※この作品はR-18です。

恋心、想花の如く。-千紫万紅-   作:氷桜

4 / 4
ちょろっと語られた部分加筆。
短めです。


<Chapter4-1-7-R-Y>勇気の出し方。

 

<Chapter4-1-7-R-Y>

 

神社に引いている温泉は土地の影響を大きく受けている。

だからこそ水ではないのに水垢離の影響を受けられるし。

山から戻ってきた後は身体の瘴気を流し去ることが出来る。

 

「……とは言えなぁ。」

 

湯に浸かる事で全身に走るぴりぴりした痛み。

切り傷や擦り傷に染みていく水分に顔を少しだけ歪める。

そうして身体を無理に動かせば、一番痛みが酷い事に後で気付いた箇所が更に痛む。

故に、傷の箇所場所全てを急いで「清める」必要があった。

湯自体に傷を早く治す薬効もあるのだというから、それはいい。

 

「……なんで一緒に入ることに?」

「…………茉子に聞いてください。」

 

絶対に湯だけではない熱が二人を包んでいる。

礼儀にそぐわないと分かっていても、彼女は全身にタオルを巻いた状態で。

俺の場合はそれをするのを(何故か)認められず全裸で。

同じ湯に浸かっている。

 

……茉子ちゃんの時にもあったな、確かに!

ってことは彼女の企みか何かかこれ!

態々俺が浸かった後を狙って入ってきた事といい、流れ同じじゃねえか!

 

「そっか……。」

「で、でも!」

 

後で何か言ったほうがいいのか、と悩みかけて。

それを止めるように少しだけ大きな声を聞く。

ぱしゃり、と水が跳ねた。

タオルで隠されながらも浮かび上がる、形の良い胸が視界に入って無理に首を曲げる。

 

「わ、私(・)が(・)し(・)た(・)く(・)て(・)し(・)て(・)る(・)ので…………その。」

 

其処まで告げて、自分の言ったことが恥ずかしくなったのか。

小さく何かを漏らしながら押し黙り。

温泉が流れる音だけが周囲を支配する。

……多分、互いの顔を見れば真っ赤だろう。

俺(・)だ(・)っ(・)て(・)嬉(・)し(・)く(・)な(・)い(・)わ(・)け(・)な(・)い(・)ん(・)だ(・)か(・)ら(・)。

 

「……ありがと。」

「……いえ。 え、っと。 それで。」

 

礼を告げるのも何だか不思議だが、言いたくなったのでそう返し。

返答に合わせるように、彼女は当初の予定だったのだろう一つの提案を口にする。

 

「背中、流させてくれませんか?」

「…………え?」

「交換条件というわけではないですが……私を、将臣くんが洗ってくれると嬉しい……です。」

「え???」

 

少し頭の混乱があり。

それに追撃を受けるように、更に混乱。

俺を彼女が、彼女が俺を?

それってつまり、背中だけとは言え裸を見るってことで……。

不味い、下半身に熱が。

 

「……なんでそうなった?」

「なんで、って。 将臣くん、今背中洗えないじゃないですか。」

「……あー。」

 

そういうことね。

それを狙って入れ知恵か何かしたのか茉子ちゃん。

文句を言うべきか凄い悩ましい。

 

「私も洗えなくはないですけど、少しだけ腕が痛いのは同じですし……。」

「洗って貰えると嬉しい、と。」

「はい。 交換条件……になります?」

 

なる。

多分此方が貰いすぎってレベルでなってしまう。

ただそれをはっきり口にするのは恥ずかしかった。

 

(……うわー。)

 

こんな幸せでいいのか、と思いつつ。

だから、行動で示した後で言うことにした。

 

湯の中を進み、手を伸ばす。

揺蕩う指先を掴み、引き上げる。

なんだろう、と首を捻る彼女の眼前で。

手の甲に唇を重ねる、振りをする。

騎士の誓約、とでも言うのか。

貴婦人に捧げるモノとして、咄嗟に浮かんだのがそんな行動。

 

「……勿論。」

「あわ、わわわ……。」

 

実際に触れるのはもう少し後だろう。

それよりも先に肌に触れ、裸を見ることが有るかもしれない。

ただ、それでも。

 

「俺でいいなら。」

「…………お、お願いします……。」

 

共に、湯から立ち上がり。

肌に張り付いたタオルがぴっちりと肌を映し。

俺は彼女の視界に真正面を向けないように注意しながら。

共に、背中では有るけれど。

柔らかいその場所に触れて、それだけである意味満足してしまった。

 

……眼には、十二分以上に焼き付けながら。

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