※この作品はR-18です。

ソリテール「百合を咲かせる魔法?」   作:socio

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第6輪 Loveless Lovers

私とアウラは半壊した寝室の、寝台の上に腰掛けていた。

リーニエは傍らに佇立している。

 

私は約束どおり、彼女たちの自由意思と行動を尊重した。

ただ私が最初に「命令」と付けた場合、その後の文言に従わなければならない、と条項を追加した。

これは彼女たちの自由意思を守るためでもある。

 

ソリテール「“アウラ、キスして”」

 

アウラ「え? え?」

 

私は優しく彼女の頭を撫でる。

もし服従状態であれば、彼女は私の命令を否応なく実行しなければならない。

しかし彼女の自由意思に基づく行動を希望するのなら、私も言葉選びに慎重にならなければいけない。それは煩わしいことこの上ない。

 

ソリテール「“命令。アウラ、キスして”」

 

アウラ「うぅ、嫌だぁ……」キィィン

 

アウラは顔をしかめながら私にキスする。

 

ソリテール「アウラ、ありがとう。うん。ちゃんと機能しているみたいだ」

 

リーニエ「それ何してるの?」

 

ソリテール「愛し合う二人がする挨拶だよ」

 

リーニエ「私もしないといけない?」

 

ソリテール「そうだね。リーニエも私の妹だからね。でもごめんなさい。私とアウラは恋人同士で、リーニエは私たちの可愛い妹。二人だけの特別なの。したかった?」

 

リーニエ「いや、私は別にいいや。二人でしてていい」

 

リーニエ。彼女の魔法は<模倣する魔法>。先天的に魔力を感知する能力が鋭敏な彼女は、さらに卓越した記憶力と合わせて、見て記憶した動きを模倣することができる。

 

ソリテール「うん。面白いね。面白いこと思いついた」

 

アウラ「…………」

 

アウラ(前の状態よりマシになったけど、きっとまたアレをされるのよね…魔力差は絶望的。他の七崩賢クラスでも倒せるかどうか……)

 

アウラ(あとリーニエ、全然酷い目にあってないじゃない。絶対許さない……いつか必ず思い知らせてやるわ……)

 

二人が落ち着いてきたのを見計らって、私は百合の魔法を完成させるために必要な、これからの生活規則を共有することにした。

 

ソリテール「百合の魔法を完成させるため、これからの約束を教えるね」

 

アウラ「はい、お姉様……」

 

リーニエ「はい、お姉様」

 

ソリテール「うん。いい子たちだ」

 

ソリテール「百合の魔法の発動条件は、愛し合う女の子同士がイチャラブすることなんだ。これは私とアウラで完成させましょう」

 

アウラ「…………」

 

ソリテール「うん?」

 

アウラ「……はい、お姉様」

 

ソリテール「ふふっ、いい子いい子」なでなで

 

ソリテール「私とアウラは、これからはいつも一緒にいること。手を繋いで生活すること。最低でも一時間に一回は必ずキスすること。好きだと言うこと。私が求めたら必ず応じること。もちろん君から私を求めてくれてもいいよ。朝昼夕と晩に必ず一回は求めて。もっとしてもいいよ。あと夜は一緒に寝ること。お風呂も一緒よ」

 

アウラ「え? 嫌だ……」

 

ソリテール「百合の魔法を完成させるためには、身も心も一つにならないといけないの。二人で一つになるの。どう? 素敵でしょ?」

 

アウラ「…………」

 

ソリテール「素敵でしょ?」

 

アウラ「……はい、お姉様」ぽろぽろ

 

リーニエ「こわっ……」

 

ソリテール「ふふ。アウラ、好きよ。好き好き。さあ、私が好きと言ったら君は?」

 

アウラ「うぅ、お姉様大好き……」

 

ソリテール「駄目ね。心がこもってない。心がなくても心があるふりをしないといけないの。二人が愛し合っていると人類に誤認させることができれば、尊死させることができるのよ。ちゃんとできるように、お姉様といっぱい練習しよう」

 

アウラ(駄目だ……頭がおかしくなりそう……)

 

