淫蕩王ベルムハルト 作:ヒステリア
第一話 淫蕩王
「ああああーー!!」
豪奢なベッドの上で、ぱんぱんと響く音とともに短い金髪の美女は悲鳴を上げる。
その下に横たわる金髪の男は、左手で美女のふくらかな胸を形が変わるほど強く揉みしだき、彼女のびしょびしょに塗れた入り口を自分のモノで真下から貫き、右手で彼女の柔らかい尻を何度も叩いていた。
彼女は目から涙を流し……
「も、もう許してください……これ以上はお勤めに障って――」
「俺の相手より大事なお勤めって何だよ? お前は本当に可愛がりがいがあるな、シャマル……そうだな、“あいつら”が帰ってきたら解放してやるか。ちゃんと姫を捕らえてきたか確かめておかなくちゃならんし。それまでは……」
そう言って男は女の尻を優しくなでる。そして彼は一度尻から手を離し――
「もう少しいい声で鳴いてくれよ」
「あああああーーー!!」
シャマルという美女の尻からパーンと甲高い音が上がり、彼女は一層高い悲鳴を上げる。それが男の嗜虐心をあおり、さらに力を込めて叩かれる羽目になった。
男の名はベルムハルト・S・L・ヘンディガン。
この戦乱期において、彼はヘンディガン領領主の長男として生まれ、父をはじめとする屋敷の住民が
そして王が病没したことで始まった内乱を制し、『ヘンディガン王国』を打ち立てたのである。
王となった彼は、幼い頃から学んだ学問と経験をもとに、飴と鞭を巧みに使い分けながら領地を運営し、そして少なくない兵力を率いて他国へ攻め込み、王国の領土を拡大していった。
だが王国の内外問わず、多くの者は知らない。その併呑の最中に
「ぐあああーー!!」
絶叫とともに赤鎧の男が玉座に倒れ伏す。彼はこの一帯を治める王
そんな彼を倒したのは、黒い鎧を着て、桃色の髪を後ろに束ねた、端正な容姿の女騎士だ。
「姫はどこにいる? 命は取らんと約束するゆえ、どうか教えていただけないか?」
「誰が貴様なんぞに……」
王は腹を押さえながらも騎士の求めを拒絶する。それを聞いて桃色髪の騎士は傍らに浮かぶ茶色の書物を一瞥してから、残念そうに言った。
「……では姫はこちらで探すとしよう。貴君からは魔力をいただく……存分に恨むといい」
その直後、部屋中に王の悲鳴が響き渡る。
それから間もなく、この国の王女、レティシア・F・М・メルヴィンが地下通路から逃げようとしていたところを発見され、守護騎士によって捕らえられたという話が全軍に触れ回った。
彼らは自らの手で姫を手に入れられなかったことを惜しみながらも、敵国の街に踏み入って、女を攫い、酒や財貨を奪い、抵抗する男を殺しながら、大いに略奪を楽しんだ。
その一方で、戦場では魔力を根こそぎ奪われた状態で息絶えた屍が散乱していた。それらがこの国に攻め入った最大の目的であることを知る者は少ない。
そうして、メルヴィン王国もまたヘンディガン王国……いや、ベルムハルトの手に堕ちたのである。
「お帰りなさいませ、騎士殿」
城に戻った守護騎士たちを、黒いスーツを着た老執事が慇懃に出迎えた。彼のそばには黒鎧を身につけた二人の騎士がいる。
「ああ。出迎え痛み入る」
守護騎士を束ねる将・シグナムはそう答えるものの、執事はうなずきも返さず冷ややかな目で、ザフィーラという屈強な男騎士が捕まえていた緑色のドレスを着た姫に目を向ける。ザフィーラにはなぜか犬のような耳と尾が付いているが、執事はそこに触れず……
「ほう、彼女が……」
憮然とする姫を見る執事にシグナムはうなずく。
「はい、主の命令通り捕らえて参りました。こちらに寝返った諸侯に聞いたところ、レティシア姫に間違いないとのことです」
それを聞きながら、執事は無遠慮な視線で姫を眺める。
