ダークエロよろず短編集2 作:カード読み込み
日本裏格闘技界。
そのヒエラルキーは、森羅万象のごとく厳格にして残酷なり。
頂点たる『拳願会』を筆頭に、老獪なる『煉獄』、
過激なる『殺戮武闘会』が割拠する 祭典において、
女子専門の新興零細団体など、苔むした岩陰の菌類にも等しい。
されど、その菌類は枯れぬ。
なぜか。
陽の光を浴びぬ暗がりにあって、なおその呼吸を続ける所以はただ一つ。
──後ろ盾。
巨大なる陰の君主が、この規格外の菌類に醒めぬ養分を供給し続けているからだ。
名を、山下一夫《やました かずお》。
肩書は、山下商事社長。
表向きは善良なる初老のサラリーマンに過ぎぬが、
その実体は拳願会幹部にして、万物の価値を見定める『拳眼』の持ち主。
そしてまた、枯れることのな魔法のチンポの所持者である。
彼がなぜ、 ちっぽけな女子団体に袖を通すのか。
理由は単純。
美しい雌たちが、自身の支配下で悶え、泣き、そして堕ちていく様を観賞するに足る、
最高の遊技場だからだ。
ヴァルキュリアの創設メンバーにして運営陣である三人の乙女たちは、
その事実を身を以て知っていた。
自らの身体と引き換えに、団体の存続を担保にする。
古来より続く、裏社会の仁義などという生温いものではない。
これは、もっと原初的で、粘着質な、雄と雌の契約なのだ。
「……はぁ……はぁ……♡」
山下家の六畳一間。
湿布を張り詰めたような甘ったるい空気が、蝿の羽音のように寝室を満たしている。
畳の上には、三人の女が折り重なるようにして喘いでいた。
「あかん……もう、立てへん……♡」
美谷はな。
独立系暴力団・神宮寺組の若き組長は、京言葉で泣き言を口にしながら、畳に臥せっていた。
着物はもはや衣類としての体を成しておらず、
桔梗柄の布が白磁の肌に絡みつく拘束具と化している。
その防衛本能の塊のような肉体は、
山下のマジカルチンポによって剥き出しの性感帯へと再構成されていた。
寝技の天才をもってしても、この剛直の攻略は不可能だ。
膣内に侵入した魔性の肉棒は、
彼女の得意たる崩袈裟固めのごとく子宮をガッチリとホールドし、容赦なく揺さぶるのだ。
「大蛇に巻き付かれたみたい」などという比喩は、山下のチンポに対しては不適切である。
正しくは、大蛇そのものが膣奥に住み着き、内側から彼女を食い破っているのだ。
「クソッ……! まだ、まだ動ける……ッ!」
伊織いちか。
警視庁の狂犬は、歯を食いしばりながら上半身を起こそうとする。
だが、その眦には既に敗北の色が濃い。
ギザ歯を剥き出しにした威嚇も、この男の前では無力。
彼女の狂気は、山下の拳眼にとっては「攻め甲斐のある弱点多き性格」として映るのみ。
噛みつこうとすれば首筋を優しく撫でられ、
抵抗しようとすれば乳首を摘まれて電流のような快感が脳髄を走る。
警察官の矜持も、異常者の狂気も、
勃ち続ける肉棒の前にはただの媚びなる嬌声へと変換される。
「うぅ……マジで、無理……これ、反則だろ……」
天馬希望。
ヴァルキュリアの代表は、もはや代表の威厳など微塵もなく、陰気な呻き声を漏らしていた。
彼女の戦い方は、一撃必殺の持久戦。
だが山下は、その持久力ごと引力で引きずり込む。
網膜剥離で引退した眼は、今や快楽に逸り、焦点を失っている。
陰気なオーナーは、チンポという名のドーピングの前に、陽気なメスへと飼い慣らされていた。
「三位一体か。悪くないですねぇ」
あぐらをかいた山下は、湯飲みを置いて、愉悦に浸る声音で言った。
メガネの奥の双眸が、三つの獲物を舐めるように走査する。
防具(服)の越え方、筋肉の走り、そして何より、其処から溢れる愛液の匂い。
拳眼は、彼女たちがまだイケることを看破していた。
「さあ、第何ラウンドだったかな? そろそろ仕上げと行こうか」
「えっ……!? ま、まだ続けるの……!?」
「当然でしょう。君たちの団体が成り立つのは、私がこうして君たちを
『調教』し続けているからこそだ。……感謝して受け取りたまえ」
山下は、立ち上がった。
ビキビキと脈打つマジカルチンポが、天を衝くがごとく聳え立つ。
その凶悪なシルエットは、三羽烏にとっての断頭台であり、同時に至福の玉座であった。
「……あかん! 逃げるわ!」
はなが四肢を使って後退りしようとする。
だが、山下の歩みは遅遅切れるものではない。
風歩でも雷歩でもない、ただの老練なステップで、彼女の逃走経路を塞ぐ。
「往生際が悪いねえ、はなくん。寝技が得意なら、もっと深く私を抱きしめたらどうだ?」
「い、いややぁ……♡ そんな、おっきいの無理やもん……♡」
山下の手が、はなの白い脚首を掴んだ。
ズルリと引き寄せられる。
着物の裾が捲れ上がり、すでにぐしょ濡れの秘裂が露わになる。
無駄な抵抗。
山下のマジカルチンポは、はなの膣口を的確に見定め、
ゆっくりと、しかし確実に沈み込んでいった。
「ンオッ……♡ はいってくる……♡ また、おっきいのが……♡」
「相変わらずの名器だ。締め付けがいい。……だが、私のチンポはもっと深いところまで届くよ」
ずぶりっ♡
根本まで埋まった瞬間、はなの背中が弓なりに反った。
山下の腰が、緩やかに、そして重厚に揺れ始める。
はなの口から漏れるのは、京言葉の悲鳴か、それとも歓喜の讃歌か。
「イチカくん、見ているだけかね?」
「……●すぞゴラァッ……!」
いちかが咆哮し、背後から山下に飛びかかった。
首を絞めようと腕を回すが、山下は意に介さずはなを貫いたまま、いちかの腕を掴んだ。
「力が入らないだろう? それは君の身体が、私に敗北することを求めているからだ」
山下の手が、いちかの警察官の制服越しの胸を掴む。
強引に、衣類の上から乳首を摘み上げる。
「あぐっ……♡ 乳首、ダメだろ……♡」
狂気が快感に変換される瞬間。
いちかの目は細められ、口からは濁った喘ぎが漏れた。
山下はいちかの身体を引き寄せ、空いた手で彼女の秘裂を直接弄った。
すでに湿り気を帯びた其処は、山下の指を待ち構えていたかのように飲み込んでいく。
「……ノゾミくん。君が一番だね」
山下の視線が、蹲る希望を捉える。
「……やめて……もう、ホントに無理……」
「無理じゃない。君はまだイける。拳眼がそう言っている」
山下は、はなを貫いたまま、いちかの指を秘裂から引き抜き、ノゾミの手を引いた。
三人が、山下の股間に集結する。
マジカルチンポを中心に、三つの肉体が蠢く構図。
それは、裏格闘技のセオリーを覆す、圧倒的なハーレムの完成形であった。
「さあ、仕上げだ。三人とも、よく味わいたまえ」
山下の腰使いが加速する。
はなの膣内を蹂躙しながら、いちかの乳首を指で転がし、ノゾミの唇を奪う。
三点同時攻撃。
ボクシングのコンビネーションも、合気道の投げも通用しない。
ただ、快感という暴力が、三人の脳髄を焼き尽くしていく。
「イクッ……♡ イクッ……♡ おチンポにイカされるぅぅ……♡」
「あかん! あかんのにぃ……♡ またイッちゃう……♡」
「んむっ……♡ キス、凄い……♡ 頭、真っ白……♡」
三人の嬌声が重なり合い、部屋中に牝の匂いを撒き散らす。
山下のマジカルチンポは、萎えることを知らない。
はなの子宮に精液を注ぎ込み、いちかの胸に白濁をぶちまけ、ノゾミの口内に欲望を吐き出す。
三人は、それぞれの方法で山下の支配を受け入れ、絶頂の坩堝へと沈んでいった。
「……はぁ……はぁ……♡」
「……はぁ……はぁ……♡」
「……はぁ……はぁ……♡」
畳の上に散乱する、三人の牝。
その表情には、完全なる屈服の色が浮かんでいた。
オーナーも、警察官も、ヤクザの組長も。
山下の前では、ただのイキ狂う雌犬に過ぎない。
「ご苦労さん。……さて、そろそろ会社に行くか」
山下は湯飲みを手に取り、立ち上がった。
三人は力なく手を振る。
「いってらっしゃいませ……♡」
その声は、凛とした指導者のものではなく、主人に仕える奴隷のそれであった。
ヴァルキュリアが、なぜ成り立っているのか。
その答えは、六畳一間の湿った空気の中に、ただよっていた。
[#-]
山下家の畳に染みついた牝の匂いは、容易には消えない。
換気扇を回し窓を開け、線香を焚こうとも
六畳一間の空気はすでに山下という雄の体液で飽和していた。
天馬希望は、畳に正座し、湯冷ましを口に含みながら
自分の体内でまだ蠢いている山下の残滓を意識した。
腹の奥が、ずくん、と疼く。
生理痛にも似た、しかしもっと粘度の高い罪悪感と快楽が混ざり合った疼きだ。
「はぁ……。あのクソジジイ……」
呟きは、自分への罵倒かそれともあの男への未練か。
希望自身にも判別がつかない。
昨晩の自分たちの痴態を思い出すだけで、太腿の内側が熱を帯びる。
三人で並んであの剛直に奉仕し、子宮を穿たれ白濁を注がれた。
オーナーとしての矜持も格闘家としての自尊心も
山下の前では薄い上着のように容易く剥ぎ取られた。
と、スマートフォンが震えた。
着信音は、けたたましいマーチ。
画面に表示された名前を見て、希望の眉が微かに跳ねる。
「本郷姫奈……!?」
日本一危険な女子高校生。ヴァルキュリアの看板にして
最も狂気に満ちた切り札が、希望に直接連絡を寄越してきた。
『もしもし、希望さん? 今大丈夫ですか?』
声は、無邪気な少女のそれだった。
語尾に星が散りばめられたような、きらきらしい可愛らしい声。
「……あ、ああ。姫奈か。どうした急に」
『先日の試合の後、ちょっと気になることがありまして♡
それで、希望さんに聞きたいことがあるんですけれど今から会えませんか? ☆』
「……今から?」
希望は、反射で時計を確認した。まだ午後三時。
昼間の繁華街は、これから活気づく時間帯だ。
だが、本郷姫奈に会うということの意味はそんな平和な時間の経過とは無縁である。
この少女と会う時は、常に何かが起こる。
「……わかった。どこに行けばいい?」
『ありがとうございます☆ では、例のカフェで♡』
電話は、あっさりと切れた。
「……例のカフェ、ね」
希望は、深いため息をついた。
姫奈が言う「例のカフェ」とは、ヴァルキュリアの運営陣が打ち合わせに使う
雑居ビルの二階にある薄暗い喫茶店のことである。
皇桜女学院の制服を着た姫奈が、その場に現れることの違和感を思うだけで頭痛がした。
──-
希望が指定されたカフェに着くと、奥のソファ席に姫奈はすでに腰掛けていた。
大きな窓に背を向けて深い緑のソファに沈み込むように座る姫奈の姿は
まるで絵画の一部のように整然としていたが
その手前に置かれた皿の上には、何段にも積み上げられた生クリームの塔があった。
パンケーキである。それも、大盛りの。
「希望さん、こんにちは☆」
「おう。……それ、よく食えるな」
「私、甘い物には目がないんです♡ 皇桜女学院の帰りはいつもここで補給してるんですよ☆」
姫奈は、星屑のような瞳を輝かせてフォークを動かした。
口元を汚しながら、お世辞にも上品とは言えない速度でパンケーキを平らげていく。
その姿は、ただの可愛らしい女子高生のそれだった。
ただし、その可愛らしさの裏に何が潛んでいるのかを知っている希望は、背筋が冷えた。
「……で、聞きたいことって何だ?」
単刀直入に切り出した。
回りくどいのは性に合わない。
それに、姫奈は言葉の裏を読むような相手ではない。
むしろ、こちらの言葉の芯だけを圧倒的な力で掴み取ってくる。
「はい☆ 単刀直入に聞きますね♡」
パンケーキを咀嚼しながら、姫奈は言った。
「希望さん。山下先生って、どういう方なんですか? ♡」
希望の心臓が、嫌な音を立てた。
「山下先生」。
その単語が、姫奈の口から放たれた瞬間
カフェの空気が一気に薄くなったような錯覚に陥った。
「……山下……先生、だと?」
「はい☆ だって、希望さんたちの後ろ盾になってくれてるんですよね? ♡
ヴァルキュリアを支えてくれてる、すごく偉い方なんでしょう? ♡」
姫奈は、無邪気に首を傾げた。
だが、その星の瞳は、獲物を捉えて離さない肉食獣のそれだった。
彼女は知っている。
いや、確信している。
「山下先生」が、いかに特異な存在であるかを。
「……誰から聞いたんだ、その名前」
「秘密です☆ でも、信用していい情報なんでしょ? ♡
だって、希望さん、今すごく動揺してるもの」
希望は、返す言葉を失った。
この少女の前では、どんな小さな反応も致命的な失点になる。
顔色、呼吸の深さ、指先の震え。すべてが彼女の網膜に焼き付けられている。
「……まあ、いいわ。答えられないなら私なりに調べますし♡
でもね、希望さん」
フォークを置き真っ直ぐに希望を見据えて、姫奈は言った。
「私、その方に、会ってみたいんです♡」
「……は?」
希望の喉から、乾いた声が出た。
会いたい? 本郷姫奈が、山下一夫に?
そんなことが、どれほどの危険を孕んでいるのか姫奈は理解しているのか?
「……正気か、お前」
「ええ、真剣そのものです☆
私、山下先生と、一度でいいから本気で戦ってみたい♡」
戦ってみたい。
その言葉は、希望的には「殴り合いたい」という意味に聞こえた。
だが、姫奈の語る「戦い」は、もっと深くもっと粘着質な、狂気の領域にあるものだ。
希望は知っている。姫奈が、強い相手に対して示す感情を。
あの瞳に宿る、愛憎入り混じった渇望は格闘の枠を軽々と超えている。
「お前……山下先生が、どれだけ危険な相手かわかってるのか?
あの人はな、格闘技のプロじゃない。ただのサラリーマンだぞ」
「知ってますよ☆ 山下商事の社長さんでしょ? それに、拳願会の幹部さん♡」
姫奈は、微かに目を細めた。
「ただのサラリーマンが、希望さんたちをあんなに変えたのかと思うと……♡
ますます、興味が湧きます♡」
「あんた……ッ!」
希望は、テーブルを叩きつけそうになった。
「あんなに変えた」。
姫奈のその一言が昨晩の痴態を、生々しく脳裏に蘇らせる。
あの男に、組み敷かれて喘がされて、堕落させられた自分たちの姿を。
姫奈は、何か嗅ぎつけている。
もしかしたら、一部始終を知っているのか?
