヴィーネ「私の目の前でカンネを解放し、テメェら三人、もし他にも仲間がいるなら、誰も追わないことを証明しろ」
ソリテール「私たちは三人姉妹だから他にいないわ」
ラヴィーネ「だったら今、この場でカンネを解放し、テメェらの誰一人として追いかけるな。カンネが無事逃げられたことを確信したら、私がテメェ相手に百合をしてやる」
カンネ「何言ってるの!? ラヴィーネはどうなるの!?」
ラヴィーネ「うるせェ! お前は自分が助かることだけ考えろ!」
ソリテール「素晴らしい。君は自分を犠牲にしてでも彼女を助けたいんだね。君なら私により百合を理解させてくれそうだ」
ラヴィーネ「……なら、今すぐカンネを解放しろ」
ソリテール「駄目。私が見たいのは二人の百合だから」
ラヴィーネ「私がテメェを納得させたら、カンネを解放すると約束するか? 私が本当に百合をできると確信したら、私のことは好きにしていいから、カンネを解放してくれ」
ソリテール「うん、いいよ」
リーニエ「え? 私のご飯……」
ソリテール「ごめんなさい。リーニエ。あとでラヴィーネを食べていいから」
リーニエ「うーん……うん、分かった」
ソリテール「お姉様のために我慢してくれてありがとう。大好きよ」
アウラ(この人間、よくソリテールと会話が成り立つわね…もっともどちらも何を言っているか分からないけど……)
アウラ(もしかして、しばらく生かしておけばソリテールの弾除けになる?)
うん。とても実りあるお茶会だった。
定期的に人類を交えて催すのも悪くないかもしれない。
* * *
私たちは、私とアウラの寝室に移動した。
寝台の上にラヴィーネとカンネを座らせる。
ソリテール「さぁ、君たちの百合を私に見せて。アウラもリーニエも、一緒に観察しましょう」
ソリテール「もし百合の魔法が発動しても大丈夫。私たちは魔族だから無害だよ」
アウラ「……え、私の寝室でアレをするの?」
ソリテール「私たちの愛の部屋だからね。愛を確かめ合うならこの部屋が一番だよ」
リーニエ(リンゴうまい)しゃくしゃく
私とアウラ、リーニエの三人は、二人の行為を並んで観察していた。
カンネ「ラヴィーネ、やだよぉ……こんなのやだぁ……」ぐすぐす
ラヴィーネ「いいからお前は私に全部任せろ」
拒もうとするカンネの手をラヴィーネが阻む形で、二人は指を絡ませて手を握り合う。
カンネの経絡はまだ完全に回復していない。ラヴィーネに押されていた。
ラヴィーネ(こんな形で、コイツと……クソっ……)
ラヴィーネ「キスするぞ」
カンネ「やだ、やだぁ……」
ラヴィーネは顔を寄せるが、カンネは首を振って拒む。
ラヴィーネ「いい加減にしろ! これしか生き延びる方法がないんだよ! 嫌でも我慢しろ!」
カンネ「……じゃあ、私のこと好きって言ってよ」
ラヴィーネ「はあ?」
カンネ「こんな形でラヴィーネとキスするのやだよ。ちゃんと好きって言ってほしい……」
ラヴィーネ「……好きだよ」
カンネ「私のどこが?」
ラヴィーネ(面倒くせェな…)
ラヴィーネ「……臆病なくせに、頑張り屋なところ」
カンネ「もっと言って」
ラヴィーネ「隠れてたくさん努力しているところ」
カンネ「もっと」
ラヴィーネ「気配りができて気遣いができるところ」
カンネ「もっと」
ラヴィーネ「笑っている顔が、可愛くて、好きだ」
カンネ「私もラヴィーネが好き」
キスをしたのはカンネからだった。
カンネ「ラヴィーネが好きだよ。こんな形じゃなくて、別の形で伝えたかった……」
ラヴィーネ「私だってそうだ。今は何も考えるな。私に集中しろ」
カンネ「うん……」
ラヴィーネがカンネの服を脱がせていく。
カンネ「恥ずかしい……」
ラヴィーネ「女同士だ気にすんな」
すぐにカンネは下着姿になった。
カンネ「……私の体、変じゃないかな?」
ラヴィーネ「……綺麗だよ」
カンネ「ありがとう」
カンネ「ねぇ、ラヴィーネも脱いで」
ラヴィーネ「ああ……」
カンネ「ラヴィーネも綺麗だよ。肌が、雪のように真っ白だ。羨ましい」
ラヴィーネ「……前から思ってた。カンネのこと、スタイル良いなって。たぶんずっと可愛いと思っていた」
カンネ「私もラヴィーネのこと、可愛いなって、綺麗だなって思ってた」
ラヴィーネ「もっと早く、素直になっていればよかった……」ぐすぐす
カンネ「私だって、私だって……」ぽろぽろ
アウラ「え、こんなのずっと見るの?」
ソリテール「今二人はお互いの愛情を確かめ合ってるの。大事なところだよ」
リーニエ「美味しそうな肉と肉がくっついてて、もっと美味しそう」
ソリテール「リーニエはよく分かっているね。今二人はより愛情を高めあうことで、百合の高みへ至ろうとしているの。ある意味で至高の料理だね」
私たちの寸評に、二人は怯えたようにこちらを見ていた。
ソリテール「気にしないで。続きを見せて」
ラヴィーネ「悪趣味なクソ魔族が。見せてやるから、黙って見てろ」
ソリテール「ラヴィーネは強気だね。とても素敵」
ソリテール「カンネもとても素敵。ラヴィーネのことが大好きなのね。私、二人の愛情をもっともっと見たくなってきた」
ソリテール「ふふ、面白いこと思いついた。こうしよう。先にイった方を解放してあげる」