ダンまちはもっと肌色が多い方がいいと思うんだ。 作:黒のトビ
みんな大好き命さんのターン。
OVAが出る度、ギャグキャラの様になっていってる気がする。
ある日、突然ベルを訪ねてきた命。
彼女はベルにとある場所へと同行を求めた。
それはかつてベル達が13階層の未開拓領域で発見した温泉だった。
彼女曰く、このままでは温泉禁断症状で頭がおかしくなってしまいそうなので、今すぐにでも温泉に入る必要があるとのことだった。
中層であることと、温泉がモンスターの罠であったことを思い出し渋るベルを、自身のスキルでモンスターを探知できるので安全だと説得する命。
なおも渋るベルに命は、泣き落としや脅迫に近い言い回しで無理やり温泉へと連行していくのだった。なんならベルに温泉の素晴らしさを語りつくし、同士にしてしまおうと言わんばかりの勢いだ。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「ふふっ、如何なモンスターでも、今の自分を止めることはできませんっ!」
「うわあああああぁーー!?」
温泉に着くや否や、すぐさま服を脱ぎ去りタオル一枚になった命は、その格好のまま温泉に巣くうモンスターを討伐していく。
ベルも、勢いに流されて悲鳴を上げながらそれに続いて行った。
「では、いざ温泉っ!」
モンスターを討伐し終え、危険がなくなった温泉を前にして命が満面の笑みを浮かべながら叫ぶ。
レベルで言えばベルの方が上であるにも関わらず、息も絶え絶えなベルと違って、命は元気一杯のままだ。
(……疲れた。もう温泉とかいいから帰りたい。桜花さん達は僕を置いて帰っちゃうし。)
普段モンスターと戦った時よりも遥かに強い疲労を感じたベルは思わず溜息を吐く。
モンスターの掃討には桜花と千草も参加していたのだが、モンスターが全滅したのを確認すると、命の相手をベルに押し付けてそそくさと地上へ帰還してしまった。
当然のことながらベルも、二人でダンジョンを行く危険性などを訴え引き留めようとしたのだが、その時の桜花はヘルメスもかくやと言わんばかりの弁舌をふるい、ベルの反論を封じ込め、命を納得させてしまった。
元々同じファミリアの仲間であったため、こと温泉が関わった時の命の面倒くささを熟知していた。故に申し訳ないとは思いつつも、ベルを生贄に捧げることで脱出を果たしたのだ。
残されたベルとしてはたまったものではない。
勿論ベルとて温泉は嫌いではない。
しかし、明らかにテンションの振り切れた命を見るに、温泉の癒し効果では補いきれない程の苦労が待ち受けていることは想像に難くなかった。
「ベル殿っ!いつまで服を着ているのですか、早く温泉に入る準備をしてください!」
「あの……僕は遠慮しますので命さんお一人で――――。」
桜花達への恨み言を脳内で呟いていたベルに痺れを切らした命が急かすが、そんな彼女に遠慮しようとして口を開いたベルは言葉を詰まらせた。
ベルの言葉を聞いた命が泣きそうな顔を浮かべたのだ。
「ベル殿は、温泉に入りたくないのですか……?」
「い、いやっ、そういうわけでは……!?」
女の涙に勝てる男はいない。
例に漏れず、ベルも命の目に浮かぶ雫を見て口ごもる。心優しいベルにとって、それは必殺の武器に等しかった。
「いいですかベル殿っ!温泉というのはただ体の汚れを落とすだけではなく、身体の血行を良くする他に、心の休息にもなる万能の娯楽であり――――。」
ベルが日和ったのを感じ取った命は、先程まで浮かべていた涙を振り切り、温泉の魅力を語りだした。
ベルが温泉に興味を持ってくれるよう詳細に、丹念に行われたプレゼンはあまりにも長かった。最初はちゃんと聞いていたベルも、徐々にその瞳を虚ろに染めていったくらいに。
「――――湯上りに飲む牛乳も格別ですが、湯に浸かりながら飲むのもまた違った味があり――――。」
「わかりました!わかりましたからっ!ご一緒します!」
「そうですか!ではお早く準備を!」
あまりに長く情熱的な語りに、とうとうベルが折れた。
気が付けば一緒に温泉に入ることを了承していた。
打って変わって笑顔を浮かべる命を背に、ベルはトボトボといった足取りで水着に着替えるために岩陰に消えていった。
「はぁ……。」
命から見えない大岩の陰で、人知れず溜息を吐くベル。
服は全て脱ぎ去り、一糸纏わぬ格好でその手に水着を手にしている。後はこの水着を着れば準備完了だ。
命と共に温泉に浸かるだけなのだが、あの熱量を見せられては圧倒されてしまうのも仕方がない。
