淫蕩王ベルムハルト 作:ヒステリア
山賊達を一掃して村の宿に戻ってから、ハルト達は夕食を摂ったり再び湯に浸かって体に付いた汚れを取ったりして過ごしてから数刻後、宿の灯りも落とされ、客や従業員のほとんどが寝に就いた時間帯。
そんな中、ハルトは小さなランプに照らされた部屋で一人煙草を吹かしながら“彼女”が来るのを待っていた。そこは宿に帰ってから宿の主人にもう一部屋分の料金を出して借りた部屋で、レティやシグナム達は元の部屋で床に就いている。
ハルトは半ばほどになった三本目をしばらく咥えてから、煙草を口から離し白い煙を吐き出す。そこでとことこという足音が近づき、扉が開かれた。
「お待たせ――ゴホッ! こほこほっ!」
口を開いた途端、部屋に充満していた煙を思い切り吸ってしまい、リッドは思わず咳を漏らす。それを見てハルトも煙草を灰皿に押し付けて煙を消した。リッドは手で口をふさぎながら扉まで下がって――
「まど、窓も開けて! これじゃ息もできない」
そう言われてハルトは仕方なさそうに腰を上げ、後ろの窓を開ける。その隙間から煙は外に流れていき、煙がほとんどなくなった頃を見計らってからリッドは再び部屋に入ってきた。
「煙草なんて吸ってるんだね。体に悪いよ」
リッドの忠告をハルトははっと鼻で笑い……。
「肺病なんか怖くて傭兵ができるかよ。それに女どもの前じゃやってないんだ。一人の時くらいいいだろう」
「……わかったよ。けど絶対にレティ様の前じゃ吸わないでよ。煙草から出た煙を吸うだけでも体が悪くなるみたいだから」
そう言い捨ててリッドは部屋の中に上がる。彼女は男女共用の寝巻を着ており、いまだに性別がわかりづらい恰好をしている。だが、顔を赤くしながらハルトと相対するその様子は、初めて事に及ぶ前の乙女のものに他ならなかった。
「えっと……ハルトさんはもう気づいてるかもしれないけど、僕……いや、私は…………」
リッドは視線をそらしながら言葉を詰まらせる。そんな彼女にハルトは笑いながら言った。
「女だったんだろう。甘く見んな、今まで多くの女と付き合ってきたんだ。お前が女だってことぐらいとっくにお見通しだ」
「そうだったんだ……じゃあ、その女の人達とあんなこととかしたこともあるの?」
顔を赤くしながらリッドが尋ねると、ハルトは首をかしげ……
「あんなことってなんだ? そんな言い方じゃわかんねえな」
「……えっと、男の人と女の人がこんな風に二人で寝室にいる時にする――って、ハルトさんわかってて聞いてるよね!」
聞きながら口角を上げるハルトを見て、リッドは声を荒げながら詰め寄る。そして彼女は意を決して――
「性行為だよ、セックス。女の人とセックスしたことあるのかって聞いてるの!」
リッドは顔を赤くしながらも開き直ったように淫語を吐き出す。その問いにハルトは鷹揚に頷きながら答えた。
「おう、あるぜ。最初は幼なじみの女で筆おろしして、その次に村で一番かわいかった
「……堂々と言っちゃうんだね。普通そういうのって誤魔化そうとするものだと思うけど」
むっとしながら呟くリッドを見て、また文句でも出るかとハルトは内心構える。だが……
「じゃあさ、今まで抱いた人達やレティ様みたいなことを僕にもしてほしいって言ったら……してくれる? も、もちろん責任を取れとか言わないし、子供ができたりしないように気をつけるからさ」
最後の一言を言った途端リッドはますます顔を赤くしながら、ハルトから視線を逸らす。
ハルトはそんな彼女を眺めてから――
「もちろんいいぜ。リッドみたいな女に誘われて断るわけねえだろう――」
「――んっ」
ハルトはリッドの肩を掴み、有無も言わさず彼女の口を奪い舌を差し入れる。ハルトの口に残る煙草の味と初めての
そうしているうちにリッドは無意識にハルトの背中に両手を回し、彼を強く抱きしめる。それからしばらくの間、二人は激しく淫らな音を立てながら舌を絡ませあっていた。
「あむっ、ちゅくじゅるる――はぷ、んっ……」
