Rationalis Platinum 作:TSれメロス
< 10 >
―――じゅぷじゅぷじゅぷ。ちゅうちゅうちゅう。
わたしがふと我に返れば、寝室では焦点の合わない目で天井を見つめている、幾分かやせ細った少年の陰茎をわたしが口腔で“吸い上げて”いるところだった。
甘くておいしい、濃厚な精液まみれの肉棒はどれだけ舐めていても飽きがこない。
物言わぬ寝室の姿見だけが、年若いハダカのおとこのこの花茎を頬張って、白濁に塗れ紅潮した顔でフェラチオするわたしの姿を、全身余す処なく鏡像へ曝していた。
しかし、敏感な雁首をぬるぬるになった指でなぞるようにしても反応が薄く、出てくる精子の量が明らかに少なくなっていた。
「――――――、う、ふふっ」
その愉快ではない現実を見ただけで、
躊躇う
指揮者が振るうタクトのようにわたしが中空で指を振るえば、その描いた円弧が法陣と化して続々と粘液が溢れ出てくる。
粘液は出てくる傍から次々に少年の花茎へと殺到し、わたしの意図を汲み取って命令を「実行」していった。
具体的には―――
「ぉ――――おっ、あっ?」
粘液が向かった先は、おちんちんの鈴口ともう一つ―――少年の臀部の狭間にある不浄の穴蔵。
既に半分以上意識が飛んでいても、通常ありえない箇所を犯されるのには少年の無意識が拒絶反応を示していた。
けれどそんなことはわたしに一切関係ない。
わたしは“今”いっぱい精子が欲しいのだから、そのために必要なことは何だろうと躊躇いなくやるだろう。
入りこんだ粘液に、少年への情けも容赦もなく思念を飛ばす。
わたしの指示をうけた粘液が、その通りに「開発」を開始した。
「あ! あぅっ、ああ!? いぁっ! やっ、これ、だめぇ!」
尿道から入った粘液は、その中間域にある“ポイント”で膨張。
そして菊門から入った粘液は、陽根の裏側――俗に「前立腺」と呼ばれる勃起中枢を司る器官へ張り付き、集中的に愛撫を開始する。
たちまちに硬度を失っていた少年の屹立がその力強さを取り戻していく。これでまだまだ射精が望めるはずだ。
魔術で形成した粘液からは媚薬成分も発せられ、逐次接触箇所から吸収されるため、少年が前立腺を
「あーっ! ああああーっ! やめてぇ! さわらせてぇ!」
「―――おっと。それはだめよ?」
耐えかねた少年が自分のおちんちんを扱くべく、手を伸ばそうとしたので、咄嗟に魔術の鎖で少年の両手足を全て拘束する。
完全に身動きが取れなくなったのを確認したので、わたしは前立腺を前後から啄まれて悶える少年の亀頭へと手と舌を伸ばした。
ある程度の粘液を掌に纏わせて、少年の逸物の先端“だけ”を丁寧に愛撫していく。
「あ"―――っ! あ"あ"あ"あ"あ"―――っ!! 出させて! 出させてよぉ!」
「はいはい。それはいっぱいせーしが溜まったあとでね?」
前立腺刺激によって性感は際限なく高まっていくのに、こうすると肝心の射精だけはできなくなる―――するとどうなるか。
射精を伴わない絶頂、ドライオーガズム……いわゆる「メスイキ」をするようになるのだ。
“びたんびたん”と少年の腰が跳ねては全身が快楽の嵐によって硬直し、脱力し、また硬直しての繰り返し。
少年が男の子からオトコノコに変わりつつある様を確認しつつ、空いた片手で陰嚢の方も“こりこり”と揉み解す。
