夏休みが終わり、シンジ君の家族は家に帰って行った。
しかし私たちの関係は、2か月が過ぎた今でも相変わらず続いていた。
遠方にも拘らず、電話一本で呼び出されてセックスの相手をさせられる。
事が終わると用済みとばかりに、直ぐに帰らされた。
今の私は、シンジ君に都合のいい只のセックスフレンドだ。
シンジ君には、私を大切にしてくれている様な素振りさえ見えなかった。
子供の様に欲望の捌け口に私を使い、それが満たされると興味を失くす。
シンジ君は私の事を、どう思っているのだろうか?
私はシンジ君の本心が知りたかった。
今も呼び出されて、シンジ君の元に向かっている。
乗り継いだ電車はあと1時間足らずで、シンジ君の待つ街へと到着する。
私は外の景色を眺めながら、妊娠の事実を伝えるべきかと悩んでいた。
まだ子供のシンジ君には、肩の荷が重すぎるだろう。
しかし、やった事には責任が伴うのが大人の世界だ。
気持ちいい事だけをして、後は知らないでは虫が良すぎるのではないだろうか?
それに、話を聞いて彼がどんな態度を取るのか確認したい。
愛があれば少しでも、私を気に掛けてくれるだろうと淡い期待を抱いていた。
勿論、彼に責任を取って貰うつもりは無い。
しかし、愛が無ければ生まれてくるこの子が可愛そう過ぎる。
この子を一人で育てていく決心は、もう付いていた。
いつもの駅で電車を降りる今日の私は、いつも以上に緊張していた。
駅前の広場が彼との待ち合わせ場所だった。
私に会うと、シンジ君は何時もの様に、手を取ってホテル街に向かって突き進む。
「待って!今日は大事な話があるの…」
「話し?ホテルですれば良いじゃん!」
私の言葉にシンジ君は怪訝な顔を見せた。
シンジ君は不貞腐れているが、ホテルでは話はできない事を私は知っていた。
シンジ君のペースに持ち込まれて、直ぐにセックスに突入してしまう。
今日の話を有耶無耶にさせる訳にはいかなかった。
「少しで良いから…!直ぐに済むから…ねっ」
私の必死の言葉にシンジ君は渋々了承した。
私たちはホテル街の近くの喫茶店に入っていった。
店の一角のテーブル席に、私たちは向かい合わせで座った。
「話って何?」
シンジ君は未だに不貞腐れていた。
期待していた、ご馳走を目の前にお預けを食らった犬の様に、不機嫌な態度を見せている。
私はシンジ君の様子を伺いながら話を切り出していった。
「あのね…私、妊娠しちゃったの…」
「妊娠…?」
私の言葉にシンジ君は目を見開いて驚いている。
しかし一瞬、たじろいだ様子を見せるが直ぐに態度を豹変させる。
いつもと変わらない冷淡な顔付で、私を見据えていた。
「それ…誰の子?」
私はその言葉に愕然としていた。
確かに私は処女ではないが、遊び人ではない。
シンジ君と身体を重ねるまで、男性との行為も久々の事だった。
まして生で行為を行い、中出しされた事などシンジ君意外に一度も無い。
シンジ君の心無い言葉に、私は落胆する他は無かった。
身体を許した男性がこんな人だと思うと悲しかった。
「シンジ君の子よ…」
「真理子姉ちゃん…奇麗だし、僕の他にもいっぱい男がいるんでしょ?」
シンジ君の言葉はまるで他人事だった。
私を気遣う素振りすらない。
それどころか、自分に非は無いと別に人間に罪を被せようとしていた。
「誰の子供だかわかんないよね?」
私は絶望から涙を流していた。
結局、シンジ君は欲望を満たされれば誰でも良かったのだ。
目の前に御馳走が転がっていて、それに飛びついただけだった。
そこには愛情なんて一つも無い。
私はシンジ君に身体をおもちゃにされて、腹まされてしまったのだ。
少しでも希望を抱いていた私は馬鹿だった。
「そんな事よりさ…もう、妊娠の心配ないならいっぱいできるよね…」
テーブルの下で靴を脱いだ、シンジ君の足が私の股間を撫でていた。
スカートの中に潜り込んだ、足の指がパンティの上から私の割れ目をなぞっている。
この期に及んで、まだ私をおもちゃにしようというのだろうか。
「もういい…わかった…さようなら」
私は泣きながら喫茶店を飛び出した。
シンジ君は何かを叫んでいたが、私の耳には入らなかった。
父親のいない子供として、私はこの子を一人で育てていく覚悟を固めた。