長い金髪をたなびかせた美しい姫だ。噂通り、いやそれ以上。捕らわれてきただけあって不機嫌さを隠そうともしていないが、主としてはそちらの方が染めがいがあるだろう。
「これから主に、戦勝と“蒐集”の経過を報告したいと思います。主……いえ陛下は今どちらに?」
王の居場所を尋ねられ、執事は後ろを振り向きながら。
「寝室に居られます。今はシャマル様と――」
「ああああああああーーーー!!」
その時、執事が向いた先から廊下に響き渡るほどの悲鳴が聞こえてきた。
「くそっ! あいつまた――」
悲鳴を聞いて、二つに分けた長い赤毛の少女が駆けだす。シグナムやザフィーラと同じ黒鎧を着ている事から、少女も騎士の一人だとわかる。そして寝室から上がった悲鳴の主も……
「あっ――ああ――」
シャマルは主の体にまたがったまま、喘ぎ声ともうめき声ともつかぬ声を上げる。その下で――。
「出るぞ……しっかり受け止めろよ!」
ベルムハルトは抽送を早め、彼女の体を激しく揺らし、今までで一番強い力で赤くなった尻を叩いた!
「ああああああああーーーー!!」
尻を叩かれた衝撃と、熱い大量の精子を放出されて、シャマルは室外に響くほど大きな悲鳴を上げる。
それを聞きつけてヴィータという少女が入ってきた。彼女が目にしたのは――。
「あっ――熱い……主様の精子、いっぱい叩かれた私のお尻と同じくらい……」
うろんな眼でシャマルはつぶやく。そんな彼女の中に自らの子種を注ぎ込もうと、主は何度も腰を揺らしていた。
そうしているうちに主……ベルムハルトはヴィータと遅れてやってきたシグナム、ザフィーラに気付いた。
「おう、お前らか。ちょうどいい。お前らが帰ってきたら解放してやるって話してたんだよ。よかったなシャマル。約束通り今日はお役御免だ」
ベルムハルトはそう言ってシャマルの頭をなでる。シャマルは笑みを浮かべて。
「はい……ありがとう、ございます……主様……」
安心したのか、それとも限界だったのか、シャマルはベッドに倒れ込み、そのまま動かなくなる。彼女の尻は赤く腫れ上がり、膣からは愛液と精液が混じったものが溢れ出ていた。
「シャマル!!」
ヴィータは慌てて彼女に駆け寄る。それを見てベルムハルトは笑いながら言った。
「安心しろ、死んじゃいないさ。これぐらい専門の遊女なら毎日のようにやってるぜ。いざとなったら治療魔法をかければいいしな」
「てめえ……」
ヴィータは殺意のこもった眼で主を睨む。主は全裸のままで、精を放出してもなおいきり立ったままの巨根が目に入るが、さしたる事じゃない。主のモノを見るのはこれが初めてではないのもあるが。
「おお、こええなあ。ご主人様に対する顔とは思えねえ。まあ、そんな騎士に奉仕してもらうのも好きなんだけどな……そうだな、後でまたヴィータちゃんのお口でこれをお掃除してもらおうかな」
白い液がべっとり付いた“それ”を指さしながら、ベルムハルトは笑い声を上げる。さすがのヴィータも顔を赤くしてうつむくしかなかった。
そこへシグナムが割って入る。
「もういい、下がれヴィータ。主ベルムハルト、差し支えなければ、戦の結果と『闇の書』の蒐集の経過報告をしたいと思いますが、よろしいでしょうか?」
「おおっ! そういえば忘れてた。レティ姫はちゃんと連れてきたか? まさか殺したり兵士の誰かが頂いたんじゃないだろうな」
今思い出したように、ベルムハルトは手を叩いて尋ねてくる。シグナムは顔を下げながら続けた……レティシア姫の話を聞いて、一段と膨れ上がった巨根から目をそらしたとも言える。
「レティシア姫はザフィーラが捕まえたまま城に連れてきて、今しがた執事殿に引き渡したところです。おそらく地下牢に入れられているものかと」