そこから軽く魔力を両方の玉へ流し込んでやれば、限界を超える勢いで精子を製造し始めるのが伝わってきた。
ニンゲンの一生における精子の「製造量」は決まっているらしいが、きっとその分は今から全て“消費”されることだろう。
激しく乱れて支離滅裂な言葉をひたすら叫び続ける少年を眺めながら、そんなとりとめのないことを考えていた。
……しばらく「開発」を続けていると、白目を剥いて気絶しながら、終わりのない淫獄に“びくびく”と腰を痙攣させるオトコノコが一人
手で弄んでいた睾丸が硬度を失い、完全に
菊門に潜らせていた方の粘液が敏感に反応し―――内部で男根様の強度と形状を得た上で、前立腺を一息に突き貫く。
「お"っ? ―――あ、あは、ふわあぁぁ……」
声と言うよりは無理矢理に吐き出された“音”を零して、それでも少年……或いは“少年だったもの”は一応の意識を取り戻した。
しかしその口から漏れたのは明らかに法悦に蕩けた声音だった。無意識下の性自認が吹き飛んでいる可能性まである。
もしかすればちょっとやりすぎたかもしれないけど、まあ「調整」は後からでも可能だろうと思う。
少年の目線が最低限、こちらを「見て」いることを確かめた上で……わたしは自分のドレスへと手を掛けた。
見せつけるように、一枚一枚丁寧に脱いで玉の肌を少年へと曝していく。
最後にずぶ濡れになっていたショーツを落として脱ぎ終えれば、一糸まとわぬわたしの淫靡な容姿がそこへ現れていた。
……わたしを見ている少年の分身が“ぴくんぴくん”と反応しているのが分かる。
そして、わたしのほうも濡れそぼったあそこが“ひくひく”と、漸く雄を捕食できることへ歓喜の涙を垂れ流している―――
わたしは指を鳴らして、少年の中の粘液、及び手足の錠を全て消去してあげた。
無告知で解放され、四つん這いに倒れ込む少年。
立ち上がろうとしても案の定と言うべきか、体に力が入らないらしかった。
四肢を動かすたびに「あっ」「うんっ」「んああぁ」などとかわいらしい喘ぎ声まで上げている。
これではしかたないので、わたしが
大きくぐるりとわたしが手で円を描けば、その動きに連動して少年が宙へ浮き上がり、そしてうつ伏せから仰向けへと姿勢を上下逆転させられる。
そしてわたしは―――少年を足で跨ぐような立ち位置から、陰裂を少年の花茎の真上にまで、垂直に位置を合わせて一旦停止する。
「……ねぇ」
「あっ、な、なに?」
「
「――――」
「答えないってことは、つまりイヤってことよね? じゃあ仕方無いからやめ―――」
「やだぁっ! いれて……
「ふふっ、よくできました」
この期に及んで
ならわたしもそれに応えよう。
腰を静かに降ろして、女陰に亀頭を“ちゅぷり”と触れさせる。
二度三度と焦らすように、鈴口と陰唇で淫らなキスを堪能してから、
―――全体重を乗せて腰を肉棒の根元まで落とした。
子宮口から脳天までを、快楽の槍で物理的制約を無視して貫通されるような感覚があった。
“ばちばち”と視界がホワイトアウトして、脳の語彙が一時的に死に耐え、“きもちいい”の五文字でしか現実を処理できなくなる。
「あはぁっ……! やっと、きたぁっ……! いいのっ、これ、すごくきもちいいっ!」
「あ"ーっ! あ"あ"っ、溶ける、おれのちんちん、なかにとけちゃうう!」
「ふふ。