「やっぱり、そうなんですね♡」
姫奈は、可憐な口元を三日月の形に歪めた。
「希望さんたち、山下先生に、何かされてるんですね♡ ……いいなぁ♡」
その時、希望の中で、何かが切れた。
それは、怒りでも、恐怖でもなかった。
もっと黒く、粘り気のある本能的な感情。
──本郷姫奈が山下のマジカルチンポの前に、膝を屈する姿を見てみたい。
この戦闘狂の雌が、快楽に狂い、
白目を剥き母国語も敵わぬ嬌声で、敗北を叫ぶ姿を見てみたい。
これは、希望の「暗い衝動」だった。
ヴァルキュリアのオーナーとしての責任感や、姫奈への同情心などではない
もっと卑近で、官能的な欲望。
山下の支配下に堕とされた自分が、今度は、別の獲物を差し出すことで
あの男から少しでも目を逸らそうとする、浅ましい獣の心理。
「……わかったよ」
希望は、絞り出すように言った。
「会うだけなら、会わせてやる。ただし絶対に手を出すな。
相手は、政治家や警察をも動かす力を持つ人だ。
お前程度の狂人がどうにかできる相手じゃない」
「わぁ☆ ありがとうございます、希望さん! ♡」
姫奈は、パチンッと手を叩いて満面の笑みを浮かべた。
「やっぱり、希望さんは私の最高の理解者です♡」
その笑顔を見て希望は自らの胸の内に
「これでいいのか?」という理性の声と
「これで、この女も堕ちる」という獣の声が同時に響くのを聞いた。
後者の声は、思っていたよりもずっと大きく、そして甘美だった。
◆◆◆
その晩、希望は、山下の家を訪ねた。
昼間の姫奈との会話の報告のためではない。
いや、それもあったが、真の目的はもっと昏い。
それは、自らの肉体を差し出しその代償として
新たな生贄を一頭この男に献上する、という密約の確認だった。
「ほう……本郷姫奈が、私に会いたいと」
山下は、畳の上で新聞を読みながら興味深げに目を細めた。
「……あの、姫奈は、何も知らないんです。ただ強い相手と戦いたいだけの
ガキなんです。だから……」
「だから、何だね?」
山下の眼鏡の奥の瞳が、希望を射抜いた。
拳眼。万物の価値を、見定める瞳。
この男の前ではどんな言い訳も、ただの媚態に過ぎない。
「だから、……手加減して、ください」
「それは、君のお願いかね? それとも私への挑発かね?」
山下が立ち上がる。
畳を踏みしめる音が、やけに大きく聞こえた。
希望は、無意識に身構えた。
身体が、この男の気配に反応してしまう。
雌としての本能が、雄の前に跪こうとしている。
「……ちが……ッ!」
言い訳を続けようとした希望の唇を山下の指が、そっと塞いだ。
「来なさい。姫奈君の話は、ベッドの中でじっくり聞こうか」
「……ッ♡」
希望の脳裏に、昼間の姫奈の笑顔が一瞬過ぎった。
星の形をした、あの狂気を宿した瞳。
その瞳が、快楽に溺れ、涙を湛え白濁に染まる日を想像する。
ああ、なんて、酷い女だ。
友を売り、後輩を貶め、それでもなおこの男の腕の中へと、自ら足を踏み入れる。
「はい……♡ 御主人様……♡」
希望は、身に纏っていた黒いパーカーのファスナーを自ら引き下ろした。
現れる、流線型のボディライン。
白い素肌が、蛍光灯の下で淫靡に浮かび上がる。
カフェで姫奈に抱いた暗い衝動は今や、
この六畳一間の中で、一輪の悪魔の花として開花しようとしていた。
山下の手が、希望の顎を捉えその顔を上向かせた。
彼の顔が、希望の顔に近づく。
「本郷姫奈か……あの子は、実に、美味しそうな素材だよ」
山下の囁きには
ヴァルキュリアのオーナーとしての希望の同意も
格闘家としての希望の意地も
何一つ存在していなかった。
あるのは、獲物を狙う老獪な狩人の静かな悦楽だけだった。
[#-]
其の時、裏格闘技界の明日を左右する密約が、畳の上で交わされようとしていた。
天馬希望は、四肢を畳に這わせ、
喉の奥で鳴咽とも嬌声ともつかぬ湿った音を震わせていた。
其の眼前には、山下一夫という名の絶対的君主があぐらを組んでいる。
希望の唇は、山下の股間に聳え立つ剛直──
伝説のマジカルチンポに奉仕する為に存在していた。
ぐちゅ、ぐちゅ、と唾液と愛液が混ざり合った水音が、
静寂なる六畳一間に於いて唯一の許された楽譜である。
希望の脳裏には、数時間前に交わした本郷姫奈との会話が、
スローモーションのように再生されていた。
『私、山下先生と一度でいいから本気で戦ってみたい♡』
無邪気な狂気。
其れは姫奈にとっての「戦い」だが、山下にとっては「交尾」の宣告に過ぎない。
其の違いを、希望は舌の根で山下の凶悪なエラを舐め上げながら、骨の髄まで理解していた。
彼女は友を売った。
否、支配者に新たな生贄を捧げることで、
自らの席位を確保せんとする、浅ましき宮廷の奸臣の如き振る舞いである。
「……んむっ、ずずっ……♡ 御、御主人様の……おききい……♡」
目の奥が熱い。
羞恥と背徳の熱だ。
山下の拳眼は、希望が此の行為に潛む暗い悦楽を看破しているはずだ。
然り、彼女は此の生贄の提供に於いて、微かな、如何しようもない興奮を覚えていた。
あの日本一危険な女子高生が、山下の熱と白濁に塗り潰され、
無様な雌の姿に成り果てる幻影を見る度に、
希望の秘部はまた新たな蜜を泌らすのだった。
「よくできました、ノゾミくん」
山下は、撫でるように希望の髪を梳いた。
其の手つきは、愛玩動物を慈しむ飼い主のそれだが、
其の眼鏡の奥には、既に次なる獲物の幻影が焼き付いている。
「本郷姫奈……革命姫、か」
山下の呟きは、コーヒーの香りのように苦く、そして深かった。
対峙する相手がどれほどの武力を持っていようとも、
其れが「メス」である限り、山下の支配は揺るぎない。
炭素の結晶が鉄を削ぐ如く、或いは重力が光を歪める如く、其は原理原則なのだから。
◆◆◆
約束の日。
本郷姫奈は、皇桜女学院の制服という名の聖衣に身を包み、魔窟へと足を踏み入れた。
其の歩みは、確りとしていた。
薫風を切る剣戟の如き、躊躇なき前進。
彼女の双眸には、星が散って般的な輝きを放っている。
彼女は「戦い」に来たのだ。
其処に在るのは、己の力を証明したいという純粋なる渇望。
要するに、彼女は何も解っていないのである。
「こんにちわぁ☆ 山下先生、ですよね? ♡」
姫奈の声は、鈴を転がすように可憐であった。
だが、其の無邪気さは、刃物に毒を塗った如き凶険さを孕んでいる。
彼女は、畳の上で湯飲みを啜る初老の男を値踏みするように見下ろした。
「ようこそ、本郷くん。待っていましたよ」
対する山下は、動じていなかった。
蟻が来るのを待つ蟻地獄が如き、静謐なる歓迎である。
彼は眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。
其の奥の双眸が、微細に光を宿す。
拳眼、降臨。
其の瞬間、姫奈の筋肉が、意思に反して強張った。
(……何、これ……?)
違和感。
刹那の、しかし確実なる「質量」の変化だ。
目の前の初老の男から、目に見えぬ圧力が放射されている。
彼女の戦意が、空気中の水分を吸い取られていく。
熱い。
脳髄が痺れるような熱が、背骨の髄を這い上がってくる。
「私に、戦いを望むと? 面白いですね。だが、此処はリングの上ではない。私の家だ」
山下は、ゆっくりと立ち上がった。
鳩尾の少し突き出た其の体躯は、何ら威圧感を放たない。
然し、其れは深海の鮫が泳ぐ水面の如き、静謐なる恐怖の具現化であった。
「ええ☆ 希望さんから、先生がすごく強いって聞きましたから♡
私、退屈なんです♡ だから、本気で……♡」
姫奈は言葉を止めた。
言葉が、乾いた喉に張り付いたのだ。
山下の姿が、ブレた訳ではない。
其の輪郭が、急に「雄」としての輝きを帯びたのだ。
「強い、か。定義は人それぞれだがね、本郷くん。
私の強さは、君が求めるそれとは少々趣が異なるのかも知れんよ」
山下は、一歩、踏み出した。
唯の一歩。
然し、其れは姫奈の間合いを完全に粉砕した。
軍隊格闘技の間合いなど、山下の步の前には砂上の楼閣に等しい。
山下は、抵抗の隙を与えず、姫奈の目前に立った。
近い。
あまりに近い。
呼吸が触れ合う距離。
然し、其れは格闘技のクリンチではない。
もっと粘着的で、逃避不能な蜘蛛の糸の絡繰りである。
山下の体臭が、姫奈の鼻腔を犯した。
コーヒーと、古い書籍と、
そして男の発情の匂いが混ざり合った、昏く濃厚な香気。
「……ッ!?」
姫奈は、無意識に半歩下がった。
彼女の戦歴に於いて、此の種類の「後退」は存在しない。
どんな強敵の前でも、彼女は踏み込んできた。
然るに、此の初老の男の前では、
彼女の脚は「退く」という機能を突然に思い出したかの如く、
主人の命令に背いて弄んだのだ。
「どうしたね? 脚が震えているぞ」
山下の手が、伸びた。
其れは攻撃ではない。
慈しむ如く、姫奈の頬に触れた。
粗糙なる指紋の感触。
老いの皺が刻まれた其の指は、然し熱を持ち、
姫奈の肌から防御という名の油膜を拭い去っていく。
「や……♡ やめ……♡」
姫奈の声が、裏返った。
陥落の狼煙である。
彼女の「戦意」は、山下の体温に触れた其の瞬間に、
別の質の「欲情」へと変換され始めたのだ。
打つか、蹴るか、投げるか。其の選択肢は、
山下の掌が頬を這うと同時に消滅した。
代わりに浮上したのは、「触れられたい」という、原始的な雌の本能であった。
「美しい顔だ。其の星の瞳が、私に映る。いい光だねぇ」
山下の指が、姫奈の顎を捉えた。
固定だ。
逃がさないという意思表示ではなく、じっくりと味わう為の拘束である。
山下の拳眼は、姫奈の瞳の奥に潛む戦闘狂の焔を見抜いていた。
其の焔は、酸素の代わりに快楽を与えられれば、
容易く淫らな花火へと其の姿を変える事を。
「私、は……♡ 戦いに、来たんです……♡」
虚勢だ。
自分自身への言い聞かせである。
山下の気配が、彼女の肌から沁み込み、
内臓を 直接に撫で回しているような感覚に、姫奈は身を捩った。
膣奥が、疼く。
否、其れは疼きなどという生易しいものではない。
渇望だ。
此の男に征服されたい、其の指で全身を弄り回されたい、
という背徳の渇きが、弥生の雪解けの如く彼女の下肢から湧き上がっていく。
「戦い? 否、違うな。君は、私に『飼われ』に来たんだ」
山下の唇が、動いた。
其の言葉は、呪いであった。
契約の成立である。
物理的な暴力を用いずして、相手の精神を根底から書き換える魔術の詠唱。
「飼わ、れ……♡」
姫奈の唇から、微かな喘ぎが漏れた。
其の瞬間、彼女の瞳の中の星が、一瞬、激しく明滅し、そして濁った。
革命姫の首に、見えぬ首輪が掛かったのである。
まだ、彼女は其れに気付いていない。
微かな恐怖を感じながら、
然し其れが到底抗い難い甘美なる奈落への誘いである事を、
彼女の雌としての本能はすでに知っているのだ。
山下のマジカルチンポは、ズボンの下で、
すでに天を衝くが如くそそり立っていた。
布越しにも解る、圧倒的な質量。
姫奈の視線は、無意識のうちに其処に吸い寄せられていた。
磁石が鉄を吸い付けるが如く、雌は雄を感応する。
「さあ、本郷くん。此方へ来なさい。君の其の強さを、別の形で私に示してみたまえ」
山下は、畳の上を指差した。
主の隣に座るように命じる、指揮者の杖である。
姫奈は、ふらりと、足を踏み出した。
其れは、彼女の意思ではなかった。
山下の引力に引かれたのだ。
彼女の強靭なる腱は、山下の前では、糸のように脆かった。
魅惑の白濁に、華々しくも無様に堕ちていく流星の残骸。
其の様は、愚かなり。
然し、此の男の前では、それこそが唯一の真理であった。
[#-]
本郷姫奈の膂力は、まさしく人外の域にある。
カルト宗教『神の軍勢』で叩き込まれた軍事格闘の数々は
その細腕から放たれるとは思えぬ破壊力を伴い
幾多の女傑たちを病院送りにしてきた。
一撃必殺。
故に、ヴァルキュリアでは無敗。
そんな彼女にとって「組み合い」とは、即ち敵を屠る前段階に過ぎない。
だが、今。
「……ん、ぅ……っ♡」
姫奈の口から漏れたのは戦意の咆哮でも、痛打への呻きでもなかった。
喉の奥をくすぐるような、微かな、しかし明らかに甘い吐息。
山下の右手が、彼女の手首を捕らえていた。
それは力づくの拘束ではない。ただ、添えられているだけ。
だというのに、姫奈の腕は、鉛を流し込まれたかのように動かない。
指先から、肘へ、肩へ、そして背骨を伝って何か熱いものが全身に沁み渡っていく。
「構えが崩れていますよ」
山下の声は、凪いだ海のように静かだった。
左手は、姫奈の顎に添えられたままだ。
親指が、彼女の下唇をなぞる。
其の感触は、戦場で味わう痛みとは真逆の優しさに満ちていた。
「はな……し、なさ……っ」
絞り出すような声。
姫奈は、空いている方の手で山下の胸を突き飛ばそうとした。
すんでのところまで行った。
が、その手首もまた、いつの間にか山下の掌中にある。
「ふむ。流れるような動き。軍隊式の殺法とはまた違う
実に洗練された体術です。だが……」
山下は、其の細い手首を己の口元へ引き寄せた。
「……ッ!?」
姫奈の瞳が見開かれ、星の輝きが動揺に揺れた。
山下が、彼女の手首の内側薄い皮膚の上に、唇を落としたのだ。
ちゅ、と、音がした。
それは、キスというにはあまりに軽くしかし確かに「接吻」だった。
瞬間、姫奈の身体を目に見えぬ電撃が走り抜けた。
「ひ、ぁ……っ♡」
背筋が、のけぞる。
力が、抜ける。
信じられない。
自分が、たったこれだけのことで膝を折りかけるなど。
「此処だ。此処が、君の一番快い場所の一つだ」
山下は、姫奈の手首を離さない。
唇を、今度は指の付け根へそして指先へと、這わせる。
人差し指を、甘く、噛んだ。
「や、め……っ♡ なに、して……っ♡」
指先は、戦士にとって武器そのものだ。
其処を、舐られ、吸われ歯を立てられる。
それは、彼女の武器を溶かす行為。
戦意という名の防具の隙間から、
確実に「雌」を暴き立てる淫猥な食事風景だった。
「君の身体は、随分と敏感だ。その細い指の先まで
戦うために生まれたのかと思いきや、与えられる快楽のためにもそこは存在している」
山下の言葉はまるで裁判官の判決文の如く、冷徹でそして艶かしい。
姫奈は、必死に頭を振った。
違う。私は、戦うために、ここに来た。
この男と、命のやり取りをするために。
なのに、なぜ。
なぜ、指先を舐められるだけで、膝が笑うのか。
「抵抗するのは勝手だが、無駄だよ」
山下は、ようやく姫奈の手首を解放した。
自由になったはずの両腕。
だが、姫奈の腕は、力なく垂れ下がったままだ。
痺れている。
いや、痺れなどではない。
全身が、快楽という名の見えない鎖で雁字搦めに縛られていた。
「君の強さは、雄を惹きつけるための飾りだ。
その証明を、今からしてあげよう」
山下が、一歩、踏み込んだ。
間合い、ゼロ。いや、マイナスだ。
姫奈の身体に、山下の身体が密着する。
彼の指が、姫奈の背中に回され皇桜女学院の制服の上から、そっと背骨をなぞった。
「ひゃう……っ♡」
声にならない悲鳴が、姫奈の喉から迸った。
身体が、ビクン、と跳ねる。
山下の指は、彼女の脊髄に沿ってゆっくりと、下りていく。
其の指先は、まるで楽器を弾くかのように制服の布地の上からでも
彼女の急所を的確に、奏でていく。
「……すごい、身体だ。汗ばんだ肌が布越しでも震えている。匂いもいい」
山下の鼻先が、姫奈の首筋に埋められた。
すん、と息を吸う音が耳元で大きく響く。
「や……っ♡ くん、くん……しないで……っ♡」
姫奈は、身をよじって山下から逃れようとした。
が、彼の腕は、彼女の細い腰に回されていてびくともしない。
それ所か、身をよじる動きが
まるで山下の身体に擦り寄っているかのような姿になっている。
「恥ずかしいですか? だが、これは君の身体が放っている天然のフェロモンだ。
非常に、扇情的だよ」
「うそ……っ。私、そんな……っ」
彼女の戦闘狂としての歴史に、こんな恥辱は存在しない。
汗を舐められ匂いを嗅がれ、そのたびに全身から力が抜けていく。
これは、自分が知っている「戦い」ではない。
これは……「狩り」だ。しかし、狩られているのは私だ。
「嫌なら、どうして声を抑えられない?」
山下の指は、いつの間にか姫奈の太腿へと伸びていた。
制服のスカートの裾を指先が、くすぐるようになぞる。
「ひぅ……っ♡ さわ、触るな……っ♡」
「触っているのは、制服だ。だが、君の肌は布越しでも
これほどまでに熱い。膝の裏は、どうかな?」
其の瞬間、山下の指が、スカートの裾からするりと、侵入した。
直接、肌に触れる。
膝裏という、戦闘においては急所でもあるだが性的には無防備な場所。
「んぁあ……っ♡♡」
姫奈の体が、大きく仰け反った。
今までの比ではない明確な「甘い声」が、六畳一間に響き渡る。
山下の指は、膝裏を、優しくしかし執拗に、這い回る。
「此処も、素晴らしい反応だ。汗ばんで、ほんのりと湿っている。良い雌だ」
「ちが……っ♡ 私は、雌なんかじゃ……っ♡」
「そうか? では、この指の動きになぜ腰が揺れる?」
姫奈は、ハッとして、自分の身体を見下ろした。
いつの間にか、自分の腰が、山下の指の動きに合わせて小刻みに動いている。
まるで、彼の愛撫を、もっと深くと、無意識にねだっているかのように。
「こ、これは……っ♡ ちがう、体が、勝手に……っ♡」