しばらくして、リッドはハルトの胸に手を当てて軽く押し出してくる。その意図を察してハルトは彼女の口から舌を抜き、そのまま顔を離した。途端にリッドは口から荒い息を吐き出す。
「はあ、はぁ……いきなりハードすぎるよ。こっちは初めてなのに……」
リッドは恨めしそうに言うものの、ハルトはすまなそうな様子など見せず。
「このくらいで音を上げるな。ここからはもっと激しくしてやるんだからな」
「激しくって――んんっ!」
訊き返してくる前に、ハルトは両手でリッドを抱き寄せ再び彼女の口を奪う。そして右手を彼女の背中から離し、彼女のなだらかな胸に触れた。その瞬間、山賊に凌辱されかけた時のことを思い出して、リッドはびくっと背筋を震わせる。
ハルトはそこで口を離し……。
「そのままじっとしていろ……あの下手くそなんかよりは上手くしてやるからよ」
そう言いながらハルトは彼女の背中を撫で、それ以上に柔らかな手つきでリッドの胸を揉む。その手からじんわりとした感触が伝わっていくにつれ、リッドの体から力が抜けていく。ハルトは胸と背中を愛撫しながら口づけを再開した。
「ちゅく、ちゅる……んぅ――はぷ、あくっ……じゅぷ、あん」
胸と舌の感触にリッドの口から甘い声が漏れる。ハルトはリッドの背中に回していた手を下げ、そこに実っている尻肉を掴んだ。
「やっ――そんなところ、汚いよ――んううっ!」
指で割れ目をなぞられ、リッドは抗議を止める。その耳元で囁くようにハルトは言った。
「くだらないことを言うな、俺は別に気にしない。それにさっきまで風呂で体中洗ってたんだろう。だったら問題ねえじゃねえか」
「まさかまた覗いてたの――ああんっ!」
肛門に指をねじ込まれ、リッドは甲高い声を上げる。リッドのような
ハルトはリッドの胸と尻と口内を堪能して彼女を離す。ほんの少し間を空けてから、ハルトは彼女が纏う服の裾を掴んだ。
その意味を察してリッドは両手で体をかばい――
「待って……。自分で脱ぐから、ハルトさんも一緒に脱いで。僕だけ裸なんて恥ずかしすぎる……」
その言葉にハルトは「ああ」と頷き、風呂に入る前のようになんでもない仕草で自ら服を脱いでいく。それより遥かにおぼつかない手つきで、リッドも今まで着ていた寝間着をはだいていった。
リッドとハルトは身に着けていた服を脱ぎ捨て、お互い一糸まとわぬ姿で向かい合う。ハルトは体を隠さず堂々とリッドを眺め、リッドはも恥ずかしそうにハルトの体を見て、下半身から生えているものを見た途端反射的に視線を逸らすが、ちらちらとそちらに目を戻す。
「じゃあそろそろ始めるか。ベッドに横になれ」
そう言ってハルトは一歩迫る。リッドはおずおずと首を縦に揺らし、後ろに置かれているベッドに座りこんだ。それを見届けるとハルトもゆったりとした足取りでベッドに上がり込み、リッドの裸身に手を伸ばし、その小さな胸を掴み取った。
「んっ――ハルトさんの手が直接――はぁ、もっと、もっと強く握って!」
リッドに望まれるまま、ハルトは直に彼女の胸を掴み、さっきよりも強く揉みほぐす。同時にベッドに乗せられた尻にも手を伸ばし、ぷっくりとした尻肉を揉みしだいた。
「お尻まで――あうん、おっぱいとお尻からハルトさんの手のぬくもりが伝わってきて、だんだん私も気持ちよくなってくる。あの時は怖くて気持ち悪いだけだったのに――あああんっ!」
胸と尻の肉を揉みしだかれ、リッドは甘い声を漏らす。そんな中、ハルトはリッドの尻から手を離し……
「そうか。じゃあもっと気持ちいいところを突いてやるよ」
「気持ちいいところって、どこを――ひああああんっ!」
ぱっくり開いた前の割れ目に指を入れられ、リッドは部屋の外まで響くほどの嬌声を上げる。それを耳にしながらハルトは手を止めず、割れ目の奥に指を進ませた。
「指がお股の奥に――いあああっ!」
奥を突かれた衝撃にリッドは体をのけぞらせ、ハルトに抱きつきながら快楽を訴える。ハルトはさらに奥を責め続ける。
「ふああんっ、ハルトさんの指、どんどん僕の奥に――いひああああっ!」
奥の肉壁を突いた瞬間、透明な愛液が溢れ出てベッドとハルトの腕を汚していく。
