あらすじ
乳房への愛撫だけで女を絶頂させる能力を持つ淫魔使いの少年・鏡夢彦。
ある日、夢彦の通う学校に淫魔を連れた少年・飯島が転校してくる。飯島は夢彦の小学校の同級生であり、当時、気の合った彼らはともに過ごすことが多かった。そのことで夢彦の知らないうちに飯島は影響を受け、後天的に淫魔使いの能力に覚醒めていたのだった。
飯島は夢彦の恋人である淫魔の貴族・シリルに欲情し自らが従える下級淫魔・カーリとのスワッピングを懇願する。無理やりカーリを押し付けられた夢彦は断りつつも一旦引き下がる。
翌日、学校の廊下でなおも食い下がる飯島に夢彦は辟易するのだが、突如やりとりをそばで見ていたシリルが口を開くのだった。
「ーーいいんじゃない、別に」
シリルの言葉に夢彦が驚きの表情を向ける。
「いいんじゃないって、シリルの話をしてるんだぞ?」
「わかってるわよ。でもこれじゃ埒があかないでしょ」
シリルが飯島に近づき正面に立った。飯島がごくりと唾を飲む。カーリが神妙な面持ちでそれを見つめる。
「あなた、そんなに私のこと抱きたいの?」
「あ、あぁもちろん、なぁもしだめなら胸だけでも……足だけでもいいんだっ、だからーー」
飯島がうわずった声で答える。予想外のシリルからの申し出に気がはやっているのだ。
「ーーなんとかならないか?」
一縷の希望を見い出した飯島がすがるような目線をシリルへと送る。
その媚びた態度とは裏腹に制服のズボンの中では膨れ上がった欲望がそそりたっていた。
だがそれはシリルを前にすれば仕方のない反応だった。
高位の貴族らしい気品と自信に満ちた顔立ち……
クールな印象を与えるやや切れ長の目。ふっくらと弾力に富んだ唇。ブロンドの髪が白い肌に映えている。
ショーツ一枚履いただけの豊満な臀部。人間ならばありえないほどくびれたウエスト。
そして、何よりもシリルを見る者がまず目を奪われるのが、その誇り高く突き出した乳房だった。あろうことかその乳房は絹一つ纏うことなく剥き出しとなっている。
双つの乳房の先端には、シリルの最大の魅力と言っても過言ではない自己主張の強い乳首ーー
一体どれだけの男たちがその乳房を求めただろうか。実際、シリルが相手をした男は数多くいるが、真に彼女を満足させ、その豊満な乳房からミルクを吸い出せたのは過去にただ一人だけだった。
盛りのついた猿のような哀れな少年を見て、シリルが軽く笑う。つられて乳房もわずかに揺れ動いた。飯島の目線が反射的にそれを追う。
それはどちらかといえば嘲笑じみたものだった。淫魔の貴族である自分に性交渉とはーー
身の程というものがわかっていないらしい。なまじ淫魔使いの影響を受け、多少の力を持ったために気が大きくなっているのかもしれない。
低俗な人間が自分の体に触れるなどありえない。その唯一の例外がシリルの恋人である夢彦だった。
夢彦に出会う前のシリルは周囲の淫魔を見下し、一度寝た男とは二度と寝ないというポリシーを持つプライドの塊のような女だった。
再び自分に近づく男にはことごとく制裁を加えてきた。そのことでシリルを忌み嫌う者も多かった。
だが夢彦に戯れに胸を触らせた時、これまで感じたことない快感が稲妻のように乳房から全身を駆け抜け、生まれて初めて絶頂による射乳を経験したのだった。
度重なる絶頂が自分の心を守るように覆っていたプライドの殻を打ち壊した。初めて素直な気持ちで、そして本当の意味で他人を愛せるようになった。
傲慢な態度を改め、下級の淫魔にも柔和な態度で接することができるようになった。それ以来ベッドを共にする男は夢彦だけだ。
「なぁ、どっ、どうかな」
ここぞとばかりに飯島が畳み掛ける。
「どうする?私がいいならいいわよね」
シリルが夢彦に振り向いた。
夢彦としてはたとえシリルがいいといっても到底承服できるものではない。愛する女の乳房を他人が貪るなど想像もしたくなかった。
「いや、だからーー」
と、言ったところで言葉がとまる。シリルが夢彦にだけわかるようにウインクしたのだ。
何か考えがあるんだろうか。夢彦がわずかに思案する中、シリルが飯島に向き直る。飯島の目が期待に満ちている。
「でも条件があるの。するなら今、ここでして。結界を張れば大丈夫でしょ?」
飯島が一瞬たじろいで夢彦へと視線を送るがすぐに気を取り直した。
「あぁ、それでいいっ!」
と、ほとんど叫ぶように答えた。その顔は興奮と狂喜に満ちている。
「そう。じゃあ今、結界を張るから」
シリルが指で空中に六芒星を描く。すると薄いベールが周囲を包み込み始めた。
淫魔であるシリルは普通の人間には見ることができない。結界を張ることでその中にいる人間もまた、まわりの人間から見えなくなる。
結界を張りつつ、シリルは夢彦のことを考えていた。なぜ飯島の要求を受け入れたのか腑に落ちていないだろう。もちろん飯島に興味があったからではない。
淫魔使いは一億人に一人の割合で生まれてくる特別な存在だ。時代の趨勢さえも左右すると言われ、かつての時の指導者は淫魔使いであることが多い。
飯島は夢彦の影響を受け、淫魔使いとしての能力に覚醒めたという。下級の淫魔を従えていることからして事実なのだろう。
しかし、所詮は淫魔使いのモドキにすぎない。下級の淫魔を一人しか従えていないのがその証拠だ。多数の淫魔、それも高位の貴族と共にある夢彦は格が違うのだ。
淫魔の世界は絶対的な階級社会である。上位の淫魔を抱こうとする者にはそれに応じた格、リビドーが必要になる。
身分不相応な相手に手を出せば、まともにセックスができないどころか最悪、死が待っている。それもわからず高位の貴族であり夢彦の恋人である自分に手を出そうしているーー
柔和な表情を浮かべるシリルの内側でふつふつとした侮蔑の感情が湧き上がる。
飯島を排除するのは容易い。戦闘能力に関して淫魔は人間を圧倒する。しかし一応、夢彦の友人だ。血を流すようなことはしたくない。それでも自分の立場を理解させる必要がある。
その為に敢えて身を委ねるのだ。
人間の男は淫魔と交わると至高の快楽の末に絶命する。
この男は一応、淫魔使いではあるため死ぬことはないだろうが、それでも身を持って理解することだろう。高位の淫魔に手を出すという己の無知と浅はかさをーー
ベールが4人を包み込み周囲の人間から隔絶された。飯島に一時の幸福を与える準備が整った。同時に現実をつきつける準備もーー
しかし、シリルの真の目的は他にあった。飯島を利用することで、夢彦に身を持って伝えたいことがあったのだ。
シリルが微笑みかけると、何も知らない飯島はもう辛抱ならない様子で鼻息を荒くした。
「さぁ、いらっしゃい。オッパイ好きなんでしょ」
胸を張りその豊満な乳房を挑発するように突き出した。
それを見た瞬間、飯島の中でそれまで抑え込んでいた劣情が爆発した。餓鬼が群がるようにシリルの双つの乳房を鷲掴むと左の乳首にしゃぶりついていった。