淫蕩王ベルムハルト 作:ヒステリア
「あ、主様、せめて馬車の中でしませんか……さすがにこんなところでは……」
「馬鹿言え。ようやく広い場所に落ち着けたんだぞ。見られずに済ませたいなら、早く俺を満足させろ」
「……主のご要望だ。ご奉仕を続けるぞ……それに、こんな話をしている間に誰かがやってきかねん」
「……そ、そうね。では続けますね――ぺろっ」
ファーレの忠告に頷きながら、シャマルは再びベルムハルトの逸物に舌を這わせる。
そこは兵達がいる場所から少し離れたところで、ある程度木や岩で隠れてはいるが、誰かに見られる恐れは十分高い場所だった。
そんな場所でシャマルとファーレは上着を脱ぎ、ふくよかな乳房を晒した状態でベルムハルトの逸物を挟んでいた。
一方、ベルムハルトはまわりを窺う様子など微塵も見せず、従者二人の奉仕を堪能している。
その最中に……
「ちゅぷ……あむ、じゅるる……」
「あの、主様……一つ、お伺いしていいですか?」
「なんだ、いいところで。一度だけ聞いてやるからさっさと言え」
ファーレが亀頭を舐めている間にシャマルが尋ねてきて、ベルムハルトは不愉快そうに聞き返してくる。そんな主に縮み上がりながらもシャマルは疑問を口にした。
「他の騎士達や兵士の皆さんが森で作業しているのに、私達は外でこんなことしていていいんでしょうか? これじゃ、お城にいる時と変わらないような……」
それはヘンディガン城を出て、ベルムハルトと行動を共にしている間ずっと抱いていた疑問だった。
今回はベルムハルト自身が現場に出て指揮を執るという事になっているが、ここにきて彼がやったことといえば、兵士達に『焼き討ちに邪魔な『魔女』を追い払え』という命令を下しただけであり、その後はシャマルとファーレを隅へ引っ張り込んで、こんな伽まがいの事をさせている。
それならいつものように将軍などに指揮を任せて、自身は
そんな言外の抗議を察したうえで、ベルムハルトははっと鼻を鳴らし……
「
「い、いえ……このままでも十分です……」
このままでも十分という言葉通りの意味と、森で行われている事を想像し、シャマルは声を落としながら返事を返す。
そんな彼女に対し、ベルムハルトは続けて言った。
「まあ、“クロゼルグ”が出てくれば少しは苦戦するだろうがな」
「クロゼルグ?」
「……?」
その言葉にシャマルはもちろん、ファーレも奉仕を続けながら主を見やる。そんな彼女達にベルムハルトは口を開いた。
「『
「青狐?」
二つ目の新たな単語に、シャマルはまたおうむ返しをする。ベルムハルトは首を横に振り――。
「シュトゥラに送りこんだ間者の事だ。お前達がそれ以上知る必要はない。どの道クロゼルグが出てこようが守護騎士どもの敵じゃねえよ。てめえらは余計なことは考えず舌を動かせ――」
「んぶっ――ぢゅるるる!」
ベルムハルトに頭を押さえられ、シャマルは強引に逸物を咥えさせられる。その際口淫を続けていたファーレと口がぶつかり、彼女と口づけするような形になるがそれも一瞬。シャマルとファーレは再び奉仕に専念する。
二人の舌遣いと竿越しに伝わってくる胸の感触に、ベルムハルトも昂りを感じ――
「んっ……主様のびくんって動いて……そろそろ出そうですか」
「私達は大丈夫です……いつでも出してください。はむ……れろっ」
快感からか気遣うような言葉が気に障ったのか、ベルムハルトは身を震わせながら……
「俺に指図するとはずいぶん強気じゃねえか……いいだろう。しっかり
「ちゅむ…………えっ?」
「んっ――」
ベルムハルトはいきなり二人の頭を掴み、自らの逸物から引き剝がす。
その直後――何事かと思う間もなく、逸物から大量の精液が噴き出した。
「――きゃあああっ!!」
「んん…………」
シャマルは悲鳴を上げながら、ファーレはじっと精液を浴びる。
二人のふくよかな胸も、美しい顔も、鮮やかな髪も、そのほとんどの場所がベルムハルトの精液で白く染め上げられた。
