私が好きなのは兄だけど兄じゃない人に抱かれています 作:おっさんホイホイ
▷このままノートを読み続ける。
涼花の秘密ノートには続きがあった。
そのままページを開き続ける。
『先生にバレてしまいました』
『これ以上、お兄ちゃんに迷惑は掛けられません。今だってとても甘えさせてもらってます』
『だからこれは私が解決しなきゃいけないんです。頑張らなくてはいけないんです』
『でも怖いんです。先生が怖いんです。このままだと私が私でなくなるようで怖いんです』
『お兄ちゃん、お願いしてもいいですか』
………
ページを捲る。
『お兄ちゃん、ごめんなさい。私、先生が拒めません。先生と話してるうちにどんどん酷いことになってしまいそうで怖いです』
『段々慣れてきたけど段々酷くなってきて辛いです。触られてる間は忘れられるのに…』
『お兄ちゃん、私が変わっても好きになってくれますか?』
………
ページを…捲る…
『今日は約束の日じゃないのに呼び出しがありました。断るつもりでいつもの部屋で会いました』
『きっぱりと断るつもりでした。でも話しているうちに段々と変な気分になってきて』
『先生は約束を守りませんでした。もう次はどうなるかわかりません』
『お兄ちゃん、どうか私の最後のお願いを聞いて下さい』
………。
祐はノートを投げ出し家を飛び出す。
土砂降りの雨の中を駆ける。
昨夜
自分の身体を押し付けるように抱きついてきた涼花。
語られる事なく終わった相談。
微かに聞こえてくる泣き声。
祐の中で全てが繋がり、そして苦しめる。
最後の最後で俺はまた間違ってしまったのかと。
世間一般的に見れば昨日の祐の選択は正しい。
思春期の少年少女の中に身近な存在に恋愛感情を抱くことはある程度の割合で存在する。
だが年齢を負うごとにその割合は減っていく。
祐と涼花の場合、昨日がその兄離れのきっかけだった。
応えてくれぬ兄に涼花は諦めてしまったのだ。
だが皮肉な事に涼花が諦めた直後に祐は涼花を意識してしまった。
あのノートは祐に自分でも気づかなかった想いに火を点け、最近の原田との逢瀬を記した一節は焦燥感と共に祐を奮い立たせる。
祐は家を飛び出した。
走る途中でタクシーを拾い目的地へと急ぐ。
祐にとって最悪な結末が待つ場所へと運転手を急がせながら、事態の収拾をどうやって着けるべきかと考えていた。
涼花は指導室の前で立ち止まっていた。
とある予感が涼花の足を止めていた。
もし、この中で涼花が想像する通りの人物が自分を待っているとするならば、その時こそはその人に全てを捧げてしまおうと思っていた。
半ば投げやりのようなそんな涼花の覚悟はそんな事あり得ないというほぼ諦観にも似た感情から発生していた。
だが事ここに及んで、本当にそれで良いのかという疑問が涼花の心を占めていく。
悲しみに押し潰されていた理性が最後の抵抗を試みる。
そんな抵抗を『あり得ないから、大丈夫』と言い聞かせるようにして涼花はドアに手を掛けた。
施錠しているはずのドアは抵抗もなく開いていく。
覗き込んだ部屋の中に想像通りの人物を見つけ、涼花の鼓動は高まっていった。
「先生…」
ふらふらと部屋の中へと足を運んでいく涼花。
その頬を赤く染め目を潤ませて涼花を待つ原田へと近づいていく。
やがて二人は抱き合いお互いの温もりを感じながらその唇を近づけていった…
ガラガラガラ!
「涼花!」
ドアが乱暴に開かれ、名前を呼ばれた事で、涼花ははっとして振り返る。
「お兄ちゃん!?」
思わず離れようとする涼花を原田が抱きすくめてその自由を奪う。
「涼花を離せ!」
普段の祐からは想像出来ない低い強い声が指導室に響く。
余りにも突然の想い人の登場に涼花は混乱しながらも原田の手を逃れようともがき始める。
「先生お願い!離して下さい!」
「今さら戻れると思ってるのか?」
原田の声は涼花だけではなく祐の耳にも届いていた。
思わず足を止めてしまう祐をよそに原田は続ける。
「この一ヶ月間で永見はもう戻れないと気づいたんじゃないか?」
祐の目の前で原田の手が怪しく動き始めた。
「い、いやっ!」
原田の手が涼花の身体を弄り始めていた。
快楽を教え込まれた涼花の抵抗は弱い。
愛する兄の目の前で原田に弄ばれる。
その異常な空間にいつもよりも昂らされていく涼花。
乱れていくことを見られたくないと思いながら躾けられた身体は容易に快感を生み出していった。
「ほら、こんなに感じてるじゃないか」
「んんっ!」
下腹部を撫で回されるだけで涼花の身体は反応してしまう。
祐にこの一ヶ月の成果を見せつけるように原田は涼花の性感を引き出していった。
「認めてしまったんだろ?もう離れられないと」
「ん…んんっ…」
目の前で行われる妹の媚態に祐はしばし呆然としていた。
知らない間に女として目覚めていた妹の目は色に煙り始め、喘ぎ声のようなものまで上げ始めている。