「体が勝手に、か。名案だな。いいわけとして。だがもう遅い」
山下の指が、膝裏から、太腿の内側へと上り始めた。
白く、滑らかな、太腿。
その最奥部へと、指は、確実に近づいていく。
「やめ……っ♡ それ以上は……っ♡」
「何だ?」
「……っ!」
「言ってみなさい。それ以上は、どうなると?」
山下の指が、太腿の付け根下着のすぐ傍で、ぴたりと止まった。
「……ぁ、……ぃ……♡」
姫奈の唇が、わなわなと震える。
言えるはずがない。
「濡れてしまう」だなんて。
「お願い」という言葉を吐き出すなんて。
「……ぃゃ……だ……♡」
姫奈の目尻にじわりと、涙が滲んだ。
戦場の狂犬が、たった一本の男の指の前に泣いている。
其の光景を、山下は、眼鏡の奥の瞳でじっくりと、いたぶるように見つめていた。
「強がるのも、可愛らしい。しかし現実を見る必要がある」
山下の指は、下着越しに、彼女の秘部へと触れた。
「……あっ♡」
ビクンッ、と、姫奈の全身が震え膝がガクガクと笑い出す。
其処はもう、戦いの汗などとは比べ物にならないほどしっとりと、熱く、濡れていた。
「……わかるかい? これが、君の本当の姿だ。
戦乙女などではない。ただの、欲しがりの雌だ」
山下は、下着越しに、割れ目の形をなぞり始めた。
くちゅ、という小さく湿った音が密室に、ふたりだけの秘密のように響く。
「やめ……っ♡ やめ……て……っ♡ おねが……っ♡」
姫奈の口から、ついに「お願い」の言葉が漏れた。
だが、それは「やめて」という意味ではない。
「もっと」という、雌の心の悲鳴だった。
山下の体術は、まさにメスを堕とすための人類の常識を超えた魔技。
戦闘の天才は快楽の前では、ただの無力な少女に過ぎなかった。
其の星の瞳は、戦意を失い、ただ、山下の指先だけを追いかけている。
[#-]
口づけとは、本来ならば魂の契約たるべきものである。
されど山下一夫の唇は、ただの生物学的接着剤に過ぎぬ。
いや、剥がれ落ちた戦意を「雌」の皮で貼り直す為の、化学的処理剤と言うべきか。
本郷姫奈の唇が山下のそれに触れた瞬間、彼女の脳内で鳴り響いていた
聞き慣れぬ軍歌はプツリと途切れ、代わりに粘度の高い甘美なる
胎内のララバイが永遠に終わることのないコーダとして流れ始めたのである。
「んちゅっ……♡ んむっ……♡」
姫奈の瞳から、星が堕ちた。
光を失った瞳孔は、ただ山下の顔面という
絶対的君主の輪郭だけを反射するガラス玉と化している。
ねっとりと濃厚な、コーヒーの香りのする男の唾液が
彼女の口腔内という名の要塞へと侵攻し、
守備隊(理性)を壊滅させていく。
舌は、既に武器ではない。
山下の舌に絡め取られ、翻弄され、そして快楽という
耐久糖衣を塗りたくられる為だけの奉仕道具に成り下がった。
「はぁ……♡ はぁ……♡」
唇が離れると、銀色の糸が二人の口を繋いだまま、
姫奈の顎を伝って滴り落ちる。
それは降伏勧告の署名用インクよりも遥かに濃く、
そして不可逆的な契約の証であった。
運命の神が振った骰子は、もはや戦場に佇む敗者の為の
特権など微塵も認めてはいなかったのである。
「残念だったね、本郷くん。君のその強靭な腱も、
私の唇の前ではただの飾りに過ぎないようだ」
山下の声が、耳元ではなく脳髄に直接響く。
悔しさなどない。あるのは、ただ、已む事態を
受け入れざるを得ないという、本能的な諦念と、
其処から湧き上がるメスとしての恍惚のみ。
「……御主人様……♡」
其の言葉は、銃を捨てて両手を挙げる行為と同義であった。
姫奈の両手は、もはや拳を握りしめる為ではなく、
山下の首に甘えるように絡みつく為に存在していた。
「よしよし。素直な雌は好きですよ」
山下は眼鏡の奥を細め、満足げに頷くと、
姫奈の皇桜女学院の制服に手をかけた。
ブレザーのボタンが一つずつ外され、
中のブラウスがはだけられていく。
其の所作は、爆弾処理班の如き慎重さと、
愛でる者の手つきの優しさを同居させていた。
現れたのは、発育の良い彼女の肉体を窮屈そうに包み込む、
淡い色のスポーツブラ。
然し其れも、山下の手にかかれば、
ただの布切れよりも無意味な障壁でしかない。
褌(ふんどし)ごと海へと飛び込む男の如く、
山下は大胆にそれを捲り上げた。
「ふむ。うん。ふむ」
山下の喉が、品定めをする如き唸りを上げる。
露わになったのは、雪のような白磁の肌の上に
鮮やかに浮き上がる、ピンク色の二つの頂点。
山岳地帯の尖端に咲く高山植物の如く、
其処は蛍光灯の下で愛らしくも淫らに充血していた。
「姫奈くん、軍隊式の訓練を受けていた割には、
随分と感度が良いねぇ」
山下の指が、其の頂点をツンと弾いた。
「んおっ♡」
背中が弓なりに反る。
過剰なる反応。
其原因は、彼女の肉体が山下の支配を「待ち望んでいた」
という事実に他ならない。兵器としての身体は、
同時に快楽の器としての性質を秘めていたのだ。
幼い頃より叩き込まれた殺人の技法は、
今やメスとしての奉仕の技法へと魔法の如く変換されている。
「さあ、こちらも布を脱いでもらおうか」
山下の命令に、姫奈は少しも躊躇わなかった。
残りの衣服を自らの手で剥ぎ取り、畳の上に投げ捨てる。
恰も、蛇が脱皮をするが如き、
あるいは繭から蝶が羽化するが如き、
恐るべき速さと自然さで。
露わになった全裸は、一切の羞恥心を欠片も持たぬ
ただの雌のそれであった。
其の股間には、もう戦闘用の下着など存在しない。
ただ、山下を迎え入れる為だけに濡れそぼった
割れ目があるのみ。
「さて、本郷くん。君が私に奉仕したいと言ったね。
其の意志、此処で証明したまえ」
山下は、ズボンと下着を同時に引き下ろした。
其の瞬間、部屋の空気密度が三割ほど増したかのような、
圧倒的な質量感が充満した。
マジカルチンポ。
女をイキ殺す凶悪なるエラ、脈打つ血管、全面に散在する大小のイボ。
其れは姫奈が今まで対峙してきた如何なる強敵よりも、
雄々しく、そして暴力的であった。
「……♡ ……♡ ……♡」
姫奈の喉が、ごくりと鳴った。
恐怖か、歓喜か。
おそらくは其の両方であろう。
彼女の星の瞳は、其の魔性の肉棒に釘付けになっていた。
其処にあるのは、為す術もなく屈服した雌の眼差しである。
彼女は、自然と膝を折った。
畳に這いつくばり、其の聳え立つ剛直の前に額ずく。
これは服従の姿勢。
神に祈りを捧げる信者のそれではなく、
神そのものに身を捧げる生贄のそれである。
「んおっ……♡ 御主人様の……おチンポ……♡」
舌が、伸出づるに出る。
言葉よりも先に、身体が求めていた。
山下のマジカルチンポが姫奈の視界一杯に広がり、
凶悪なカリ首が其の目前で脈動する。
ねっとりと漏れる先走りの雫が、
姫奈の鼻先に男の濃厚な匂いを届かせた。
「ご挨拶、しなくちゃ……♡ いけませんよね……♡」
姫奈の唇が、震えながらも確実に近づいていった。
昆虫が植物の蜜に吸い寄せられるが如き、
或いは鉄屑が磁石に惹きつけられるが如き、
抗いがたい引力。
姫奈は山下のマジカルチンポを其の両手で包み込み、
崇める様に顔を寄せた。
「んちゅっ♡ おっはばっ♡」
先ずは亀頭に口づけを。
尊敬と、渇望の口づけを。
其れから舌を這わせ、カリ首の溝をねっとりと舐め上げる。
ぴちゃ、くちゅ、と水音が響き始めた。
此れは最早、奉仕という名の信仰行為である。
「あむっ♡ んむっ♡ おっほぉ♡」
大きく口を開け、山下の肉棒を喉の奥まで咥え込む。
其の口腔内は、人間などの生温かさではなく、
もっと質量の在る熱気に包まれていた。
硬い、太い、熱い。
其れが喉奥を犯していく。
しかし、其処に苦痛の表情はない。
むしろ、脳が蕩ける様な歓喜に、姫奈の目はトロンと溶けていた。
「……んぐっ♡ じゅぽっ♡ れろっ♡」
頭を前後に振る頻度が速くなる。
急ぐわけではない。
ただ其の圧倒的な質量を体内に収め、
其の味を脳髄にまで刻み付けたいという、
本能的な飢餓感が彼女を突き動かしているのだ。
「上手いね、本郷くん。君の其の口もまた、
最高の武器だ。殺す為ではなく、
私を悦ばせる為のね」
山下の手が、奉仕に勤しむ姫奈の頭を優しく撫でた。
其の感触に、姫奈は背筋が痺れる様な悦びを感じた。
褒められたのだ。
主人に、其の奉仕を認められたのだ。
「んおっ♡ んむっ♡ おっほぉおおっ♡♡」
其の喜びが、奉仕の速度を更に加速させる。
唾液が溢れ、顎を伝い、畳に染みを作る。
其れは恥ずべき事ではない。
征服された雌の勲章なのだから。
姫奈の口中は、山下の男の匂いと味で満たされ、
彼女は恍惚としながら、
此の調教の永遠を祈ったのであった。
[#-]
ずちゅっ♡ じゅぽっ♡ ねろっ♡
水音が、六畳一間の静寂を侵食していく。
畳という名の粗末な舞台の上で、一人の少女が雄の肉柱に縋り付いていた。
本郷姫奈。
皇桜女学院の制服は畳の上に脱ぎ捨てられ、ただの抜け殻と化している。
其処に在るのは、星の瞳を蕩けさせた一匹の雌のみ。
「んむっ……♡ おっほぉ……♡ ごしゅじんさまの……♡」
唇が、山下のマジカルチンポを包み込む。
其の口腔内は、軍事訓練で鍛え上げられた身体の他の部位とは異なり、
驚くほど熱く、そして柔らかかった。
舌の付け根から喉の奥へと至る滑らかな肉襞が、
山下の凶悪なエラを締め付ける。
暖かい口内の感触がペニスを前後するのがたまらない。
山下の太い肉棒が姫奈の唇を圧するたび、
其の頬は小さく膨らみ、そして窪む。
呼吸のたびに鼻翼が震え、プラチナブロンドの前髪が
汗で額に張り付いていく。
「んぐっ♡ じゅるっ♡ れろれろっ♡」
舌が、竿に散在する大小のイボを一つ一つ丁寧になぞっていく。
其の執拗なまでの精密さは、
彼女が格闘技において見せるストライクの正確さと同質のものであった。
的を絞り、的を撃つ。
然し其の矢は殺傷ではなく快楽という名の毒を運ぶのみ。
「んちゅっ♡ おっ♡ あむっ♡」
亀頭のカリ首の溝に舌先を埋め、ねっとりと舐め上げる。
其処に溜まった先走りの苦味と山下の体臭が
姫奈の味蕾を占領していく。
苦い。
濃い。
そして何より雄々しい。
其の味は彼女の脳髄に直接作用し、
理性の残滓を溶解させていった。
「……んむっ♡ おっほぉおっ♡」
山下の命令通り、根元を指で扱くことも忘れていない。
細く白い指が、太い肉柱の根本を包み込み、
上下に動かしていく。
唾液でぬめる竿は指を吸い付くように滑り、
其の感触がまた山下の快楽を増幅する。
「ふむ……。悪くない。いや、中々に上達が早い」
山下の声は、湯飲みを啜るかの如き平淡さであったが、
其のメガネの奥の双眸は確実に愉悦の色を宿していた。
拳眼は、姫奈の口内の温度と舌の動きと喉の締め付けを
全て数値化して把握している。
彼女がまだ本気を出していないこと。
然し其の潛在能力が底知れぬものであること。
其の全てを、山下は見抜いていた。
「んぐっ♡ じゅぽっ♡ おっ♡ おっ♡」
姫奈の頭の動きが加速していく。
前後に、そして少し回転を加えながら。
山下のマジカルチンポの全周を舐め尽くす為の、
本能的な軌道。
其の動きは、彼女が牛肉のサンドバッグに
一秒間に七発の拳を叩き込む訓練に似ていた。
正確に、そして執拗に。
然し其処に在るのは破壊の衝動ではなく、
奉仕の悦びである。
「んおっ♡ おっ♡ ……つかれた……かも……♡」
唇を離すと、銀色の糸が亀頭と唇を繋いだまま、
ぷるんと震える。
姫奈の口の端からは、唾液と先走りの混ざった液体が
顎を伝って滴り落ちていた。
其の姿は、戦場の狂犬の面影など微塵もない。
ただ、主人の精を待ちわびる雌犬の姿のみ。
「……つかれた、か。ならば休んでいる暇はない。
次はこちらから奉仕してあげましょう」
山下は、姫奈の顎を指で持ち上げた。
其の瞳は、とろんと蕩け、焦点が定まらない。
山下の唇が、姫奈の唇に重なった。
今度は、姫奈の口内に残る自分の匂いを確かめるかの如き、
濃厚な接吻。
舌が、姫奈の口腔内を再び蹂躙する。
其の残滓を、一滴残らず舐め取るかのように。
「んむっ♡ んおっ♡ はむっ♡」
姫奈の舌が、山下の舌に絡み付く。
其の感触は、先ほどまでマジカルチンポに奉仕していた
舌の動きそのものであった。
山下は、其の奉仕の技術を唇から直接味わっていた。
「……上手くなったね、本郷くん。口の使い方が」
「……♡ ……♡」
姫奈は、山下の唇に吸い付きながら、
其の言葉を甘んじて受け入れた。
否定も反論もない。
ただ、主人に認められた悦びが、
其の蕩けた表情に滲んでいた。
山下の手が、姫奈の首筋から鎖骨へ、
そして乳房へと滑り降りていく。
指先が、ピンク色に充血した乳首を捉えた。
「んひっ♡」
姫奈の身体が、ビクンと跳ねる。
山下の指が、乳首を親指と人差し指で挟み込み、
ゆっくりと回転させる。
其の刺激は、背骨を伝って子宮にまで達する。
「……乳首が硬い。私のチンポを舐めている間、
ずっとこうだったんだね」
「……♡ だって……♡ 御主人様のを舐めてたら……♡」
姫奈は、羞恥に顔を紅潮させながら、
其の言葉を飲み込んだ。
言えない。
舐めているだけで濡れてしまったなど。
其れは戦士としての矜持が許さぬ恥辱である。
然し山下の拳眼は、
其の秘めたる恥辱の正体を既に見抜いていた。
「言わなくてもわかる。
君の其処が、もうこうなっている」
山下の手が、乳首から腹部を経て、
秘部へと伸びた。
下着越しに触れた其処は、
もう汗などとは呼べぬほどの湿り気を帯びていた。
「やっ……♡ そこ、だめ……♡」
「だめ? だめじゃないだろう。
君は此れを待っていたんだ」
山下は、下着を横にずらし、
直接、秘裂に指を這わせた。
くちゅっ♡
其の音は、姫奈の恥辱を音響化したものだった。
「あっ♡ あっ♡ 指が、入って……♡」
山下の指が、濡れそぼった花唇を割り開き、
膣内へと侵入していく。
人差し指と中指の二本が、
内壁の襞を掻き回しながら奥へと進む。
「んおっ♡ そこっ♡ そこ、すごい……♡」
「此処か? 此処が君の一番弱いところだ」
山下の指が、膣の天井を強く押し上げた。
Gスポット。
其の部位を、拳眼は正確に看破していた。
「ひゃうっ♡♡」
姫奈の背中が、弓なりに反り返る。
山下の指が、其の部位を執拗に攻め立てる。
押し上げ、擦り、そして弾く。
其の単調かつ正確なリズムは、
彼女の脳内に快楽のドーパミンを溢れさせる。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ イクっ♡ 指だけで、イク……♡」
「イキなさい。そして、次は私の番だ」
山下は指を抜くと、
其のままマジカルチンポを姫奈の秘裂に押し当てた。
凶悪なエラが、閉ざされた花唇を割り開いて侵入していく。
ずぶりっ♡
「んお゛おおおっ♡♡♡」
姫奈の全身が震え、目が見開かれた。
山下の巨根が、彼女の膣内を蹂躙しながら、
子宮口を的確にノックする。
其の感触は、指とは比較にならない質量と熱度を伴っていた。
「あっ♡ あっ♡ おっ♡ おチンポ♡ おチンポが♡」
「どうだ? 指とは違うだろう。
此れが君の其処にぴったりだ」
山下は、腰をゆっくりと打ち付け始めた。
緩やかなストロークから次第に激しさを増していく。
拳眼で看破した弱点を寸分違わず突き上げる。
的確無比なる抽送。
「んおっ♡ おっ♡ おっほぉおおっ♡♡」
姫奈の口から、濁点の混じった嬌声が迸る。
かつての戦闘狂の面影は、もはや微塵もない。
ただ快楽に溺れる牝がそこにいた。
山下のマジカルチンポは、彼女の胎内を占領する侵略者であり、
同時に彼女が待ち望んだ救世主であった。
「イクっ♡ イクっ♡ また、イっちゃう……♡」
「何度でもイケ。君の其の身体は、
其の為に作られているのだから」
山下の腰使いが加速する。
ずちゅっ♡ ごちゅっ♡ ぐりゅっ♡
肉と肉がぶつかり合う音が、六畳一間に響き渡る。
姫奈の太腿が山下の腰に絡みつき、
其の爪が背中に食い込む。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ すごい♡ すごいですっ♡」
「本郷くん。君の其の強さを、
私に示してみせたまえ。……声で」
山下の命令に、姫奈は、
快楽に溺れながらも、其の命令に従った。
「あっ♡ あっ♡ 御主人様のチンポが♡
すごいんですっ♡ 私の、おまんこ♡
びくびくして♡ 止まらないんですっ♡♡」
其の言葉は、降伏宣言であった。
戦乙女の看板格闘家が、
山下のマジカルチンポの前に白旗を上げた瞬間であった。
山下は、其の降伏を受け入れるかの如く、
最後のピストンを深く、そして力強く打ち込んだ。
どびゅるるるっ♡♡♡
灼熱の精液が、姫奈の子宮の最深部へと注ぎ込まれた。
「ああああっ♡♡♡ 赤ちゃん♡ できちゃう♡♡♡」
姫奈は白目を剥き、全身を痙攣させて絶頂した。
其の星の瞳は、もはや何も映していない。
ただ、山下の精液が子宮を満たしていく感覚だけが、
彼女の世界の全てであった。
「はぁ……♡ はぁ……♡ はぁ……♡」
力尽きたように畳に突っ伏す姫奈。
山下は、其の髪を優しく撫でながら、
眼鏡の奥を細めた。
「よくできました。……これからが本番だよ」
其の言葉に、姫奈の身体が微かに震えた。
恐怖か、期待か。
おそらくは、其の両方であろう。