「やだ……そんなに見ないでよ」
あまりの恥ずかしさにリッドはか細い声で訴えるが、ハルトは濡れそぼった入り口を見ながら……
「これだけ濡れていれば十分だろう」
そう言ってハルトは上半身を起こし、大きく屹立した逸物をリッドの眼前に晒す。それを見てリッドはさっきまでの羞恥心を忘れるほどの恐怖を覚えるが……。
「いいよ……私の初めて、ハルトさんが奪って。……たぶん、一度経験したら怖くなくなるから」
そう言って、リッドは自ら脚を開き、くぱぁと開いた割れ目を晒す。彼女が呟いた言葉の後半の意味を察しながらも、ハルトは黙ったまま彼女の両脚を掴んだ
「いくぞ……」
「うん――ハルトさん、きて」
恐怖と緊張の汗を浮かべながらそう言って見せるリッドにハルトはうなずき、ガチガチに膨れ上がった逸物を彼女の入り口に近づける。
そして、躊躇なく己の男根を膣口に突き挿れた。
「――あかああああぁぁっ!」
男根を挿れられた瞬間、ぶちっと膜が破れる感触がして初めての証でもある血が流れ出てくる。それとともにリッドの口からつんざくような悲鳴が上がった。
「んあああっ――これいた――あぐうううっ!」
苦痛に顔を歪め、リッドは苦し気なうめき声をあげ続ける。だが……
「やめ……ないで。ここで止めたら余計男の人がこわくなっちゃうから」
そう言ってリッドは背中に両手を強く回し、ハルトを強く抱きしめる。そんな彼女にハルトも感心の混じった声で返事を返した。
「ああ、しばらく我慢しろ。すぐに気持ちよくなるからよ――」
言い終えた瞬間、ハルトは腰を突き出す。それとともに彼のものが奥に沈み込み、さらに激痛が走ってくる。しかし、それとともに両手から伝わってくる彼の背中の感触とぬくもりを感じ取った瞬間、痛みが和らぎ、その中に混じる快感に気が付いた。
もっと快感を得ようとリッドはさらに強くハルトを抱きしめ、自ら腰を動かした。
「ハルトさん、もっと、もっと強く……もっと強くハルトさんを感じさせて――ふああああっ!」
リッドが求めた瞬間、遠慮する必要はなくなったとハルトは腰の動きを速め、さらに深く己のモノを入れ込んでいく。その刺激にリッドは痛みより遥かに強い悦びを覚えた。
「ハルトさんのが僕の奥に――もっと、もっと僕の奥に入れて――――あああんっ!!」
激しく腰を動かしながら求めるリッドに応えるように、ハルトは注送を繰り返し彼女の奥に逸物を打ち込んでいく。そして下腹部を塞ぐ壁に当たった瞬間、リッドの頭に痺れるような快感が走った。
「あああ――ハルトさんのが奥に、赤ちゃんができるところに入って――いひいいいいんっ!!」
かつてない快感にリッドは喘ぐ。その間もハルトは何度も腰を突き上げ、子宮の入り口を責め続ける。その刺激を受けているうちに、リッドの下半身から熱いものがこみあげてきた。
「奥、だんだん熱くなってきて――ハルトさんが出してないのに、僕が先にイッちゃう――んんっ」
「構わん、そのままいけ。俺ももうすこしでいくからよ」
「いいの、先にイッちゃうような子でも嫌いになっちゃわない――ふやあああっ!!」
リッドの問いに答えないままハルトは注送を続ける。下半身はおろか頭の中まで溶けていくような快楽と刺激にリッドはとうとう限界を迎えた。
「あはっ、もう我慢できな――ひああああああ!!」
部屋中に響く声で喘いだ瞬間、リッドの膣から大量の愛液が溢れ出てくる。それより少し遅れて――
「俺も出すぞ。中と外、どっちに出してほしい?」
「中――中に出して! ハルトさんの子供の素、私の中にいっぱい――ハルトさん、ハルトハルトハルト――ハルトおおおおおおっ!!!」
自身の名を連呼するリッドに答えるように、ハルトの逸物から大量の精液が噴き出る。リッドは彼の名を叫びながらそれを受け止めた。
初体験を済ませてから、リッドは下半身に毛布を掛けた状態で茫然とベッドに横たわっていた。そこでハルトは手のひらに乗せた小さな薬を向けてきた。
まさかと思うリッドにハルトはぶっきらぼうな口調で告げる。
