※この作品はR-18です。

ソリテール「百合を咲かせる魔法?」   作:socio

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第5輪 お姉様って何?

不意に扉が開かれた。

一人の魔族の少女がいた。

 

リーニエ「アウラ様、変な声がしたけど何かあった?」

 

少女は私とほぼ全裸のアウラを見ると、一瞬戸惑うも、すぐに魔力で具現化した斧を構える。

 

リーニエ「アウラ様に何をしている?」

 

ソリテール「はじめまして。私は大魔族のソリテールよ。よろしくね」

 

アウラ「リーニエ……助け……」ハアハア

 

ソリテール「構えなくて大丈夫だよ。リーニエっていうんだね。私はアウラのお姉様だから。ね、アウラ。大好きだよ」

 

アウラ「おねえさま、だいすき……」

 

リーニエと呼ばれた少女魔族は、その大きな目を丸くしていた。

 

リーニエ(私は魔力を読み取るのが得意。あのソリテールという魔族は魔力の量を制限しているみたいだ。そしてアウラ様を服従状態にしている。つまりアウラ様より強い)

 

リーニエは何かを決心したようだ。

私は手にとるように分かった。魔族の思考パターンは人類より遥かに合理的で単純だ。

彼女は逃げることを決定したに違いない。

 

ソリテール「“アウラ、リーニエを服従させて”」

 

アウラ「はい、お姉様」

 

リーニエ「あ……やばい……」

 

アウラは服従の天秤を具現化させる。

リーニエの表情に驚愕が過ぎった。

 

百合人形は多い方がいい。アウラを壊すわけにはいかないので、危険な実験はこの少女魔族でするとしよう。

 

アウラ「<服従させる魔法>、解除!」

 

ソリテール「え?」

 

突然の出来事に私は油断した。

アウラは私の体を突き飛ばし、リーニエの方に駆ける。

私が放心した一瞬の隙に、リーニエの一撃が私を襲う。

間一髪、我に返り飛び退く。斧は私の左肩を切り裂いた。

 

アウラ「よくやったわ、リーニエ!」

 

リーニエ。魔力の量からせいぜい百歳未満の少女魔族。しかし驚嘆すべきはその洗練された武技。フリーレン一行にいた、赤髪の人間の雄を思い出した。彼に匹敵するかそれ以上。

 

ソリテール「今の一撃、少しでも反応が遅れてたら危なかったわ。君たち、面白いね。アウラも、どういうことなのかな? いつでも解除できた? ううん、そうじゃない」

 

アウラ「このチャンスを待っていたのよ! <服従させる魔法>は、意志の強い者は一時的に抵抗することができる。だから服従の天秤を発動した瞬間、私にかけられた魔法を意志の力で解除したの。なぜなら私は五百年以上生きた大魔族、七崩賢の一人、断頭台のアウラだからねぇ!」

 

ソリテール「なるほど。だから首を切り落とすんだね。興味深い」

 

リーニエはアウラが解放されたことで、勝機と見たようだった。

 

リーニエ「アウラ様、ここで追い詰めて倒す。援護を」

 

アウラ「私、<服従させる魔法>しか使えない……」

 

リーニエ「……兵士を集めて包囲して」

 

アウラ「そうね!」

 

ソリテール「素敵。君たち二人とも、私の妹決定」

 

私は圧縮した魔力の光球を生み出す。それは高速で回転し、円盤を形成する。

 

ソリテール「だからお姉様の、最強の魔法を見せてあげる」

 

ちょうどそこへ一人の青年魔族が駆け込んできた。

 

ドラート「アウラ様、いったい何が!?」ヌッ

 

アウラ「ドラート!」

 

ソリテール「ちょうどいい的だ」

 

私は彼に向かって光球を放った。それは放たれた瞬間に圧力が消失し、回転方向に膨張する。それを超高速で放つことで、消滅するまでの間に、数十メートルの範囲を直線的に破壊する。

 

ドラート「へ? あひいいいっ」バキバキバキ

 

轟音と粉塵を巻き上げて、青年魔族ごと床や壁を粉砕した。

 

アウラとリーニエは、破壊された方向を呆然と見ていた。ドラートは跡形もなく消滅した。

 

ソリテール「魔力をぶつけるだけの単純な魔法。これが一番簡単に人を殺せるの」

 