その有様に二人は顔をしかめる反面、主の底なしと言える精力に感心すら抱いた。過去の主達にも幾度となく抱かれたものだが、ベルムハルトほど精が強い者はいなかっただろう。
一方、ベルムハルトは視線を上にあげ、空中に浮かぶ“白い鎧”を着た飛行魔導師を見る。彼は今のまぐわいを顔を赤くして覗きながら、ベルムハルトやすぐ近くにいる黒鎧の兵、そして森から上がる煙を確認し、北へ飛んでいった。
――ようやく嗅ぎつけてきたか。あれなら数刻後にはシュトゥラの騎士どもが来そうだな。
そう思いほくそ笑んでいると、主の思惑を察したらしいファーレと何も気づかずぽかんとこちらを眺めているシャマルの顔が映った。
そんな彼女達に、ベルムハルトはいきり立ったままの逸物を晒しながら言う。
「よーし、後ろを向け。次はお前達の中に挿れてやるぞ!」
「えっ、ま、待ってください! これ以上はさすがに――やあっ!」
「――んあっ!」
シャマルとファーレを後ろ向きの四つん這いにさせ、彼女らの膣に指を挿入する。
彼にとっての“暇つぶし”はまだ始まったばかりだった。
「『魔女』の誇りを穢す者は――未来永劫呪われよ!」
『悪魔』達とともにふいに現れた、『魔女』の少女は木の上に立ちながらそう告げた。
その下で、ポカンと見上げていたヘンディガン兵達だったが、徐々に落ち着きを取り戻し。
「……なんだ、ガキじゃねえか」
「大人しく隠れていれば見逃してやったものを」
「俺達の邪魔をしたからには、たっぷりおしおきしてやらねえとな」
笑みを浮かべ、兵達は次々と立ち上がる……少女を捕まえた時に備えて粗末なモノをぶら下げたまま。
それを見て、近くの『魔女』は思わず叫んだ。
「だめ――クロ逃げて!!」
「引きずり下ろせ!!」
『魔女』の叫びに兵の怒号が被せられ、彼らはクロがいる木に殺到し、木を蹴りつけようとする。クロを落とし、痛みでうめいている間に
しかし――。
「
クロが一言唱えると、兵達のまわりを暗闇が包んだ。
「な、なんだ?」
「ど、どうなってるんだ!? 暗くて見えねえ!」
突然の暗闇に慌てふためく兵達。彼らに箒を向けながらクロは言った。
「――食べて!」
『
その瞬間、クロの隣に浮かぶ小さな悪魔が巨大化し、大きな口を開けて兵達をばくりと飲み込んだ。
他のヘンディガン兵も狼藉を止めて、あんぐりとその光景を眺める。『魔女』達も固唾をのんで見守っていたが――。
「逃げて! 今のうちに!」
クロが発したその言葉に、『魔女』達は我に返ってその場から逃げていく。兵達は「待て」と怒鳴りながら追いかけようとするが、そこに槍を持った小型悪魔が降ってきて兵達の行く手を塞ぐ。
そこである兵士が“彼女達”の存在を思い出し――
「おい、守護騎士様! この怪物どもとあのガキを何とかしてくれ! あんたらならこいつらぐらいどうにもできるだろう!!」
その言葉と同時にシグナム達が村に入り込んでくる。その途中で何人かの『魔女』とすれ違ったが、クロという少女と悪魔達の制圧を優先する
しかしそんな守護騎士達をも、クロはゴミを見るような目で見下ろす。
「私たちの森を踏み荒らした者――『魔女』の誇りを穢す者は未来永劫呪われよ!」
その言葉とともに守護騎士達のもとにも無数の悪魔が降ってきて、ある悪魔達はそのまま槍を投げつけ、ある悪魔は巨大化して騎士達を飲み込もうとする。
だが――
「アイゼングラーフ!」
『Gigant form』
カートリッジの
巨大な槌で額を強く殴りつけられた悪魔は悲痛な声を上げながら沈み込み、空気が抜けたボールのようにしぼんでいった。
「いくぞ、レヴァンティン!」
『Schlangebeißen』
「いでよ、鋼の
シグナムもカートリッジロードにより連結状に伸びた刃で悪魔を薙ぎ払い、ザフィーラも地面から白い杭のようなものを突き出し、悪魔達を串刺しにしていく。
それを見て、クロは目を見張りながら後ろに跳び、騎士達から距離を取る。だが、これしきのことで逃げ出すような彼女ではなく――。
――負けない。このベルカで唯一“本物の魔法”を使う『魔女』が、こんな奴らに負けてたまるもんか!