「ん…ん……あっ…」
恥ずかしさに身悶えながら
「だから今日、ここに来たんだろ?」
「あっ…んんっ……」
原田の手はスカートの中に潜り込んでいった。
「お兄ちゃん…ごめんなさい…」
「涼花!」
涼花の声に祐ははっと我を取り戻す。
止まっていた脚は再び前へと力強く歩み始めた。
「お前と妹との交際は認めない」
「兄なら妹の幸せを願うのが普通じゃないか?ほらお前の妹さんはこんなに悦んでしまってるぞ?」
原田の手が涼花の秘所を弄りグチュグチュと水音を立てて祐を煽る。
スカートを捲り上げ祐によく見えるようにいやらしく指を動かして勝ち誇ったように笑いながら。
涼花は時折腰を跳ねさせながら祐から顔を背けて原田から絶え間なく送られてくる快感に耐えている。
だが快楽に堕ちそうになる涼花を見ながら祐が言った一言が原田を全否定する。
「涼花が嫌がってるだろ。もう止めろ」
「こんなに濡らしておきながら何言ってんだお前は?妹のこと何も見えてないんじゃないのか?」
「お前、今涼花の顔見てないだろ」
原田は自分の腕の中で震える涼花の顔を見て愕然とした。
この一ヶ月で充分に快楽を覚え込ませた。
少しずつ譲歩を引き出し、肌を晒すことも、その膣内に指を受け入れさせることにも慣れさせ、もはや躊躇なく自分を受け入れていると思っていた涼花。
だが涼花の顔は苦痛に歪んで見えた。
その事に原田の自信が崩れていく。
信じていた自分の指先の感覚、腕の中で震える身体の熱、吐息の荒さ、今まで信じていたものが疑問とともに崩壊していくかのようだ。
呆然としている原田から涼花を引き離す。
未だ震えの止まらない涼花を今度こそ自分の腕で抱きしめながら
原田へ引導を渡す。
「お前はこの一ヶ月間、嫌がる涼花に無理矢理イタズラしてただけなんだよ」
「違う!嫌がる素振りは…」
「弱味握って無理矢理だろ?何言ってんだ」
「嫌なら逃げれば良かったのに逃げなかったじゃないか」
「バカだなぁ、だからってお前のこと好きだと思ってた?」
「最後は裸で…」
「もう止めろ!」
涼花がビクンと震えた瞬間に祐は叫んだ。
これ以上コイツに口を開かせる訳にいかなかった。
「教師が生徒に手出した時点でもうあんたは終わってんだ。もう諦めろ」
祐のその言葉を待ってたかのように指導室へ入ってきた者がいた。
「原田先生、もう良いですかな?」
「きょ…教頭…」
腰が抜けたかのように崩れ落ちていく原田を見下ろしながら教頭は淡々と告げる。
「今日から自宅謹慎処分とします。その後については追って連絡しますが覚悟はしておいて下さい」
教頭は振り返り兄妹の方に向けて深々と頭を下げた。
「誠に申し訳ございません。本来ならば生徒を正しく導くべき教師が弱味につけ込み交際を迫り、関係を強要するなど言語道断。この始末は責任を持って着けさせて頂きます」
名門校の教頭は判断を誤らなかった。
ここで口止めしようとする愚を犯さず真摯に謝罪を行った。
ここで変な交渉など行えばこの件が明るみになった時、より大きなスキャンダルへと発展していくだろう。
「いえ、教頭先生には今回大変お世話になりました」
焦りながら校内へ侵入してきた祐に指導室の場所を教えたのはこの教頭だった。
しどろもどろになりながら事情を説明しつつ妹の行方を探す祐の姿は不審者そのものであった。
教頭がそんな祐を訝しみながらも指導室の場所を案内した理由は最近校内に流れ始めた噂が同じく指導室がらみであった為だ。
教頭は祐の言葉にようやく頭を上げた。
先程の原田の行為から涼花がどんな目にあってきたか、どれだけ苦しめられたか容易に想像ができる。
「この件についてはきちんと御両親にもお詫びにお伺いします。お二人には辛い事になるかも知れません」
「わかってます。どうかお願いします」
教頭は自分を見つめる兄妹の目に強い意志を感じた。
どちらともなく手を繋いで兄妹は指導室を出て行った。
「さて、原田先生」
その後ろ姿を見守りながら教頭が口を開く。
「全て話してくれますね?もうあなたに残された道はそれしか無いんですから」
二人は手を繋ぎなからも無言だった。
口を開こうにもどう切り出して良いかわからない。
お互いそんな想いを抱えつつ、お互いの手の温もりさえあればそれで良いと思っていた。
雨上がりの通学路を二人は歩いていく。
水溜まりを避ける為に離した手はすぐ結び直され
その事にちょっと驚いた様子の涼花の顔はすぐに笑顔へと変わっていった。
その笑顔を見ながら祐は世界一大切な妹を守れたんだと思った。
今度こそ俺は間違わなかった。
そんな自信のような物が祐の中に芽生え、少し祐を大胆にしていたのかも知れない。
互いの指を絡ませるような握り方に変え、頬を赤く染める最愛の妹を見つめて微笑む。
微笑みながら祐は心に誓う。
これから二人で歩いていくんだ。
どこまでも
いつまでも