[#-]
絶頂の余韻とは、灼熱の溶岩が冷えてゆく過程に似ている。
ゆるやかに、しかし確実に、理性という名の地殻が再構成されていく。
然し其の地殻はもはや従前のそれではない。
溶岩の熱で焼き固められた、より堅固で、より 純粋 な
——否、より肥沃な土壌へと変質しているのだ。
本郷姫奈の意識が白濁の霧の中から浮上してきた時、
彼女が最初に認識したのは、天井の染みであった。
畳の上に仰向けに倒れ込み、
四角い蛍光灯の白い光を瞳の裏に焼き付けられている。
其の光は眩いやら、優しいやら、判然としない。
ただ、腹の奥が熱い。
山下の精液が子宮の最深部に滞留している感覚は、
まるで溶鉄を注がれた坩堝のようであった。
ずしりと重い。
余りにも重い。
其の質量は彼女の肉体の全てを畳に押し付け、
逃げ場のない充足感をもたらしていた。
「……はぁ……♡ はぁ……♡」
呼吸が浅い。
肋骨の下が小動物のごとく忙しく上下している。
汗で張り付いたプラチナブロンドが、白磁の頬に蛇のように絡みついている。
解放されたばかりの肢体は弛緩しきっていて、指一本動かす気力さえ残っていなかった。
否、気力がないのではない。
動く必要がないのだ。
主人の腹の下で、じっとして踠ねている。
それだけで此の雌の存在意義は完遂されているのだから。
「お疲れ様、本郷くん。……あ、もう其の名前で呼ぶのも終わりかな」
山下の声が、耳元ではなく脳髄に直接響く。
彼は湯飲みを手に取り、いつものようにあぐらをかいて座っていた。
湯飲みの中の茶が、ちろりと音を立てた。
其れは日常の音だ。
然し今の姫奈にとっては、何よりも遠い異界の旋律に聞こえた。
「……ぇ……♡」
声が出ない。
喉が干からびている。
舐め回された舌が、山下の味を残したまま麻痺している。
さっきまでマジカルチンポを包み込んでいた其の唇は、
今はぽっかりと開き、無防備な呼吸を吐き出すのみ。
「水、飲みなさい」
山下が湯冷ましのコップを差し出した。
其の手つきは、ペットに水をやる飼い主のそれであった。
否、実際其の通りなのだ。
山下の拳眼は、既に姫奈の身体的・精神的な全要件を把握していた。
喉の渇き。
子宮の満腹感。
四肢の弛緩。
そして、脳髄の空白。
其の全てが山下の計算通り——否、計算などという冷徹なものではなく、
もっと動物的な直感のままに——誘導された結果である。
「……ぁ……が……♡」
姫奈は震える手でコップを受け取った。
水面が揺れる。
弱々しくコップを口に運ぶ。冷たい水が食道を滑り落ちていく。
其の感覚が、俄に姫奈の意識を覚醒させた。
「……ゅ、御主人様……♡」
自然と言葉が溢れた。
はっとする。
其れは彼女の意思ではない。
正しくは、今の彼女にとって唯一可能な呼称——
それが「御主人様」であった、というだけの話だ。
星の瞳が、不思議そうに瞬きをした。
「……私、呼んでました? 自分で……♡」
「呼んだね。自発的に。私は何も強制していない」
山下は何食わぬ顔で茶を啜った。
メガネの奥の双眸が、ほんの少し笑っている。
拳眼——万物の価値を見定める其の瞳は、
姫奈が自らの意思で屈服したことを確認していた。
外面的な強制など最初から必要なかったのである。
彼女の中に潛んでいたマゾの素養が、
ただ山下の指一本でスイッチを入れられただけだ。
後は、自律的に回り始めた歯車が、自ら首輪のバックルを嵌めに来る。
「ぢ……ぢゃない……♡ 私は……戦いに、来たんです……♡」
姫奈はむくっと上半身を起こそうとした。
其の動作は、しかし赤ん坊の初立ちのような頼りなさであった。
腹の奥の精液が重力に従って子宮の壁を圧迫し、其の刺激が再び背骨を痺れさせる。
「んおっ♡ ……動くと、お腹の中で……♡」
「ああ、精液が子宮の壁に当たるね。其れはまだ余韻だ。
……今の君にとって、其れが最も快い刺激なのではないかな?」
ずるい、と姫奈は思った。
此の男は何もしない。
ただ、湯飲みを持ち、茶を啜り、眼鏡の奥から慈しむように見守っているだけ。
然し其の「何もしない」ことこそが、最も残酷な調教なのだ。
自らの身体が勝手に反応してしまう。
自らの口が勝手に「御主人様」と呼んでしまう。
そして、自らの腹が、山下の精液の重さに本能的な安心感を覚えてしまう。
其の全てが「自発的」であるからこそ、否定できない。
「……私の身体、おかしくなってる……♡」
姫奈は自分の腹を掌で押さえた。
其処は僅かに膨らんでいる。
山下の精液が、彼女の子宮という名の容器を満たしている証拠だ。
押さえた掌から伝わる熱は、山下の体温の残滓であった。
「おかしくなっていない。元に戻っただけだ。
……君は元々、其ういう雌だったんだよ、本郷くん」
「元、に……?」
「ああ。格闘家としての君は、偽りの鎧だ。
幼い頃に被せられた軍事訓練の甲冑。其れを剥いだだけだ。
中から出てきたのは、ただの無垢な、しかし抑えきれない欲望を持った雌だった」
山下の言葉は、解剖医のメスの如く正確であった。
姫奈の瞳が揺れる。
否定したい。
しかし、山下のマジカルチンポに貫かれ、精液を注がれ、
そして今も其の重さに安心感を覚えている自分の身体が、雄弁に肯定している。
「うそ、つき……♡」
「嘘か。では、試してみようか。君の身体が嘘つきなのか、私の言葉が嘘つきなのか」
山下は、湯飲みを置くと、ゆっくりと立ち上がった。
ズボンを履いているが、其の股間には、
まだ雄々しくそそり立つ剛直の輪郭が浮き出ている。
マジカルチンポは、一度や二度の射精では衰えぬ。
女殺しの凶悪なエラ、萎えることのない不倒の勃起。
其れは事実であった。
「私のチンポを見なさい」
山下の命令は簡潔であった。
姫奈の視線は、抗いがたい引力に引かれるように、山下の股間へと吸い寄せられた。
ズボンの生地越しに浮き出る、禍々しき輪郭。
其れを見た瞬間、姫奈の秘部が再び濡れ始めた。
「……ぁ……♡」
「ほら、君の身体は正直だ。目で見ただけで、其処がまた濡れてきた」
山下は畳の上に膝をつき、姫奈の脚の間に身体を割り込ませた。
汗ばんだ太腿の内側に、山下の掌が触れる。
熱っ、と姫奈は思った。
山下の掌は乾いていて温かい。
其の感触が、白磁の肌に染み込んでいく。
「んおっ♡ 触らないで……♡ また、おかしく……♡」
「おかしくなるのが怖いのか? それとも、おかしくなってしまう自分が怖いのか?」
山下の指が、太腿の内側をゆっくりと這い上がっていく。
其の動きは緩慢で、しかし確実であった。
指先が、下着の縁に触れる。
「……ゎ……♡」
「もう一度聞く。君は戦いに来たのか。それとも、飼われに来たのか?」
山下の声は静かだった。
然し其の静かさは、嵐の前の静けさであった。
否、違う。
嵐は既に過ぎ去った。
今は、雨上がりの庭で、濡れた花弁に指を触れるかのような静謐さ。
山下の指が、下着越しに、其の濡れそぼった割れ目をなぞった。
くちゅっ♡
其の小さな水音が、六畳一間の空気を揺らした。
「……ぁ……♡ ゎ……私……♡」
言葉が詰まる。
詰まるのは、答えが出ないからではない。
答えは最初から在った。
ただ、其の答えを口にすることが——
今の姫奈にとっては、リボンをかけるよりほんの少し難しいだけなのだ。
山下は待った。
湯飲みを啜るように、じっくりと。
其の老人の持つ時間の質量は、十七歳の少女のそれとは根本的に異なっていた。
圧倒的な余裕。
彼女の口から、自らの意志で降伏の言葉が出るのを、
掌に潮が満ちるのを待つ漁師の如く待った。
「……戦いに、来たんです……♡」
「ほう」
「でも……♡ でも……♡」
「でも?」
「飼われた方が……♡ いいかも……♡ しれません……♡」
其の言葉は、断崖から飛び降りる跳水者の腰の反りに似ていた。
一度其の角度が決まれば、後は重力が全てを決める。
助走はいらない。
板の弾力もいらない。
ただ、自らの言葉の重みで、垂直落下するのみ。
「……いいかも、しれません、ではないな。確信しなさい」
山下の指が、下着を横にずらした。
露わになった秘裂は、山下の精液が溢れ出し、その完全な屈服の証を垂れ流している。
山下は其れを指で掬い取り、姫奈の目の前に翳した。
白濁した液体が、透明な愛液と混ざり合って、粘り気のある糸を引く。
「此れを見て。君の中から出てきたものだ。これを君はもう一度欲しいと思っている」
山下は其の指を、姫奈の唇に押し当てた。
混ざり合った液体が、姫奈の唇にゆっくりと塗り込められていく。
口の中に残る山下の味が蘇る。
精液の苦味と、自分の愛液の甘味。
其れは背徳のカクテルであった。
「んむっ♡ ……ぁ……♡」
「味がするね。君の欲望の味が」
「……ぅ……♡ 欲しい……♡」
「何が欲しい?」
「……御主人様の……♡ チンポ……♡ もう一度……♡」
姫奈の瞳は、最早星の輝きを失っていなかった。
然し其の輝きは、戦場を求める焔ではなく、主人を求める水脈の光であった。
生執着のそれとは異なる、もっと深い、もっと粘度の高い渇望。
「いい子だ。では、こちらへおいで」
山下はあぐらをかき、自分の膝を叩いた。
姫奈は這うようにして山下に近づいた。
四つん這いで、犬のように。
然し其の動作に恥辱はなかった。
彼女にとっては其れが、直立二足歩行よりも自然な移動方法だったのだ。
山下の膝の上に跨る。
山下の大腿の上に、彼女の体重が乗る。
其の重さは、山下にとって羽毛の如き軽さであった。
「最初は自分で動いてみなさい。君のペースで」
山下のズボンと下着が、姫奈の手で引き下ろされた。
屹立したマジカルチンポが、腹の前に屹立する。
姫奈の秘裂が、其の先端に触れた。
熱っ。
山下の温度が、下山の温度を通して伝わってくる。
ひくひくと、姫奈の秘裂が蠢く。
自ら腰を沈めていく。
ずぶりっ♡
「んおっ♡♡」
山下のマジカルチンポが、姫奈の胎内へと沈み込んでいく。
山下の精液がまだ残る膣内は、ぬるぬると滑り、肉棒を容易く受け入れた。
既に山下の形を覚え込んだ膣壁が、其の全周を包み込み、締め付ける。
「んおっ♡ おっ♡ おっほぉ……♡」
姫奈は、自ら腰を動かし始めた。
上下に、そして前後に。
山下のマジカルチンポが膣内を出入りするたびに
内壁の襞が其のを捉えて離さない。
「上手いね。君は、強いだけの女じゃなかった」
山下の手が、姫奈の腰を掴んだ。
がっしりと、山岳が谷を抱く如く。
其の掌の温度が、姫奈の腰骨に沁み込む。
「んおっ♡ あっ♡ あっ♡ 御主人様のチンポ♡ やっぱり♡ これだってば♡♡」
星の瞳が完全に蕩け、口角から唾液が垂れる。
革命姫の矜持など、もう語るべくもない。
山下の言葉通り、軍事訓練の甲冑は剥ぎ取られ、
中から出てきたのは、ただ主人に跨り腰を振る愛玩動物であった。
「じゃあ、もう一つ聞こうか。君がこれからどうなりたいか」
山下の腰が、下から突き上げた。
ずぶりっ♡ ぐちゅっ♡
姫奈の全身が跳ね、嬌声が迸る。
「んおっ♡♡ おっ♡ あっ♡ あっ♡ どう、なりたい……♡?」
「そう。君は、これからどうする。戦乙女に戻るか。それとも……」
山下の突き上げが加速する。
ずちゅっ♡ ごちゅっ♡ ぐりゅっ♡
肉と肉がぶつかり合う音が、湿地の如く粘着質に響く。
姫奈の頭の中で、言葉が溶解していく。
思考の解像度が低下していく。
戦乙女に戻る?
そんなことができるはずもない。
山下のマジカルチンポの味を覚えた身体が、
他の何物で満たされることができるだろうか。
回答は最初から決まっている。
ただ、口に出す勇気が——
「……ペットに……♡ なりたい……♡ です……♡」
山下のピストンが、一瞬だけ止まった。
其の静寂は、獲物の喉笛に牙を突き立てる瞬間の静けさであった。
「大きな声で。はっきりと」
「……オナホペットに……♡ してください……♡」
「……名前は」
「……本郷……姫奈……です……♡」
「本郷姫奈。君は今日より、私のオナホペットとなる。
……よいね?」
「……はい……♡ よいです……♡♡」
山下は姫奈の腰を両手で掴むと
容赦なく突き上げ始めた。
今までの比ではない。
其の抽送は、所有権を主張する熊の如き雄々しき打撃であった。
「んおっ♡♡♡ おっほぉおおおっ♡♡♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」
姫奈の嬌声が、部屋中に響き渡る。
どひゅっ♡ ごちゅっ♡ どちゅっ♡
畳が軋む音がリズムを刻む。
山下のマジカルチンポは、姫奈の胎内を完全に制圧していた。
子宮口をノックし、脆弱な抵抗を叩き潰す。
マジカルチンポのイボが、敏感なGスポットを的確に抉り取る。
「ほら、もう一度言いなさい。君は何になりたい?」
「んおっ♡ あっ♡ あっ♡ オナホペットに♡ なりたいですっ♡♡」
「誰の?」
「御主人様の♡ オナホペットに♡ なりたいですっ♡♡♡」
「よし。じゃあ、仕上げだ」
山下の腰が加速した。
赤の猛然たるピストン。
ずちゅっ♡ ぐりゅっ♡ どぴゅっ♡
子宮口を狙い撃つ容赦なき射撃。
姫奈の瞳が完全に裏返り、白目が覗く。
口からは涎と喘ぎが混ざり合って溢れる。
「イクっ♡ イクっ♡ オナホペット♡ イキますっ♡♡♡」
「名乗れ。自分の名を」
「本郷姫奈は♡ 御主人様の♡ オナホペットに♡ なりますっ♡♡♡♡」
どびゅるるるっ♡♡♡
灼熱の精液が、再び姫奈の子宮に注ぎ込まれた。
二度目の種付け。
日本一危険な女子高生は、山下の精液を注がれながら、全身を蝶の如く痙攣させ絶頂した。
然し今回は、意識は途切れなかった。
途切れたくなかったのだ。
此の瞬間——自身が雌として完成される此の瞬間を、一滴残らず味わいたかった。
「はぁ……♡ はぁ……♡ はぁ……♡」
山下の膝の上でぐったりと力を失った姫奈。
山下は、其の背中を優しく撫でた。
骨と筋肉の輪郭を指で辿るように、ゆっくりと。
撫でられている間、姫奈は犬のように目を細め、
山下の体温を背中で感じていた。
「……今日から君が私のペットだ。其の代わり、君が望む戦いは私が用意する。
希望くんに伝えておきなさい」
山下の言葉に、姫奈はゆっくりと顔を上げた。
山下の胸に頬を擦り寄せながら、とろんとした目で主を見上げる。
「戦いは♡ 御主人様のチンポで♡ 十分です……♡」
「ははは。それは近々変わるだろう。君の性質は、快楽と戦いが表裏一体だからな。
……だが、其れは其れで楽しみだ」
山下は眼鏡の奥を細めた。
其の瞳は、拳眼の光を宿しながらも、老いたる慈愛に満ちていた。
此の男は、還暦を過ぎてなお、
新しい玩具を手に入れた子供の如き純粋な歓喜を感じているのだ。
そして其の歓喜は、彼の支配の原動力でもあった。
「さて。そろそろ一つ渡しておくものがある」
山下は、畳の上に置いてあった小さな箱を手に取った。
其の中には、赤い革の首輪が収まっていた。
犬用の首輪ではない。人間用に作られた、
然しデザインは犬用に似た、拘束具としての首輪。
金具の部分に、小さなプレートが付いている。
其処には「姫奈」と彫られていた。
「手を出しなさい」
姫奈は震える手を差し出した。
山下は其の手を優しく握り、首輪を乗せた。
革の冷たい感触が、掌に伝わる。
「……ゎ……私の……名前……♡」
「ああ。君の名前だ。私がつけた。……正式な登録だ」
姫奈は其の首輪を、まるで宝物のように両手で握りしめた。
日本一危険な女子高校生の手の中で、赤い革の首輪が蛍光灯の光を浴びて艶めかに輝く。
「……つけて♡ つけてください……♡」
姫奈は山下に背中を向け、膝をつき、首を差し出した。
長いプラチナブロンドが持ち上げられ、白い項《うなじ》が晒される。
山下は、革の内側を首に当て、バックルを締めた。
カチャッ、と金属音が響いた瞬間、姫奈の身体が微かに震えた。
性行為の絶頂よりも深い戦栗。
其れは、魂の刻印であった。
「似合っているよ。本郷くん。……いや、これからは『姫奈』だな」
「……はい♡ 御主人様♡ 私は♡ 御主人様の♡ 姫奈です♡♡」
姫奈は山下に向き直り、正座をした。
然し其れは皇桜女学院の生徒の正座ではない。
ペットの正座であった。
首輪をつけられた少女は、山下の股間に顔を寄せ、
其の脈打つマジカルチンポに口づけをした。
「んちゅっ♡ 御主人様♡ これからも♡ よろしく♡ お願いします♡♡」
山下は、眼鏡の奥を細め、少女の頭を撫でた。
硝子の彼方に在る双眸は、既に次なる獲物の幻影を映しているかもしれぬ。
然し今は、目の前の雌犬を十分に可愛がる。
此れが山下商事社長、山下一夫の流儀であった。
窓の外は、赤褐色の夕暮れ。
ガラスに反射する光の中で、首輪の金具が一瞬だけ、星の如く煌めいた。
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赤革の首輪がカチャリと鳴るたび、本郷姫奈の鎖骨の上を冷たい震えが走る。
其れは拘束具の重さではない。所有されているという事実の質量だ。
地球が太陽の周りを回るが如く、
必然として首輪は彼女の項に馴染んでいた。
「御主人様♡ あの……♡ もう一回……♡ 撫でてほしい……♡」
畳の上で正座する姫奈は、眼下の臣の如く山下を見上げている。
星の瞳はとろんと蕩け、焦点が定まらない。
しとどに汗ばんだプラチナブロンドが白磁の頬に張り付き、
