異様な光景だった。
昼休みの学校の廊下、人が行き交う中で半裸の美女が少年に乳房を吸われていたのだ。
チュゥッッ ジュルルルッ!
少年が乳首を吸う淫靡な音が廊下に響く。
まだ多数の生徒がいる校内で突如現れたあまりにもインモラルな空間—―
不思議なことに二人の近くを通る生徒はこの状況に何の反応も示さなかった。ぶつかりそうになる者は寸前に避けて通り過ぎていく。
張られた結界の影響で二人を認識することはできるが、意識することができないためだった。
ただ一人の美少年と淫魔だけが成り行きを見守っていた。その少年の表情は乳首を吸う浅黒い少年とは対象的に陰鬱としていた。
飯島は興奮の只中にいた。
シリルの乳房にしゃぶりついた瞬間、なんともいえない甘い香りが鼻腔をくすぐった。高貴な淫魔が発するフェロモンなのだろうか。
その香りに自分の中の雄が刺激される。本能が目の前の女を犯せと催促してくる。怒張がズボンを突き破らんばかりに膨張した。夢中になって乳首を吸い込む。
乳首を吸っているうちにより濃い香りが双つの乳房の間から放たれているのに気付いた。その香りを追うように乳房を左右に広げ、豊かな乳肉によって形成された深い谷間へと顔をうずめる。
途端に先程よりも濃蜜な香りが鼻腔に流れ込み、脳を蕩けさせる。ムチムチとした乳肌が両の頬を包み込む。カーリの胸からは得ることができない圧倒的な充足感。やがて鼻先が谷間の底へと辿り着いた。
乳房に包まれたことで生徒たちの騒がしい声や足音が遠くなった。代わりにシリルの息遣いをすぐ近くに感じる。
柔らかくあたたかい世界を漂いながら、その外の世界でゆっくりと乳房の表面を撫で回す。見る者を欲情させるシリルの乳房と乳房の間で興奮と安らぎという相反する感情が共存していた。
やがて飯島の手が思い出したように乳房を揉み始めた。
双つの峰を揉みまわしながら、その峰の麓――
硬い胸板を何度も何度も舐めあげた。それでは飽き足らず軽く歯を当て噛み付いていく。
両手をそれぞれの乳房の外側にスライドし顔に押し付けると、至福の圧迫感に襲われもう頭がおかしくなりそうだった。
続けて舌先を右に向けると硬い骨の質感から柔らかな傾斜へと至る――乳房のはじまりだ。
そのままゆっくりと舌を這わせ再び頂点を目指し登っていく。熱のこもった谷間から開放され、外気が涼しく感じた。
舌を進めるが乳房のボリュームがありすぎてなかなかゴールに辿り着かない。途中で透き通るような白い乳肌の下に静脈が並走するように現れ、少しすると再び乳肉に埋もれて見えなくなった。
ようやくピンク色の円が視界に入り目的地が近いことを知る。そしてとうとうその頂へと到着した。
ご褒美とばかりにそびえ立つ乳首を見た時、飯島は瞬間的にしゃぶりついた。
太い乳首をジュルジュルと吸いまくる。するとミルクは出ていないのに薄甘い味がする気がした。
夢中になって乳首を吸っていると視界の左側に全く同じ大きさの白い山が見えた。横目でその頂点へと視線を送る。
そこには飯島が口に含んでいるものの双子の片割れのようにそっくりな突起があった。乳房を揉みまわす左手の動きに合わせ、近づいてきた乳首が弧を描き今度は離れていった。
――乳首があんなに遠くにある…
一旦乳房から顔を離し改めてシリルの乳房を見下ろしてみる。
胸のデコルテ部分から急激に盛り上がり、大きく前方へと突き出した円錐型のバスト。あまりの大きさに体の横幅から乳房がはみ出している。
乳房の上部と下部が同じボリュームなのは乳房全体が若々しく弾力に富んでいるからだろう。
双つの峰は自然に寄り添い蠱惑的な谷間を形成している。
その双つの峰の先端には五百円玉より少し大きいくらいの乳輪があり、その上にはコルク栓のような乳首が座している。
乳首は大きいが決して醜悪な印象はなく、乳房の大きさと相まって乳房全体の魅力を高めている。
飯島が揉んだことにより白い乳肌がうっすらと赤く染まっていた。左の乳首は唾液によりテカテカと光っている。
