ダンまちはもっと肌色が多い方がいいと思うんだ。 作:黒のトビ
前話の続きで、中編のような話。
今回もベル君はずっと全裸のままです。
シャ――――――。
シャワーの水音がシンと静まり返る部屋の中に響く。
ここはヘルメス・ファミリアの
今この部屋の中には一人の人影があった。
その人物はヘスティア・ファミリア団長であるベル・クラネル。
部屋の主たるアスフィの姿はなく、彼一人だけがポツンと所在なさげにソファに座っており、アスフィは部屋に備え付けられた個人のシャワー室でシャワーを浴びていた。
顔を赤く染めてもじもじとアスフィがシャワーを浴び終えるのを待っているベルの姿を見ると、これから男女の交わりが行われようとしているように見える。
しかも、そのベルの格好は下着一枚纏わぬ完全なる全裸だ。
もし他人がこの光景を見たら、二人はそういう関係なのだと確信するだろう。
しかし、彼らの関係は恋人同士ではない。
二人が日常的に行っている行為を思えば、全くの的外れではないのかもしれないが、お互いに恋愛感情はなく、言葉は悪いが身体だけの関係というのが正しいかもしれない。いや、肉体関係はないのでそれもまた違うのかもしれないが。
ともかく、二人は恋人ではなくセックスフレンドでもない。
ただ日常的に、ベルがアスフィに
かなり特殊な関係だが、今のところはそれだけなのだ。
そんなベルが、何故アスフィがシャワーを浴びるのを待っているかというと、つい数分前の出来事が原因だ。
ベルは、アスフィに
何故そんなことになったのかは、色々と理由があるのだがそれは置いておいて、つまりアスフィは顔中にベタベタと付いてしまったベルの精液を洗い落とすためにシャワーを浴びているのだった。
主不在の部屋で、ベルは縮こまっていた。
それは、アスフィの顔面に
それは――――
今にも
ベルは本日、この部屋の中ですでに複数回
それなのに、ベルの
性に旺盛な同じ年頃と比べても、その性の回復力は頭一つ抜けているだろう。兎と比喩される彼は、この方向でも兎らしいと言えるのかもしれない。
さて、話は戻って、なぜベルが
とは言っても、特別これといった理由はない。
ただ単純に、彼が己の性欲の強さを恥じているだけに過ぎない。
つい先程出し尽くしたのに、またすぐに大きくしてしまっては、自分がエロい男と思われてしまうのではないかと思っているのだ。
今まで幾度となくアスフィの前で
身動き一つとらず、じっと
なぜなら、彼はつい先程極めて股間に悪い光景を見ており、それが頭から離れなかったからだ。
目を閉じずとも先程のアスフィの姿がありありと脳裏に浮かんでくる。
その美しい顔を白濁液でドロドロにしたアスフィ。
少しだけうっとおし気な表情で、精液を指で掬うアスフィ。
唇の端にかかった精液を、チロリと舌で僅かに舐めとるアスフィ。
今までも、様々なアスフィを見てきたと思っていたベルだが、先程見たアスフィの姿は、今まで見てきたどんな姿よりも美しく、そしてどんな姿よりも淫靡に感じられた。
さらに言えば、先程から室内に響いているシャワーの音も、
音が聞こえるのみで、その光景を見ているわけではないが、今アスフィはベルのすぐ傍で全裸になっているということなのだ。
かつてケヒトの湯の騒動の際に見たことのある、あの見事としか言いようのない裸体。それを露わにして、その玉の肌に水滴を纏わせている様がありありと浮かんでくる。
白く大きく形の良い乳房、その頂点に恥ずかし気にツンと突起する桜色の乳首。
キュっと括れながらも、肉感的な腰。
可愛らしい臍の下にそっと薄っすらと茂る空色の恥毛。
白桃の如き引き締まったお尻。
そして、乳首以上に可憐で淫靡なピンク色を称える乙女の神秘。
それらを、無数の水滴が滴り舐め落ちていく。
むしろ、音だけ聞こえてくる状況がより想像力を掻き立て、頭の中にその映像を浮かび上がらせては、頭を振って消し去るといった行動を繰り返す破目となっていた。
もちろん、
「お待たせしました。」
「あ、いえ、だいじょ――――。」
悶々としたベルが必死に
声を掛けられたベルが、そちらを振り向き――――言葉を失った。
その原因は、アスフィの格好にあった。
普段のアスフィは、ミニスカートで生足を晒しているものの、かなりきっちりした格好をしている。
