※この作品はR-18です。

ソリテール「百合を咲かせる魔法?」   作:socio

2 / 48
第2輪 百合を咲かせる魔法

季節は秋だった。大陸北部の木々は赤く色づき始めていた。

 

私は街道を歩く旅人、人間の雌に話しかけた。

 

ソリテール「はじめまして。私は大魔族のソリテールよ。よろしくね」

 

人間の雌「ひいいいい」ジョーーードボドボ

 

ソリテール「大丈夫。怖くないよ。お姉さんと一緒にお話ししよう」

 

人間の雌「あひいっひいいいい」

 

ソリテール「君の名前は? どこから来たの? どこへ行くの? 家族はみんな元気? お父さんとお母さんは? 姉妹はいるの? 恋人は? 好きな人は? 女の子は好き?」

 

人間の雌「ひいっ怖いよう怖いよう」がくがくがく

 

ソリテール「こんなに怯えてかわいそうにね。怖がらなくて大丈夫だよ。一つずつ、ううん、一つでいいから教えて。百合という言葉を知っている?」

 

人間の雌「許してェ殺さないでェェェ」

 

ソリテール「これじゃお話しできないね。そうだ。実際に試してみよう。それがいいわ」

 

ソリテール「初めてキスをしたのはいつ? キスをしたことはある? 相手は男の人? 女の人? 年上? 年下?」

 

ソリテール「ごめんなさい。一遍に聞かれても困るよね。それじゃあ私とキスしよう。そのあと、そのときの心境を是非私に教えて。どんな気持ちになったか、感触がしたか教えて」

 

私は人間の雌の頬に手を添え、その唇に顔を寄せた。

こういう時は目を瞑った方がいいのだろうか。なぜ目を瞑るのだろうか。後でその理由も聞かせてもらわないと。

もうすぐ唇が触れる。

 

人間の雌「ぎゃあああひいいい」ボシュッ

 

人間の雌「……」ピクピクピク

 

人間の雌の頭部が破裂した。

 

ソリテール「んー?」

 

ソリテール「そっか。私の魔力の圧力に耐えられなかったんだ。これじゃ私自身で確かめることができない」

 

ここで思い出したのは、フリーレンが魔力制限していたことだった。

魔力を制限すればキスすることができる?

 

ソリテール「もっといっぱい人とお話しして実験してみよう」

 

私は実験と研究を繰り返した。

 

ソリテール「君の好きな百合物のシチュエーションを教えて」

 

人間の雄A「え? 自分、女装男子じゃないと抜けないんで」ザンッ

 

人間の雄B「百合の間におっさん入れたら売れたわ」ザンッ

 

人間の雌C「人と魔族の異種姦はちょっと無理」ボシュッ

 

人間の雌にキスの実験もしたが全て失敗した。

魔力制限をしても、体の表面に高密度の魔力の膜ができてしまい、触れようとすると破裂してしまう。

 

ただそのうち百合について多くの知見が得られた。

 

百合には、同年代の女の子同士以外にも、年上や年下、年齢差のあるものや、姉妹、母娘などの禁断百合がある。身分差のある貴族と庶民や、姫と騎士の百合もある。種族を超えた人とエルフや精霊の百合もある。エルフ同士もある。

 

人間の雌D「お姉様と呼ばせてください!」ボシュッ

 

血縁関係になくても、義理の姉妹の契約をするものもあった。

また百合による死、これを尊死という。

 

ソリテール「百合は、あまりの尊さに人を死に至らしめることができる概念。これはもはや何らかの魔法、呪いなのかもしれない」

 

ソリテール「百合を発動させる条件は、女の子同士がイチャラブすること。それを見た人が“てぇてぇ”と感じて死ぬことを“尊死”という。興味深いわ」

 

ソリテール「“尊死”とは、どんな心境なのかしら? それが分かったら魔族も死んでしまうの? もし百合の魔法を使えたら、全人類を滅ぼすことができる?」

 

私の興味は尽きない。

もっといっぱいお話ししよう。

 

それとは別に、今がいつなのか分かった。

フリーレン一行が腐敗の賢老クヴァールを倒した頃。

私が死んだ三年前だった。

 

ここで私は、今が百合の魔法を獲得する最後のチャンスだと気付く。

 

百合の魔法は、人型である魔族も使用できる可能性が高い。

しかし絶対条件として一人では発動できない。最低二人必要。ただあまり人数が多いと逆に萎えるらしい。

 

最大の問題は、大魔族である私とキスができる可能性があるのは、魔力に耐性のある人類の魔法使い。あるいは同じ魔族。

 

しかし人類である魔法使いと百合的関係になることは不可能。百合乱暴という概念があるが、百合乱暴で尊死した例は寡聞にして知らない。現時点で分かっていることは、イチャラブでなければ百合の魔法は発動しないということ。

 

また百合を理解できない魔族ではーー百合には無知シチュエーションというものがあるようだが――協力を得ることが困難である。

 

ソリテール「だけど彼女なら――」

 

彼女はまだ生きている。一年後にはフリーレンに滅ぼされてしまう、七崩賢の一人である断頭台のアウラ。

彼女となら<百合を咲かせる魔法>を完成させることができる。

 

私はアウラに会いに行くことにした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。