これだけの量感があれば無様に下垂してもおかしくはないが、まるで重力から開放されたように誇り高く前方へと突き出している。
――すげぇ。すごすぎるだろこの胸…
飯島は再び両手を前に出し下から包み込む。滑らかな乳肌に手のひらが蕩けそうだ。そのまま目の前の至宝を持ち上げる。途端にずっしりとした重みが両手にのしかかった。
ゆっくり持ち上げると普段は見えない乳房の裏側が見え始めた。乳首が上へ上へとあがっていく――
その乳首を目で追っているうちに、乳房の持ち主であるシリルと視線が交差した。
少々気恥ずかしさを覚え手が止まる。
「どうしたの?」
シリルは微笑んでいる。
綺麗な瞳が肉欲に溺れる自分を優しく見つめている。ともすると冷たい印象与える顔立ちだが、笑うとこうも印象がかわるのか――
飯島が逡巡する中、シリルが続きを促すように告げる。
「さぁ、もっと好きにしていいのよ」
その言葉を合図に飯島は再び左の乳首にしゃぶりついた。夢中になって吸いながら右の乳房を揉みに揉んだ。
揉みまわす手のひらからは果汁のように快感が溢れてくる。指を食い込ませると乳房が反発し弾き返してくる。なおも揉み込むと指の間から乳肉が溢れた。
どんなに手のひらを広げても乳房の一部分しか掴めない。たっぷりと弾力を楽しみながら揉み続ける。
少し離れたところにいる鏡の怒気のこもった視線も気にならない。気にしてる場合ではない。もっとこの乳房を味わいたい。もっとこの舌で、この手で、もっともっと――
一目見たときからシリルの肉体の虜になっていた。それは雄としての、あるいは淫魔使いのしての本能だったのかもしれない。
なんとしてもあの澄ました顔の淫魔をモノにしたいと思った。鏡のやつに交渉したが難航し歯噛みした。あきらめかけたその時、何の気まぐれか当の本人が了承したのだった。
まるで白昼夢でも見ているかのような展開だが、乳房を揉みまわす手にずっしりとのしかかるその重みが現実であると告げている。
――いったい、何カップあるんだ?
乳房の大きさを確かめるように揉みまわしながら飯島は考えた。カーリの胸はIカップあるがその胸が小さく見えるほど、シリルの胸はカーリを凌駕している。
「な、なぁ」
飯島が顔をあげる。
「胸のサイズ測ったことあるか?あるなら教えてくれよ」
「そうねぇ…」
シリルが少し間を開けてささやくように答えた。
「もっと気持ちよくしてくれたら教えてあげる」
シリルの言葉に飯島は再び乳房に襲いかかった。
大きく口を開き、口いっぱいに乳肉を頬張る。更に頬張ろうとすると鼻が乳房にめり込み、次第に顔全体が乳房に覆われた。
幸福な窒息感を感じながら頬張った乳肉を吸い込んだ。左手は乳房を揉みしだく。途端に乳首が居場所を追われるように突き出した。
ジュルルルルルッッッ!
鼻で何とか呼吸しながら乳房を吸い込む。強く吸い込む度に圧を受けた乳肉が口腔内の奥へと引っ張られ乳首が伸びた。それを何度も飽きることなく繰り返していく。
乳房を征服したような気になり、欲望が満たされていく――はずだった。
――だめだ。
いくら吸っても吸っても満足しない。まだまだ吸い足りないし揉み足りない。体の興奮が上がり続け、アドレナリンが溢れている。頭の血管が切れてしまいそうだ。
これがハイクラスの淫魔の力なのか。下級淫魔のカーリとは何もかもが違っていた。
鏡はこんなのと毎日ヤッてるのか。嫉妬を超えて畏敬の念さえ生まれる。
普通の人間は淫魔と交わると我を忘れて欲情し、死ぬほどの快楽を経験し絶命する。淫魔の魅了に耐性のあるはずの自分が同じ末路を辿ろうとしているのか……
制服のなかで痛いほど膨張した強ばりから先走った汁がにじんでいた。
このままでは挿入する前に――
「もう終わりかしら?」
動きの止まった飯島にシリルが問いかける。
「これじゃあ教えてあげられないわね。淫魔使いって聞いたからちょっとは期待したんだけど」
そこには変わらず微笑むシリルの顔があったが先程までと違い余裕が垣間見え、やや挑発的になっている。
――クソッ!