それをエロいと感じる者もいるだろうが、アマゾネスのような露出過多な服装ではない。
しかし、今のアスフィの格好は違った。
今現在、アスフィは上半身は薄手のタンクトップ一枚、下半身は丈の短いホットパンツのみという、真面目なアスフィからは想像できない程、ラフな服を着ていた。
それは、自室ということを考えれば部屋着、下手をすれば下着と捉えられてもおかしくない格好だった。
上半身のタンクトップが包む豊かな双子山の頂点に小さく突起が浮かんでいるのを見れば、それがどれだけ薄着なのか分かるだろう。
ベルからすれば、いつも自分にエッチなことをしてくれるが服装はきっちりしていたお姉さんが、いきなりエッチな格好で現れたのだ。その衝撃はとてつもなく大きかった。
現にベルは、唖然と目を見開き、無意識下でアスフィの姿を自身の脳裏に焼き付ける作業に没頭してしまったほどだ。
「クラネルさん?」
突然黙り込んだベルを不審に思ったアスフィが、訝し気に声をかける。
彼女もまさか、自分の格好がベルに衝撃を与えているなどとは思いもよっていなかった。アスフィは、自分の美貌を侮っていたのだ。
アスフィからしたら、一度ならず全裸を見せたこともあるのだし、薄着程度でこんな状態になってしまうなど予想できなかったとしても仕方がない。
「――――ハッ!?」
アスフィの声で我に返るベル。
「す、すいません!全然大丈夫で――――すぅ!?」
すぐさま返事を返すが、その途中で言葉が上ずった。
我に返ったことで、アスフィの格好について考える余裕が生まれてしまったのだ。
それにより、急激に股間に血流が集中していくのが抑えられなかった。
今はまだ、ちょっとふっくらしている程度であるが、数瞬後にはまたしてもアスフィの目の前で
現に、先程顔射したあと
実際にはアスフィは、呆れているわけではなく、ベルの回復力に感嘆していただけだが、それでもベルは必死に
しかし、先程とは違い、目の前にエッチな格好をしているアスフィがいる以上、それを抑え込むことは不可能の近く、ベルの願い空しく
どうにか、どうにかできないか。
必死に思考を巡らせるベル。今彼には世界が止まって感じられた。それほどにこの危機的状況に対処すべく、高速で頭を回していたのだ。
(そうだっ!!)
そうして一つの答えを導き出した。
「全然待ってませんよ。アスフィさん。」
「そうですか……?」
ベルの
何故、ベルの
それは、今現在のベルの脳内を見ればはっきりするだろう。
ベルが行った
今ベルの脳内では――――
オッタルとモルドが、きわどい女性用ビキニを身に着けて盛大に踊り狂っていた。
そう、興奮を抑えるには、それと正反対な光景を思い描くのが最も簡単な方法だろう。
ベルは、
何故この二人なのかというと、ベルが知っている人物の中で、この二人が最も男臭い人物だった為だ。
ベルの知り合いに男性はそれなりにいるが、この二人が断トツでむさ苦しかったし、他の男性では男臭さが足りないか、中性的な容姿で、下手をすると
アスフィ程の美人のエロい姿を相殺するには、それだけショッキングな想像が必要となる。
故に、筋肉ムッキムキな大男と、髭面のおっさんが女物のビキニを着て踊るなどという、吐き気すら催しかねないほどの最悪の映像が生み出された。
その効力は凄まじく、ベルの
ベルはいつも言うことを聞かない己の
「?……まあいいです。
クラネルさん、こちらにどうぞ。先程の話の続きをしましょう。」
青い顔をしながらも、どこかやり遂げた顔のベルに首を傾げたものの、それをスルーしたアスフィはソファに腰かけ、対面にベルの着席を促す。
「まず、クラネルさんのおちんちんを大きくしたいという話ですが……。」
ベルが腰を下ろしたのを確認して、アスフィは先程ベルが口にした内容について語りだした。
「正直、かなり難しいかと。」
「そう、ですか……。」
「はい。まず第一に、肉体を成長させるのは医学の分野です。
私は魔道具作成を得意としていますし、魔道具の中には肉体に作用する物もありますが、あくまで限定的にです。
はっきり言って、医学は専門外です。」
アスフィが語った内容は、至極もっともだった。
実際には薬学などを修めているため、医学に関しても門外漢という訳ではないだろうが、決して専門家ではない。そういうのはアミッドの領分であろう。