「避妊薬だ。事後一刻以内にそれを飲めば子供ができる事はないらしい。*1たっぷり中に出しちまったからな、俺のガキなんか孕みたくなければ飲んでおけ」
「……ありがとう、もらっておく」
ハルトの説明を聞いて、リッドは迷うような表情をしながらも薬を受け取り、傍の棚に置いた。それを見てハルトは怪訝な顔をするが後で飲むつもりだろうと思い、気に留めないことにした。
「で、男が怖いのは治りそうなのかよ? あれを克服するために俺とやったんだろう」
「どうかな……その時になってみないとわからないよ。もし駄目だったら、旅をやめてどこかに根を下ろすのもありかもしれない。その時は家庭でも作ってみようかな」
リッドは自虐するような笑みを言葉を漏らしながら、目に涙を浮かべる。そこでハルトは……
「そんな必要はねえ」
「えっ――」
思わぬ一言にリッドは聞き返そうとする。そこでハルトは彼女の肩を掴み、自分の方に抱き寄せながら言った。
「俺達と一緒に来い。今日のようなことは絶対起こさせねえ、傍にいる限り俺が守ってやる。お前ももう俺の女だからな」
「ハルトさん……んっ」
リッドは涙声で彼の名をつぶやく。そこでハルトは彼女の口を奪った。
しばらく口付けをかわしてから、リッドは再び口を開く。
「案外、君っていい奴なんだね。最初会った時はただの女たらしだと思ってたけど。でも、これから君達と一緒にっていうのもちょっと難しいかな。僕は現在『シュトゥラ王国』っていう国のお世話になってて、今も他国での用事を済ませてシュトゥラに帰るところだったんだ。もう少し延ばすつもりだったけど、もうその必要もないみたいだ。だから君達とは――」
リッドは名残惜しそうに別れを告げようとする。だが――
「なんだ、お前もシュトゥラ王国に向かってたのか。俺達と同じじゃねえか」
「――えっ!? まさか、ハルト達も?」
上ずった声で聞き返すリッドに、ハルトはおうと頷いた。
「俺達もちょうどシュトゥラに向かってたところだ。レティの妹分がその国の王宮に住んでるらしくてな。そのつてを利用して、俺達も厄介になるつもりだったんだ。――ならむしろ好都合だ。お前も一緒に来い。シュトゥラの王様やヴィヴィってお姫様に俺達の事を紹介してくれよ」
ハルトの言葉を聞いてリッドは呆然とする。そして少しの間を空けて問いかけてきた。
「なんのためにシュトゥラへ? まさかヴィヴィ様にも手を出すつもりじゃ……」
半眼になって訊ねてくるリッドにハルトは悪びれもせずに笑い……。
「まあそれもある。体型は乏しいが顔はかなりいいって聞くし、ヴィヴィ様って子も俺のものにするつもりだ。婚約者みたいな奴がいるってのは気になるが、そいつとヴィヴィを奪い合うのも面白いかもしれねえ」
その返事にリッドは呆れの溜息をついた。
「予想通りの答えだなぁ……言っておくけど、ヴィヴィ様の婚約者、クラウス王子はかなり強い人だよ。くれぐれも気をつけておいてよね。……じゃあ他には? ヴィヴィ様以外にも目的があるみたいだけど」
そう聞くと、ハルトはにやりと笑みを浮かべ。
「なに、大したことじゃない。シュトゥラに戦を仕掛けようとしている国があるって聞いてな。傭兵としてその戦に混ぜてもらおうってだけの事だ。『闇の書』を完成させるには、多くの敵から魔力を奪う必要があるからな」
「闇の書? 魔力を奪うって……?」
聞きなれない単語と不穏な言葉に、リッドは首を傾けながらおうむ返しをする。そこでハルトは片手の手のひらを上に向ける仕草を取った。するとそこに剣十字がついた茶色い表紙の本が転移してくる。
それを見てリッドは驚きに目を見張った。
「こいつは『闇の書』という魔導書でな、こいつに魔力を注ぎ込んで666ページ全部埋めると“どんな願いも叶う”ほどの力が手に入るらしい。あの四人――『守護騎士』もこの本から出てきた
「こんな本で……」
リッドは戸惑いながら呟きを漏らす。こんな本一つで世界を手に入れる……ただの空想としか思えない。一桁の子供でもそんな事言わないだろう。だが、この『闇の書』という本からはとてつもない力と嫌な気配を感じる。
