※この作品はR-18です。

淫蕩王ベルムハルト   作:ヒステリア

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前日譚  前『淫蕩王』

 今より二年と半ほど前。

 まだこの国が『リベルラント王国』と呼ばれていた頃、一人の王が国を治めていた。

 名はヘンリエル・S・N・リベル。多くの臣民から“賢王”と呼ばれながらも――一部の諸侯や臣下からは『淫蕩王』と呼ばれていた王である。

 

 

 

 彼は六十年前、リベルラントの第三王子『ヘンリー』として生を受けた。

 ヘンリーは王族として高度な教育を受けていたものの、兄達のように王位継承者とは見なされておらず、兄の即位後は領地を与えられるか修道院に入れられるかしたのち、そこで生涯を過ごすと思われていた。

 しかし十五の頃、兄二人が地方視察中に同時に命を落とす出来事が起こり、唯一の嫡子となったヘンリーはそのまま王位継承者となった。

 それ以来、彼は次期王として父王の補佐や名代などの公務に従事し、三十二の歳で父の死を見届けるとともにリベルラント王に即位した。

 王となった彼は曾祖父の名をとって『ヘンリエル五世』と名乗り、今までに培った経験と知識を内政に注ぎ込み、隣国の王女を妃に迎えて同盟関係を強化するなどの施策をとりながら、自国の安寧を守ることに腐心した。

 そんな王を民達は“賢王”と敬い、ヘンリエル五世の治世下で暮らせることを感謝した。目に留まった婦女子を城に連れ込むなど、時折起こす暴挙に目をつむった上でだが……。

 

 

 

 その賢王ヘンリエルは六十を目の前にして今、寝室の奥に置かれた豪奢なベッドに横たわっていた。

 外は明るく、世界(ベルカ)を覆う暗雲からはまだ陽が漏れている。

 そんな時間にかかわらず、ヘンリエルは食事や入浴、排泄など必要な時以外はずっとベッドから起き上がる事はない。

 半年ほど前からこんな調子が続いている。

 

 最初は軽めの風邪にかかったのがきっかけだった。

 ヘンリエルは不調を覚えてすぐベッドに入り、侍医を呼んで診てもらいはしたものの、最初はいつも通りすぐに治るものと思っていた。

 しかし、風邪が治るのに二週間以上の時間を必要とした。そして一月もしないうちに新たな病にかかり、今度は回復に一ヶ月もかかった。

 そんなことが何度か続き、次第にヘンリエルが自室から出る事はなくなり、政務はほとんど王子達に任せきりになった。

 そこまで来れば侍医も臣下達も、ヘンリエル自身も気づく。高齢による免疫の衰え――“寿命”が訪れてきたのだと。

 

――ついに終わりが来たか。王としての人生も、“我が楽園(リベルラント)”での享楽の日々も……。

 

 そう思うと諦観と同時に、この生活を手放したくない気持ちがわいてくる。

 そんな自分の欲深さに苦笑した時だった。“あの女”が自分の前に現れたのは……。

 

 

 

 

 

「陛下、診察に参りました。しばらくの間、陛下の御体に触れる無礼をお許しください」

 

 “女”に声をかけられた事で、ヘンリエルは現実に意識を戻す。そして顔を動かしベッドの隅へ視線を向けると、丈の長い服を着た、短い金髪の美しい女の姿が映った。

 彼女を見上げながら――

 

「……もうそんな時間か」

 

 ヘンリエルはそう呟いてから、天蓋へ視線を戻し沈黙する。そんな王に女医師は頭を深く下げてからヘンリエルに近づき、彼の診察にとりかかった。

 

 彼女の名はシャマル。三月ほど前、“ある伯爵”とともにこの城に訪れた医療魔導師である。

 彼女の治療によってヘンリエルは一時的に歩けるほどに回復し、伯爵の薦めどおり、シャマルを専属の侍医として城に住まわせる事にした。

 再び床に伏せ、助けがなければ身動き一つとれなくなった今もなお……。

 

 

 

 

 

 シャマルはヘンリエルの上半身を起こし、胸の上に聴診器をあてたり、腕を持ち上げて脈を測ったりしてから腰を上げた。

 

「今のところ目立った異常はないみたいですね。気分が悪くなったり、調子を崩したりしたことは?」

 

 シャマルの問いにヘンリエルは視線を下げて……

 