しかしここでベルはふと思う。
「……でも、あれだけ夢中になれることがあるっていうのは凄いことだよね。」
そう、命は別に自分の趣味を他人に押し付けているわけではない。いや本当に押し付けているつもりは少なくとも本人にはないのだ。
命はただ、自分の大好きな物を大好きな人達と共有したいだけだ。
「そうだよ。折角教えてくれるっていうんだから真剣に聞かなくちゃダメだよね。」
ベルは先程までの自分の態度を恥じた。
人が真剣に話しているのにそれを聞き流すなど、礼儀を欠いていたと。
「うん。僕も命さんに習って本気で温泉を楽しんでみよう。」
それはとても前向きな姿勢であり、ベルの人の好さが前面に滲み出ていた。
今までの嫌々な気持ちが切り替わり、清々しさが胸に満ち溢れる。
その溌剌とした気分のまま、勢いよく水着に足を通そうとして――――ピタリと止まった。
ベルの脳裏に嘗ての記憶が蘇る。
それは以前このダンジョンに初めて訪れた時に聞いた、命の言葉だった。
命の姿勢に習い、ベルは本気で温泉を楽しむと決めたばかりだ。
だが、今の自分は本当に本気と言えるのであろうか。
手にした水着をじっと見つめる。
あの時の彼女の言葉を思い返すと、本気とはこうではない。
しかし、本当にそれをするのか。
ベルはグルグルと迷走する頭で葛藤する。
そして遂に決断を下した。
ベルはその手に持った水着を――――。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「お待たせしました。」
「ベル殿!では早速温泉に……?」
ベルの支度を待ちわびていた命の弾んだ声が、途中から萎んでいく。
ようやく入浴だというのに、彼女の表情には困惑の色が浮かんでいた。
その理由はベルの格好にあった。
用意していた水着を着てくるはずであったのに、ベルはタオルを腰に巻き付けた姿で現れたのだ。その下に水着を着ているのかもしれなかったが、タオルを巻いている理由が分からなかった。
「命さん……。」
困惑する命に、顔を伏せたベルが声をかける。
「命さんの温泉にかける情熱は凄いと思いました。僕も命さんに習って全力で温泉を堪能したいと思います。」
キッと顔を上げたベルの瞳には、紛れもない決意が込められていた。
命の困惑はより大きくなった。
温泉に対する想いを褒められたことは素直に嬉しかったが、ベルの意図が読めなかった。
首を傾げる命を他所に、ベルは腰のタオルを掴む。
「これが!僕の本気です!」
そして、そのまま勢いよくタオルを剥ぎ取った。
その下にはあるはずの水着はなかった。
プルルンッ!
ベルの
すぐさま股間を隠したベルの顔が羞恥で真っ赤に染まる。
そう、ベルは用意された水着を身に着けず、完全に生まれたままの姿で温泉に入ることを選んだのだった。
「なななななああああぁぁぁぁっ――――!?」
すぐに隠したとはいえ、
「な、なななんでっ!?なんで水着っ!?」
いきなり男の子のシンボルを見せつけられた命は完全に混乱していた。
それも当然のことで、普段のベルを知る者からすればこのベルの行動は信じられないものだった。
いっそのことモンスターがベルに化けていると言われた方が納得できる。
「なんでって、本気で温泉に入るためですよっ!」
「いや、本気でなんでおちんっ……!何も着ないことになるんですか!?」
「だって命さん言ってたじゃないですか!」
ベルが何を言っているのか理解できなかった。
自分が言っていた?何のことだ。
命の混乱は加速するばかりだ。
目をグルグルと回す命を見据えながら、ベルは羞恥により無意識に大きくなっていた声量で叫んだ。
「入浴の真髄は、全裸だって!!」
ガツンと頭を殴られた様な衝撃を受けた。
そうだ、確かに前回皆に温泉の作法を説明した時に自分が言った言葉だ。
ベルはその言葉を覚えており、その作法の通りに恥ずかしさを堪えて全裸で入浴することを選んだのだ。
命は目の前のベルを見る。
その身に纏う物は何も存在せず、完全なる全裸で必死に股間を隠していた。
温泉を満喫するのに相応しい由緒正しき姿だ。
それに比べて自分の姿はどうだろうか。
あれだけ温泉のことを偉そうに語っておきながら、命の身体には無粋というべきタオルがしっかりと巻き付けられていた。ベルがあれほどの決意を見せたというのに、温泉の導師を自称する自分がこんな様でよいのだろうか。
急に自分の格好が恥ずかしくてしかたがなくなった。
「……ベル殿。申し訳ありません。私が間違っておりました。」
命も決意する。