「――、――――、――」
クロは宙を飛びながら、ぶつぶつ詠唱を唱える。その声はか細く、ほとんど聞き取ることができなかった。
だが悪魔達はそれに反応し、一斉に
「みんな来て――『
それを聞いた途端、悪魔達は戦いをやめ、クロに向かって飛んでいく。
そして、悪魔は次々にクロの胸の中に飛び込んでいき、ついには巨大化したままの悪魔までもが彼女の元へ飛び、その小さな体を丸呑みにした。
予想もしなかった光景に、守護騎士達はあんぐり口を開けながら見入る。悪魔の暴走や自滅、にしてはおかしい。
そんな考えを巡らせる彼女たちの前で、巨大悪魔の中から声が響いた。
「
その瞬間、悪魔の内側から光があふれ出し、悪魔の巨体は粒子状に崩れていく。
そして、その中から出てきたのは、背中から悪魔の羽根をはやし、先ほどよりも露出が高い衣装に身を包んだ“魔女”だった。格好だけでなく、身長や体形も十歳ほど成長しているように見える。
驚きに目を見張る守護騎士、あまりの光景にすっかり戦意をなくしたヘンディガン兵、彼らを見下ろしながら『魔女クロゼルグ』は再び“呪いの言葉”を口にした。
「『魔女』の領域を犯し、我が同胞を蹂躙した者達……私はお前たちを絶対に許さない!!」
そんな“魔女”に、守護騎士達は迷いながらも武器を向ける。
どう考えても理があるのは彼女の方だ。だが、この襲撃が『闇の書の主』の意向である以上、従わざるを得ない。せめて彼女と戦っている間に、一人でも多くの『魔女』が逃げてくれればいいのだが……。
一方その頃、シュトゥラ城に一人の飛行兵が帰投してきた。
彼が直属の上官に報告してすぐ、その内容は瞬く間に城中に広がり、半刻もたたない間にシュトゥラ国王の知るところとなった。
それから間もなく、王は詳しい話を聞き出そうと、自らの執務室に巡回兵を呼び出した。
「こ、国王陛下におかれましてはご機嫌……え、えーと……」
一介の偵察兵に過ぎない彼は、国王を前に跪く事まではできたものの挨拶以上のことはできず、言葉を詰まらせてしまう。そんな彼にシュトゥラ王は片手を振って見せた。
「礼儀など意識しなくてもいい。巡回中に君が何を見たのか、それを教えてくれればよいのだ。まずは落ち着いて言いたいことを整理するといい。その程度で罰したりはせぬ」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
王に気を遣われたことに恥じ入りながらも、兵はその場で大きく呼吸をし、言うべき言葉を整理して再び口を開いた。
「巡回任務の途中、『魔女の森』から火の手が上がっているのを空から発見しました。それと合わせて、森の入り口に黒い鎧を装着している兵を多数確認――間違いなく我が国の兵ではありません!」
その報告に王は目を見開き、宰相も蒼白な顔になる。
「……陛下、もしやヘンディガンの軍では。黒い鎧など、周辺国ではあの国の兵しか身に着けておりません」
「うむ。しかし街道で繋がっている東からならまだしも、鬱蒼とした森林に阻まれている南から侵攻など……そもそも南はアヴリル王国に面していたはずだぞ。それをどう通っていきなり『魔女の森』に……」
考えにふける王に、巡回兵は躊躇いながらも再び言った。
「それと、森の前にいる兵達の後ろには礼服を着た男がいました。噂通りなら、ヘンディガン王に間違いないかと――」
「なんと、あやつ自らが! それであやつ……ヘンディガン王は何をしておった?」
「そ……それはその…………」
「ヘンディガン王だと!」
言いあぐねている兵の後ろから声がして、王達は扉の方を見る。
するとそこには、緑髪の青年と金髪の少女の二人が入室しかけているのが見えた。
どちらも左右色違いの目をしており、彼らを見て王は思わずその名を呼ぶ。
「――クラウス! オリヴィエ殿!」
父である王に、第一王子クラウスは申し訳なさそうに頭を下げるが、すぐに頭を上げ、紫色の右眼と碧色の左眼で父をまっすぐ見る。
「申し訳ありません父上。『魔女の森』が襲撃されたと聞き、いてもたってもいられず――」
「突然の無礼をお許しください。ですが、あの森にはクラウス様と私にとって大切な友人が住んでいまして。どうか事の真偽だけでも教えていただけませんでしょうか?」
クラウスに続き、金髪の少女もそう言って深く頭を下げる。
彼女はオリヴィエ・ゼーゲブレヒト。
四年前からシュトゥラに留学している聖王家の王女であり、緑色の右眼と紅色の左目がその血筋を証明している。だが、それ以上に目立つのは、指がほとんど付いてない丸っこい形をした鋼鉄の義手だった。
迫るように尋ねる二人を前に、王はため息をつきながら重々しい口調で語った。