しかし、下手に半端な知識で人の肉体に作用する道具を作ろうものならば、どんな副作用があるか分からない。
以前ケヒトの湯でベルに装着させた指輪も、かなり慎重に作った魔道具であり、副作用の経過観察をするというのも、決してベルの
まあ、今となっては経過観察はお互いにただの建前と化していたが。
ベルはアスフィの言葉に納得した。
同時に、少なからず落胆もしていた。
ベルからすると、否、ベル以外の者からしても、アスフィという人物は万能の人である。
それは
故に、ベルの中では、アスフィにお願いすれば大抵のことは叶うのではないかといった、ある種無責任とも言える信頼があったのだ。
しかし、今回の件に関しては、アスフィでも困難であると聞いて、ベルが落ち込んでしまうのも仕方のないことかもしれない。
アスフィに不可能であれば、もう他にできそうなのは医療の専門家であるアミッドか、医神ぐらいしかいないのだから。
そして、ベルの悩みは、アスフィ以外には相談できない類の内容だ。
まず、アミッドには相談できない。
女性に
女性でこんなことを頼めるアスフィが特別なのだ。
また、医神を頼るのも難しい。
オラリオで一番有名な医療系ファミリアの主神ディアンケヒトとは接点がほとんどないので不可能。信頼できない相手に、こんなプライベートなことを相談できない。
ミアハであれば親しくしているため依頼は可能だが、こちらはこちらで問題があった。
もしベルが、ミアハに
しかし、流石のミアハでも、
よしんば、ベルが資金を工面してミアハに渡したところで、別の問題が発生する。
ミアハが薬の研究を始めれば、必ずナァーザが関わってくるであろう。そして薬の用途を知ったナァーザに激怒されるか、軽蔑されるかの二択の未来が見える。
わずかな可能性としては、ケヒトの湯でベルの
たとえミアハに口止めをしても、天然が入っているミアハではポロっと口を滑らせるような気がした。
アスフィだけがベルの頼みだったのだ。
頼みの綱が途切れたベルは、傍から見てもわかるくらいに落ち込んだ。
「……はぁ。クラネルさん、頭を上げてください。」
俯いてしまったベルを見かねて声をかける。
のろのろとゆっくりした動きで顔を上げたベルの目を見つめて、アスフィが口を開いた。
「わかりました。なんとかやってみます。」
「本当ですかっ!?」
そのセリフを聞いた瞬間、ベルの目が一気に煌めき出した。
歓喜が胸から溢れ出して、自然と笑顔が咲き乱れる。
「はい。ですが、先程も申し上げた通り医学は専門外です。
過度に期待はしないでください。どうにもできない可能性の方が高いのですから。」
「はい!わかってます!」
本当に分かっているのだろうか、とアスフィが疑問に思ってしまう程にベルの声は弾んでいた。
もちろんベルとて、必ずアスフィがなんとかしてくれる、などと楽観しているわけではない。失敗に終わる可能性が高いこともしっかり理解していた。
それでも、ベルにとっては先程まで0%だったものが1%の可能性が生まれたのだ。それに期待を持ってしまうのは仕方のないことだろう。
「あと、これから研究を始めるのですから、当然時間がかかります。
一か月二か月どころか年単位で待つと思ってください。」
「そんなにかかるんですか……。」
「それはそうです。
下手な物で、クラネルさんに後遺症などが出てしまったら元も子もないでしょう?」
伝えられた日数に、少しテンションを落としたベルだったが、後遺症を出さないためというアスフィの言葉に納得した。むしろ自分を思いやってくれるアスフィに感謝の念を抱いたくらいだ。
「わかりました!ありがとうございます!」
不満の消えた笑顔を見て、アスフィの顔も自然と綻んだ。
「では、研究のためにクラネルさんのおちんちんのデータを取らせてもらいますね。」
「……え?」
その言葉に、ベルが笑顔のまま固まる。
「いえ、おちんちんを大きくする方法を研究するのですから、元となる詳細なデータが必要不可欠でしょう?」
当たり前のことだと言いた気に首を傾げるアスフィだが、言っていることは至極尤もだ。
研究に一番必要な物は、設備や資金ではなくデータである。
これが無くてはどんな研究だって始まらない。
「さぁ、隅から隅まで観察させてもらいますね?」
怯えた目のベルに迫るアスフィの顔は、それはそれはいい笑顔だったという。
ベル君にアスフィさんの魔の手が迫る!