リーニエはアウラの口の中に舌を入れる。
アウラ「ん、んぁ、リーニエ……」くちゅくちゅ
二人のキスを見た兵士たちは動揺する。
スペード「エッチすぎる……」ドキドキ
ダイヤ「なんてハレンチな……」ドキドキ
アウラ「え、なにこの反応?」
クラブ「たまにエロい人もいますが、南側諸国人はエッチィのに弱いんです」ドキドキ
兵士たちの動きが止まる。
その隙を逃さず、瞬く間にリーニエは手練れ三人の秘孔を突いた。
スペード「ヤ、ヤロウふざけやがって!?」ピキピキ
ダイヤ「のわ〜〜〜!?」ピキピキ
クラブ「なんだ、なにしやがった!?」ピキピキ
三人の経絡は遮断された。彼らは全身が硬直し、その場に転倒する。ただ呻き声と罵声を上げることしかできなかった。
リーニエ(賭けだった。<百合を咲かせる魔法>は存在しないけど、一瞬の隙を作る効果はあるみたいだったから)
リーニエ(経絡を破壊する間がなかったけれど無力化はできた。後は、もう一人)
兵士たち「ひいいいいいっ!! 騎士様たちがやられたあああ!?」ザワザワ
兵士たちは総崩れとなる。逃げ出す者、腰を抜かす者、立ち尽くす者がいた。
ハート「ファ〜〜〜ったくカスどもが〜。たった一人の魔族にビクビクしおって、情けないやつらだ!!」
兵士たち「ハート様!?」ワーーーワーーー
兵士たちが歓声を上げる。人混みをかき分けて、肉塊のような巨漢が目の前に現れた。
ハート「グフフフ。久しぶりに活きのいい獲物ですね。殺りがいがある」
他の三人とは違い武器を持っていない。魔法使いという風貌でもない。
リーニエ(徒手の格闘家か?)
ハート「私にあなたの攻撃は効きませんよ。どこからでもどうぞ!」
リーニエは巨漢の秘孔目掛けて打突を放つ。
リーニエ「これは!?」ブニュッ
巨漢の大きな腹に先端が埋まり、引き戻そうにも、そのまま呑み込まれていく。リーニエは手を離し、距離をとる。
ハート「私の体は特異体質でね、外部からの衝撃をすべて柔らかく包み込んでしまうのです。そして――」ブニュブニュ
ハート「むん!!」ボボボン
引き絞った弓から放たれるように、呑み込んだ棍が射出される。
射線上にはアウラがいる。リーニエは咄嗟に剣を具現化し、根を叩き落とす。刃の先が欠け、破片が巨漢の頬を掠めた。
ハート「ち、血〜〜〜!?」
巨漢は激昂し、その顔が赤黒くなる。
ハート「いてえよ〜!!」グオオッ
兵士たち「や、やばい!! あの方は自分の血を見ると正気をなくして殺人鬼になるんだ!!」ワーーーワーーー
巨漢は手当たり次第、周囲の兵士を叩き潰す。その張り手はハンマーの一撃に匹敵した。
リーニエ(厚い脂肪の壁によって、打突の衝撃が秘孔に伝わる前に拡散してしまう。なら――)
リーニエは再び棍を具現化する。
そして巨漢に向かって打突を放った。
リーニエ「あたっ!!」サッ
ハート「なにをバカなことを!!」
その突きは、体表で止められていた。
同様の突きを連続で繰り出す。
リーニエ「あたたたたたたっ!!」ズババババ
ハート「!? に、肉が!?」
体表だけを突くことで、水滴が水面を打ち波紋を広げるように、肉の表面が波打つ。その波と波をぶつけて肉を捲り上げる。
リーニエ「おあたぁ!!」ドカッ
そして剥き出しになった体内の秘孔を突いた。
リーニエ「<星を打つ魔法>の前には、おまえはただの脂肪の塊にすぎん!」
ハート「な、なにをこの〜〜〜!?」ピキピキ
地響きを立てて巨漢が転倒する。
兵士たち「ひいいっ、ひいいいいい!! ハート様がやられた!! 逃げろおおおお!!」
兵士たちは我先にと逃げ出していく。
リーニエ(危なかった……)ハーハー
リーニエはその場に膝をつき、肩で息をしていた。
そのリーニエにアウラが抱きつく。
アウラ「リーニエ、よくやったわ! さすがは私のリーニエね!」
リーニエ「ちょ、アウラ様、苦しい……」
アウラの胸に圧迫され、リーニエは呼吸ができなかった。
* * *
生きたまま無力化した兵士は、雑兵四人と手練れ四人の計八人。
他にいくつか死体が転がっているが、<服従させる魔法>は生体にしか使えない。
兵士たち「助けてェ、殺さないでェ……」もがもが
リーニエ「それで服従の魔法は?」
アウラ「天秤を具現化するのまではできるようになったけど、魔法が発動しないのよ……」
リーニエ「お姉様から逃げることを目的としているから、アウラ様への服従魔法が発動しているんじゃ?」
アウラ「なるべく考えないようにしているんだけど、無意識でも影響するのよね……」
リーニエ「あまり長居すると、他の兵隊が来るかも。さすがに片手だと無理」
アウラ「困ったわね。今日中に五十人ぐらいは欲しかったんだけど」
リーニエ「…………」
リーニエ(本当にこの人は自分の都合ばっかだ。こんなことになった原因も自分なのに)
アウラ「せっかくここまで来て、手ぶらで帰るのも嫌だし……」
リーニエ「お姉様に疑われるかもね。手勢を増やしにいったはずが、一人も増えてないなんて」
アウラ「そ、そうかしら?」
リーニエ「お姉様のことだから、<服従させる魔法>が発動できなかったこと、その原因について気付くか、問い詰めてくると思う」
アウラ「……そうね」
リーニエ「アウラ様は言い訳とか下手そうだから、バレてお仕置きされると思う」
リーニエ(リュグナー様のことまで話しそうで、私もやばいな……)
アウラ「……お仕置きって、何されるの?」
リーニエ「……昨日、ユーベルにした時、言ってたよね。もしアウラ様が裏切ったら、もっと太いのをお尻の穴に入れるって」
アウラ「……あ、言ってた……アレをされるの?」プルプル
リーニエ「それだけで済めばいいんだけど」
アウラ「……う、うぅ……<服従させる魔法>!!」
リーニエ「あ、発動できた」
リーニエ(恐怖心を煽ることでアウラ様自身の服従状態を解除させるのに成功した。私の方がこの魔法に詳しくない?)
アウラ「できたわ! さすがは私! 五百年以上生きた大魔族!! 七崩賢の一人だもの!!」
リーニエ(この人はいつも――さっきまで泣いてると思ったら、すぐにそんなことは忘れて笑ってるし。何食ったらこんなふうになれるんだ)
リーニエ(私が死のうがどうなろうが、自分が無事なら気にもしないだろうな。魔族だから当然だけど)
リーニエ(だけど私は、そんなアウラ様のことが――)