“ぱぢゅんぱぢゅん”と騎乗位の体勢でわたしが何度も何度も腰を振れば、激しくナカの少年が膨張と痙攣を起こすのがわかった。
とっくに射精していてもおかしくなさそうなのだが、少々メスイキに
とはいえ「爆発」は近い。わたしの身体に“任せる”ことで射精を促すことにした。
咥え込んでいる陽根を、わたしの膣道が“ぎゅううううっ”と強烈に圧迫し、連携して子宮口は淫らなフレンチキスを少年の鈴口へを振る舞い、先端をがっちりとホールドして“ちゅうっ、ちゅううっ”と吸い付くように愛撫し、奥から精液を絞りだそうとする。「あっあっあっ」と少年が悶えるのが見えた。
かと思えば“ぐねぐね”と激しくナカの粘膜が蠕動して、想定外の刺激でオトコの本能を無理矢理に励起させる。「ふわああああああ」と少年が背を海老のように仰け反らせた。
更には上下方向のみならず、横方向からの“ぎゅっぎゅっ”という膣壁の回転摩擦もそこに追撃していく。「あ"ーっ! あ"あ"あ"あ"―ッ!」と少年が身を捩り絶叫した。
そして、遂に少年のペニスが“ぴゅう”と最期の先走りをわたしの中で漏らした。もうそろそろだ。
腰を打ち付けながら、ダメ押しに脱力している少年の背に手を回して抱きしめ、その唇を奪う。
少年が目を丸くした隙に口中に舌を侵入させ、歯茎と舌を徹底的に責めた。
胸もわたしの愛液で濡らした指で摘み上げて“ぐりぐり”と快楽のデッドラインへ追い立てていく。
全方位から少年を隙間なく咥え込んだわたしの丹穴のなかで、“びくびくびく”と少年の肉棒が臨界に達するのを感じた。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"、出る、出るぅっ、出ちゃうぅぅ!」
「出してっ! わたしのなかに、とろとろせーし。いっぱい頂戴っ!」
「お"お"お"お"お"、イグっ、イグ、イグ、イグぅぅぅぅ!!」
前立腺が収縮し、開通した射精管をはち切れさせんばかりに勢いで白蜜が精嚢から決壊し、放出された。
“びゅーっ、びゅびゅーっっ”とものすごい音を立てて
わたしのなかで朱室が“ごくんごくん”と喜びの声を上げて精液を啜り取っているのが実感できた。おいしい。きもちいい。しあわせ。
少年が白目を剥いて放心し、数分が経過し、十数分が過ぎてもその吐精は尽きなかった。
……放流が終わる頃には精どころか根も使いはたしたのか、髪を真っ白にして干物のように枯れ果てた、少年の成れの果てがそこにあった。
当然このまま放っておけば死んでしまうので、その前に
空ろな目で意識の失せた少年の口に、わたしの乳嘴をそっと含ませる。
そしてわたし自身の手で双丘を搾るように両の手でかるく圧迫すれば、“ぴゅうっ”と先端から芳醇なミルクが飛び出てきた。
既に少年の口にそれが宛がわれている以上、当然流れ出た乳は少年の口から喉へと下り吸収されていく。
別段わたしがおちんちんを生やして彼の
……やがて、少年の痩せ細った肉体が元の瑞々しさを取り戻したあたりで、わたしは授乳を終了した。
予期した通りの変化は間もなくだった。
"ぶるぶる"と震え始める少年の五体が、"びくんびくん"とひとりでに跳ねて"がくがく"と
更に下腹部。少年の内性器があるあたりの直上近辺に"じわぁっ"と
輝きが最高潮に達するや否や、暴れ狂っていた全身の動きをぴたりと少年は停止させた。
そして。