蛍光灯の光を拾って銀糸の如く煌めく。
制服は畳の上に脱ぎ捨てられ、抜け殻と化している。
其処に在るのは、ただの雌犬だけだ。
「撫でてほしい? いい子だね」
山下の掌が姫奈の頭頂部を包み込んだ。
指の腹が頭皮を揉むように、ゆっくりと、そして丹念に。
其の感触は、格闘家が試合前にテープを巻く手つきに似ていた。
丁寧で、然而(しかしながら)執拗なのだ。
「んおっ♡ あぁっ♡ しゅごぃ……♡ 撫でられるだけで……♡ お腹があったかく……♡」
首輪の金具が微かに揺れ、小さな金属音を立てる。
其の音は姫奈の耳に於いて、教会の鐘よりも雄弁に主従の契約を告げていた。
山下は満足げに頷き、湯飲みを手に取った。
「……さて。希望くんに連絡しておくことがある」
山下の言葉に、姫奈はぴくりと耳を反らした。
希望。
天馬希望。
ヴァルキュリアのオーナー。
そして、姫奈を此の男の元へ導いた張本人。
「希望さんに……? 何を……♡?」
「君が私のペットになったことを報告する。……其れが筋だからね」
筋。
裏社会の仁義などではない。
雌を獲った雄が、其の所属する群れの長に宣言する、より原始的な掟だ。
山下は湯飲みを置き、携帯電話を手に取った。
発信ボタンを押す迄もなく、画面には天馬希望の名前が浮かんでいた。
今頃、彼女は自宅のアパートで、携帯を握りしめて山下の連絡を待っている筈だ。
事実、電話は二呼で繋がった。
『……はい』
希望の声は、 すっかりと乾いていた。
待っていたのだ。
友を売り、後輩を犠牲に供した報いが、此の電話だということを知っていた。
「今夜、来なさい。本郷くんと一緒に君もお仕置きだ」
『……わかりました。……二人は?』
「いちかくんとはなくんにも連絡しておいてくれ。全員だ」
『全員……』
沈黙。
其の沈黙の質は、投降前の白旗を揚げる将軍の心境に似ている。
既に戦う意志はない。ただ、其の事実を口にすることが——
『……承知しました。二時間後に』
電話は切れた。
山下は携帯を畳の上に置き、姫奈を見下ろした。
姫奈の星の瞳は、希望の名を聞いて少しだけ揺れていた。
其の揺れは、嫉妬か、それとも——
「希望さんも、来るんですか……♡?」
「来る。彼女は君を私に売った。其の対価を払わなければならない」
「売った……♡」
其の言葉が、姫奈の胸腔内で反響した。
希望は、自分を売ったのだ。
戦乙女のオーナーが、自身のエースを、たった一人の男の腕の中へと押し込んだのだ。
其の事実は、姫奈の胸の奥に、どうしようもない熱を灯した。
怒りではない。
背徳の熱だ。
自分が友に売られ、そして其の友もまた同じ男の下に跪く——
其の構図が、姫奈の雌としての本能をひどく扇情したのである。
「……望さんも♡ 御主人様のチンポ♡ 咥えさせられるんでしょうか……♡」
山下は眼鏡の奥を細めた。
拳眼が、姫奈の瞳の奥に潛む黒い渇望を看破していた。
此の雌は、只独りで墜ちるだけでなく、他の雌と共に墜ちることに愉悦を覚えている。
共犯関係。
背徳の連鎖反応。
山下の支配が、個から集団へと波及していく過程で、
姫奈のマゾの素養はさらに深く掘り下げられていくのである。
「さあ、それは来てからのお楽しみだ」
山下は、姫奈の首輪のリングに指をかけ、軽く引いた。
姫奈の身体が、其の牽引に従って傾斜する。
革の冷たさと山下の指の温かさが、項の上で交差する。
是こそが首輪の真の用途だ。
ただの装飾ではなく、導く為の手綱。
「今のうちに、練習しておきなさい」
「練習……♡?」
「他の雌と一緒に奉仕する時、君がどう振る舞うべきか。
……そうだな、例えば——」
山下はあぐらをかき、其の股間を指差した。
マジカルチンポは、一本の鉄柱のごとく太く屹立している。
凶悪なエラ、脈打つ血管、散在する大小のイボ。
女をイキ殺す剛直は、何度射精しようとも衰えることを知らなかった。
「此れを舐めなさい。私がちゃんと躾けた雌だということを、希望くんたちに示すんだ」
姫奈は四つん這いになると、犬の如く山下の股間に顔を埋めた。
首輪がじゃりと音を立て、畳に擦れる。
プラチナブロンドの毛先が山下の太腿をくすぐる。
冷たい鼻先が、熱い肉柱に触れた。
「んちゅっ♡ おっ♡ れろっ♡」
舌が伸びる。
先ずは亀頭の裏側、カリ首の溝を丁寧になぞる。
山下の先走りが舌に乗り、塩気と苦味が味蕾を刺激する。
其の味は、姫奈にとって主の証であった。
「んむっ♡ じゅぽっ♡ あむっ♡」
口に含み、喉の奥まで咥え込む。
口腔内はすでに山下の形を覚え込んでいる。
舌の付け根でエラを包み込み、頬の内側で竿を締め付ける。
水音が六畳一間の空気を粘着質に揺らす。
「上手い。いや、上達が早すぎる」
山下の掌が、奉仕に勤しむ姫奈の頭を撫でた。
其の手つきは、古着を愛でる洋服屋の如き愛着に満ちている。
是が山下の飼育方針なのだ。
暴力と慈愛の配合比は、七対三。
ただし其の暴力は、快楽という名の暴力であって、打撃のそれではない。
そして其の慈愛は、所有物を大切にする者の慈愛であって、
人格を尊重する者のそれではない。
其の配合比こそが、雌を堕とす最適解であった。
「んおっ♡ おっ♡ ごしゅじんさま……♡
私の、お口♡ ごしゅじんさまの専用に♡ なってます♡」
其の言葉は、宣誓であった。
戦乙女の看板格闘家が、山下のマジカルチンポに奉仕する雌犬に成り果てた宣誓。
然し其の宣誓には、微妙な虚しさが付き纏っていた。
独りで唱える誓いは、確証に欠けるからだ。
他者が其場にいてこそ、誓いは誓いとして成立する。
其の為の、今夜の集会である。
◆◆◆
二時間後。
山下家の玄関が、遠慮なきノックによって破られた。
ドンッドンッ。
其のノックは、伊織いちかの指節が奏でる不遜なる奏鳴曲であった。
警視庁の狂犬は、制服のまま其処に立っていた。
細い目は眇められ、唇は真一文字に結ばれている。
然し其の眦《まなじり》には、既に敗北の色が濃い。
如何に見窄(みすぼ)らしくとも、山下の家に来ることを拒否できないのだ。
是もまた、負けた者の義務であった。
「……失礼するぞ」
ぶっきらぼうに靴を脱ぎ捨て、六畳一間へと踏み込む。
其処に広がっていたのは、想定を上回る光景であった。
畳の上で、本郷姫奈が四つん這いになっている。
首には赤い革の首輪。
全裸の背中に、プラチナブロンドが滝のように流れ落ちている。
そして其の顔は、山下の股間に埋まっていた。
音がする。
じゅぽっ♡ れろっ♡ ちゅぱっ♡
粘着質な水音が、静寂を侵食する蝿の羽音の如く響いていた。
「……チッ」
いちかの口から、微かな舌打ちが漏れた。
其れは不快感ではない。
自身の席が既に取られていることへの、遅参の悔恨である。
此の女は、マジカルチンポに掛かる則(のり)の順番を気にしているのだ。
「ようこそ、いちかくん。ちょうど良いところに」
山下は湯飲みを手に持ったまま、何食わぬ顔で言った。
是が此の男の恐ろしいところだ。
少女にフェラチオをさせながら、茶を啜り、新聞を読む。
日常と非日常の境界を、彼は画然と無化している。
「……姫奈がもう来てたのか」
「一時間前からね。練習をしている最中だ」
「れんしゅう……?」
「全員で奉仕する時の。君たちも其の練習をする必要がある」
其の時、玄関の扉が控えめに開いた。
開ける音からして、いちかの蛮行とは異なる。
慎重で、遠慮深い、然し決意を固めた手つき。
「失礼します……」
天馬希望が立っていた。
黒いパーカーに安物のジーンズ。
陰気な雰囲気は、尋常ではない重さを孕んでいた。
目の下の隈(くま)が濃い。
昨晩、一睡もしていないことが窺える。
其の睑(まぶた)の裏には、
昨晩の山下との密会が、焼き付けられているのだろう。
「希望さん……♡」
畳の上から、姫奈が顔を上げた。
山下のマジカルチンポの先端から唾液の糸が唇に繋がったまま、
蕩けた眼差しで希望を見つめる。
「姫奈……」
希望の喉が、ごくりと鳴った。
其の視線は、姫奈の首元の赤い革に吸い寄せられた。
首輪。
山下の所有を示す刻印。
是が自分の仕出かしたことの結果だ。
友を売り、後輩を犠牲にしそして今、其の代償を払う為に立っている。
「似合ってるよ……♡ 其の首輪……♡」
其の言葉は、本心からの賛辞だった。
是が天馬希望の妥協点である。
自身の友を男の腕に委ね、然して其れを正当化する唯一の方法は
其の友が男に満たされていることを確認することだ。
「希望さんも♡ 座ってください♡ 御主人様が♡ 全員待ってました♡」
姫奈の声音は、まるで茶話会に招いた友の如き気安さであった。
然し其の気安さこそが、異常を際立たせる。
彼女は自身の異常さを自覚していないのだ。
否、自覚しているからこそ、其れを隠す気さえない。
完全なる堕胎(マゾ)の示性だ。
「……ああ。うん。……」
希望は、靴を脱ぎ、畳の上に座った。
正座ではない。体育座りの如き無防備な座り方だ。
力が抜けている。
逃げ腰なのではない。
是もまた、降伏の姿勢であった。
最後に、美谷はなが来た。
桔梗柄の着物を着た小柄な体躯は、其処に在るだけで華やかな反物の如く目を引くが、
其の瞳は泣き腫らしたように赤かった。
「……はあ……。あかん……♡ 何で又此処に来なあかんの……♡」
関西弁の呟きは、独り言に近い。
組長としての威厳は、既に山下の畳の上で砕け散っている。
彼女がこの家に来るたび、着物という名の防壁は一枚ずつ剥がされていった。
「はなくん。遅いよ」
山下の声は、日常会話の如く自然であった。
然し其の自然さこそが、彼女たちの已むことなき服従を物語っている。
「……すいません……♡ 電車が……♡」
嘘だ。
電車の遅れなどない。
只、此の家の玄関を叩くのに、三十分の猶予が必要だったのだ。
其の三十分を、はなは駅前のベンチで、
コミックを読む少女の如き気楽さで潰したのではない。
坐禅を組む僧侶の如き覚悟を決めて過ごしたのである。
「全員揃いましたね。……では、始めましょうか」
山下は、ゆっくりと立ち上がった。
其の股間には、天を衝くが如きマジカルチンポが屹立していた。
凶悪なエラ、脈打つ血管、散在するイボ。
一度の射精では衰えぬ不倒の勃起。
是が、今夜、四人の雌を同時に支配する王者であった。
「まずは、全員並んで四つん這いになりなさい」
山下の命令は、軍の号令の如く簡潔であった。
四人の少女は、明確な意志を持って従った。
此処に「為せば成る」などという甘い肯定はない。
唯、「為せば成る」のではなく、「為すしかない」のだ。
畳の上に、四匹の雌が並ぶ。
右から、姫奈。
赤い首輪が項で光る。
白磁の背中に、プラチナブロンドが滝のように流れる。
次に希望。
黒パーカーの下の素肌は、自ら脱ぎ捨てた。
サラリと長い黒髪が肩甲骨の上で揺れる。
続いていちか。
警察官の制服は、畳の上に折り畳まれた。
スレンダーな肢体は、猫の如くしなやかだ。
最後は、はな。
着物を滑らかに脱ぎ捨てた白磁の肌は、桔梗の如き華やかさを残している。
腰まで届く黒髪が、最も長く、最も艶めかしい。
四つの尻が並ぶ。
不同の色、不同の形、不同の肉質。
姫奈の引き締まったアスリート尻。
希望の細長い貧相な尻。
いちかの引き締まった均整の取れた尻。
はなの柔らかく豊かな女性的な尻。
其の光景は、裏格闘技界の異種格闘技戦の如き対比を描いていた。
然し其処にあるのは戦いではない。
唯、一つの雄を待ち受ける四匹の雌の群れだけだ。
「……♡」
「……♡」
「……♡」
「……♡」
四対の瞳が、山下のマジカルチンポを見つめている。
期待と、恐怖と、羞恥と、そして渇望が入り混じった複雑な光。
是が今の彼女たちの全てだ。
「まずは、全員で舐めなさい。私のチンポを、四つで仲良く」
山下の号令一下、四つの頭が山下の股間に集結した。
恰も花に群がる蜂の如く、或いは餌に群がる小鳥の如く。
是は壮観であった。
然し、其の壮観さは、男の征服欲を満たす為だけに在る。
姫奈が亀頭を担当する。
彼女は既に練習済みだ。
唇で先端を包み込み、舌でカリ首の溝を執拗に攻める。
んちゅっ♡ れろっ♡
馴染みの水音が、今夜も畳の上に漏れ始めた。
「……あ、あたしは……♡」
希望は竿の右側に回り込んだ。
舌先で、太い柱の側面を舐め上げる。
血管の浮き上がった質感が舌に伝わる。
びくんびくんと脈打つ山下の肉棒は、生命そのものの鼓動を孕んでいた。
「んちゅっ♡ やましたの……♡ チンポ……♡ また♡ こんなに硬い……♡」
いちかは左側を担当する。
希望と対称の位置で、竿を舐め上げる。
此の女は、当初は山下に対して威嚇的であった。
然し今は、自ら舌を這わせることで、雌の立場を享受している。
狂犬は、飼い主の手で功績を撫でられる猟犬に成り下がった。
「んおっ♡ チンポの味……♡ やっぱ癖になる……♡」
最後は、はな。
彼女は、山下の睾丸を担当する。
白磁の指で、二つの玉を優しく包み込み、其の表面を舌で転がす。
「……♡ おっきい……♡ こんなに重いの♡ 中に、精液いっぱい♡ 入ってるんやろ……♡」
四つの口と舌が、一本のマジカルチンポに群がる。
互いの唾液が混ざり合い、白濁した泡が肉棒全体を覆っていく。
其の光景は、詰め物の折れた四重奏に似ていた。
調和とは縁遠い四つの音が、然して一つの旋律を作り出している。
「上手い。全員、妙な連携が取れているな」
山下の声は、満足げであった。
メガネの奥の拳眼は、四つの頭の動きを一つ一つ追っている。
姫奈の激しい吸い込み、希望の畏れ慄く舌の動き、
いちかの絶妙な舌の転がし、はなの優しい玉の愛撫。
四つの個性が、偶然に組み合わさり、マジカルチンポという主旋律の上に、
和音を構成していた。
しかし、調和の中には必ず軋轢が生じる。
姫奈の口が、亀頭から少し広い範囲を占め始めた。
「んおっ♡ ごしゅじんさま♡ もっと♡ 奥まで♡」
其の食婪な動きに、希望の舌が追い出されかける。
「ちょっと……♡ 姫奈……♡ そこあたしの……♡」
「んちゅっ♡ だって♡ あたし♡ ペットだし……♡」
ペットだし。
其の一言が、希望の胸口に小さな棘を刺した。
お前はペットだが、私は何だ。
友を売った愚か者か。
山下に飼われている雌か。
どちらも肯定しがたい。
然し両方共に否定しがたい。
是が天馬希望の位置であった。
「……私は♡ なんだってば……♡」
其の呟きは、自己問いかけであった。
山下は其の呟きを聞き逃さなかった。
「希望くん。君は私の雌だ。だが、其れを声に出して言ってごらん」
山下の指が、希望の頬を持ち上げた。
拳眼が、希望の瞳の奥の迷いを看破している。
是は命令である。
答えを強要する命令ではない。
希望自身が、自らの言葉で答えを見つけることを促す、教師の如き命令だ。
「……あたしは……♡」
言葉が詰まる。
詰まるのは、答えが出ないからではない。
答えは、喉の奥に存在している。
ただ、其の答えの質が、自己の認識を上回っているのだ。
「山下先生の……♡ 雌です……♡」
其の言葉は、吐息に近かった。
然し六畳一間の静寂の中では、其の吐息は雷鳴の如く響いた。
「……♡」
隣で、姫奈が少し顔を上げた。
星の瞳が、希望の瞳を見つめる。
友を売った者と、売られた者。
然し今、二人は同じ六畳一間で、同じ男のチンポに舌を這わせている。
是が平等ではないか。
是こそが、最も残酷な、然し最も甘美な救済ではないか。
「希望さん♡ 仲間だね♡♡」
姫奈の言葉に、希望の目が微かに潤んだ。
仲間。
牡蠣の貝殻に似た二つの雌が、共に海の中で混ざり合う、
原初的な共感が其処に生じていた。
「……ああ。そうだな……♡」
希望の舌が、再び山下のマジカルチンポに這い戻る。
今度は、遠慮がなかった。
自身の位置を、はっきりと持っている。
山下の雌である、という位置だ。
其の位置に立って初めて、舌の動きは自在になる。
「んちゅっ♡ じゅぽっ♡ れろっ♡」
四つの口が、再びマジカルチンポに群がる。
今度は、其の動きに切磋琢磨の色が混じった。
姫奈は、希望と亀頭の奪い合いを始めた。
いちかは、竿の左側を、はなは、右側の根元を担当しつつ
其の動きに、巧妙な調整を加え始めた。
四つの舌が、一本の肉柱の上で合奏する。
然し其の合奏は、和音を構成するものではない。
互いに音域を競い合い、互いに技術を切磋琢磨し、
其の結果として、山下の快楽を増幅させる演奏であった。
「……んむっ♡」
山下のマジカルチンポが、いちかの口内で震えた。
危ない。
山下は、湯飲みを置き、いちかの頭を押さえ込んだ。
「んぐっ♡ !?」
いちかの目が見開かれた。
喉の奥まで肉棒が侵入する。
常人なら嚥下反射で苦しむところだが、いちかは違う。
細い目は、意外にも解き放たれた狂気の瞳として輝いた。
喉の奥を犯される快感。
伊織いちかは、噛みつきの自信と同様に、喉の奥で責められる悦びも知っている。
「んおっ♡♡ 奥まで……♡ 喉の奥まで♡ 来てる……♡」
はなと希望と姫奈は、はっとしたいちかを見た
伊織いちかの喉奥を犯された其の瞬間に触発されたのは他ならぬ本郷姫奈であった。
ペット第一号としての矜持。
自分こそが御主人様のチンポを最も深く感じ取り最も悦ばせる器であるという自負。
其れが他者の台頭を許す筈がない。
「んおっ♡ いちかさん♡ ずるいです♡
御主人様のは♡ あたしが一番♡ 咥えていいんです♡♡」