「……本当だ。森から火が上がるところと、森の入り口に黒い鎧を纏った兵達がいたらしい。そしてその中に、かの国の王が……そうであったな」
「はっ、間違いありません!」
王に問われ、巡回兵はクラウス達の方を向きながら答える。すると……
「『強盗王国』め、とうとうシュトゥラに攻め込んできたか。しかもよりによって『魔女の森』に――」
「…………」
クラウスは思わず毒を吐き、オリヴィエも造り物の手をきゅっと握る。
そして……。
「陛下、私に出陣の命をお与えください。一刻も早くあの森に駆けつけて『魔女』達を救出し、ヘンディガン軍を一人残らず捕らえてみせます。そして、必ずやあの放埓王を――」
かの王の別名
――許さなければ自分だけでも行くという顔だな……確かに王家と親交のある『魔女』達の危機を座して眺めているわけにはいかぬ。それにクラウスにも、ヘンディガンとの戦いを経験させておいた方がいいかもしれん。
そこまで考えを巡らせてから、王は頷きながら言った。
「よかろう。お前と『オーバル騎士団』に出陣の命を与える。彼らを率いて『魔女』達を救出せよ。ただし、相手はシュトゥラと並ぶほどの力を持つ国だ。くれぐれも油断するでないぞ」
「はっ、感謝します陛下! 必ずやヘンディガン軍を打ち破り、悪辣王ベルムハルトの首を挙げて参ります!」
「陛下……私もクラウス様と同行させていただけませんか!」
「――なぬっ!?」
「――オリヴィエ!?」
突然の申し出に、王とクラウスは目を見開きながらオリヴィエの方を見る。
当然のごとく、クラウスが異を唱える。
「だ、駄目に決まってるじゃないか! 相手は一国の軍だ。夜盗とはわけが違うんだぞ! それに……」
クラウスはこの前の夜盗討伐で、村娘が犯されるところを目撃した事とその娘を目の前で殺されて、ショックを受けていたオリヴィエの姿を思い出す。今、あの森ではそれ以上に壮絶な光景が繰り広げられているに違いない。
そうでなくても、オリヴィエのように器量のいい娘子が『淫蕩王』の手に落ちればどんな目に遭わされるか……。
しかし、オリヴィエは毅然と言う。
「危険なのは承知しています。ですがあの森に住んでいる『魔女』の皆さんや“クロ”が危険な目に遭っているかもしれないのに、じっとなんかしていられません。この前のような不覚は取らないとお約束します――ですからどうかお願いです、私も『魔女の森』へ連れて行っていただけないでしょうか!」
「オリヴィエ……」
「ふむ……」
彼女を見てクラウスと王は苦い顔になる。これこそ許可を出さなければ、城を抜け出すぐらいはやりかねない。
「……わかった。オリヴィエ殿の同行を許そう」
「父上――!」
まさかの一言にクラウスは呼び方を戻しながら父の方を見る。
そんな息子に構わず、王はオリヴィエに告げた。
「ただし、二つほど約束してほしい。もし危険を感じたらすぐその場から引き返してくること。それと君の付き人、ヴィルフリッド・エレミア殿を同行させ、常に彼の傍を離れないことだ。無論彼が退却すべきと判断したらそれに従うこと……それらを守ってくれるのなら『魔女の森』へ行くことを許可しよう」
「はい! ありがとうございます、陛下」
「…………」
オリヴィエは快活な返事を返し、その隣でクラウスは頭を抱えそうになるのをこらえる。確かにエレミアの実力ならヘンディガン兵ごときに遅れは取らないだろうし、オリヴィエの監視役にもうってつけではあるが……。
「オリヴィエ……僕からも言わせてもらう。危なくなったらエレミアと一緒にすぐ逃げるんだ。君に万が一のことがあったら、聖王陛下……君のお父上に合わせる顔がない」
「クラウスまで……信用ありませんね。わかってます。私もさすがに自分の身は可愛いですし、危なくなったらすぐに逃げさせていただきます。クラウスも無理はしないでくださいね」
オリヴィエの忠告にクラウスは「ああ」とうなずく。そんな二人を前に王はふと苦笑を漏らした。
――伊達に『シュトゥラの姫騎士』と呼ばれておらんな。息子もすっかり形無しだ。……しかし、ヘンディガンが『魔女の森』に入り込んだのも驚きだが、王自らが出向いているというのも驚きだな。あの男が戦線に出向くなど二年前の内乱以来という話だが、一体何のために自ら『魔女の森』へ……?
そんな会話が繰り広げられている執務室の傍で、一人の侍女が調度品の汚れを拭き取りながら聞き耳を立てていた。
――あらあら。クラウス様だけでなく、オリヴィエ様とエレミア様まで釣れてしまいましたか。陛下とクラウス様が、エレミア様の
クロゼルグが使う、悪魔に敵を食べさせる術『
・敵を食べるのに『真命認証』の必要がない。
・悪魔に食べられた敵は、その時点でこの世界から消滅する。