夢の中。
或いは願いの中。
記憶に残っていない、日常の中の話。
「…………ん、っ。」
指先を伸ばしたのは下半身へ。
慣れていると言う程経験が深いわけでもなく。
少なくとも、それを毎日のように……日課のようにする程経験があるわけではない。
それでも、快感を得てしまうと知ってしまったのは何故だったか。
多分、夢の中で知ってしまったから。
右手の指先で小さく触れる。
軽く擦るだけでもぴりぴりと感じる、痛みとはまた違った感覚。
親指と人差指、間で挟むように二度三度。
「っ。」
はぁ、と漏れるのは熱い程の小さい吐息。
普段の何かを耐えるとかそういうものではなく。
慣れていない快感故に、出てしまった恥ずかしさ。
けれど、それらを求めている今としては心地良い。
左手を服の合間に滑り込ませた。
肩がはだけ、掛け布団からはみ出したその部分が夜の寒気を一心に浴びる。
少しだけ冷たい、けれどそれこそが熱気を吸って快感を引き上げる。
少しだけ固くなりつつあった先を、もどかしいとばかりに擦り付ける。
「ぁ。」
言葉を抑えようと思っても。
行為の跡を隠そうとしても。
言葉は漏れ、少しずつ物音もしてしまう。
だけど、その根幹が逃避であるからか。
それらの行為に没頭し、沈湎して思考が堕ちて行く。
「――――っ!」
指ではもどかしく。
段々とその姿は荒くなる。
妄想するのは■■■■■■の手。
肢体、或いは彼が持つ男性の象徴。
乾いていた股からは水音がし始め、それに合わせて湿った空気が少しだけ。
私の部屋を漂い始める。
くちゅり。
そんな粘り気のある音を立てながら。
突起を弄るだけでは物足りず。
もっと、もっとと指先が裏側へと
(
指先が粘度を持ち始める。
垂れた体液が布団に滴り、特徴的な跡を作る。
側面を、壁面を擦るように。
引っ掻くように、やや荒く。
けれど奥までは届かずに、届かせずに。
(
身体の芯、背中の筋。
或いは脳内の釦を押下するかのように。
唐突に高ぶった
虚ろになりかける精神の中で。
そんな感情が、熱が未だに燻っている。
後一回。
もう少し。
熱を。
快感を。
痛みを。
悦びを。
ぐるぐるとそんな考えが掻き回され、結局は一つの本能に突き動かされる。
自分自身ではどうしようもないものだから。
そんな諦めが何処かに残っているのを薄っすらと理解しながら。
先程よりも水分が増した、女の印へとまた手を伸ばす。
――――眠るまで。
――――眠れるまで。