ソリテール「想像してみて。君はね、私のことが大好きで、いつも私のことを考えているの。大好きというのは、その相手とずっと一緒にいたい、触れていたい、独り占めしたいという感情。誰にも奪われたくないの。もしも私が、他の女の子と仲良くしようとしたら、嫉妬して、怒らないといけないの」

 

ソリテール「“お姉様、私以外にそんなことしちゃ駄目”、“お姉様のことが一番好きなのは私よ”、“他の女の子に優しくしないで”って」

 

ソリテール「愛を伝える時は笑顔よ。少し照れながら、恥ずかしそうに言うのもいいわね。そして相手の目を見て言うの。恥ずかしそうに、でも目を逸らさないように健気に」

 

アウラ「全然分からない……そもそも私たち魔族に、愛情なんて感情はないのだから、無理なんじゃないの?」

 

ソリテール「感情の中身は分からなくてもいいんだよ。私たちは人類に擬態して進化した生物。中身が分からなくても、人類の真似事をすればいいだけ。そのためにたくさんたくさん愛し合おうね」

 

アウラ「うぅ……」

 

リーニエ(アウラ様、マジでかわいそうだな。これ私もヤバいかもな……)

 

リーニエ「それでお姉様、私はどんな目に?」

 

ソリテール「リーニエには、私たちの百合プレイを記憶して、動きを模倣してもらいたいの」

 

リーニエ「?」

 

リーニエ「お姉様。ちょっと分からないことが」

 

ソリテール「ええ、お姉様に何でも聞いて。何かな?」

 

リーニエ「百合ってなに?」

 

ソリテール「いい質問だね、ありがとう。百合は、愛し合う二人以上の女の子が、愛を確かめ合う尊い行為だよ」

 

リーニエ「? もう一つ聞いてもいい?」

 

ソリテール「ええ、もちろん」

 

リーニエ「二人の百合プレイが何なのか、どんなものなのか分かんないけど。それよりも私が模倣することにどんな意味があるの?」

 

ソリテール「うん。いい質問だね、ありがとう。リーニエにはね、バリタチになってもらうの」

 

リーニエ「??」

 

ソリテール「リーニエには百合プレイをマスターしてもらって、人類の雌や女魔族と、強制的に百合魔法を発動できるようになってもらいたいの」

 

リーニエ「???」

 

ソリテール「たとえば人類の冒険者パーティと戦闘になった際、強制的に百合魔法が発動できるようになれば、一瞬で戦況が覆るわ。ただそれは強制百合であって、決して百合乱暴になってはいけないの。百合乱暴では尊死させることができないみたいだから」

 

リーニエ「????」

 

リーニエ「……はい、お姉様」

 

リーニエ(マジで何言ってるか意味がわからない。この魔族やばすぎだろ)

 

ソリテール「というわけで、アウラ。リーニエに見本をみせてあげよう」

 

アウラ「はい……」

 

ソリテール「でも、そうね。せっかくだから今度はアウラがタチをやってみて」

 

アウラ「え? なにそれ?」

 

ソリテール「百合は最低でも二人いないとできないのは分かるよね? そしてその二人には、それぞれ役割があるの。一人はタチで一人はネコ。タチは百合プレイをリードして、ネコはリードされる側。さっきのは私がタチでアウラがネコだったの。今度は私がネコをやるから、君がタチをして」

 

アウラ「ああ、そういうこと」

 

アウラ(……ふざけるな……なんで五百年以上生きた大魔族の私が……)

 

アウラ(でも変なことされるよりまだマシかも。それにあんな気持ち悪い思いをすれば、こいつも嫌になるかも)

 

アウラ「分かったわ。私がお姉様を攻めればいいのね」

 

ソリテール「そうだよ。私の妹は賢いね。自慢の妹だよ」

 

リーニエ(いや、アウラ様なんで分かってるの? いろいろ手遅れだったのか。最初から逃げてればよかった)

 

ソリテール「キスからしようね。その次は分かる?」

 

アウラ「はい、お姉様」

 

ソリテール「まずはちゃんと、私に好きだと言って」

 

アウラ「お姉様大好き……」

 