「ああ、あいつに預けたなら安心だ。糞真面目だし、もう勃たねえだろうしな。ヤレるっつうなら逆に見てみてえわ」
そう言ってベルムハルトはまた下卑た笑い声を上げる。それに対して騎士達は顔を伏せたまま沈黙するのみだった。それを見て……
「……まあいい。ところで『闇の書』はどうだ? 何ページくらいになる?」
馬鹿らしくなったのかベルムハルトは笑いを引っ込め、『闇の書』に話を移す。それに再びシグナムが答えた。
「はっ、此度の戦で383ページになり、書の完成まで半分を切りました。おめでとうございます、我が主」
「おお、あと17ページじゃん! たしか、400ページ超えたらまた増えるんだろう? お前達ぐらいのかわいい子が!」
「……ええ、そうです」
主の問いにシグナムは顔をしかめながら答える。結局それか、と心の中でこぼしながら。
それに気づいたのかベルムハルトは手を振って言う。
「そんな呆れた顔すんなって。『闇の書』完成させて無敵の力を手に入れるって、望みも忘れてねえよ。それがあればベルカもそこに住んでる美女もみんな俺の物になるんだからな。でも途中経過ってのも大事だと思うんだよ……わからねえ?」
「……まあ、完成を待つばかりよりは有意義ではないかと」
書の完成の催促ばかりしてきた過去の主を思い出して、シグナムは不承不承といった感じで答える。
複雑そうなシグナムと他の騎士たちを見下ろしながら、ベルムハルトは話を変えることにした。
「まあいいや。今はレティ姫だ。どんな子だった? 可愛かったか?」
「……執事殿がおっしゃるには噂以上にお美しい方だと……ただ、かなりお気が強いように見受けられました。おそらくそう簡単になびくような方ではないと」
それを聞いてベルムハルトは気を悪くするどころか、期待通りという笑みを浮かべた。それを見てシグナムはいらない事を言ってしまった事に気づく。
「いいねえ。そういう子ほど躾けがいがあるってもんだ。まあ、今のところヴィータの右に出る子はいないけどな」
「……好きで右に出てねえっつうの」
ヴィータは小声で呟く。それはベルムハルトの耳に届いていたが、彼は嫌らしい笑みでヴィータを見るだけだった。
「まあこんなもんか。ご苦労! いつも通り部屋に帰っていいぞ。過去の主が用意した牢屋もどきじゃなく、ベッドとかある程度の家具がある部屋だ。文句あるか?」
その問いに騎士達は黙って首を横に振る。
それだけはこの主に仕えてよかったと思える点だ。命令通り働けば、あったかいベッドと味のある食事がもらえる。
そして時には……
「主、シャマルはどうしましょう? よければ私が部屋まで連れ帰りますが」
「ああ、いいのいいの。俺の相手をしてくれた子はここで寝ていいって約束だからな。俺はこれから風呂に入ったり執事とかから報告聞いたり仕事あるから、シャマルはしばらくここで寝かしとくわ」
そう。主の相手をした騎士は、柔らかいシーツがあるこのベッドで眠ることが許されている。ベルムハルトに男色の気はないため、当然ザフィーラは一度もないが。
故に、次の瞬間ザフィーラも他の騎士達も驚かずにはいられなかった。
「あっ、ザフィーラ。明日は攻める予定ないし、お前暇だろう。4刻目(8時)くらいになったら執務室に来い」
「……私が、ですか?」
ザフィーラは思わず聞き返す。ベルムハルトはああと言いながらうなずいて、続けて言った。
「お前に仕事っつうか、今回のご褒美がある。主命令だ、必ず来いよ……犬っころの姿でな」
それを聞いて、ザフィーラを含め、騎士達は嫌な予感を覚えた。またろくでもない事を思いついたみたいだぞ、と。
そんな騎士達をよそに、ベルムハルトは全裸のまま風呂へと向かって行った。
これは後の世に『