少年の短い髪は"しゅるしゅる"と艶やかに伸びていき、腰まで届こうというさらさらで滑らかな黒絹の糸房へと変じ。
手入れと言う概念もなかった伸び放題の睫毛は、その円らな形良いまなこを彩る装飾として、深窓の姫君のように均整なものへと整えられ。
ありふれた薄茶色の虹彩は、闇に溶け込むような輝きと深淵を湛える黒真珠のそれへと変貌して。
乾燥気味だった口唇は、張りと色艶と弾力を完璧な比率で併せ持つ、高貴でいて何処か妖しげな色香を放つ花弁へと移ろい。
ただの平板だった胸部は、"ぶるるんっ"とゴム毬のように弾けて膨らむ、二房の新鮮な巨峰にまで昇華され。
オス特有のがっしりとした体格は溶けるように無駄のない流線形へ変わり、子を成すべくメスとしてなだらかな腰の
全身から減った分の筋肉が大腿と豊尻を肉感的に膨らませる脂肪へと変じ、更には対照的にしなやかな細身の四肢と、雪のように白いきめこまかな肌、繊細な造形の五本指を形成して。
力なく項垂れていた股間の小蛇と殖栗は、音もなく体内へ逆行し。開けた骨盤のナカへ飲み込まれた精巣は、紋様の左右部に重なる位置へと"戻"って、役目を生まれてくる前の、XY染色体本来のものへ反転させ。
鈴口だけになった陰茎が縦に"裂け"て、奥まで
最後に亀頭の残滓が朱門の上部で"くるんっ"と小さく硬く纏まり、精を発する男ではなく、精を貪る女の象徴である肉の真珠へと完成される。
―――凡百の女が頭を垂れる澄み切った高潔さと、あらゆる男が理性の箍を放り捨ててまぐわおうとするだろう魔性の欲望。
矛盾するはずのそれが一つの身体に違和を為すことなく同居している、化外のような美貌を持った黒髪の妖女がそこにいた。
変容が完了したことで、光の失せていた元少年の双眸に意思が戻って来る。
「あ――――――ぼく、おれ? わたし? あたし? わたし、あたし……」
「あなたは、わたしをいっぱい取り込んで“わたし”になったの。じゃあ、“
「えっと、おれは、ぼくで、あたしが、わたしで、……ぜんぜんわからない」
「どれも正しくて、何ひとつ間違いじゃないの。だから、あなたがなりたい自分を心と、魂と、体に従って選べばいいのよ」
呆けている元少年を導くように、指先で部屋の隅にある大鏡を示した。
「あっ……これ…………おねえちゃん……」
「あなたには綺麗な親戚の従姉さんがいたのね。
すごく清潔な雰囲気で、それでいていやらしい
「おねえ……ちゃん…………、おねえちゃん」
魂を抜き取られたかのような緩慢な動きで、元少年は"自分"の頬に手を触れる。
吸い付くような触感の肌。そこから広がっていく官能と情欲の灯に自覚がないまま魅せられて。
その指が"自分"の唇や、胸や、女芯や、秘裂へ延ばされるのに時間はかからない。
やがて、聞くものの理性をこそげ取るように淫らで爛れた喘ぎが、部屋の中に満たされ始めた。
彼女が"自分自身"にゆっくりと溺れて溶けていく様を傍観しつつ、わたしは“わたし”がもうひとり増える予感に脳と女陰が震える歓喜を覚えていた。
"ぱんっぱんっ"と腰を振って、元少年―――「人間」の個有名にわたしは興味がないので、“脳”がいまいち思い出す気になれない―――を、わたしは後背位で抱きかかえながら犯していた。
今はクリトリスをペニスに換えているわけではなく、魔術で感覚を共有可能な双頭ディルドーを生成。わたしの膣内に挿入することで“抽送”を可能にしている。