姫奈はいちかの頭を押し退けようと白磁の手を伸ばした。
然しいちかも伊達に警視庁で修羅場を潜り抜けてはいない。
首を振り肉棒を咥えたまま離れまいと頑強に抵抗する。
「んぐっ♡ うるせぇ……♡ 早い者勝ちだろ……♡ んおっ♡」
二人の奪い合いに天馬希望も黙ってはいなかった。
友を売り自らも雌に堕ちた彼女の執着は深い。
舌先でカリ首の裏側を執拗に責め立てることで二人の隙間に割り込もうとする。
「ちょっと……♡ 二人とも……♡ あたしのテリトリー狭くなってる……♡」
そして美谷はな。
彼女は争う三人を余所に山下の玉袋を丸ごと口に含み優しく丁寧に転がしていた。
京言葉で濡れた声を上げる。
「あかん……♡ みんな激しすぎや……♡ ウチはこっち大事にするさかい……♡」
四つの頭が一つの股間に集中する。
互いの頬が触れ合い唾液が混ざり合う。
其れは壮観なる競艶であった。
山下は眼鏡の奥の双眸を細め湯飲みを置いた。
拳眼が四人の闘争心を見定めている。
是は調教ではない。
観戦だ。
雌たちが自発的に競い合い其の結果として
自分の快楽が最大化される様を愉しむ老獪なる観客の余裕。
「いいねぇ。其の勢いだ。どちらが私を一番イカせられるか勝負だ」
山下の言葉に火がついた。
四人の舌と唇と指が激しく蠢く。
じゅぽっ♡ れろっ♡ ちゅぱっ♡
水音が重なり合い部屋中に牝の匂いを充満させる。
其の中で山下は宣言した。
「一番私を気持ちよくした者には後で特別にご褒美をあげよう。……さあ選べ」
是は選択肢ではない。
生存競争の開始宣言である。
山下の股間で四匹の雌が雄々しくも可愛らしく咆哮した。
[#-]
四つの頭が一つの股間に群がる光景は、さながら花蜜を求めて争う蜂の如く、
あるいは餌に殺到する小鳥の如くであり、そして何より、
一本の柱に巻き付く四匹の蛇の如きであった。
ますます激しさを増す其の競艶は、もはや調教の域を超えていた。
山下は手を出していない。
ただ畳の上にあぐらをかき、湯飲みを手に持ったまま、
眼鏡の奥の双眸を細めているのみ。
其の姿は、相撲の土俵上で両手を広げて
勝負の行方を見守る行司の如き静謐さを孕んでいた。
然し其の静謐さこそが、最大の暴力であった。
雌たちが自発的に競い合い、其の結果として山下の快楽が最大化される——
是こそが、拳眼を持つ男の調教の真髄なのだから。
じゅぽっ♡ れろっ♡ ちゅぱっ♡
水音が重なり合い、部屋中に牝の匂いを充満させる。
唾液と先走りが混ざり合った白濁の泡が、マジカルチンポの全周を覆っていく。
其の光景は、春の雪解けの如く、然而もっと粘度の高い、もっと淫らな融雪であった。
本郷姫奈は、亀頭の確保に執念を見せていた。
赤い首輪が項で揺れるたび、革の冷たさが鎖骨を伝って背骨へと落ちていく。
其の刺激が彼女の奉仕の速度を加速させる。
ペット第一号としての矜持
——自分こそが御主人様のチンポを最も深く咥え、最も的確に悦ばせる器であるという自負——
それが他者の台頭を許さなかった。
「んむっ♡ ごしゅじんさま♡ あたしが♡ 一番♡ 咲えていいんです♡♡」
星の瞳は蕩け、然而其の蕩け方には覇気がある。
恰も、戦場で敵を屠る直前の狂気的な輝き。
然し今其の輝きが向けられているのは敵ではなく、
一本の肉柱と、それを奪い合う味方たちであった。
「うるせぇ……♡ 早い者勝ちだろ……♡」
伊織いちかが噛み付く。
文字通りである。細い目は意外にも解き放たれた狂気の瞳として輝き、
喉の奥まで肉棒を咲え込むことで姫奈の侵略を阻止しようとしていた。
嚥下反射などという生理的現象は、此の女の面前では免責される。
警視庁の狂犬は、喉奥を犯される快感を、
敵の喉笛に噛み付く愉悦と同質のものとして享受しているのだ。
「んぐっ♡ 奥まで♡ 来てる……♡ 喉の奥まで♡ 御主人様のが♡♡」
其の言葉は、明智光秀が本能寺で明智神に祈りを捧げるが如き背徳の告白であった。
警察官の矜持も異常者の狂気も、
マジカルチンポの前ではただの媚態なる嬌声へと変換される。
是が山下の拳眼の真骨頂である。
あらゆる防壁は、其の弱点を看破された時点で、自ら崩れ落ちる。
「ちょっと♡ 二人とも♡ あたしのテリトリー狭くなってる……♡」
天馬希望は、亀頭の奪い合いには加わらず、
竿の右側に陣取り、舌先で太い柱の側面を執拗に攻め立てていた。
其の戦法は持久戦であった。
格闘家としての引退——網膜剥離——を経験した彼女の持久力は枯渇しているかのように見えて、
しかし山下のチンポを舐め続けることにおいては無尽蔵であった。
否、無尽蔵ではない。
希望の舌の動きには、溺水者の如き必死さがあった。
友を売り、後輩を犠牲に供した彼女の執着は深い。
山下の雌であるという位置に立って初めて、其の舌は自在になる。
然しその自在さは、安堵の産物ではない。
むしろ、処刑台に立つ死刑囚が最後の食事を味わうかの如き、必死の享楽であった。
「んちゅっ♡ せんせの……♡ チンポ♡
やっぱり硬い……♡ 何回咥えても♡ 慣れない……♡」
其の言葉は、実に素直であった。
ヴァルキュリアのオーナーは、嘘をつくのを止めた。
自身の身体が正直に反応することを、最早隠そうともしない。
陰気なパーカーの下の素肌は、山下のマジカルチンポを舐めているだけで汗ばみ、
乳首は硬く尖り、太腿の内側はぬるぬると湿っている。
「あかん……♡ みんな激しすぎや……♡ ウチはこっち大事にするさかい……♡」
そして美谷はな。
彼女は争う三人を余所に、山下の玉袋を丸ごと口に含み、優しく丁寧に転がしていた。
寝技の天才——防御と拘束に特化した彼女の戦法は、
股間奉仕においても其の性質を変えていなかった。
正面からの競争ではなく、他者が疎かにしがちな箇所を確実に攻略する。
是が、弱小ヤクザの組長としての生存戦略でもあった。
然し其の戦略は、単なる余裕の表れではない。
「ウチだけ♡ はぶられてるみたいで♡ 怖いんや……♡ だから♡ ここ大事にするんや……♡」
はなの独白は、泣き言であった。
京言葉の語尾が震えている。
神宮寺組の組長は、組織の存続のために他の団体に媚びる孤独を知っている。
ヴァルキュリアが成り立っているのは、山下という巨大な後ろ盾があるからだ。
其の後ろ盾を失えば、彼女の組は、姫奈の化学兵器と同等の危険物に成り下がる。
是が彼女の深夜の家の畳に跪く理由であった。
四つの口が、一つの股間で競い合う。
其の光景は、詰め物の折れた四重奏に似ていた。
調和とは縁遠い四つの音が、然而一つの旋律を作り出している。
其れは山下の快楽という名の主旋律の上に構成された、
不和音を含んだ、然しそれゆえに豊かな和音であった。
「上手い。全員、妙な連携が取れているな」
山下の声は、満足げであった。
メガネの奥の拳眼は、四つの頭の動きを一つ一つ追っている。
姫奈の激しい吸い込み、
希望の畏れ慄く舌の動き、
いちかの絶妙な舌の転がし、
はなの優しい玉の愛撫。
四つの個性が偶然に組み合わさり、
マジカルチンポの上に競艶の合奏を構成していた。
然而、山下のマジカルチンポは、女殺しの凶器である。
萎えることのない不倒の勃起は、何度咥えられても、硬度を維持したまま脈動し続ける。
脈動は、水深計の如く、山下の快楽の深度を刻々と示していた。
深度は、臨界点に近づいている。
「……そろそろ、限界が近いな」
山下の声が低くなった。
是は警告であり、同時に通告である。
四つの頭が、一斉に反応した。
姫奈の星の瞳が一際明るく輝く。
いちかの細い目が 獰猛 に見開かれる。
希望の陰気な瞳に一瞬の覚悟の光が灯る。
はなの潤んだ瞳が京の祭りの夜の如く煌めく。
山下はゆっくりと立ち上がった。
マジカルチンポが、四つの顔の中心に屹立する。
凶悪なエラ、脈打つ血管、散在するイボ——
そして先端からは、透明な先走りが糸を引いて溢れ出している。
四つの顔に男の匂いが漂う。
濃厚な、苦味を含んだ、然而其れ故に挫折しがたい雄のフェロモン。
「全員、顔を出しなさい。口を開けて、舌を出して」
山下の命令は簡潔であった。
然し其の簡潔さの中には、断頭台の刃を落とす刑吏の如き冷徹さが宿っていた。
四匹の雌は、即座に従った。
畳の上に並んで正座する四人の少女。
然而其れは正座ではない。
犬が主人の前に座る、あの姿勢である。
背筋を伸ばし、両手を膝の上に置き、顔を上げ、口を開ける。
舌を出す。
四つの舌が並ぶ。
健康的なピンクの舌。
形も質感も大きさも異なる四枚の肉厚な器官が、精液を待ちわびて震えている。
姫奈の舌は、小ぶりで厚みがあり、先端がわずかに二股に分かれている。
星の瞳が、山下のマジカルチンポの先端を見つめて瞬きもしない。
希望の舌は、細長く、舌の根がやや広い。
ピンク色の中に微かに青ざめた色が混じる。
是は、長い間、陰気なアパートで引きこもっていた営养不良の証かもしれぬ。
いちかの舌は、太く短く、其の表面には荒々しい凹凸がある。
此の舌で喉を噛み破った獲物が何人いるか知れない。
然而今は、其の荒々しさが、精液を受け止める器としての貪欲さを示している。
はなの舌は、四つの中で最も可憐であった。
小さく、丸みを帯び、ほんのりと桜色に染まっている。
京都の舞妓が口に含む飴の如き可愛らしさが、其処にはあった。
四つの舌が、一本の肉柱に向けられる。
是は降伏式典である。
四つの雌が、一つの雄の前に、その最も穢らわしい部位を出して、
精液という名の洗礼を待ち受けている。
然而、其処に屈辱の色はない。
あるのは、期待と、渇望と、そして微かな競争心のみ。
「いくぞ……」
山下の声が、卵の殻を割るが如き脆さで響いた。
然し其の脆さは、嵐の前の静けさであった。
直後、山下のマジカルチンポが、四度、五度と激しく脈動し——
どびゅるるるっ♡♡♡♡
灼熱の精液が、白銀の弧を描いて放たれた。
最初の飛沫は、本郷姫奈の額を直撃した。
星の瞳の上を白濁の簾(すだれ)が垂れ下がる。
プラチナブロンドの前髪が精液で束ねられ、其の下から蕩けた星の瞳がのぞく。
正に、隕石の降る夜空の如きであった。
流星の跡が姫奈の顔面に刻印され、彼女の征服が視覚化される。
「んおっ♡♡ かけられました♡ 御主人様の♡ 精液♡ お顔にかかって♡♡」
姫奈の声は、恍惚の愉悦 に満ちていた。
然し其の声は、すぐに二発目の精液に遮られた。
どぴゅっ♡
二発目は、いちかの口内を狙い撃った。
細い目が見開かれ、口の中に注ぎ込まれる灼熱の液体の質量を、其の舌で計量する。
「んぐっ♡ あつっ♡ 苦い♡ 濃い♡ んむっ♡♡」
嚥下。
喉仏が上下し、白濁が食道を滑り落ちていく。
警視庁の狂犬は、精液を飲む時も、其の独特な飲み干し方を見せた。
一気に、然して全てを——如何なる残渣も残さぬ勢いで。
是は、彼女が敵の喉を噛み破る時と同じ摂取様式であった。
ただし、今は、攫うものが精液という名の甘美なる暴力である点が異なるのみ。
三発目。
びゅるっ♡
天馬希望の右頬を掠めた。
白濁の筋が、頬から顎を伝い、太腿の上に滴り落ちる。
其の滴りは、恰も戦場で頬を切り裂かれた剣士の血痕の如く鮮烈であった。
然而、希望の顔に浮かんだのは痛みの表情ではない。
むしろ、安堵であった。
是で自分も報酬を受け取った。
是で自分も雌として認められた。
友を売った代償は、顔にかけられた精液の量で測られる。
「……んおっ♡ 顔に♡ かかった……♡ やっぱり♡ こういうの♡ ドキドキする……♡」
希望の声は、独り言に近かった。
然而六畳一間の静寂の中では、其の独り言は教会の懺悔の如く響いた。
ヴァルキュリアのオーナーは、自身のドキドキを認めた。
是が彼女の妥協点であり、同時に出発点でもあった。
四発目。
びゅくっ♡ どぷっ♡
美谷はなの舌の上に、狙い違わず着弾した。
桜色の舌の上に白濁の池ができる。
池はすぐに溢れ、下唇から顎へ、そして首筋へと伝っていく。
着物の襟元に白濁の染みが広がる。
「ぁ……♡ おいしい……♡ しとしと降ってきた……♡ 雨みたいに♡ 静かに♡♡」
はなの京言葉は、精液に濡れた唇の間から漏れた。
是は、四月の雨の如きであった。
しかし降るのは天の雨水ではなく、山下の白濁。
然而彼女は、其れを降雪の如く美しいと感じた。
世界の最も残酷な液が、世界の最も可憐な声で祝福されている。
精液は止まらない。
山下のマジカルチンポは、女をイキ殺す凶器である。
同時に、自身の射精も持久する凶器であった。
五発、六発、七発——白濁の雨は、
四つの顔面を不公平に、然而公平に降り注いでいく。
不公平とは、量が偏っているという意味だ。
姫奈の顔には最も多くかかった。
是は当然の帰結である。
彼女が最も激しく奉仕し、最も貪欲にマジカルチンポを咲え込んだのだから。
然而、いちかの口内にもかなりの量が注ぎ込まれ、
希望の頬には二筋の白濁が走り、はなの舌の上には未だ白濁の小池が残っている。
公平とは、四人全員が山下の精液を受けたという意味だ。
一人も漏れていない。
一人も除外されていない。
是こそが、山下の支配の倫理であった。
誰も逃さない。
然し、誰も無理強いされない。
自ら口を開け、
自ら舌を出し、
自ら精液を受け止めたのだ。
精液の雨が止んだ時、
四つの顔は、
四つの異なる表情を浮かべていた。
姫奈は、恍惚としていた。
星の瞳は白濁の簾の奥から、信仰者のように山下を見上げている。
精液が瞼を伝い、睫毛に絡みつき、しかし彼女は瞬きさえしない。
瞬きをすれば、此の瞬間が終わってしまう気がしたからだ。
赤い首輪の上に、白濁の装飾が施される。
首輪と精液——是こそが、彼女の正装であった。
「御主人様♡ あたし♡ 一番♡ かかってますよね♡♡ ペット一号の♡ 証明です♡♡」
いちかは、口内に残った精液を、舌で転がしていた。
じゅるっ、と、水音を立てて、白濁を口中でかき混ぜる。
然後、ゆっくりと、一飲みにした。喉仏が上下する。
是は、敵の血を啜る吸血鬼の如き所作であった。
然而、今彼女が飲み干したのは敵の血ではなく主人の精液。
狂犬は、飼い主の手から餌を与えられる猟犬に成り下がった——否、成り上がった。
「んおっ♡ ……飲み干した。……濃い。濃すぎる。やっぱお前の精液は異常だろ……♡」
希望は、顔にかけられた精液を、指で掬い取った。
其の指を——自分の口に含んだ。
是は山下に教えられた所作である。
今の希望にとっては、其れは山下に教えられたこと以上の意味を持っていた。
友を売り、後輩を犠牲にし、そして精液を舐め取る。
其の一連の行為が、彼女の中で一つの物語として完成する。
精液の味は、其の物語の結末の味であった。
「……しょっぱい。……でも、悪くない……♡」
はなは、舌の上の精液を、丁寧に味わっていた。
京都の舞妓が茶を点てるかの如き慎重さで、
舌の上で白濁を転がし、其の成分を分析する。
年齢、健康状態、ストレスレベル——彼女の舌は、一種の検査器であった。
ホステス時代の経験が、此の奇妙な所産に生かされている。
「これですわ……♡ やっぱり山下はんは♡ 元気や……♡ 精液の味で♡
わかります……♡ 濃くて♡ てっぺんに♡ 甘みがあって♡
奥はちょっと苦い……♡ 最高級の……♡ お酒みたい……♡」
四つの顔が、四つの方法で精液を味わう。
山下は、湯飲みを手に持ったまま、四つの顔を見下ろした。
拳眼は、其の顔に浮かぶ表情を一つ一つ読み取っている。
姫奈の恍惚、いちかの貪欲、希望の諦念、はなの鑑賞——
四つの異なる雌の反応が、山下の征服欲を飽和させていく。
「全員、よくできました」
山下の言葉は、教師のそれであった。
其の教師は、教科書の代わりにマジカルチンポを持ち、
答案用紙の代わりに少女の顔面に採点をしていた。
「一番多かったのは姫奈だ。ご褒美は後であげよう」
山下は、姫奈の額の精液を指で拭い、其の指を姫奈の口に含ませた。
「んちゅっ♡ 御主人様の♡ 精液♡ 間接キス♡♡」
姫奈は山下の指を吸いながら、恍惚の表情を浮かべた。
「希望くん」
「……はい」
希望の声は、震えていた。
友を売り、自らも雌に堕ちた。
其の代償として、精液を顔にかけられた。
そして今、山下から名を呼ばれた。
是が彼女にとっての「報酬」であり、同時に「制裁」であった。
「君の分は後でベッドの上で追加する。……覚悟しておきなさい」
「……はい♡」
希望の喉が、再びごくりと鳴った。
嚥下音の質が、先ほどとは異なっていた。
恐惧の嚥下ではない。期待の嚥下である。
「いちかくん。精液の味はどうだった?」
「……濃い。濃すぎる。全員同じだろ……♡」
「では今度は、もっと濃いのを直接注いであげよう」
「……楽しみにしてる……♡」
いちかの細い目は、微かに笑っていた。
警視庁の狂犬は、飼い主の餌付けを待つ猟犬の如く、其の瞳を細めた。
「はなくん。鑑定結果は?」
「……最高級どす♡ 継続で♡ お願いします♡♡」
はなの京言葉は、着物の袖で口元を隠しながら、瞳は隠さずに言った。
京都の夜の祇園で客に点てる茶の如き丁寧さで、精液の鑑定を報告する。
是こそが美谷はなという雌の、独特なる恐るべき適応力であった。
山下は眼鏡の奥を細め、湯飲みを啜った。
窓の外は、紫紺の夜が更けている。
四つの精液に濡れた顔が、蛍光灯の下で妖しく光る。
白濁の雨は止んだ。