苛立ちを覚えながらも内心、シリルとの温度差にショックを受ける。馬鹿みたいに興奮していたのは自分だけだったことに改めて気付かされた。
――いや、冷静になれ
これはチャンスなのだ。高貴な淫魔が自分を相手にするという最初で最後のチャンス。理解していたはずなのだが、最高の肉体を前に我を忘れていた。
まだ乳房しか触れていないのだ。こんなところでやめられない。
「どうするの?やめる?」
「まさか」
飯島の手が乳房に伸びゆっくりと揉みまわし始めた。
――この胸だけじゃない。この女の何もかもを俺だけのモノにしてやるっ!!
そのためにはシリルを絶頂させ屈服させる必要がある。
淫魔は性的に屈服させられた相手に隷属する――つまり奴隷となる習性があるのだ。自分に付き従うカーリもそうやって手に入れた。
シリルを籠絡させるのは簡単ではないが、策は練ってきた。まだ奥の手だってある。その為にも何とか隙きを突きたいところだが――
「おっぱいばっかり触って…そんなに好きなの?」
シリルが呆れたように言う。
「…まぁな、でもおまえもここを責められるのが好きだから勃たせてるんだろ?」
吸われて刺激された乳首が勃起していた。ただでさえ大きな乳首がよりいっそう太く、固くなっている。
まだ吸ってほしそうにこちらに向けてそそり立つ小さな尖塔を前に再びむしゃぶりつきたい衝動に駆られるがぐっとこらえ、人差し指で乳輪のフチをクルクルとなぞっていく。
指が円を描きながら少しずつ乳首に近づいてゆく。遠回りの末に指がやっと目的地へと辿り着く。しかし直前になって乳首との逢瀬を交わすことなくもと来た道を戻ってゆく。それを延々と繰り返してゆく。
焦らされた乳首が怒ったように尖り始めた。
「―—そこは気持ちよくなくても勝手に大きくなるのよ」
「へぇ、勉強になったよ」
飯島が右の乳首も同様にじらしながら、先ほどまで吸っていた左の乳首に顔を近づけた。
いじりがいのある乳首を眼下に捉える。そして舌を出しそっと舐めあげた。舌に持ち上げられた乳首がゆっくりと曲がる。限界まで舐めあげたところで舌がはずれ、支えを失った乳首が勢いよく元の位置に戻り、僅かに震えながら静止した。
同じ動作を丹念に繰り返し焦らしていく。シリルの体が微かに横に揺れた。
しばらくれろれろと舌で弾いた後、乳首を包み込むように口に含んだ。先ほどまでの獣じみた愛撫はなりをひそめ、軽く吸引しながら舌でソフトに弾いていく。
刺激され続ける左の乳首。その一方で、右の乳房の上では指が乳輪のまわりを踊り続け、その中心にいる乳首は双子の片割れを羨むようにいきりたっていた。
飯島が乳首を吸いながら目の前のふくらみを凝視しながら夢想する。
淫魔は絶頂の末、乳首からミルクを噴き出す。この乳肌の向こう――乳房の奥には、きっとミルクが吸い出される時を待っているのだろう。これだけの大きさだ、その量も期待できる。
――絶対に吸ってやる。出なくなるまで吸い尽くしてやるっ!!
激しく湧き上がる劣情を抑え、ゆっくり、じっくりと乳房をせめていく。
「そう、いいわよ。さっきよりずっといい…」
まるで子供を褒めるような口調だが先程より甘い声だった。見上げてみると、変わらず微笑んではいるが挑発的な感じは消えていた。
飯島は口に含んだ左の乳首を吸引しつつ舌で弾いてまわした。その刺激にシリルが慣れてしまわないように強弱をつける。乳首がボクシングのパンチングボールのように口腔内で弾かれ続けた。
シリルは口の中で嬲られ続ける乳首を案ずるかのように静かに飯島を見つめている。
不意に右の乳房を焦らし続けていた指が動きをとめた。鎌首を持ち上げたようにくの字に曲がり静止すると、性感を高め続けた乳首の先端をつめの先でこすった。
「あっ…」
シリルの喉から声が漏れ、体が微かに震えた。
初めて聞こえたシリルのあえぎ声に、飯島は下卑た笑みを浮かべるのだった。