突けば突いただけこちらのポルチオにも“ずちゅんっ”と重い喜悦が返ってきて、実の肉棒とは些か異なるアブノーマルな性交だが、癖になってしまいそうだ。
遠からずわたしが
もちろん単に快楽を貪りたい、というだけの理由では収まっていない。「感覚」を共有というのは、ディルドーが受けた法悦をわたしが得られるというのみならず、わたしの感覚も繋がっている彼女に伝播され、そして彼女の感覚もわたしに繋がって与えられるという意味を含む。これは、わたしがわたしの中で
即ち"なりたいっ、早くわたしに、あたしになりたいっ"と悶え苦しむ彼女のなかのわたしを、速やかに彼女に回帰させて解放するための措置である。無論趣味は含む。
腰の双茎を不規則なリズムに沿って最奥まで打ち付けながら、おもむろに彼女の胸にある巨丘へも手を伸ばす。触れられて「あひゅんっ」と彼女が身悶えしようとしたが、片腕でがっちりと腰は抑えているので快楽はほぼ逃がせない。
捕えた掌で加減無く五指を柔肉に沈めれば、「ほへああああああ」と言語化不能な歓びに彼女の貌が蕩けるのが見えた。
でもどうせなら片方だけでなく、両の果実をわたしは味わいたかったので―――少しだけ“ズル”をすることにした。
わたしの銀髪を留めていたリボンを、一息に解く。
“ふあさあああっ”と足元まで伸びた髪がわたしと彼女に覆いかぶさり、広がって肉体や髪同士こすれ合うことにぞくぞくと悦楽を覚える。
その中から髪の一房を適当に見繕い、根本から先端まで指櫛で梳き解して、同時に丹念に魔力を
さすればわたしの髪たちは、その全てが天から地に落ちる林檎の大原則をも無視して“ふわり”と虚空へ舞い上がる。
後ろからわたしに犯されている彼女は「あっあっ、あうんっ、あはぁっ」と自己陶酔を楽しんでいるためか、気づけていない。サプライズは重要だ。
一斉にわたしの銀髪が彼女へ襲い掛かり、毒蛇のように彼女の全身に絡み付いて四肢の動きを完全に封じた。
そしてわたしの髪に吊られて宙に浮く彼女の前後を、身体全体ごと向きを動かして反転させ、後背位から正常位に。
宙吊りにされた彼女の女門に、偽杭を突き込む―――のを、入口で寸止めして問いかける。
「ねぇ、
「あ―――あっ……あたし、わたし?」
「そう、あなたはわたし。その体に忠実で、淫乱で、あなたの理想そのものになったわたし。
「わたし……
「自分の口で認めて。あなたが誰なのか。わたしは
彼女の肉体は彼女の理想像。彼女にとってのわたしだ。
きっと、「少年」にとっての彼女は、包容力があり、快活で、それでいて自分の一人称を"あたし"とする奔放な人物だったのだろう。
だから無意識に線分けをしてしまう。
しかしわたしを注ぎこまれた彼女は、
わたしは肉体そのものの欲望。だから彼女が本当の意味でわたしになるには、己の欲望を直視しなければならない。
『
「
「あっ、あああっ、あた、あた……たし、は」
「良く聞こえない。もっとはっきり」
「……たし……あ……し…………は」
「あなたがわたしになれないなら、
「ぃゃ……それいやぁっ!
「じゃあ言えるわよね? はっきり自分の口で
「したいっ、したいのっ! むねもちくびもいっぱいぐちゃぐちゃにされたい! どろどろざーめんたくさんのみたいっ!