しかし、夜はまだ始まったばかりであった。
山下のマジカルチンポは、一回の射精では衰えぬ。
不倒の勃起は、依然として天を衝くが如く屹立している。
是が、山下商事社長・山下一夫の夜の始まりである。
そして、ヴァルキュリアの三羽烏と革命姫の、
長き夜の暮霖の、其処に降ったのは——
天空の雨水ではなく、白濁の種付けの予兆であった。
[#-]
## 第二章 種付けリレー——四つの子宮に巡る白濁の巡礼
精液の雨が止んだ後の六畳一間は、戦場の雷雨が去った後の湿地帯の如くであった。
畳の上に四つの顔が並ぶ。
白濁の簾越しに蛍光灯の光が斑に落ち、其の顔たちを能面の如く照らし出している。
其れは能面ではない。
能面は感情を削ぎ落とした面であるが、此処にある四つの顔には感情が溢れすぎている。
恍惚貪欲諦念鑑賞——四つの異なる雌の反応が、山下の征服欲を飽和させた。
飽和は終着ではない。
白濁の雨が止んだ後の静寂は、恰も交響曲の楽章間の休止の如きであった。
指揮者が指揮棒を下ろしただけだ。
次の楽章が始まるまで、楽員たちは楽譜の上の次の小節を目で追っている。
山下はゆっくりと立ち上がった。
湯飲みを畳の上に置く。
茶は既に冷めている。
構わない。
今の山下にとって、湯飲みの中の茶液は等価交換の隠喩に過ぎなかった。
此処にある四つの雌穴に注ぐべき熱液は、腹の底に無尽蔵に蓄えられているのだから。
「さて」
山下の声は短かった。
短さは、指揮者のタクトが空を切る一振りに等しかった。
「次は種付け。四人全員に順番に注いであげますよ」
言葉は、四月の農夫が種蒔きを宣言するが如く朴訥。
裏には、腹黒い計算が仕込まれている。
種付けの順番を、山下は自ら指定しないのだ。
是が拳眼の持ち主の支配術である。
順番を指定すれば、順番外れた者は不満を抱く。
不満は抵抗の芽となる。
順番を自分たちで決めさせるならば——
其の決定の過程そのものが支配の一環となる。
雌たちは自ら順番を譲り合うか、或いは奪い合うかの二択を迫られる。
そして其の選択がどちらであれ、結果は山下の掌中にある。
奪い合えば競争心が助長され、譲り合えば服従心が深化する。
是が山下の腹黒い農業経営学であった。
畳の上で、四つの顔が互いを見た。
白濁に濡れた顔が互いを映し合う。
奇妙な光景であった。
鏡を見ているようでありながら、鏡像ではない。
其処にあるのは同じ男に支配された共犯者たちの顔である。
最初に口を開いたのは、本郷姫奈であった。
「あたしが♡ 一番目です♡」
其の声は控えめではなかった。
ペット一号としての権利宣言である。
赤い首輪が項で光り、白濁の簾の奥から星の瞳が山下を見上げる。
瞳は、山下だけを見ているのではない。
隣の三つの顔も同時に見ている。
己の権利を主張することは、他者の権利を否定することに他ならない——
其の論理を、姫奈は身体で理解していた。
「待ちや♡ 姫奈♡ さっき一番多くかかったやないか♡
まけへんのなら次はウチや♡」
美谷はなだった。
桔梗柄の着物の袖で口元の精液を拭いながら、京言葉で異議を唱える。
組長の発言権は、ヴァルキュリアの運営陣としての地位に由来する。
はなは希望といちかの三人の中で最も発言力がある。
後ろ盾である山下への献身度においても、
熟練度においても、彼女は三羽烏の中で最も深い関係にあった。
「ウチが一番♡ 長く御主人様に仕えてるんやから♡
順番くらい♡ 譲ってくれても♡ ええやろ♡」
主張は、感情の起伏を含んでいた。
此処での「長く仕えている」とは、時間の長さではない。
関係の深さである。
山下の調教を受けてきた回数と、マジカルチンポに馴染んだ程度の深さである。
はなはそれを自負している。
組長としての矜持が、雌としての序列意識へと変換されているのだ。
「だめ☆ あたし♡ ペット一号だもん♡」
姫奈は引かない。
赤い首輪がじゃりと音を立てた。
是が彼女の根拠であった。
山下から唯一正式な登録を受けたペット。
是が彼女の序列の頂点を約束している——自己認識を、彼女は抱いている。
しかし山下は何も言わなかった。
沈黙が支配を強化する。
「……お前ら、こういう時だけ仲悪いな♡」
伊織いちかが、細い目を更に細めて言った。
声には、明確なる意思が含まれていた。
「お前ら」と言いつつ、自分は其の枠外にいるかの如き口調。
是はいちかの戦略である。
正面からの競争を避け、隙間を縫って割り込む。
警察官の習性が、股間奉仕においても色濃く発現していた。
「アタシは別に♡ 順番どうでもいいけど♡
其れでもいいんなら♡ アタシが最後でもいいけど♡」
逆張りである。
最後を希望することで、逆に最初を取ろうとする心理戦。
最後は一番印象に残る。
山下の精液の記憶を最も新しく残せるのは最後の者だ——
其の計算が、いちかの言葉の底に潛んでいる。
「いちか……♡ お前そういうの上手いよな……♡」
天馬希望が、陰気な声で呟いた。
陰気さの中には、明確なる焦りが含まれていた。
光栄ではない。
しかし光栄でないとも言い切れない。
山下の雌であるという位置に立って初めて得られる安心感を、
彼女は既に知っているのだから。
「……あたしは♡ 二番目でいい……♡」
其の声は、妥協の産物であった。
一番目は姫奈が取るだろう。
是は既成事実化している。
二番目なら、まだ望みがある。
しかも二番目という位置は、一番目の痴態を至近距離で観察できる特権を伴う。
姫奈が山下に貫かれる様を見ながら、自身の番を待つ——
是が希望の暗い愉悦であった。
友を売った者が、其の友が墜ちる様を見て興奮する。
背徳の連鎖反応が、希望の中で確実に回転している。
「じゃあ♡ ウチは三番やな♡」
はなが希望の言葉に反応して、即座に順番を確保した。
組長の決断力である。
一番目は取れない。
二番目は希望が取った。
三番目を確保しなければ、最後になる。
最後は印象に残るかもしれないが、同時に待ち時間が最も長い。
待っている間、他の三つの雌が山下に貫かれる様を見続けなければならない。
是には忍耐力が必要だ。
はなは自分の忍耐力を信用していなかった。
だから三番目。中堅の位置。安全牌。
「じゃあアタシは四人目だ♡ 別に構わないよ♡」
いちかは肩をすくめた。
肩のすくめ方は、わざとらしかった。
四人目——最後——其れは、山下の精液を最も新しく記憶に刻める位置である。
いちかの計算は最初から合っていたのだ。
「決まりですね」
山下は、あぐらをかいたまま言った。
是まで一言も発しなかった。
順番争いは雌たちの自発的な行為であった。
山下はただ指揮棒を振っただけだ。
指揮棒は、音符を書き換えるのではなく、
楽員たちが自ら演奏を始めるように仕向けたのである。
「姫奈くん。一番目だ。四つん這いになりなさい」
姫奈は、即座に従った。
畳の上で四つん這いになり、其の白磁の尻を高々と掲げる。
赤い首輪が項で揺れる。
首輪の金具がじゃりと音を立て、其の音が主従の契約を反復的に確認する。
ペット一号の姿勢は、模範的であった。
山下は立ち上がり、姫奈の背後に膝をついた。
プラチナブロンドの滝が背中に広がり、白濁に濡れた肩甲骨の上で銀糸の如く煌めく。
山下の掌が、姫奈の腰を掴む。
がっしりと、岩が谷を抱くが如く。
其の掌の温度が腰骨に沁み込む。
「んおっ♡ 御主人様♡」
姫奈の秘裂は、既に山下の精液でぐしょ濡れであった。
先ほどの精液が子宮から溢れ出し、太腿の内側を伝って畳に染みを作っている。
山下のマジカルチンポが、其の濡れそぼった割れ目に押し当てられた。
凶悪なエラが花唇を割り開き、ゆっくりと沈み込んでいく。
ずぶりっ♡
「んお゛おおおっ♡♡♡」
姫奈の背中が弓なりに反り返る。
星の瞳が見開かれ、口からは涎と白濁の残滓が混ざり合った液体が滴る。
山下の巨根が、彼女の膣内を蹂躙しながら子宮口を的確にノックする。
是が姫奈の最も快い刺激である——山下の拳眼は其れを既に看破していた。
ずちゅっ♡ ごちゅっ♡ ぐりゅっ♡
肉と肉がぶつかり合う音が、六畳一間の空気を粘着質に揺らす。
ピストンのリズムが加速する。
姫奈の太腿が震え、其の爪が畳を引っ掻く。
其の光景を、三つの瞳が凝視していた。
「すごい……♡ 姫奈の♡ おまんこ♡ 全部飲み込んでる……♡」
はなが、畳の上で正座しながら呟いた。
着物の袖で口元を隠しているが、其の瞳は隠していない。
組長の鑑定眼が、姫奈の膣内の収縮具合を精密に観察している。
是は恐怖ではない。羨望だ。
自身の子宮も其のように満たされたいという、生理的な渇望であった。
「……♡」
希望は無言であった。
陰気な瞳は、姫奈の痴態を一フレームも逃すまいと凝視している。
売った者が、売られたメスが山下に貫かれる様を見る——
背徳の光景が、希望の秘部を再び濡らしていた。
太腿の内側が熱くなる。
次は自分だ。
其の確信が、希望の呼吸を浅くする。
「んおっ♡ おっ♡ おっほぉおおっ♡♡ 御主人様♡
奥まで♡ きてます♡ 子宮の♡ おくまで♡♡」
姫奈の嬌声が、部屋中に響き渡る。
ペット一号は、最初の種付けに相応しい奉仕を示そうとしていた。
自ら腰を動かし、山下のマジカルチンポを深く飲み込もうとする。
山下は其れを許さなかった。
腰を掴んだ掌で、姫奈の動きを封じる。
動くな。
動くのは私だ。
是が支配の基本であった。
「姫奈くん。次は他の雌に変わる。其れまで我慢しなさい」
「ぇっ……♡ もう♡ 代わっちゃうんですか……♡」
姫奈の声には、不満と不安が混じっていた。
しかし不満は、直ぐに次の刺激で書き換えられる。
山下のマジカルチンポが、子宮口を最後に一突きして、ずぶりと抜かれた。
秘裂から白濁の液体が溢れ出し、畳に新たな染みを作る。
「んおっ♡ 抜かれた♡ 抜いちゃった♡
でも♡ まだ♡ イってないのに♡♡」
姫奈は未だ絶頂に達していなかった。
山下は、其れを計算して抜いたのである。
不完全な絶頂は、次の機会への渇望を増幅させる。
是が山下の種付けの哲学であった。
飢餓が服従を深める。
満腹は反逆の母である。
「希望くん。次は君だ」
山下の視線が希望に向けられた。
「……はい」
希望は、答えた。
声は震えていた。
震えは、恐怖だけではない。
期待の震えだ。
天馬希望の辿り着いた背徳の定位置であった。
希望は四つん這いになった。
陰気なパーカーは既に脱ぎ捨てられている。
サラリと長い黒髪が背中に広がり、細長いボディラインが露わになる。
彼女の尻は、四つの中で最も貧相であった。
然しその貧相さが、却って山下の嗜虐心を煽った。
細く、引き締まり、脂肪の少ない尻——長距離ランナーの体躯である。
持久力はある。
しかし衝撃吸収能力に欠ける攻撃に対して最も脆弱な体格であった。
山下は希望の背後に膝をついた。
其の腰を掴む掌は、姫奈の時よりも力が強かった。
貧相な尻には、より強い支配が必要である——
其の論理は山下の無意識の中に存在していた。
ずぶりっ♡
「んおっ♡♡」
希望の秘裂は、姫奈よりも狭かった。
網膜剥離で引退し、アパートで引きこもっていた生活が、
彼女の膣内を未開発のまま放置していたのである。
山下のマジカルチンポは、其の狭き通路を容赦なく押し広げる。
痛みはない。
マジカルチンポの脅威的な適応性が、未開発の膣内を痛みなく貫く。
貫通は、希望の脳髄に直接響く衝撃であった。
「あっ♡ あっ♡ せんせの♡ チンポ♡
やっぱり♡ 太い♡ 何回♡ 入れても♡ 慣れない♡♡」
希望の声は、姫奈のそれとは対照的であった。
姫奈の嬌声は信仰者の讃歌であれば、希望のそれは迷い人の告白であった。
然しどちらも結局は同じだ。
山下のマジカルチンポに貫かれ、其の快楽に敗北した雌の声。
是がヴァルキュリアのオーナーの真の姿であった。
代表の威厳も、格闘家の自尊心も、ズボンの下に畳んで置いた。
ずちゅっ♡ ごちゅっ♡ どちゅっ♡
山下の腰使いが加速する。
拳眼が看破した希望の弱点——膣内の天井、臨界点より二センチ奥にある脆弱な襞——
其処を的確に抉り取る。
「あっ♡ そこっ♡ そこだめ♡ そこ♡ おかしくなる♡♡」
「其処が君の一番弱いところだ。他の誰も知らない。私だけが知っている」
山下の声は、耳元ではなく脳髄に直接響く。
他の誰も知らない——
其の言葉が、希望の背骨を痺れさせる。
独占されることの悦び。
是が希望の最も深い欲求であった。
「他の誰も知らない弱点を山下だけが知っている」という事実は、
背徳を正当化する唯一の免罪符であった。
「んおっ♡ あっ♡ あっ♡
イクっ♡ また♡ イッちゃう♡ せんせの♡ チンポで♡♡」
山下は、希望にも完全なる絶頂を与えなかった。
臨界点の直前で、ピストンを止める。
是は責めではない。
是は次の雌への通告である。
「次は君だ」という無言の通告。
「ぇっ♡ まだ♡ まだイってないのに♡」
希望の声に不満が滲む。
山下は、既に次の標的に視線を移していた。
「はなくん。次は君だ」
はなは、其の声を聞いた瞬間、畳の上で小さく跳ねた。
着物の裾が捲れ上がり、白磁の太腿が露わになる。
組長は、今、単なる雌に成り下がる。
「はい♡ ウチ♡ つぎ♡ いきます♡」
はなは四つん這いになった。
しかし彼女の四つん這いは、他の二人とは異なっていた。
着物を着たままである。
然而其の着物は、もはや衣服としての体を成していない。
桔梗柄の布が白磁の肌に絡みつき、束縛具の如く其の身体を縛っている。
是ははなの 自己演出 であった。
全裸になることよりも、着物のまま貫かれることに、彼女は強い被虐感を覚えるのだ。
畳の上で着物の裾から尻が覗く——
是は、貞淑な京の女性が足蹴にされる情景の隠喩であった。
はなは貞淑ではない。
自ら其の情景を演じることで、快楽を増幅させるのだ。
山下のマジカルチンポが、はなの秘裂に押し当てられた。
濡れそぼった花唇は、山下を待ち構えていたかのようにひくひくと蠢く。
ずぶりっ♡
「あかん♡♡ やっぱり♡ おっきい♡ 何回♡ 入れても♡
えらい太い♡♡」
はなの京言葉が、嬌声に変わる。
嬌声には、京都の舞妓の如き可憐さが残っている。
是がはなの独自の、しかし山下に調教された个々人の雌の色であった。
関西弁の嬌声は、滑らかで、湿度が高く、そして粘度が濃い。
ずちゅっ♡ ごちゅっ♡ ぐりゅっ♡
山下の腰が打ち付けられるたび、はなの桔梗柄の着物が波打つ。
布地の上からでも、其の下の豊満な肉体の質量が窺える。
姫奈のアスリート尻とも希望の貧相な尻とも異なる、
柔らかく豊かな女性的な尻——
山下の掌が其の双丘を打つたび、
肉の波が布地越しに視覚化される。
「ウチ♡ もう♡ あかん♡ すぐ♡ イッちゃう♡♡」
はなの絶頂は早かった。
寝技の天才——防御に特化した彼女の膣内は、マジカルチンポの攻撃には無防備であった。
其の矛盾は、彼女が山下に堕ちた過程の縮図でもある。
どれほど防壁を築こうとも、山下の拳眼は其の隙間を見抜く。
崩袈裟固めでも止められない。
肩固めでも逃れられない。
山下のマジカルチンポは、全ての寝技を寝技で返す、最強のグラップラーであった。
「まだだ。まだイかせない」
山下は、はなの絶頂の直前で、やはりピストンを止めた。
「ぇっ♡ あかん♡ あかんのに♡ なんで♡♡」
はなの声は泣き声に近かった。
泣き声には、組長の威厳は微塵もない。
ただ主人に種付けをねだる雌犬の哀訴のみ。
「いちかくん。最後は君だ」
山下の視線が、伊織いちかを捉えた。
「……♡」
いちかは無言であった。
然し其の細い目は、確実に期待の光を宿していた。
最後——是はいちかの戦略通りであった。
最後という位置には、予定通りにはいかない罠が潛んでいる。
他の三匹の雌が、山下に種付けされる様を見せられ続けた後で——
其の蓄積された興奮と焦燥が、いちかの理性を如何なる形状に溶かすか。
是は山下の拳眼でなければ看破できぬ領域であった。
いちかは四つん這いになった。
スレンダーな肢体は、猫の如きしなやかさを孕んでいる。
引き締まった尻は、四つの中で最も均整が取れていた。
然しその均整は、マジカルチンポに対する最も危険な誘惑であった。
山下は、いちかの背後に膝をついた。
ただ此の度は、他の三匹とは異なる所作を見せた。
山下の掌が、いちかの臀部を打った。
ぱしぃぃんっ♡
「んおっ♡」
いちかの背中が跳ねる。
其の反応は、他の三匹よりも激しかった。
此の女は、打たれることに快楽を覚える。
警視庁の狂犬は、暴力の中にこそ快楽を見出す性質を持っていた。
山下の拳眼は、其の性質を最も深く看破している。
「君は、特別だ。普通のやり方では足りないだろう」
山下の声は低い。
其の低さは、熟達した 調教師 の声であった。
ぱしぃぃんっ♡ ぱしぃぃんっ♡
山下の掌が、いちかの均整の取れた尻を打ち続ける。
打たれるたびに、いちかの嬌声が高くなる。
「あっ♡ おっ♡ ぶたれてる♡ けっこう♡
いい音♡ してる♡ 興奮する♡♡」
是はマゾの告白であった。
の告白は、恥辱の色を含んでいない。
むしろ、其の事実を誇らしげに宣言する被虐のメス啼きであった。
狂犬は、飼い主に叩かれることに至上の悦びを覚えている。
「では、入れようか」
山下のマジカルチンポが、いちかの秘裂に押し当てられた。
入れる直前に一瞬止まった。
是は意図的な焦らしである。
