目が覚めた時、僕達は見知らぬ家の床に倒れていた。
これって不法侵入!?違うんです!確かに違くはないかもしれないけど、わざとじゃないんです!いきなり変な輩に飛ばされてきたんです!!
という脳内言い訳を並べ立てている間に、頼れるマイ天使が家の中を調べてくれていた。
流石は天使!僕と血が繋がっているとは思えないほどの有能さ!
「どうやら此処、私達の家みたいよ」
えっ、そうなの?なーんだ、焦って損した。
でもどうして分かったの?
「机の上に手紙が置いてあったわ。この世界は私達が居た世界じゃなくて、遊戯王ZEXALの世界みたいね」
遊戯王?しかもゼアルって、エクシーズとかナンバーズがバンバン出てくる?
犯罪が起きても全てデュエルで解決!デュエルで勝ったほうが正しい!
とか、もはや洗脳されているんじゃないかというレベルのデュエル脳の、アレ?
「そうよ」
い、い、嫌ダァアアァアアアァ!!!
確かに遊戯王は好きだけど!だけど現実と二次元は違うの!
遊びとしてのデュエルとか、映像として観るデュエルとかなら良いよ!?
でもここ違うじゃん!闇のゲームとか、普通に魂取られるじゃん!
デュエリストの魂とか、そんな高尚なモンないよ!?
精々が遊び(笑)くらいの認識しかないよ!?
死ぬかもしれない場面で「カードを信じる!(キリッ」とか思えないよ!
無理無理無理!絶対嫌だ!!こうなったら家に引き篭もってて良い!?
「荒夜、ちょっとウザイから黙ってて」
……はい。すみません。
堕天使モードに入るほど気持ち悪かったんですね、すみません。
有害なゴミが地球の希少なる酸素を吸ってのうのうと生きててすみません。
「取り敢えずコレ、荒夜のデッキだから」
「あぁ、(うん。分かったよ)」
……って、ちょっと待って!?
デッキ!?あの、命さん?僕の話聞いてました?
「聞いてたわよ。でも今の環境だったらそのデッキで十分よ。むしろ過剰じゃないかしら?」
え、でもリアルでの勝率(対戦は命のみ)が3割を切ってるんですけど…。
というか何でここに僕のリアルでのデッキがあるの?
神の見えざる手?なにそれこわい。
「プレイミスと手札事故のせいでしょ。そこは気合で何とかしなさい」
そんな殺生な…!
いやでも、ここは遊戯王の世界。
気合で何とか……なる、かも?
「そもそもLP8000で考えてない?」
……あ、そういえば遊戯王の世界ってLP4000だっけ。
そう考えれば確かに現代のガチデッキは過剰すぎる。
「ちなみに私は聖刻使うわ」
ガチ!え、ちょっ…!?それはいくら何でもガチ過ぎませんか!?
せめてもうちょっとレベルを落として、代行天使くらいにしません!?
それかカオスライロにしましょうよ!相手が不憫過ぎる…!
「ヴェルズ使ってる荒夜に言われたくないわ」
うぐっ…!
た、確かにそれはそうだけど…。
でもルール覚えたての僕にはかなりキツイものがあるよ。
回し方も効果もまだ分かってないし…
「つい最近バハムートで相手モンスターぶん取ったのは誰かしらね?」
わ、わわわ悪気はなかったんです!!
相手の手札と伏せカードゼロで除外とか破壊とか無効とか出戻りとかの心配がなかったから、つい…!
すいませんでしたァアアアァアアァ!!!
「荒夜、私を見て?」
アタフタと慌てる僕の手を、命がふわりと優しい笑顔と共に包み込んだ。
その暖かさに、僕の思考も少しばかり冷静になる。
「安心して?デュエル初めて5ヶ月の荒夜に無理難題を押し付けるつもりはないの」
て、天使!天使が再びご降臨なさった!そうだよね、良かったー!
デュエル初めて間もない、たかが素人同然の僕に出来ることなんて何もないよね!
自分で言ってて何だか悲しくなってきたけど、気にしない方向で行こう。
「だからちょっとプロデュエリストになってきて?」
「わかった(よ!)」
………え?あれ?
ちょっと待って、今のナシ。
まるで買い物行ってきてみたいなノリで言われて勢いで言っただけだから。
テイク2を希望します。
「頷いてくれたわよね?」
「いや、(それは、その…)」
「お兄様、私のお願い聞いてくれないの…?」
天使様が泣いていらっしゃる…!
嫌だけど、本当に、ほんっとーに嫌だけど………うん。頑張るよ。
「命の為だ(からね!)」
便利用語
・神の見えざる手