*UA4万超え記念
<Chapter0-0-1-M-R>
いつか見たおとぎ話。
自分に置き換えた夢物語。
全てを捧げ続ける、ワタシの記憶。
はぁ、と溜息を零しながら自室の布団に倒れ込む。
自宅でのお風呂上がりで、下着なんてものも下くらいしか身に付けずに。
そのままでいればまず間違いなく風邪を引いてしまいそうではあるけれど。
今は、そうしたかった。
(――――今日も、疲れました。)
言葉にならない言葉を自分の中で呟く。
手を枕元へと伸ばして、何度読んだか分からない擦り切れつつある漫画を手に取る。
どこにでも在る少女漫画。
その一巻と、最終巻間際の二冊。
初めて主人公と相手が出会うシーン。
初めて主人公と相手が結ばれるシーン。
何度読んで、
(……。)
片手でページを開いて。
もう片方の手で、自分の胸の先を弄くる。
弾く。
転がす。
それだけでは足りずに周囲から擦る。
快感を得る事が出来る場所、或いは敏感な場所。
何方かと言えばワタシの場合は側面よりも突起点。
それが分かっていても、もどかしく感じていたとしても。
敢えて直接気持ち良くなろうとしないのは、
「…………んんっ。」
幾度も幾度も繰り返す自慰行為。
それでも、単純に発散するだけではなくこうして演じようとしてしまうのは。
どうしようもなく溜まってしまった時に、自分を投影して満足感を得ようとするからで。
それは性的欲求だけではなく――――恐らくは、小さく感じる悪い感情。
(……次、は。)
ページを進め、次の――――行為の場面のページを開く。
湿った吐息が枕を濡らす。
少しばかり湯冷めし始めていた肌は少しずつ熱を持ち、部屋の中を確かに満たす。
股の合間から漏れた体液がジワリ、と太腿の間を擦って嫌な感触を覚え。
それを分かって、下半身へと手を伸ばした。
ぴりり、と痺れるにも足りない感覚が足の先に走る。
漫画だったら自分ではなくて男の子が触れてくれる場所。
自分ではなく、相手の誰かが触れてくれる場所。
そんな事を思っても虚しくて、自分で触れては果てていく。
(――――もし、現実になったとしても。)
それは、芳乃様の後になるだろう。
自分で相手を見つけられるとも思えずに。
また家を継いでいく為に、見知らぬ誰かに身体を許す。
それを思って、少しだけ震えるのと同時に。
そうなったらワタシはどう感じるだろう、なんてマゾヒスティックな感情が同時に湧いては泡に消える。
ぴん、と足の先を伸ばして果てて。
少しだけ吹き出した愛液が布団を穢し。
それに包まれるのがワタシに相応しい、と。
冷たい思いを脳裏に浮かべ。
気付かない間に――――片頬だけを、醜く歪めた。
漫画と同じ事だなんて。
ワタシには起こらないと、達観していた。
幻想は、幻想でしか無いのだから。
――――でも、もし。
ワタシが身体を許すとしたら。
(ワタシの全てを受け入れてくれる人がいいな。)
酸素が足りていない脳に。
顔も体も浮かばない、男の人が浮かんで消えた。
……明日は、春祭りだ。