私はさらに複数光球を展開する。

室内で逃げ場がないのは彼女たちの方だった。

 

アウラ「…………」ドキドキ

 

リーニエ「…………」ハアハア

 

ソリテール「どうする? まだ続けるのなら、戦えないように君たち二人の両腕を破壊する。手足がなくなっても百合はできるから問題はない。君たちのお姉様が優しく面倒を見てあげるから大丈夫だよ」

 

私は圧倒的暴力と恐怖で屈服させることにした。

本当はなるべく無傷で獲得したい。リーニエの身体能力は得難い。アウラは、服従の天秤が彼女の魔力で具現化していることから、彼女を弱体化させることは得策でない。

 

アウラ(リーニエを<服従させる魔法>で囮にしてその隙に逃げるしかないわね……)ハアハア

 

リーニエ(絶対リュグナー様逃げたな…てかアウラ様、私のこと囮にする気だろ……)ハアハア

 

私は駄目押しする。

 

ソリテール「アウラ。君のこと、私は一生諦めないから。どこへ逃げても探す。大陸中、どこへ逃げても一生かけてね。君の魔力を感じればどこにでも行く。君の噂を聞けば必ず探しに行く。絶対に逃がさない。そして手足を切断して私だけのアウラにするわ」

 

アウラ「なんでよぉ……なんで私ぃ……私、五百年以上生きた大魔族なのにぃ……」ぽろぽろ

 

リーニエ「え? これアウラ様差し出せば私のこと見逃してもらえるの?」

 

アウラ「リーニエェ!?」

 

ソリテール「ううん。もう君には一つも選択肢がないの。アウラに囮にされて私に手足を切断されたあと妹になるか、アウラと一緒に私の妹になるかしかないの」

 

リーニエ「なんだよ、絶望しかない……」

 

ソリテール「だから、ね。アウラ、私の妹になりなよ。痛いことはしないって、お姉様が約束するから」

 

アウラ「うぅ……わかった……」ぽろぽろ

 

ソリテール「なんて?」

 

アウラ「はい、お姉様……」

 

ソリテール「よくできました。いい子いい子」

 

リーニエ「……お姉様って何?」

 

アウラ「……わかんない」ぽろぽろ

 

あとは最後の仕上げを行う。

 

ソリテール「それじゃあアウラ、服従の天秤を発動して」

 

アウラ「え?」

 

ソリテール「私に<服従させる魔法>をかけて」

 

アウラ「……どうして?」

 

ソリテール「お姉様の妹になるんでしょ?」

 

アウラ「はい……」

 

ソリテール「そしたら、ね。アウラが私に逆らったり、逃げたりしないようにしないとね」

 

アウラ「無理……絶対無理……」プルプル

 

リーニエ「ちょっとアウラ様、早くしてよ」

 

ソリテール「そのあとリーニエにもかけてもらうから」

 

リーニエ「……もう終わりだ」

 

ソリテール「これだけは約束してあげる。服従の内容は、私から逃げようとしないこと、私に危害を加えようとしないこと。それだけ。あとは自由に行動していいよ。君たちがしたいことを手伝ってあげるし、君たちの敵と私も戦ってあげる。その代わり君たちは、私の魔法の研究をお手伝いしてね。どう? 悪くないでしょ?」

 

アウラ「ほんとに? ほんとにひどいことしない?」

 

ソリテール「しないよ。お姉様との約束だよ」

 

リーニエ「けっこういい条件だな。でもそれだとアウラ様がいつでも魔法解除できるんじゃない?」

 

アウラ「ちょっと!」

 

ソリテール「そこは自由意思に任せるよ。結局、一時的に抵抗できる時点で完璧な魔法じゃない。ただもし解除したり、逃げようとしたり、私に危害を加えようとしたら、お仕置きするから。もちろん妹同士の喧嘩も駄目よ」

 

リーニエ「なるほど……」

 

ソリテール「それじゃあアウラ、お願い」

 

アウラ「……<服従させる魔法>」ぽろぽろ

 

天秤にアウラと私の魂が乗る。

よく考えてみると、二人の魂が天秤に乗っている光景は、すごく百合的で素敵なことなのではないだろうか。

私たちには分からない感情だけれど。

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