※この作品はR-18です。

とても都合のいいオナホ先輩   作:九龍城砦

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老舗旅館・神の宿

「うっわぁ〜! すっごい立派な旅館ッス〜!」

 

 駅から徒歩五分。町の中心からは少し離れた場所にある、年季を感じる老舗旅館。ここが3泊4日で僕たちがお世話になる旅館だ。

 確かに、雰囲気ある建物だな。古くはあるが、寂れてるって感じはしない。つまり、この旅館が繁盛してる証拠だろう。

 

「……なんか、カップルの客が多くないか?」

 

 それとは別件で、やけに男女2人だけのお客が多いような気もする。ここに来るまでも、駅前でやたらとカップルを見かけたし。

 確かに秋は旅行しやすい季節ではあるけど、ここまであからさまに多いと気になってしまう。

 

「あー、ニュースでやってたッスね。なんでも、ここ最近でデキ婚した男女が過去最高数を迎えたとか」

「過去最高?」

「はいッス。日本は年々出産率が低下してたッスけど、今年は『第二次ベビーブームの再来か』なんて言われる程の子沢山時代らしいッスよ?」

「…………」

 

 なーんか身に覚えのある出来事だなぁ……いや、まぁ、うん。子供が増えるのは良いことだし、何も悪くない。

 ノーデンスちゃんの言ってた通り、少子高齢化が解消されちゃうな、こりゃ……いや、良いことなんだけどね?

 

「大丈夫大丈夫……別に人類が滅亡するわけでもなし……」

「先輩、なにブツブツ言ってるッスか?」

 

 おっと、いけない。今は楽しい旅行中なんだから、小難しい考え事をするのはナシだ。

 鈴夏にたくさん同年代の友達ができそうとか、そういうプラス方面の事を考えよう。

 

「こんにちわッス〜」

 

 そんな事を考えていたら、一足先に凜花が玄関の引き戸を開けていた。

 相変わらずマイペースだな、こいつ。

 

「え゛っ」

 

 と思ったら、何故か入った瞬間に固まってしまった。

 女子らしからぬ重低音が聞こえてきたんだが。

 

「どうした、凜花……って」

「ようこそいらっしゃいました──後輩くん❤」

 

 凜花に続いて玄関をくぐってみると──そこには、三つ指をついて恭しく頭を下げる、金髪碧眼のぷにロリ和装美少女が鎮座していたのだった。

 いや、なんで?

 

「……なんで先輩が居るんですか?」

「簡単な事さ❤わたしは神様だからねぇ❤面白そうなイベントの気配は見逃さないのだよ❤」

 

 出かける前、妙にウキウキしてた理由はコレかぁ……心が読める筈なのに何も言及してこないの、おかしいと思ってたんだよなぁ。

 あ、凜花が白目剥いてる。大丈夫か、しっかりしろ。

 

「いつ頃知ったんですか?」

「それはもちろん、1週間前さ❤」

「最初から筒抜けだったと……」

「あまり神様を舐めない方がいいよ❤後輩くん❤凜花ちゃん❤」

 

 いや、舐めてないですけど。

 というか、どうやって従業員になれたんだ……生活力皆無のくせに。これも邪神パワーってやつの仕業なのか。

 

「まぁ安心したまえよ❤今回のわたしはただの仲居さん❤二人の邪魔はしないからねぇ❤」

「本当ですか……?」

 

 和服の上からポン、と胸を叩き、得意げな顔をしてみせる先輩。

 いや、絶対セックス中に乱入してくる未来しか見えないんですけど。

 

「お〜いニャル〜? コレどこに持ってくんだっけ〜?」

 

 なんて会話を交わしていると、奥から見慣れたピンク髪のぷにロリ和装ボテ腹美少女が姿を現す。その両手には、キンキンに冷えてるであろうビール瓶が握られていた。

 うーん、なんで八尋まで居るんですかねぇ。その特大ボテ腹で仕事なんかして大丈夫なのか?

 

「あ〜!❤北条センパイに凜花センパイじゃ~ん!❤センパイ達も新婚旅行ですか〜?❤」

「……まぁ、そんなところだ」

 

 否定はしない。先輩が許してくれるなら、いずれ凜花とも結婚したいと思ってたしな。

 欲望には、正直にならなくちゃいけない。

 

「というか、八尋が居るって事は……まさかクトゥルフさんも?」

「いいや、アイツはつわりが酷くてダウン中さ。ツァトゥグァと一緒にね」

「あぁ……」

 

 そういえば、あの事件の時にクトゥルフさんも受精してたっけ。ツァトゥグァちゃんも三つ子を孕んでたし、こうなるのは必然だったのかもしれない。

 つわりは妊娠してから1、2ヶ月くらいが最も酷いと言われてるからな。それに関しては、しょうがないと割り切るしか無いだろう。

 

「おまけにくーちゃん先生もダウンしてるみたいだし……まったく、つわり如きで情けないねぇ」

「アリス先生もですか」

 

