人類が北側諸国と呼ぶ地域。
断頭台のアウラ、彼女は配下を従え、軍勢を率い、人類と交戦状態にあった。
彼女は、いくつかの森と丘を越えたところにある、草原に打ち捨てられた廃城に居を構えていた。
彼女の魔法で服従させた首のない兵士、不死の軍勢が城の周囲を警護している。
争うことが目的ではない。
私は魔力を消して城内に侵入する。
易々とアウラの寝室への侵入を果たした。
アウラ「ちょっと、どこから入ってきたのよ? あなた、魔族よね」
ソリテール「はじめまして。私は大魔族のソリテールよ。よろしくね」
アウラ「誰? 知らないわ」
アウラ(魔力も大したことないわね。制限している? でも五百年以上生きた私が知らないのだから雑魚魔族ね。大魔族である私の前で底を知られないよう、虚勢を張っているだけだわ)
アウラ「何が目的? 何にせよ、ただでは帰さないわよ」
ソリテール「人類の魔法技術を探究するのが私の研究テーマなの。今は百合の魔法について研究していて、君に協力をお願いしにきたの。ねぇ、百合という言葉は知っている?」
アウラ「知らないわ。あと気安く話しかけないでくれる? 私は五百年以上生きた大魔族。あなたみたいな雑魚魔族とは違うのよ」
ソリテール「アウラには百合の魔法を完成させる手伝いをしてほしいの。とっても簡単なことよ。知っている? 百合ってすごいの。見せるだけで人類を滅ぼすことができるの。すごいでしょ?」
アウラ「話聞いてる? ちょっと近付かないで」
ソリテール「ねぇ、アウラはキスしたことある? 魔族同士でそんなことしないか。そもそもキスという行為は知っている? キスってね、自分の唇と相手の唇を合わせるの。なんでそんなことをするのか知っている? 求愛行動らしいの。どう? 面白いでしょ?」
アウラ「怖い。こっち来ないでよ」
ソリテール「何度か人類の雌で試したんだけど駄目だった。大魔族である私の魔力の圧力で、普通の人間は耐えられずに潰れて死んでしまうの。だから魔族同士で実験してみたいんだ」
アウラ「何でさっきからそんな話するのよ? あとこっち来るな」
ソリテール「ごめんなさい。嬉しすぎてつい話しすぎたね。それじゃキスしようか」
アウラ「馬鹿じゃないの? なんでそんな訳の分からないことを……」
ソリテール「キスしたらどんな心境だったか是非私に教えて。そのあとはキスから先のことをしよう。あと私のことはお姉様と呼んで。スール制度という言葉を知っている? 本当の姉妹じゃなくても姉妹になることができるの。素敵でしょ?」
アウラ「近い近い近い! 触るな馬鹿!」
アウラは私を突き飛ばした。
そして服従の天秤を取り出す。
アウラ「<服従させる魔法>! あっち行け!」
服従の天秤。アウラと対象の魂を天秤に乗せ、魔力の大きい方に服従させる。単純で強力な魔法。最強の魔法の一つといっても過言ではない。
しかし完全無欠ではない。
私はあまりにも上手くいきすぎて、嬉しくて笑った。
ソリテール「私の魂を天秤に乗せたね、アウラ」
アウラ(なにこの余裕? 私は五百年以上生きた大魔族、七崩賢の一人よ。きっと雑魚魔族だから<服従させる魔法>を理解していないんだわ)
アウラ「今にわかるわ」
ソリテール「前回の時間軸で君はフリーレンに敗北している。敗因は、制限しているフリーレンの魔力の量を見誤ったから」
ソリテール「それは仕方ないこと。私も残留魔力を調べて実際に戦うまで信じられなかった。魔力を制限するなんて、私たち魔族には理解できないことだから」
ソリテール「だから君は私が制限しているとは思わない。仮に制限していてもブラフだと判断する。でも確実じゃない。ただ私は君の矜持に賭けたの。大魔族である矜持にね」
アウラ(相変わらず意味不明だけど、なぜフリーレンの話? 80年前、退きはしたけど魔力量では負けていないわ。所詮は雑魚魔族。とんだ勘違いだわ)
アウラは勝利を確信したように笑った。
天秤が傾き始める。
アウラの笑顔が引きつった。
ソリテール「今どっちに傾いているの?」
アウラ「ふざけるな。私は五百年以上生きた大魔族だ」
ソリテール「私は君を倒したフリーレンと同等の魔力を持つ大魔族よ」
アウラの瞳にグルグルと渦状の服従の印が浮かび上がる。
アウラは私に完全服従した。
ソリテール「“アウラ、キスして”」
アウラ「ありえない……この私が……」
アウラは私の唇にキスをした。
柔らかくて、甘い味がした。
追伸
アウラ様って五百年前に七崩賢になっているから、五百年以上生きた大魔族のキャッチコピーから察するに、生まれて百年経たないうちに七崩賢入りした超エリート・サラブレッドなんでしょうね。
本編中は、登場期間の割に、大半が回想で埋められててアウラ様の動いて喋っているページって実は少ないんですよね。
その限られたページ数で、激チョロメスガキムーブかますアウラ様はロリBBA可愛い偉大魔族です。