「いつもと変わらんよ。……ただ、お前が来た時から下半身が疼く気がするのぉ。鎮めてもらえると助かるんじゃが……」

 

 言いながら、ヘンリエルはシャマルの豊満な胸や太ももの線が浮かぶスカートを見やる。

 その視線を受けて……。

 

――起きたばかりなのにお盛んね。余命わずかとは思えないわ……。

 

 内心で呆れながらも、それをおくびに出さずにシャマルは応えた。

 

「私などでよろしければ、陛下の疼きを鎮めるお手伝いをさせていただきます」

 

 シャマルは服に手をかけてそれを床に脱ぎ捨て、王の前で白い素肌を晒す。

 ヘンリエルは彼女の肢体を食い入るようにしばらく眺め、やがて顎を引いてベッドに上がるように促した。

 王の望むまま、いつものとおりシャマルはベッドに上がる。

 するとヘンリエルはおもむろに手を伸ばしてきて、彼女の胸を鷲掴みにした。

 

「あんっ――」

「相変わらず、揉み心地のいい胸じゃ。その反対に乳首は硬くなっておるがのぅ」

「申し訳ございませ――ふああんっ!」

 

 シャマルが謝ろうとしたところで、ヘンリエルは彼女の胸に顔を近づけ、乳首をれろりとひと舐めした。

 

「なに、硬い乳首の感触もいいものじゃ――くちゅっ、ずずずず」

「んあああっ――!」

 

 ヘンリエルは乳飲み子のようにシャマルの胸を口に含み、吸い出す。むろん、いくら吸っても母乳など出るわけもないが。

 

「ふぅ……どれ、今度は……」

「あっ……ちゅ、くちゅ……くちゅくちゅ、あむっ」

 

 しばらくシャマルの胸を吸った後、今度は彼女の顔を持ち上げてぷるんとした唇に口づけし、口内を侵す。

 今の王宮で一番美しい美女の胸と唇は、老いさばらえた王の好きなままに弄ばれていた。

 やがてヘンリエルは飽いたようにシャマルから手と口を離し、ベッドに体を沈めながら言う。

 

「お前の乳や唇を味わっている間に摩羅も滾ってきたようじゃ。いつもどおり鎮めてくれ」

「はい……それでは失礼ながら、お召し物を脱がせてもらいます」

 

 シャマルはヘンリエルが纏うローブをはだけさせ、腰を覆う下着を脱がせる。そして露わになった逸物を見て思わず顔を赤くした。

 その逸物は、若者のそれより二回りほどの大きさで屹立していた。何度見ても老人のものとは思えない。

 

「~~っ」

「どうした? 生娘のような顔をして。始めてというわけでもなかろう」

 

 ヘンリエルは悦を含んだ笑みを浮かべながら、白々しい言葉を投げかける。

 シャマルは逸物からいったん視線を外し……。

 

「いつもながらご立派なものを見て、つい……」

「はっはっ、若い頃に比べれば萎んでしまったが、並みの男どもには負けんよ。“お前の主”には負けておるかもしれんがの……どうじゃ?」

「わ、私には判断が……それよりも陛下の昂ぶりを鎮めないと……はむっ、くちゅ…………ん、ぺろ」

 

 “あのお方”にはさすがに負ける……そう正直に言うわけにも、国王相手に嘘をつくわけにもいかず、奉仕を口実に話を打ち切る。それを察してかヘンリエルは問いただすことなく、口と舌の感触を堪能していた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「はむっ、くちゅ……ちゅぷ、ちゅるる……はむ…………陛下、痛くはありませんか? 遠慮なさらず仰ってください」

「んっ……痛みなどない。構わず続けろ」

「はい…………はぷ、くちゅくちゅ……ちゅぷ。はぁ――れろっ」

 

 剥き出しの亀頭を一通り舐めた後、カリ首に口を付け、上からなぞるように裏筋に舌を這わせる。その刺激にヘンリエルはたまらずくぐもった声を漏らした。

 

「くぅっ……相変わらず舌使いが上手いのう。貴族どもから召し上げた侍女ではこうはいかん」

「お褒めの言葉ありがとうございます。もっと気持ちよくなるように頑張りますね……ぺろ、くちゅくちゅ――はむっ」

 

 シャマルは両手で竿を握りながら再び自身の舌を竿の上に運び、唾液で湿った舌を這わせる。

 

「はぁ……ぺちょ、れろ、ちゅぷ、はぷっ」

 

