第2日目。月齢7。上弦の月。満月まで後7日ーー
○廃城の食堂。朝。
六人でテーブルを囲む。席配置は昨日同様。
今日の朝食はソリテールが用意した。
配膳もソリテールがした。
ラヴィーネ「…………」
ほんの些細なことだが、ラヴィーネの食器が逆に置かれていた。
ソリテール「ごめんね、カンネ。今日はアウラと人類狩りに行くわ。食糧も減ってきたことだし」
カンネ「まだ<百合を咲かせる魔法>は完成していないし、私たちとデートしようよ……」
ラヴィーネ「カンネ、もうよせ」
カンネ「でも……」
ラヴィーネ「私たちは、城の中でも散策して、デートコースの下見でもしよう。ソリテール、構わないよな?」
ソリテール「ええ、もちろん」
アウラ「私のお城なのに……」
ソリテール「リーニエは留守番してて。まだ怪我が治っていないから」
リーニエ「大丈夫。問題ない」
ソリテール「駄目。私がいる以上、怪我をしている君は来なくていい」
リーニエ「…………」
ユーベル「リーニエ、どうしてそんなに行きたいのかな?」
リーニエ「別に」
ユーベル「アウラと離れ離れになるのが寂しいの?」
リーニエはユーベルを睨みつける。
ソリテール「そうなんだ。リーニエはアウラが大好きなんだね」
アウラ「まあ、当然よね。私のように、誰よりも強く美しい大魔族に仕えているんだから」
リーニエ「別に」
アウラ「なによ! 私のこと好きじゃないの!?」
ラヴィーネ「アウラって面倒臭ェ女だな」
アウラ「あなたには口の利き方を教えてあげた方がいいみたいね」
カンネ「アウラ、ごめん! ラヴィーネも、よくないよ! ラヴィーネはもともと口が悪いの。これが普通だから、許して」
アウラ「ふん!」
ラヴィーネとカンネの所有者がソリテールである以上、アウラもこれ以上強く出られない。
ユーベル(ここにもいい感じの亀裂があるね)
○廃城の回廊。昼前。
ラヴィーネとカンネは廃城内を探索する。
カンネは俯きがちに、ラヴィーネの後ろについて歩く。
ラヴィーネ「まず城内の間取りを把握する。特に地下牢を含む、地下の構造は絶対に調べておきたい」
カンネ「どうして?」
ラヴィーネ「こういう城には、戦争で包囲された際に脱出するため、秘密の地下通路がある可能性が高い。そこから結界の外に出られるかもしれない」
カンネ「そんなこと考えていたんだ」
ラヴィーネ「お前はソリテールと分かり合えると思っているみたいだが、私にはとてもそう思えない。いつ気まぐれに、何をされるか分からない以上、できることはすべてやるべきだ」
カンネ「うん、分かった」
二人は廃城一階の間取りを確認して回る。
カンネ「一つ一つの部屋を見るの?」
ラヴィーネ「ああ。一階の間取りと、地下の間取りを比較したい」
カンネ「どうして?」
ラヴィーネ「たとえば、一階にだけ部屋があって、地下にその空間がなければ、その部屋から別の地下へ繋がる道があるかもしれない」
カンネ「なるほど……」
ラヴィーネ「ただ、思った以上に広いからな」
カンネ「二手に分かれる?」
ラヴィーネ「そうだな。リーニエとユーベルは廃城外の家畜小屋にいる。ソリテールとアウラは、まだ城内にいるか。もしも怪しまれたら、探検していた、迷子になったで、しらを切るぞ」
カンネ「うん、分かった!」
ラヴィーネ「あと、アウラに気をつけろ。一対一には絶対になるな」
カンネ「どうして?」
ラヴィーネ「ソリテールが私たちの安全を保障してくれているが、所詮は魔族、何をしてくるか分からない」
カンネ「ラヴィーネが喧嘩を売るから……」
ラヴィーネ「アウラの沸点を確かめていた。ソリテールの命令に対して、どんなに怒っても逆らえないことが分かった。とはいえ史上最悪の災厄の一つには違いない」
カンネ「お願いだから、危ないことしないで……」
ラヴィーネ「悪かった」
二人は廃城のエントランスに立つ。
カンネ「それじゃ、二手に分かれようか」
ラヴィーネ「ああ。私は左に行く」
カンネ「うん。気をつけてね……」
ラヴィーネ「何かあったら、魔力探知を飛ばせ」
カンネ「いいのかな?」