 オナホの半分くらいダウンしてるじゃねぇか。いや、ココに3個もあるから、性欲の解消には十分だけどさ。

 

「ミントせんぱぁ〜い!❤❤❤お部屋のお掃除終わりましたぁ〜!❤❤❤」

「一之瀬まで……」

 

 玄関先で雑談を続けていると、更に奥から黒髪の和装ボテ腹ガチロリオナホが姿を現す。

 この旅館どうなってんだ、マジで。

 

「ふふ❤顔なじみが多いほうが安心できるだろう?❤」

「安心っていうか、これはもう知り合いの家に遊びに来たのと変わらないんですよ」

 

 これだけ知った顔が多いと、旅行に来たという実感が薄れてしまうと思うんだが。

 いや、そういう雰囲気も嫌いじゃないけども。でも、みんなに内緒で旅行したがってた凜花にとっては、致命的だと思うわけで。

 

「ちなみに❤ビヤーキー、深きものども、シャンタク鳥、忌まわしき狩人なんかにも手伝ってもらってるよ❤」

「先輩はこの旅館をどうしたいんですか?」

 

 旅館そのものが魔窟と化してるじゃねぇか。後半の子たちには会ったこと無いけど、名前からしてヤバい存在って確定してるし。

 いや、僕は大丈夫だけど、他のお客さんがね? 

 

「大丈夫さ❤みんな後輩くん好みに女体化させてあるからねぇ❤」

「いや、そういう事じゃなくて……」

 

 なんという職権乱用……いや、神権乱用。これは泣いていいと思うぞ、眷属たち。

 

「とりあえず❤カップル二名様、ご案内〜❤」

「は〜い❤❤❤ほら、北条こっちよ」

「お前の情緒どうなってんの?」

 

 めちゃくちゃ先輩にデレデレしてると思ったら、次の瞬間にはスンッと真顔になってる一之瀬。

 二重人格は治ったみたいだけど、普通に二面性を見せてくるからあんまり変わってない気がするな。ま、そこがチャームポイントでもあるんだが。

 

「歩けるか、凜花」

「うーん……」

 

 ダメっぽいな……しょうがない、背負って運ぶか。

 

「ほらシャンタクちゃん、お客様のお荷物を運んであげて」

「は〜い」

 

 気絶した凜花を背負ったと同時に、一人の女の子が現れて僕たちの荷物を持ってくれた。

 先輩たちと同じく和服を身につけ、背中からはビヤーキーちゃんのようにコウモリの羽根を生やした女の子だ。

 髪色は紫で、長さもビヤーキーちゃんとは対照的にショートヘアーで纏まっている。

 

「ありがとね、荷物持ってもらっちゃって」

「…………」

 

 隣を歩く彼女にお礼を言ってみたのだが、反応されずにじーっと見つめ返されてしまった。

 なんか、めっちゃ観察されてるな。別に珍しい顔でもないと思うんだけど。

 

「ふぅ〜ん」

「?」

 

 かと思えば、プイッと視線を逸らされる。

 なんか、ビヤーキーちゃんとは別ベクトルで不思議な子だな。

 

「はい、ここが『深淵の間』よ」

「おぉ……!」

 

 一之瀬の手で襖が開かれ、そのまま部屋の中に通される。名前とは裏腹に見晴らしのよい和室で、窓の外には紅く色づいた庭園が広がっていた。

 庭いっぱいの紅葉とは、壮観だな。感動と同時に、掃除大変そうだなって感情も湧き上がってくるけど。

 

「それじゃあ、何かあったら私を呼びなさい。く・れ・ぐ・れ・も、ミント先輩を呼びつけるんじゃないわよ」

「いや、そのお腹で接客なんて出来るのか?」

 

 今の一之瀬は妊娠七ヶ月あたり、しかも双子を宿している。そんな状態で仲居さんの仕事なんて出来るのだろうか。

 八尋と違って普通の人間なんだし、無理はしない方がいいと思うんだが。

 

「ふっ、甘いわね北条──愛さえあれば、何でもできるのよ!」

 

 そう、一之瀬は言った。

 大量の鼻血をこぼしながら。

 

「……ちなみに聞くが、その愛は誰に対しての愛なんだ?」

「ミント先輩に決まってるじゃない!❤❤❤」

「だろうと思ったよ」

 

 まったく、相変わらず一之瀬はブレないな。ある意味で安心するわ、その愛の深さ。

 たぶん、そこいらの狂信者よりよっぽど狂ってるぞ、お前。

 

「というわけだから、あんたは凜花としっぽり楽しみなさい!❤❤❤ミント先輩とは、私がイチャイチャさせて貰うわ!❤❤❤」

「では、ごゆっくり〜」

 

 一之瀬が捨てゼリフ的なものを吐いて、シャンタクちゃんの手でピシャリと襖が閉められる。

 そのまま二人の気配は遠のいていき、部屋には静寂が訪れるのだった。

 

『──あの少女、器にちょうどいいです、ね』

 

 相変わらず、窓の外から眺める生ける炎に気づけぬまま。

 

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