他の三匹の痴態を見せられ続けたいちかの理性は、既に臨界点に達している。
焦らしは、火に油を注ぐが如き効果を生む。
「……いつ♡ 入れて♡ くれるんだ♡♡」
いちかの声は、切迫していた。
四つの中で最も落ち着いていた女が、最も追い詰められている。
是こそが最後の位置の罠であった。
ずぶりっ♡♡♡
「んお゛おおおおおっ♡♡♡♡」
いちかの嬌声が、部屋中を震わせた。
嬌声は、悲痛ではない。
歓喜である。
他の三匹の痴態を見せられ続けた興奮と焦燥が、
マジカルチンポの貫通によって一気に爆発したのである。
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ついに♡ 来た♡
やっと♡ 来た♡♡ やっぱり♡ 待った甲斐が♡ あった♡♡」
いちかの嬌声は、四つの中で最も貪欲であった。
待たされた分を取り戻そうとするかの如く、
彼女は自ら腰を振り、山下のマジカルチンポを深く飲み込もうとする。
山下は、其れを許さない。
腰を掴んだ掌で、いちかの動きを封じる。
そして、打つ。
ぱしぃぃんっ♡ どちゅっ♡ ぱしぃぃんっ♡ どちゅっ♡
「あっ♡ あっ♡ 叩かれながら♡ 突かれてる♡
最高♡ これ♡ 最高だ♡♡」
警視庁の狂犬は、暴力と快楽が入り混じる快楽の沼に沈む。
[#-]
伊織いちかの嬌声は、もはや言語としての体を成していなかった。
意味を成さない母音の羅列。
然し其れは此の六畳一間において最も雄弁な証言であった。
警視庁の狂犬は吠えている。
牙を剥き喉を震わせて夜空に向けて吠えている。
威嚇ではない。
屈服の歓喜である。
ぱしぃぃんっ♡ どちゅっ♡ ぱしぃぃんっ♡ どちゅっ♡
山下の掌が均整の取れた尻を打つたび、
マジカルチンポが膣内を深く抉るたび、
いちかの背中は弓なりに反り返り其の肢体は蝶の如く痙攣した。
暴力と快楽。
相容れぬ二つのベクトルが、山下の技によって一つの焦点へと収束していく。
其の焦点こそが「雌の絶頂」であった。
「あっ♡ あっ♡ ぶたれて♡ つかれて♡
あたま♡ おかしく♡ なる♡♡」
いちかの細い目は限界まで見開かれ瞳孔は開放されている。
其処に映るのはただ山下という絶対的君主の姿のみ。
狂犬は飼い主の手に完全に服従していた。
「イクッ♡ イクッ♡ イキますっ♡♡♡」
どびゅるるるっ♡♡♡
山下のマジカルチンポがいちかの子宮に灼熱の精液を注ぎ込んだ瞬間
彼女は全身を強張らせ白目を剥いて絶頂した。
然し山下の剛直は其れで終わらなかった。
否、終わる筈がなかったのである。
女殺しの凶悪なるエラは硬度を増し
萎えることのない不倒の勃起は脈動を加速させ
散在する大小のイボは更に鋭く蠢く。
常軌を逸した暴走。
然しそれは破壊的な暴走ではなく
創造的な暴走であった。
山下はいちかからマジカルチンポを引き抜いた。
ずぶりっ♡と水音がし白濁と愛液の混ざり合った液体が
太腿の内側を伝って畳に溢れる。
マジカルチンポは未だ天を衝くが如く屹立している。
其れは飢餓であった。
一人や二人では飽き足らぬ飢餓。
四人の全てを一度に貪り喰らわんとする飢餓。
「全員仰向けになりなさい」
山下の命令は簡潔であった。
然しその簡潔さには絶対的な意志が宿っていた。
四人の少女は直ぐ様従った。
畳の上に横たわる四つの肢体。
手足を投げ出し腹を晒し脚を開く。
是は降伏の姿勢であると同時に
種付けを懇願する雌の姿勢であった。
四つの秘裂が並ぶ。
姫奈の濡れそぼった割れ目。
希望の狭き未開発の隘路。
はなの豊かに膨らんだ花唇。
いちかの暴力を受け入れた充血した秘部。
其の光景は耕作を待つ豊饒なる畑の如くであった。
山下は眼鏡の奥の双眸を細めた。
拳眼が四つの畑の土質を見定めている。
「これより全員に種付けプレスを行う」
山下は最初に本郷姫奈の上に跨った。
赤い首輪を付けた白磁の肢体が山下の下で震える。
山下は姫奈の両脚を大きく開かせ
其処にマジカルチンポを押し当てた。
ずぶりっ♡
「んお゛おおっ♡♡♡」
正常位での貫通。
山下の体重が姫奈にかかる種付けプレスである。
山下の唇が姫奈の唇を塞ぎ舌を絡め取る。
密着度は限界である。
二つの肉体が溶け合うが如き接触。
山下のマジカルチンポが姫奈の子宮口を的確にノックする。
「んむっ♡ んおっ♡ ごしゅじんさま♡♡」
姫奈は山下の首に腕を絡め脚を腰に巻き付けた。
ペット一号は主人に抱かれる悦びに浸っている。
山下の腰が激しく打ち付けられるたび
姫奈の肢体は波打ち嬌声が迸る。
ずちゅっ♡ ごちゅっ♡ どぴゅっ♡
「イクっ♡ イクっ♡ またイッちゃいますっ♡♡」
山下は姫奈の子宮に大量の精液を注ぎ込むと
間髪入れず次へと移った。
天馬希望。
山下は希望の上に跨った。
陰気なパーカーは畳に置かれ細長いボディラインが露わになる。
山下は希望の脚を持ち上げ肩にかけた。
是は深く貫く為の体位であった。
ずぶりっ♡
「んおっ♡♡」
希望の秘裂は再び山下を受け入れた。
然しその締め付けは先程よりも強かった。
他者の痴態を見せられ続けた興奮が
彼女の膣内を過敏にさせていたのだ。
「あっ♡ あっ♡ せんせ♡ せんせ♡
やっぱり♡ これじゃないと♡ だめなんです♡♡」
希望は山下の背中に爪を立て嬌声を上げる。
友を売り自らも雌に堕ちた背徳感が
快楽と混ざり合い彼女を絶頂へと導く。
「んおっ♡ イクっ♡ またイキますっ♡♡」
どびゅるるっ♡
山下は希望にも精液を注ぎ込んだ。
然しその手際は機械的であった。
一人一人への愛着はないわけではない。
然し今は全員を満たすという義務感が優先していた。
美谷はな。
山下は桔梗柄の着物の上からはなを押さえ込んだ。
着物の裾が捲れ上がり白磁の太腿と秘部が露わになる。
山下は着物越しにはなの尻を叩いた。
ぱしぃぃんっ♡
「あかん♡ 着物♡ 汚れる♡ やのに♡ ええ音♡ する♡♡」
はなの京言葉は甘かった。
山下は其の尻を押し開けマジカルチンポを押し当てた。
ずぶりっ♡
「んおっ♡ やっぱり♡ えらい太い♡
ウチの中♡ いっぱいに♡ してくれる♡♡」
はなの肢体は柔らかく山下を受け止める。
寝技の天才は山下を受け入れることで
最も安定した体勢を見つけ出していた。
「あっ♡ あっ♡ イク♡ イクで♡ またイクでぇぇぇっ♡♡」
どぷんっ♡
山下ははなにも精液を注ぎ込み最後の人へと向かった。
伊織いちか。
狂犬は未だ絶頂の余韻の中にいた。
然し山下が跨った瞬間彼女は覚醒した。
細い目が爛々と輝く。
「……来たか……♡」
いちかは自ら脚を開き山下を誘った。
山下はいちかの脚を抱え上げ激しく貫いた。
ずぶりっ♡
「んお゛おおっ♡♡♡」
是は最初から最後まで激しかった。
いちかの身体は打たれることで喜び貫かれることで歓喜する。
「あっ♡ あっ♡ ぶって♡ ついて♡
もっと♡ もっと♡ 乱暴に♡♡」
ぱしぃぃんっ♡ どちゅっ♡
山下の掌と腰が同時に動く。
暴力と快楽の二重奏。
いちかは其の中で啼き狂った。
「イクッ♡ イクッ♡ イキますぅぅぅっ♡♡♡」
どびゅるるるっ♡
山下はいちかにも精液を注ぎ込んだ。
然しこれで終わりではなかった。
マジカルチンポは未だ屹立している。
精液は未だ枯れていない。
山下は立ち上がった。
「まだ終わらんぞ。……全員並んで腹を出せ」
四人は直ぐ様従った。
仰向けになり其の腹を晒す。
四つの腹が並ぶ。
姫奈の引き締まった腹筋。
希望の細長い腹部。
はなの柔らかく豊かな腹。
いちかの均整の取れた腹。
四つの腹には既に精液が溢れ出し
臍や肋骨の谷間に白濁が溜まっている。
山下は最初に姫奈の腹の上に跨った。
「本郷くん。一番乗りだ」
どびゅるるるるっ♡♡♡
マジカルチンポが姫奈の腹の上に精液を浴びせかけた。
白濁の奔流が腹部を打ち胸元へと飛び散る。
姫奈は恍惚として其れを受け止めた。
「んおっ♡ あったかい♡ 精液♡ お腹に♡ かかってますぅぅっ♡♡」
次に希望。
「希望くん。次は君だ」
どびゅるるるるっ♡♡♡
希望もまた白濁の洗礼を受けた。
精液が陰気な顔面にも飛び散る。
「んおっ♡ 顔にも♡ かかった……♡ やっぱりドキドキする……♡」
続いてはな。
「はなくん。次だ」
どびゅるるるるっ♡♡♡
はなもまた白濁の雨に打たれた。
桔梗柄の着物が精液で汚れていく。
「あかん……♡ 着物♡ べっとりや……♡ ええ匂いするわ……♡」
最後といちか。
「いちかくん。最後だ」
どびゅるるるるるるっ♡♡♡♡
マジカルチンポ最大の出力が炸裂した。
精液はいちかの顔面胸元腹部そして太腿へと降り注ぐ。
「んお゛おおっ♡♡♡ すごい量……♡ 顔も胸も……♡ 全部精液だらけ……♡」
四つの腹が白濁にまみれる。
然しそれだけではない。
山下は再び四人の子宮へと精液を注ぎ込んでいった。
ずぶりっ♡ どびゅるるるるるっ♡
ずぶりっ♡ どびゅるるるるるっ♡
ずぶりっ♡ どびゅるるるるるっ♡
ずぶりっ♡ どびゅるるるるるっ♡
一人一人に対する種付けプレスと射精を繰り返すたびに
少女たちの腹部がわずかに膨らんでいく。
通常ではあり得ない精液量である。
マジカルチンポの暴走が
子宮という器の容量限界をも超えさせたのだ。
姫奈の腹はぽっこりと膨らみ
希望の細い腹は精液で張り詰め
はなの柔らかい腹は更に丸みを帯び
いちかの引き締まった腹は孕み腹へと変貌した。
四匹全員が完全に意識を手放した。
畳の上には四つの裸体が転がっている。
白濁にまみれ腹部だけが不自然に膨らんだ肢体たち。
是は敗北者の屍ではない。
勝利者の戦利品である。
山下は四人の腹を順番に撫で回した。
掌で膨らみを確かめながら
眼鏡の奥を細め満足げに呟いた。
「……これで全員妊娠確定だ」
其の言葉は呪詛ではなく祝福であった。
ヴァルキュリアの運営陣全員が妊娠の可能性を抱えたのだ。
山下への依存はもはや肉体的なものだけではない。
生命的なレベルでの依存である。
腹の中に宿った生命こそが
彼女たちと山下を繋ぐ最も強固な鎖となるだろう。
窓硝子越しに朝日が差し込む。
長き夜は明けた。
然しそれは彼女たちにとって新たな夜の始まりでもあった。
[#-]
晨光は慈悲深くも、腎薄き六畳一間の内部に於いては、
言語を絶する凄惨なる光景を浮き彫りにした。
畳という名の粗末な墓標の上に、
白濁の海に沈める四隻の難破船が横たわっている。
其の難破船と呼ぶには余りにも肉感的で、
そして背徳的なる四つの肢体は、
子宮に山下という名の絶対的君主の分身を宿し、腹部だけが不自然に膨らんで、
恰も授精の女神(ボギニ)の如き無様で邪な威厳を放っていた。
美谷はなは、
桔梗柄の着物を精液という名の泥濘に塗れさせながら、未だ浅き呼吸を繰り返している。
伊織いちかは、
均整の取れた肢体に白濁の鎖を巻き付けられ、痙攣の余韻に身を委ねている。
天馬希望は、
陰気なパーカーの代わりに精液の外套を纏い、虚ろなる瞳で天井の染みを見つめている。
そして本郷姫奈。
此の夜の征服の頂点に立つ革命姫は、項(うなじ)に赤き革の首輪を輝かせ、
腹部に山下の遺産を宿しながらも、
唯其一人在りし闇の中に、爛々たる星の瞳を覗醒させていた。
ペット一号としての自覚は、子宮に注がれた灼熱の精液と共に、
其の脳髄の深層に迄焼き付けられている。
否、焼き付けられたからこそ、彼女は覚醒したのだ。
雌としての本能が、
既存の社会的序列を凌駕する新たなる秩序を彼女の中に構築したのである。
「んふふ……♡ あさですよー、みなさーん☆」
陽気な科白と反比例して、其の声は冷酷なる断頭台の刃の如き甘美さを孕んでいた。
姫奈は畳の上で身体を起こす。
白濁にまみれた肢体は、朝日に映えても猶、夜の汚濁を色濃く残している。
然し彼女は気にする様子も無く、
むしろ其の汚濁を勲章の如く誇示するかの如き堂々たる挙措であった。
「♡ ひ、姫奈……? もう動けるのか……?」
希望が、虚ろなる眼差しで其の異様なる回復力を見上げた。
正常ならば、未だ白濁の海で溺死しかけている筈の肢体である。
然し姫奈は違った。
山下の精液は彼女にとって毒ではなく、然而るべき養分であった。
「動けますよーだ♡ だって、あたし、ペット一号ですから♡」
赤き革の首輪を指で弾く。
じゃりん、と金属音が響き、六畳一間の空気を震わせた。
其の音は彼女の専制を宣言する鐘の音であった。
「ペット……一号……♡」
はなが、精液に塗れた着物の袖で口元を拭いながら、震える声で呟いた。
組長としての威厳も、ホステスとしての愛想も、其の四文字の前に溶けて消える。
「さうですよ♡ あたし、御主人様に一番に選ばれたんです♡
だから、古株の先輩として、みんなにご挨拶しなきゃなーって☆」
無邪気。
其れこそが本郷姫奈という怪物の正体である。
狂気は刃物を振り回す者の専売特許ではない。
花束を抱えた少女が、其の花束で路人の頭蓋を砕く。
其の笑顔こそが、真の狂気だ。
「古株の……先輩……?」
いちかの細い目が微かに開かれた。
其の眼差しには、恐怖と、然而るべき奇妙な納得が同居していた。
格闘技の世界における序列は力に拠る。
然らば、牝の世界における序列は何に拠るのか。
其れは力ではない。
颜色でもない。
唯、雄に選ばれし順序のみ。
「そお♡ あたしは一番☆ 希望さんたちは、あたしの後輩ペットです♡」
言葉が産み出される毎に、六畳一間の重力が変化していく。
これまで希望、いちか、はなという三羽烏が構成していた三角の頂点が崩れ、
其処に姫奈という新星が座したのだ。
其の光は残酷で、そして爛々たる美しさを放っていた。
「だから、希望さんも♡ いちかさんも♡ はなさんも♡ 首輪つけなよ♡ ペットの証です☆」
是は暴言であった。
然し暴言特有の刺々しさは皆無である。
寧ろ其の言葉は、慈愛に満ちた忠告の如く響いた。
争いを避け、秩序を求めるが如き優しさ。
否、争いを超越した者の有閑なる指導。
「♡♡♡」
三つの肢体が同時に跳ねた。
甘イキである。
暴力でも否定でもない。
有無を言わさぬ肯定による快感の雷撃。
其の心地よき麻痺が脊髄を這い上がり、脳髄を白濁の霧で包み込む。
「くっ……♡ い、言ったな……♡」
いちかが呻く。
しかし其の抵抗は、既に虫の息であった。
否定する言葉が喉に詰まる。
其の否定の拠り所であった筈の警察官の矜持は、
昨晩のマジカルチンポの前に灰燼に帰している。
残るはただ、飼い主に懐く犬の本能のみ。
「あかん……♡ 首輪……♡ つけたら……♡ ウチ……♡ 本当に……♡」
はなの京言葉が震える。
組長の座を首輪と交換する。
其の交易は余りに非等価である。
しかし、其の非等価交換こそが山下の支配の真髄であった。
「姫奈……♡ あんた……♡」
希望の陰気な瞳が揺れる。
オーナーとしての威厳も、格闘家としての誇りも、全てを山下に売り渡した彼女に、
姫奈を否定する権利など残っていなかった。
否、姫奈の言葉は彼女にとっての救済でもあった。
同属(ペット)としての連帯感。
共に山下に飼われる雌としての暗い安堵。
「いいねぇ、本郷くん。其の意気だ」
沈黙を守っていた山下が、湯飲みを置いて口を開いた。
メガネの奥の双眸は、拳眼の光を宿しながら、
姫奈の提案を肯定していた。
是が絶対的な裁定である。
「新しいペットが、古いペットを率いる。実に自然な摂理だ。
運命の神が振った骰子(ダイス)は、君に最も高い出目を与えたという事だよ」
山下の声は、湿った畳の上を這う蛇の如く静かに、
しかし確実に四人の首に絡みついていく。
古参が新入りに従う。
其の逆転構造こそが、山下の作り上げたハーレムの真の姿であった。
能力主義でも年功序列でもない。
唯、雄に愛されし者こそが頂点に立つ。
最も残酷で、そして最も公平なるルール。
「♡ ありがとうございます、御主人様♡」
姫奈が山下に跪き、足首に唇を寄せる。
是は臣下の礼である。
しかし、其の視線は横に在る三羽烏に向けられていた。
無言の勝利宣言。
革命姫はヴァルキュリアを革命したのだ。
武力ではなく、色(いろ)によって。
「さあ、三人とも。新しい先輩に挨拶しなさい」
山下の言葉に、三人の肢体が震えた。
しかし、其の震えは最早拒絶のそれではない。
服従の悦びに満ちた、甘美なる戦慄であった。
「……姫奈先輩……♡ よろしく……♡」
希望が、震える声で言った。
其の声には、微かな安堵が混じっていた。
共に飼われるならば、オーナーの責任などという重荷から解放される。
是が彼女の暗き悦びであった。
「……よろしく頼むよ……♡」
いちかが、細い目を更に細めて言った。
警察官の矜持は、ペットの序列に溶かされ、新たな首輪の感触を求めて消え去った。
「……よろしくおたのもうしますぇ……♡」
はなが、着物の袖で涙を拭いながら言った。
組長の涙は、悔恨の涙か、それとも主従の契約による感動の涙か。
答えは唯一つ。
甘美なる降伏の涙であった。
窓の外は白々と明るみ始めている。
朝露が窓硝子を伝い落ちる。
其の冷たさは此の六畳一間の熱気とは対照的であった。
然而、山下家の夜は明けても、猶終わらなかった。
是は、新たなる秩序の夜明けであった。
ペット一号本郷姫奈の下、三羽烏が新たな群れとして再編される。
山下の膝元で、赤き首輪が四つ並ぶ日も遠くはない。
白濁の饗宴は、朝日と共に、更なる深淵へと続いていくのであった。