おまんこにがちがちおちんぽずぷずぷされたい! いっぱいいっぱいきもちよくなりたいっ!」
「ふ、うふふ―――じゃあ、望み通りの
返答を確認したと同時、全力で彼女を捕えた髪を
"どちゅうんっ"と魂の門を官能の破城鎚で殴られるような、すさまじい快楽がわたしに/彼女に襲い掛かってきた。
わたしたちの頭の芯で、甘い灼熱の導線が連続爆発している。語彙も何もかも消し飛ぶ、淫らなオンナの悦びがここにあった。
彼女の身体とわたしの偽根を、何度も何度も激しく打ちつけて至上の背徳を貪っていく。
「あっ、これすごいっ、わたしのっ、あたしの身体っ、すごくいいっ! ふわふわして、ぞくぞくして、びりびりするぅ!」
「胸もぐちゃぐちゃにされたいって言ってたかしら? じゃあお望み通りそうしてあげるわ。……じゅるるっ」
「ぅふゃあっ!? いゃっ、やめて、すわないでっ! もみもみこりこりしながらあたしのおっぱい、くちからちゅーちゅーしないでっ!」
「ふふふ、甘くてとってもおいしい。あなたいい“お嫁さん”になれそう」
「ああああああっ、およめ―――あかちゃん……あかちゃんほしい、あたしのらんしにじゅせーさせたい……たくさんうみたい……」
「あらあら、おませさんねぇ」
もう彼女の口から溢れる譫言には理性のりの字もない、完全な雌の本能に支配された内容しかなかった。
充分彼女も“
彼女に巻きつけていた髪を拘束から
欲望の極点へ向けて、最後のスパートをわたしたちは始めた。
押し付けられ触れあって形を変える胸と乳首同士からは、ミルクに溶けた砂糖のように甘い痺れがじんわりと全身に広がっていき。
蛞蝓の交尾の如く貪り合う唇と舌は、底無しにわたしと彼女のなかのわたしの繋がりを実感させ、囁き合う睦言が天井知らずに多幸感を煽り立ててきて。
そして、繋がる局部ではわたしも彼女もだらだらと淫液を溢れさせており、挿入し挿入されるわたしたちの双塔も"びくっびくっびくっ"と白濁解放の産声を漏らしつつあった。
「ふぁぁっ、ん、やぁっ、あっ、いくっ、ぁぁああっ。いくぅっ、いくぅっ、あたしがわたしでぜんぶイクぅぅぅぅっ!!」
「あっ、あっ、あっ、あああっ!? わたしっ、わたしもきちゃうっ、あなたのわたしでいっぱいになってイクっ、イクの、いっちゃう、イクぅぅぅ!!」
直後、“ずびゅ、ずびゅううっ、どぴゅうううううっっ”という双方へ対して卑しい放出の振動を、わたしたちの体が知覚すると共に、頭の中が官能色のペンキで塗りつぶされたかの如く真っ白になる。
恋人つなぎのように両の手の指をぴったり組み合わせて、心体と魂魄が溶かされ合うような充足感を共有しつつ。
同時にわたしたちは事欲の果てへと達して、終わりなき光と闇の狭間へと仲良く意識を墜落させていった。
< 12 >
「“
『いえいえ。貴方様の眷属でございますれば、この程度至極当然の事でございます。……して、紅茶のお替りはご入用で?』
「頂くわ」
わたしのこの躰には疲労も消耗も存在しない。
しかし魂の損耗や精神の摩耗とも、また異なる領分で
生じた欲求は極力先延ばしにせず、その場で解消しておかないと
なので、『紅茶があるので飲みたい』という即物的な衝動に一切逆らうことなく、わたしは手に取ったカップを口元で傾けて喉を潤おした。
高級茶葉特有の、複雑でありながら洗練された香りと味が鼻腔と喉へ抜けていき、わたしの身体の“なにか”が満たされていくのを感じる。
ずっとストレートティーだったからそろそろ甘いフルーツティーが飲みたいところである。暇が出来たらレモンやオレンジを
『必要とあらば、フルーツティーを出させて頂く準備もございます』
「あら、
『承知しました。では、何かございますれば何時でもお呼び下さい』
カップとソーサーを背負いながら、銀色の糸で起用に扉を開けて、蜘蛛の使い魔が廊下の暗闇へ消えていくのを無言でわたしは見送る。
一々呼ばなくても向こうが勝手に察するだろう、という確証がぼんやりとあった。なぜならアラーネは
そのため本質的にはわたしとあまりに強固な繋がりがある。主体感覚的にはミニチュアサイズのわたしが、もう一人いるようなものだった。
弟や子供―――として扱うには、何故かアラーネはわたしの「従者」として振る舞うので、好きに任せているのだが。
わたしが自覚も及ばないレベルで“仕えてくれる「自分」が欲しい”と微かに望み、繋がりのあるアラーネは無意識に汲み取ってそのようにしているのだろうか。
仮にそうであったとすれば、複数のわたしが存在することにおけるこれを、弊害と呼ぶべきか利点と呼ぶべきかは判断が難しい。
とりとめのない思考を断つように、背後で人体と布が擦れる気配を感じる。
半身をひねり、頸をそちらへ向ければ
「―――んー……ふぁあああ……あれ、あたし……?」
「目が覚めたかしら」
「あっ!