ラヴィーネ「魔法の使用は禁止だが、魔力探知なら大丈夫だろう。まあ、危険が迫った時だけにしろよ。場合によってはソリテールを味方につけることができる」
カンネ「うん、分かった! またあとでね!」
ラヴィーネ「ああ」
○廃城内の書斎。
ラヴィーネはしばらく歩くと、書斎のある部屋へと入る。書棚と床には、朽ちた書籍が散乱していた。
ラヴィーネ「一人で来たぞ」
ソリテール「ちゃんと合図が分かったんだね」
窓からの明かりを背にした黒い影、ソリテールは言う。
ラヴィーネ「食器の配置を私のだけ逆に並べたら、ここに来いと言ったのはテメェだ」
ソリテール「ふふ。ちゃんと来てくれて嬉しいよ」
ラヴィーネ「脅迫しておいてよく言うぜ。行かなかったら、何をされるか分かったもんじゃない」
ソリテール「それじゃ、始めましょうか」
ラヴィーネ「こんな埃だらけの部屋で最悪だ」
ソリテールはラヴィーネに歩み寄る。ラヴィーネの体は微かに震えていた。
ソリテールはラヴィーネの唇にキスをした。
舌で唇をこじ開け、固く閉じた歯列を撫でる。
ラヴィーネは必死に耐えるが、無意識に顔を逸らそうとする。それをソリテールは両手で押さえ、逃げることを許さない。
しばらく舐め尽くした後、ソリテールは顔を離す。
ソリテール「ふふ。美味しい」
ラヴィーネは嫌悪感に震えていた。
ソリテール「いつまでも戻らないと、不審に思ったカンネが、君を探しに来るかもしれないね」
ラヴィーネ「だからさっさと済ませるぞ……」
ソリテール「私もアウラと出かけないといけないからな」
ソリテールは服を脱ぎ、机の上に座る。
ソリテール「私のことをイかせたら、終わりにしてあげる」
ラヴィーネ「クソったれ……」
ラヴィーネはソリテールの露わになった陰部へ、その指先を差し伸ばす。
ソリテール「口でして」
ラヴィーネ「別に手でいいだろ……」
ソリテール「口がいいの」
ラヴィーネ(問答するだけ無駄か……)
ラヴィーネはソリテールの前に膝をつき、陰部に顔を埋める。
ソリテール「ふふ」
触れた息に思わず声が漏れた。
ラヴィーネは躊躇いがちに、ソリテールの大陰唇を舐める。舌先で裂け目をなぞり、花弁を押し広げて、内側を舐める。
ソリテール「んっ、ふっ……」
ラヴィーネは涙を流した。
ラヴィーネ(カンネ、カンネ……)
目を固く瞑り、恋人のことを想う。
ソリテール「いいよ……上手だよ、ラヴィーネ……」
ラヴィーネ(頼むから黙っててくれ……)
ソリテール「私のことはカンネだと思って。大好きなカンネのあそこを舐めていると思って」
ラヴィーネ(うるせェな……)
ソリテール「ほら、もっと! 奥まで!」
ソリテールはラヴィーネの頭を押さえ、股間に押し付ける。
ラヴィーネ「ん、んんん!」
ソリテール「ちゃんと私のこと、イかせてね」
○廃城内の回廊。
カンネが部屋を見て回っていると、空き部屋を出た際、アウラに遭遇する。
アウラ「何しているの?」
カンネ「アウラ……」
アウラ「その辺の部屋はほとんど使ってないからいいけど、私の部屋には入らないでよ」
カンネ「うん、分かった」
アウラはカンネの横を通り過ぎていく。
カンネはその背を見送っていたが、不意に呼び止める。
カンネ「ねぇ、アウラ」
アウラ「なに?」
アウラが振り返る。
カンネ「まだ出かけないの?」
アウラ「お姉様……ソリテールがどっか行っちゃったから、見つけ次第ね。あなたもあの口が悪いのと一緒じゃないのね」
カンネ「あはは……」
カンネは次の言葉に一瞬躊躇ったが、意を決する。
カンネ「ねぇ、少し話せる?」
アウラ「別にいいわよ」
カンネ「それじゃあ、立ち話もなんだから、どっかで座って話す?」
アウラ「中庭のテラスにしましょう」
○廃城、中庭のテラス。
二人は椅子に腰かけ、向かい合う。
カンネ「ねぇ、アウラはソリテールのことどう思っているの?」
アウラ「どうって?」
アウラ(これ変なこと言うと告げ口されるかも)
カンネ「アウラはソリテールのこと好き?」
アウラ「……好きよ」
カンネ「あ、やっぱり! アウラもソリテールのこと好きなんだ!」
アウラ「やっぱりて何よ?」