ソリテール「笑顔で。目を見て」

 

ソリテール「考えて。君は私のことを独り占めしたいの。誰にも渡したくないの。君だけのお姉様にしたいの。リーニエにも取られたくないの。君だけに優しくしてほしいの」

 

ソリテール「君は私を独り占めするため、寝室に招き入れて、愛の言葉を伝えることで、特別な関係になることで、私を独り占めしたいのよ。そして私は君の気持ちに気付いていて、受け入れる準備ができている。ね? 何も怖いことない。安心して愛を伝えて?」

 

ソリテール「さぁ、もう一回」

 

アウラ(怖い怖い怖い怖い怖い……)プルプル

 

アウラ「お姉様、大好き……」

 

ソリテール「うん、いいね。素敵な言葉をありがとう。上目遣い、不安そうな顔。勇気を出して伝えてくれたんだね。うんうん。お姉様はそれに応えないとね」

 

ソリテール「アウラ、私の自慢の妹。私も君を愛しているよ。お姉様と一緒にいっぱい愛し合おう」

 

ソリテール「さぁ、おいで」

 

私は両手を広げアウラを迎える。

アウラは少し戸惑っているようだったが、意を決して私の腕の中に入ってくる。

 

ソリテール「アウラ、好きだよ」

 

アウラ「お姉様、大好き……」

 

ソリテール「うん。いっぱい言葉にしようね。嬉しいよ、ありがとう」

 

アウラから私にキスしてくる。生まれたての雛鳥が、親鳥の嘴から餌をもらおうとするように、何度もキスを重ねてきた。

 

アウラ(こう? これでいいの?)

 

アウラ(……なんで私がこんなことを……五百年以上生きた大魔族なのに……)

 

アウラ(だけど私にできないことなんてない! 逆に屈服させて、私に服従させてやる)

 

アウラ(だって私は、五百年以上生きた大魔族だから! 七崩賢の一人、断頭台のアウラだから!!)

 

彼女は私に一生懸命キスしてくる。何度も何度も確かめるように。

なんだかくすぐったい。でも悪い気はしない。彼女のことを抱きしめたい気持ちになった。なんとなく口元が綻んできた。

 

その隙を狙ったのか、アウラが舌を入れてきた。

あ、そんなふうにくるんだ。

くすぐったい気持ちになる。なぜか唇と口だけじゃなく、胸の奥や下腹部がむず痒い。

 

全然タチのときと違う。

 

ソリテール「あ、好き」

 

思わず吐息が漏れてしまった。

 

アウラ「お姉様、大好き」

 

ソリテール「うん。ありがとう」

 

先の教育の賜物か、間髪入れずアウラが言う。彼女の表情は熱っぽかった。

すごい。私の妹はすごい。天才だ。

 

アウラ「次、次は……」

 

ソリテール「ん。私のこと押し倒して。上になって」

 

アウラはぎこちなく、私を押し倒す。

寝台が軋んだ。

 

アウラ「…………」ハアハア

 

アウラ(えーと、アレね。舐めるのよね?)

 

そして私の胸元に顔を埋める。鎖骨に鼻息が当たった。

くすぐったい。

そこから首筋にかけて唇と、舌を這わせる。

私の体が意に反してピクンと跳ねた。

 

アウラが覆い被さって、私の顔を覗き込んできた。

 

アウラ「甘くて美味しい」

 

ソリテール「ん……」

 

面と向かって言われると、どう答えたらいいか窮した。

 

アウラ「お姉様、今の心境を私に教えて」

 

ソリテール「ん、すごい。素敵」

 

アウラの顔に困惑にも似た、照れたような表情が浮かんだ。

私はアウラの頭を撫でる。

 

ソリテール「うん。すごい上手。君は本当に素敵ね。アウラ、ありがとう。愛している」

 

アウラ「私も愛しています」

 

アウラ(いやいやいや、私は何を言っているの? これは怖いから! こいつが怖いからご機嫌とってるだけ!)