 亀頭全体に自身の唾液を塗し、その上で舌を滑らせる。その感触に快感を覚えたのか、亀頭がぴくりと震え、鈴口から透明な液が漏れ出てきた。

 

「こくっ……割れ目からお汁が溢れてきて……しょっぱくって美味しいです……はむっ、んちゅ」

 

 シャマルは先走りを舐めとりつつ、亀頭を咥え口内で舐めまわす。

 ふいにヘンリエルはシャマルの頭を掴み……

 

「んん……きたぞ。しっかり咥えておけ、儂の精を飲ませてやろう」

「うぶっ――はい、陛下の白いお水、ありがたく飲ませていただ――――んぶうううぅぅぅぅ!!」

 

 シャマルが言い終える前に逸物を喉に押し込まれ、逸物から大量の精液が噴き出される。

 シャマルはうめき声が混じった燕下音を鳴らしながら、精液を飲み込んだ。

 

「はふ…………はあ、はあ……」

 

 精を飲み終え、むせ返るのをこらえながらシャマルは荒い息をつく。

 それに対して、ヘンリエルはふぅと軽い息を零しただけだった。あれほどの精を出した直後にもかかわらず、逸物は萎える気配を見せない。

 

「ふむ、もう一発くらい出さねば収まりそうにないのぅ。シャマルよ、もう少し相手をしてくれるか」

「……はい、陛下がご満足いただけるまで、何度でもお相手させていただきます」

 

 シャマルは脚を広げ、ヘンリエルの上に跨がる。そこへ――

 

「――あんっっ!」

 

 ヘンリエルはおもむろに右手を伸ばし、シャマルの膣(なか)に指を突き入れた。

 

「もうすっかり濡れておるのぉ。すぐに挿れられると思うが、せっかくじゃ、もっと溢れさせてやろうか」

 

 聞きながら、ヘンリエルはシャマルの中を掻き混ぜるように弄くりまわす。シャマルは嬌声を上げながら答えを吐きだした。

 

「ああ――指も気持ちいいですけど、陛下のたくましいものの方が欲しいです――あくんっ」

「相変わらず好き者なおなごじゃ、このしなびた爺の棒を欲しがるとは」

「はいっ、はやく陛下の大きな棒、好き者な私の中に挿れてください――んああああっ!!」

 

 老いた主に反して猛々しい巨根を見ながら、シャマルは無意識に懇願する。そんな情婦の腰を掴み、真下で待ち受ける己の怒張へ落とした。

 

「あああっ――陛下が、陛下の棒が私の中に――ふぁああああっ!」

「おおっ、挿れた瞬間に締め付けてきよる。二十年前に寝取った夫人以来の名器じゃわい」

「私のなんて、そんな大したものじゃ――はぁああん!!」

 

 奥を突かれ、シャマルは半ば本気で快楽の声を上げる。

 そんな嬌姿を見上げながら――

 

――本当によがってるようじゃの。これが演技だとしたら喰えん女じゃ。あの小僧も淫らな娘を送ってきよる。余命わずかな“父”への餞別のつもりか。

 

 “野心高い息子”の意図に思いを巡らせ、ヘンリエルは口を吊り上げながらシャマルの胸に手を伸ばした。

 

「ん、はあ……胸と中を同時に責められて……もうダメ、わたしイッちゃいそう――もうすぐ達してしまいそうです!」

 

 何度も奥を突かれているうちにシャマルは絶頂を訴える。ヘンリエルはなおも彼女の中を突き上げながら言った。

 

「それはちょうどよいのぉ。儂もそろそろ出そうじゃ」

「あくぅぅ――なら出してください……妊娠の心配なんてありませんから、私の中に――あああああっ――」

 

 ヘンリエルは何度も腰を突き上げ、シャマルの膣奥に己のモノを突き刺す。そうしているうちにヘンリエルの腰元にもまた滾りが集まってきた。

 

「望み通りお前の中に出してやるぞ。遠慮なく呑み込め!!」

「はい、陛下の子胤、全部体の中に呑み込んじゃいます、んんっ――――ひゃあああああああん!!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 シャマルの絶叫とともに彼女に挿れられた肉砲から大量の精液が吹き出し、シャマルの膣内(なか)に注がれた。

 

 

 

 

 

 行為が終わってすぐ、シャマルは衣服を整えてテーブルの方に向かい、袋と水の入ったコップを持ってベッドに戻ってきた。ヘンリエルもローブを着せられ、上半身を起こした状態でそれを待ち構えている。