だが、やはり過大すぎる夢としか思いようがない。それを察したのかハルトは『闇の書』を掴みながら……
「まあ、俺も胡散くせえとは思っているよ。この本にそんな力があるなら、主の誰かが『闇の書』を完成させて世界征服や不老不死を叶えてるだろうし、間違っても『闇の書』を手放そうとはしねえだろう。ただの嘘っぱちか、なにか“裏”があるんだろうな。俺の方でもちょくちょく調べているところだ。――とにかく、そういうわけで俺達はシュトゥラに向かっている。お前も一緒に来い。これからもかわいがってやるからよ」
そう言ってハルトはリッドの胸を掴む。リッドは喘ぎながら……
「わかったよ……このままほっといたらクラウス様と揉めそうだし、監視も兼ねて僕もついていかせてもらう。その代わり、もう一回いいかな? ハルトに抱かれてたらまた体が疼いちゃって……」
リッドはそう呟きながら身体を絡めてくる。ハルトは再び彼女に覆い被さり、夜半を過ぎるまで二人は体を重ね合った。
「じゃあ、そろそろシュトゥラに行こうか。あと三日ぐらいでつくからさ」
朝食と身支度を終えるなり、リッドはそう告げてくる……ハルトの片腕に捕まりながら。それを見かねてレティが声を上げた。
「ちょっとリッド、そんなにくっついたらハルト様が動けないじゃない。昨晩一緒にいたんだから、今日は私に譲りなさい!」
「レティだってハルトにくっついてるじゃないか。レティは一ヶ月間ずっとべったりだったんだ。その分僕に譲るのが道理でしよ。姉を名乗るならそれぐらいの度量は見せてよ!」
「あなたみたいな生意気な妹持った覚えはありません。とにかく今日は私がハルト様のお世話をします!」
「嫌だよ! せめてシュトゥラに着くまでは僕が独り占めさせてもらうからね」
ハルトの腕を引っ張り合いながら、レティとリッドは口喧嘩を交わす。
ハルトはそんな二人の肩に手を回し。
「揉めるな揉めるな。今夜は二人同時に可愛がってやるから、それまで仲良くしとけ」
「ほんとう? それならリッドと仲良くしてあげなくもないですわ」
「もう、エッチなんだから。ちゃんと約束守ってよ」
そんな言葉を交わしながら、ハルトは愛女二人とともに目的地に向けて歩き出す。そんな三人を守護騎士達は呆れた顔で眺めながら後に続いた。
その数日後、ハルト一行はシュトゥラに到着し、『聖王女』オリヴィエ・ゼーゲブレヒトと、『未来の覇王』クラウス・G・S・イングヴァルトと出会い、彼らとともに周辺国との戦や『完成した闇の書』との戦いに身を投じ、ついにはそれらに打ち勝ち、ベルカ平定を果たすことになる。
かつて“別の世界”で『淫蕩王』と呼ばれ、ベルカを滅亡寸前に追いやった男が、こちらではシュトゥラやベルカを救うことになるとは……。
“あちらの世界”の人々にとってはとても信じられない話に違いない。
そう思いながら『闇の書の意思』はシミューションを止め、書とともに次の主のもとに『転生』した。
『淫蕩戦士ハルト』は今話で終了です。2話以降は結構手こずりました。
ここで少し解説を入れさせてもらいます。ハルトがリッドに飲ませようとした避妊薬ですが、あれは『淫蕩王』本編でも使われていた薬で、ベルムハルトはほとんどの愛人や侍女にそれを飲ませて避妊させています。守護騎士以外にも様々な女に手を出したりしていたにもかかわらず、子供がアレンしかいないのはそのため。
どちらの世界でも父以上の性豪となってしまうベルムハルトですが、不義の子としての苦しみも経験していたため、自分と母と同じ轍は踏ませないようにしようと気を配ってはいましたし、万が一身ごもったら一生涯の援助はするつもりでした。
彼の行いを擁護するつもりは全くありませんが。
これでIF編も終了です。お付き合いくださりありがとうございます。次回は本編の未来の話、ベルムハルトの息子『アレン・ベルナード』の話になります。そちらも4話程度の短編を予定しています。
明日7時に投稿しますので、よろしければ読んでいってください。