 

アウラの動きが止まる。次の手順に戸惑っているのだろう。

 

ソリテール「ねぇ、脱がせて」

 

アウラ「え?」

 

ソリテール「君に脱がせて欲しいの」

 

アウラ「わ、分かったわ……」

 

もっと能動的に、もっと支配的に。アウラをタチに育てる。

そうすれば、彼女は自発的に、自由意思に基づいて選択して行動していると錯覚する。

自ら望んで私を抱いていると錯覚させる。

そうして百合の魔法の完成に近づく。

 

でも本当は私が抱いて欲しいのかもしれない。

 

アウラ「じゃあ脱がせるから……腰、浮かせて……」

 

ソリテール「ええ」

 

彼女は私の服を脱がせにかかる。

 

アウラ「背中も……腕上げて……」

 

ソリテール「はい」

 

スポッと脱がされた。

 

アウラ「次、下着」

 

ソリテール「あ、下のはまだ。最後にして。上だけ先に脱がせて」

 

アウラ「う、うん」

 

アウラの呼吸が荒くなっていた。私も呼吸が早くなる。

 

アウラ「上、脱がすね」

 

ソリテール「うん」

 

脱がし終わると、私たちは寝台の上で座って向かい合っていた。

 

アウラ「じゃあ、また、横になって」

 

アウラの手が私の肩に、素肌に触れた。

冷たくて、細くて綺麗な指だった。

 

私はアウラにされるがまま押し倒される。

 

ソリテール「ね。私、君と違って胸が全然ないでしょ」

 

アウラ「そうみたいね」

 

ソリテール「どう思う?」

 

アウラ「どうって……」

 

アウラ「綺麗なんじゃない?」

 

私は私の顔が熱くなるのを感じた。これは何なのだろう。私たち魔族に恋愛感情はない。ただの生理現象だ。この行為を状況を、体が何か別の状態と誤認して起きている、何らかの現象に過ぎない。

努めて状況を冷静に観測しなければ。

 

アウラ「じゃあ、触るけど?」

 

ソリテール「うん。いいよ」

 

そう言って私はすごく後悔した気持ちになった。

怖いんだ。すごく怖い。

未知の刺激が私の思考を襲う。

私自身が何か別のものに変質していく、そんな恐怖があった。

彼女もあの時こんな気持ちだったのだろうか。

そう思うとまた下腹部に熱がこもる。

 

アウラの掌が私の胸に触れた。

 

ソリテール「あっ」

 

思わず吐息が漏れた。彼女の手はとても冷たいのに、私の体を冷ますどころか、余計に熱くした。

 

アウラは私の様子など構わず、私の胸を撫でる。

掌が私の痕跡器官に当たるたび、私の体に電撃魔法のような刺激が走った。

息が吸えない。

 

ソリテール「あ、待って、駄目」

 

アウラはやめない。

 

アウラ(嫌がってる嫌がってる! 効いてるわね! 二度としたくなくさせてやる!)

 

アウラ(ここでトドメを刺してやる!)

 

アウラ「……舐めるわよ」

 

ソリテール「え、あ、駄目。ちょっと待って」

 

アウラ(今こそ復讐の時!)

 

アウラ「駄目。待たない」

 

ソリテール「にゃああああ!!」ビクンビクン

 

視界が急に明るくなって、目の前に星が散ったような気がした。すごい。百合ってすごい。

 

ソリテール「ふ、あ、あぅ」ピクピク

 

アウラ(……私の時よりすごいんじゃない?)

 

アウラ「私の勝ちよ。もう終わりね」

 

ソリテール「……ううん。まだまだこれからだよ。イチャイチャラブラブの最後のラブまでしようね」

 

アウラ「……どういうこと?」

 

アウラ「……ねぇ、これってそれのどこまでなの?」

 

ソリテール「イチャイチャが終わったところ。これからラブラブの最後のラブまでするよ」

 

アウラ「え?」

 

ソリテール「お姉様のこと気持ちよくしてくれてありがとう」

 

ソリテール「次は私がタチをやるね。最初からもう一度。お姉様に任せて。ちゃんと気持ちよくしてあげるから」

 

アウラ「…………」ヒクヒク

 

アウラ「ありえない……もうやだぁ……」

 

リーニエ(私はいったい何を見せられているんだ……)

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