 

「どうぞ、今日のお薬とお水です。少しずつ飲んでくださいね」

「…………」

 

 言いながらシャマルは袋に入った粉末をヘンリエルの口に流し込み、水を飲ませる。ヘンリエルはごくりと喉を鳴らしながらそれを飲み込んでいった。

 水をすべて飲み終えてヘンリエルは息をついた。

 

「ふぅ……ご苦労じゃった。褒美は明日にでも用意させる。それまで待っておれ」

「……いえ、勤めを果たしただけですから、どうかお気遣いなく」

 

 “今日の勤め”は果たした。

 ヘンリエルに飲ませている薬は、シャマルの魔力で精製した、体を少しずつ弱らせる毒(・)だ。

 それを飲ませて王の寿命をわずかでも縮めていくことが、“主”から与えられた勤めなのだ。

 年老いた王に毎日のように抱かれているのも彼の信用を得るためであり、罪滅ぼしのために他ならない。老いてなお、ここまでの性豪だとは思っていなかったが。

 

 

 自嘲的な気分に沈んでいるところで、おもむろにヘンリエルは口を開いた。

 

「ただ、褒美の前貸しに少し語ってやろうかの。聞いていくがよい」

「えっ……?」

 

 思わぬ一言にシャマルは戸惑いの声を上げる。ヘンリエルは口の端を上げながら言った。

 

「儂が死んだ後じゃがな……おそらく跡を巡って争いが起こるはずじゃ。マルクスやトーマスが順当に王位を継ぐことはない。すでにあの二人は、ある侍女を巡って諍いを起こし始めているらしいしのぉ」

 

 息子にして世継ぎである王子達の名を口にしながら、ヘンリエルは嗤い捨てる。その様子と言葉にシャマルは顔をひきつらせた。それはまさに“主”が現在画策していることに他ならないからだ。無論、マルクス達の諍いの元である侍女も、“主”が差し向けた手の者である。

 そして、さらに王はシャマルにとって驚くべきことを告げた。

 

「これは儂の勘じゃが……マルクスやトーマスを葬り、王位を奪い取るのはお前達の主――ベルムハルトじゃと思っておる。儂の種から生まれた童達の中でも、一番儂に似ておるのがあやつだからのぉ。欲望に忠実な所やそれを叶えるためならどんな手段も選ばん所、特に義父や種違いの弟を暗殺して爵位を得た手管など、儂が昔行った事をなぞっておるようじゃ!」

「…………」

 

 突然の告白にシャマルは絶句する。

 数十年前に犯した兄二人の暗殺に加え、ベルムハルトが隠し子であることを自ら暴露したのだ。

 それどころか、ベルムハルトの行っている事を把握し、自身の死後に起こる事さえも正確に予測している。

 

「おまけにあやつは、奸計と落とした娘の扱い方においては儂をはるかに凌いでおる。その野心と欲望がこの国に収まらず、他国や世界に向けば恐ろしい事になると思わんかの? あやつの手には“聖王さえ恐れる魔導書”があると聞くしのぉ、くっくっくっ」

 

 意地の悪い笑みを浮かべる王に、シャマルは肩を震わせる。

 まさか、この王は“主”の狙いや、自らが飲んでいるものの正体を知りながら、“自らの血を最も色濃く引いた息子”に国を譲り渡すため、シャマルを引き入れたのでは……。

 

「あやつが王になれば、はたしてこの国はどうなるのかのう? 戦や掠奪の果てに清廉ぶったシュトゥラあたりに滅ぼされるのか、それともシュトゥラや聖王家をも滅ぼし、世のすべてを手に入れるのか――それとも魔導書を暴走させてベルカそのものとともに消えさるのか。せいぜい黄泉とやらから見物させてもらおうか。くくく――ヒァッハハハハハハハハハハ!!!」

 

 ヘンリエルは両手を振るい髪を振り乱しながら、部屋中に響くほどの笑い声を上げる。シャマルは戦慄に震えながらそれを眺めるしかできなかった。

 

 

 

 その二ヶ月後、ヘンリエル五世は崩御し、その跡目を巡ってマルクス王太子とトーマス王子、その他複数の王族が内乱を起こす事となる。

 その戦を制して王位を勝ち取ったのが、ヘンディガン伯ベルムハルト。

 新たに『淫蕩王』と呼ばれる彼が何を起こすのかは、すでに周知の通りである。

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