わたしの存在を認識するや否や、彼女は花が綻ぶような満面の笑みを浮かべて抱き着いてきた。
膂力でこの肉体が負けることはありえないため、彼女のダイブを受け止めるに問題はない。
彼女は盛りのついた猫か犬のように、激しくわたしに体や頭を擦りつけてきていた。あるはずのないハートマークが無数に乱れ飛ぶ様さえ幻視できる。
最上級シルクのように肌触りのいい黒髪は、ゼラニウムの如き清廉な芳香を漂わせていて、そこに好感はあれど嫌悪は一切感じない。
愛でるように手を彼女の頭へ置いて、よしよしと撫でてやればたったそれだけで、彼女の相貌は
彼女はわたしを肯定し、彼女自身の中にある欲望であるわたしと
アラーネは弟(?)か従者のような認識をしていたわけだが、彼女は大本のわたしに対して“妹”というスタンスを確立したらしい。
血縁上の関係があるわけではないが、元々わたしにとって人間の価値観は路傍の石ころ以下のものでしかない。
彼女がわたしによってわたしにされた存在である以上、この関係性はむしろ必定だろうと納得できた。
とは言え、ここまで極端に変貌されると“わたし”の一部であるはずなのに戸惑いは少なからずあるのだが。
「姉様、姉様っ! あたし姉様にお願いがあるの!」
「はいはい、何かしら?」
「あのね―――
父様も、母様も! みんな! そうすれば姉様があたしたちを"救ってくれる"契約の通りでしょ?」
「――――――――――――」
すとん、と。
彼女に言われた言葉は、とてもわたしの“
そうか、わたしには“わたし”が足りないんだ。もっとたくさんの“わたし”が必要なんだ。
わたしは、ずっと他の“わたし”が欲しかったんだ。
腕も足も一人分では欲を満たすにまるで足りない。だから底無しに湧いてくる欲望を処理しきれない。
けれど、もっと“わたし”がいれば? 村一つ、国一つ、世界一つ丸ごと全て“わたし”になってくれれば?
きっとそれは、とてもすばらしいことだ。全員のあらゆる欲望が完全に満たされる、完璧な“わたし”だけの世界。
それは―――それはとても、きっと、すごく
わたしの胎の奥が、まだ見ぬ未知の享楽に撃ち震え、大欲の焔に燻るのを感じた。
わたしは、もうわたしを抑えきれそうになかった。抑える気にもなれなかった。きっと、そんな発想は初めからこの世の何処にもなかった。
腰かけていたベッドから立ち上がる。
全身を満たす“わたし”を今すぐにでも発散しないことには、もはや収まりがつかない。つける気など毛頭ない。
「村一つなんてケチ臭いことは言わないわ。
「わあっ……! あ、世界中ってことは、もしかして従姉さんも"わたし"になるの!?」
「もちろんそうよ。嫌かしら?」
「全然! むしろ最っ高! だってあたしが従姉さんと、"ほんとうの意味"で一つになれるんだから!」
「ふふふっ。じゃあまず貴方の従姉から“わたし”になってもらいましょうか。方法は“貴方に任せる”わ」
「うんっ! 姉様大好きっ! 世界一愛してる!」
『何やら壮大な話になっておられますが……まあ、元を正せばこれは
わたくしめはただ、「主様の願いを叶える」だけでございます』
わたしは彼女の手を取って歩き始める。
その先に、わたしが思い描いた理想の未来があると確信して。