※この作品はR-18です。

ソリテール「百合を咲かせる魔法?」   作:socio

38 / 48
第34輪 ダブルデート①

○食堂。朝。

席配置はソリテールを中心に、右手にアウラ、リーニエ、ユーベル。左手にラヴィーネ、カンネの順に座り、テーブルを囲む。

 

朝食はトーストと目玉焼きとサラダにスープ。

 

ソリテール「おはよう、みんな」

 

カンネ「おはよう、ソリテール。今日は私たちが作ったよ。簡単なものしか作れなくてごめんね」

 

ソリテール「そんなことないよ。ありがとう、カンネ、ラヴィーネ」

 

カンネ「今日は起きてくるの遅かったけど?」

 

ソリテール「ふふ。アウラとしてたら、遅くなっちゃった」

 

カンネ「あ、やっぱり。私も朝しようとしたら、ラヴィーネに怒られちゃった」

 

ラヴィーネ「いちいち余計なこと言うな」

 

カンネ「ごめんごめん」

 

ソリテールは昨夜から姿の見えなかったリーニエに声をかける。

昨日、彼女は左腕を骨折していた。

 

ソリテール「あ、リーニエ。怪我は大丈夫なの?」

 

リーニエ「うん。骨は繋がった。まだ力を加えれば、簡単に折れるけど」

 

ソリテール「そう。気をつけてね。ユーベルに食べさせてもらう?」

 

リーニエ「右利きだから大丈夫」

 

ソリテール「困ったことがあったら、遠慮なく私に言ってね」

 

リーニエ「分かった」

 

リーニエ(魔族なのに気持ち悪い……)

 

カンネ「ソリテールは優しいね」

 

ソリテール「だって私は、リーニエのお姉様だから」

 

ユーベル「魔族の家族ごっこ、滑稽だね」

 

カンネ「そんなことないよ! とても素敵だと、思う」

 

ソリテール「ありがとう、カンネ。さぁ、食事にしましょう」

 

六人は食事を始める。

始まると、ほとんど会話がなかった。

 

カンネ「ラヴィーネ、目玉焼き上手に焼けたね」

 

ラヴィーネ「ああ」

 

カンネ「…………」

 

カンネは居心地が悪く、ソリテールの様子を伺い、話しかける。

 

カンネ「そういえば、もうすぐ収穫祭だね」

 

ソリテール「収穫祭?」

 

アウラ「ああ、もうそんな時期なのね」

 

カンネ「アウラは知っているの?」

 

アウラ「ドラートが木の飾り付けとかしてくれたわね」

 

カンネ「どんな飾りだったの?」

 

アウラ「切断した人類の首を吊るしてたわ。中庭の、一本大きい木があるでしょ? あれに」

 

カンネ「へぇ……」

 

ソリテール「私たちもやろうか」

 

アウラ「そうね」

 

カンネ「待って! 何するつもり?」

 

ソリテール「生首ツリー」

 

カンネ「それおかしいから!」

 

アウラ「どうしてよ? 収穫を祝う祭でしょ? 私たち魔族にとっての収穫は、人類の肉だもの」

 

カンネ「あの、本当は、カボチャの中身をくり抜いてランタンにしたり、仮装したり、美味しいものを食べたり、みんなで楽しむ祭なんだよ?」

 

アウラ「何それ? つまらなそう」

 

ソリテール「いいね。人類の文化や習慣を実際に体験してみたいわ。カンネの知ってる方でやろう」

 

アウラ「本気で言ってるの?」

 

カンネ「やった! あとで教えるね!」

 

ソリテール「よろしくね。それでその収穫祭はいつなのかな?」

 

カンネ「次の満月の日だよ」

 

ソリテール「あと八日後ね」

 

リーニエ(リュグナー様がアウラ様の逃亡を手引きする日か……)

 

アウラ(流れに身を任せるわ。リーニエがなんとかしてくれるでしょ)

 

   *  *  *

 

六人は食事を終える。

 

ソリテール「ところで今日の予定だけど、私とアウラは人類狩りに行こう」

 

アウラ「え……」

 

ソリテール「人類との総力戦に備えて、こちらも手勢を増やしたい」

 

アウラ「それだったら、私とリーニエで……」

 

ソリテール「リーニエは怪我をしているし、この先、危険な魔法使いが現れる可能性が高いから、昨日言った通り、今後は必ず私が同行するわ」

 