カンネ「ソリテールは魔族に愛情はないって言ってたけどね、絶対にアウラのこと好きだと思うんだよね」
アウラ(私だってないわよ……)
カンネ「私はラヴィーネのことが好き。ずっと一緒にいたいと思っている。アウラはソリテールと、この先どうするの?」
アウラ「どうしようもないわよ。逃げることも、逆らうことも、倒すこともできない。服従し続けるしかないわ」
カンネ「逃げられたら、逃げるの?」
アウラの表情が引きつる。
アウラ「さあね。あなたたちだって、逃げられたら逃げるでしょ?」
カンネ「そうだね。だけど、分かり合えたらいいなって思ってる」
アウラ「分かり合う? ソリテールと?」
カンネ「ソリテールもだけど、アウラやリーニエとも、分かり合えたらいいな」
アウラ「不可能ね。あなたは家畜と分かり合えると思う? 牛や豚に、食べないでと懇願されたら食べないの? 代用の鳥や魚も食べられることを拒んだら?」
カンネ「野菜を食べて生活する……」
アウラ「私たち魔族は人類を食べなくても生きていけるわ。だからといって食べない理由にはならない。家畜の言うことを聞く必要なんてないもの」
カンネ「そっか……」
カンネは俯く。
アウラ「私にとって、あなたたち人類は家畜。どれだけ哀願しようと、その日がくれば、私はあなたを躊躇いなく殺すわ」
カンネ「……だけど、誰かを大切に想う心があれば、私たちは一緒に生きていけると思うよ」
アウラ「理解不能だわ。だって私は私が一番大切だもの」
カンネ「ソリテールはアウラのことを大切にしているし、リーニエもアウラのことをとても慕っているよ。アウラだってソリテールが好きなんでしょ? やっぱり、私たちは分かり合えると思う」
アウラ「あなたって、本当におめでたいのね。話って、これで終わり?」
カンネ「一度アウラと二人で話してみたかったんだ。忙しいのに、ごめんね」
アウラ「別にいいわよ。それに私と話したいなら、話せばいいじゃない」
カンネ「ちょっと意外だった」
アウラ「何がよ?」
カンネ「アウラって、意外と優しいよね」
アウラ「当然よ! 私は五百年以上生きた大魔族よ! この私と話せるなんて、こんな光栄なことはないわよ。私と話せることに感謝しなさい」
カンネ「うん。ありがとう」
アウラ「なんか拍子抜けするのよね……」
カンネ「ねぇ、料理の参考にするから、好きな食べ物を教えてよ」
アウラ「人類の脳みそで作ったパテが美味しかったわね」
カンネ「できれば人類以外で……」
○廃城の書斎。
ソリテールはラヴィーネに陰部を舐めさせ続けている。
ソリテール「あ、そこ……もっと……」
ラヴィーネは舌で、膣口を重点的に舐める。膣口の中に舌を挿し入れ、体内を舐め上げる。
ソリテール「あ、ふにゃああっ!」
ソリテールが潮を吹く。
ラヴィーネ「ん、ぐ、んんんんっ」
押さえつけられたラヴィーネは、顔面に直撃を受ける。
ソリテールが体から波が引き、脱力するまで、ずっと押し付けられた。
ようやく解放されたラヴィーネはその場に崩れ、吐き気に苛まれた。
ラヴィーネ「うぇっ、げぇっ……」
ソリテールは裸体のまま、机の上に倒れる。
ソリテール「あ、はぁ……ラヴィーネ、よかったよ……」
ラヴィーネ「……もういいだろ?」
ソリテール「そうだね。約束だからね」
ラヴィーネはよろけながら、書斎を出ようとする。
ソリテールが起き上がる。
ソリテール「あ、待って」
ラヴィーネ「……なんだ?」
ソリテール「最後に、抱き合って、キスをするよ」
ラヴィーネ「……なんでだよ?」
ソリテール「私は人類の百合が、愛が欲しいの」
ラヴィーネは引き返し、ソリテールの前に立つ。間を置かず、ソリテールを抱きしめてキスをした。
ラヴィーネ「したぞ……」
ソリテールの腕がラヴィーネを掴んでいた。
ソリテール「まだ愛の言葉を聞いていないよ」
ラヴィーネは下唇を噛んだ。
ラヴィーネ「好きだ……」
ソリテール「誰を?」
ラヴィーネ「ソリテール、好きだ……」
ソリテール「ええ。ラヴィーネ。私も君が好きだよ」
ソリテールは再びラヴィーネにキスをする。
ラヴィーネの頬に、再び涙が流れた。