アウラ(もしソリテールの前で、服従の天秤が不発になったら……)

 

アウラは青ざめ、俯く。微かに体が震えていた。

 

カンネ「……それって、たくさん人を殺すってことだよね?」

 

ソリテール「結果的にはそうなるね」

 

カンネ、口をつぐむ。

 

カンネ(昨日は止められなかった。ううん、止めようともしなかった。その結果がどうなるかなんて、想像もしていなかった……)

 

カンネ(ソリテールは魔族だけど、人類のことを理解しようとしている。目的はともかく。もしかしたら、ソリテールを止めることは出来るかもしれない)

 

カンネ「ねぇ、ソリテール。それと<百合を咲かせる魔法>は、どちらが優先度が高いの?」

 

ソリテール「<百合を咲かせる魔法>が完成すれば、人類を皆殺しにできるから、不死の軍勢は結果的に不要になるね」

 

カンネ「それなら、<百合を咲かせる魔法>を完成させた方がいいんじゃないの?」

 

ソリテール「できることなら」

 

カンネ、意を決してソリテールに言う。

 

カンネ「ソリテール、ダブルデートをしよう」

 

ソリテール「この間、そんな話をしたね」

 

カンネ「私とラヴィーネ、ソリテールとアウラの四人で、デートしよう」

 

ソリテール「うん。いつしようか? 明日は、少し様子が見たいかな。明後日かな?」

 

カンネ「今日、この後、しよう」

 

ソリテール「今日は不死の軍勢を獲得したいからーー」

 

アウラ「私も賛成……」

 

ソリテール「アウラ?」

 

アウラ「私もダブルデートがしたい……」

 

アウラ(何のことか分からないけど……)

 

カンネ「ラヴィーネ、いいかな?」

 

ラヴィーネは誰とも目を合わさず、冷たい声音で言う。

 

ラヴィーネ「カンネが言うなら、私も賛成だ」

 

ソリテール「…………」

 

カンネ「ソリテール。人類の百合を知りたいと言ってたよね? 人類の百合を模倣することで、<百合を咲かせる魔法>の完成に近付くんだよね? だったら私たちとダブルデートをすることで、人類の百合を知ることができると思うよ」

 

ソリテール「そうだね。でも、今日じゃなくてもーー」

 

アウラ「今日がいい! 今日が! 天気がいいもの!」

 

カンネ「そうだよ! 明日は雨かも知れないよ」

 

アウラ「私、湿気が苦手なの! 髪の毛ボサボサになるから!」

 

ソリテール「そんなに行きたいの?」

 

ソリテール、アウラに微笑みかける。

アウラは問い糺されているような気がして、目を逸らす。

 

アウラ「行きたい、わ……」

 

アウラ(何の話をしているのか一つも分からないけど、なんとか人類狩りは避けないと……)

 

ソリテール「君が積極的に協力してくれて、お姉様は嬉しいよ。ありがとう、アウラ」

 

アウラ「どういたしまして……」

 

ソリテール、少し沈黙した後、カンネを見る。

 

ソリテール「うん。より確実で合理的な選択として、今日ダブルデートをすることが最善手だね。いいよ、しよう」

 

カンネ「やったー!」

 

アウラ「よかった……」

 

ラヴィーネ(カンネのためだ。カンネの考えていることは分かる。ソリテールによる虐殺を防ぎたいんだ。カンネのためなら、どんな苦痛や屈辱でも耐えてみせる……)

 

ソリテール、リーニエを見る。

 

ソリテール「リーニエは怪我しているけど、どうする? カンネ、リーニエがユーベルも連れて行けばダブルデートは成り立つ?」

 

カンネ「トリプルデートだね! 大丈夫だよ!」

 

ユーベル「……反吐が出そう」

 

リーニエ「デートって何?」

 

ソリテール「恋人同士が、より愛を深めるための行為だよ」

 

カンネ「それはそうなんだけど、もっと気楽な感じで、一緒にお出かけして、遊んだり、買い物するの! 楽しいよ!」

 

リーニエ「私はいいや。不死の軍勢に餌やりするから」

 

ソリテール「そう。残念だな」

 

カンネ「また今度、リーニエも一緒に来ればいいよ! これから、何度だって出来るし」

 

ソリテール「ええ。そうね」

 

カンネ「お昼ご飯も、私たちが用意するね! 出来たら一緒に行こう!」

 

ソリテール「ありがとう。よろしくね、カンネ、ラヴィーネ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。