温泉の先達として、ベルに恥じない姿を見せなければならない。
身体を隠しているタオルを掴みーーーー。
「ご覧ください!これが私の本気です!!」
剥ぎ取った。
タプンッ。
そこには当然、一糸纏わぬ産まれたままの姿の命が存在した。
すぐに
全てを晒した命の身体に、ベルの視線が釘付けになる。
生真面目な性格に反比例するように、その裸身は淫靡な曲線を描いていた。
ヘスティアなどにはさすがに劣るものの、平均よりも豊満な乳房。
その先端に恥ずかし気にツンと主張する赤みが強いピンク色の乳首。
戦士でありながら、キュっと女性らしさを誇るくびれ。
恥丘には鴉の濡れ羽色の柔らかな恥毛がうっすらと茂り、その奥には女性の神秘が奥ゆかしく花開いていた。
ベルに見られていることを自覚しながら隠すことをしない命の顔は、完全に真っ赤に染まりきっていた。いくら親しいベルとは言え、異性に裸を見られているのだ。恥ずかしくない訳がない。
極東には混浴という文化があり、自分の格好はそれに基いた由緒正しい格好であり、決して見られても恥ずかしいものではない。命はそんな言い訳を頭の中で繰り返し自分に言い聞かせて、必死に羞恥心を抑え込んでいた。
命がどれだけ自分の格好を正当化しようとも、現実としてその格好は全裸であることに変わりなく、ベルの視界には隠すべき部分がしっかりと映り込んでいる。
美人と言って差し支えない女性が目の前で裸身を晒していた時、男性はどんな反応を見せるか。その答えは、すぐに明らかになった。
「……あっ!」
ムクムクッ。
ベルの
大きくなった
当然、目の前にいる命の視界にも入る。
「お、温泉はそういうことをする場所ではありませんっ!!」
「ごめんなさいごめんなさいっ!!」
まさかの反応に、命は咄嗟に自身の身体を隠し叱りつける。
ベルも
ベルにとって命の裸体はあまりにも衝撃的な物だった。
幸運なことに、今まで女性の裸体を見た経験はそれなりにあったが、ここまで堂々と見せつけられたことは少なかった。まあ、ヘスティアやティオネ、ティオナの裸など、経験がないと言えないのはベルの幸運のアビリティの齎した結果なのかもしれない。
ともかく、こうもおっぱいやらなにやらを曝け出した女性を目の前にしては、童貞のベルでは
対して、命の動揺はベルと比較すると小さかった。
無論、仲の良い男の子の
故に多少なりとも免疫のようなものがあったのだ。
むしろ、自分の裸身をガン見してくるベルの視線にこそ動揺していたと言っていい。
「……もういい加減温泉に入りますよ。
ベル殿、作法は憶えてますか?」
「あ、はい……。」
ベルをジト目で見ながらも、
二人は温泉の淵に横並びに立つ。
お互いの姿は、なるべく視界に入れないように努力した。
「まず二礼。」
プルンと弾んだ
「二拍手。」
拍手に合わせてタプンと揺れた乳房を盗み見るベル。
「一礼。」
お互いの揺れた部分を横目で確認する二人。
その後お賽銭を投げ入れた後、祓串を手に取り構える。
「「か、かしこみー、かしこみー……。」」
祓串を振りながら祝詞を唱え、三三九度の儀を執り行う。
その間、お互いの視線はもはや相手の恥部しか見ていなかった。
「あ、あとは手首足首を回して……。」
それはもうすごく揺れた。
身体の動きに合わせて、お互いに注目している部分が物凄く暴れていた。
「で、では、いざっ!温泉っ!」
「かけ湯はしましょうね。」
「あ、はい。」
淫靡な準備運動を終えて、二人はようやく温泉に浸かるのだった。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「「…………。」」
待望の温泉に浸かれたというのに、二人の様子はお湯を楽しむといった状況とは程遠かった。
なにせ直前に見たモノが刺激的過ぎた。
二人肩を並べてお湯に浸かっているのに、互いに視線を背けて重い沈黙に包まれていた。このままではいけないと何か話をしようとするのだが、その度に揺れる互いの恥部が脳裏を過り口籠ってしまうのだった。
ベルは温かいお湯に包まれながら、透明な湯の中に映る股間を必死に両手で隠して縮こまっていた。
命もその豊かな乳房と股間を隠しながらの入浴で、せっかくの温泉だというのにのびのびした入浴とは程遠かった。
気まずい雰囲気のまま、温泉を楽しむことが出来ずにただ時間だけが過ぎていく。
いつもだったらすらすらと会話が出てくるというのに、何も出てこない。
何か、何か話題になることはないか。
「そうだっ!」
「!?」
突然、沈黙を切り裂いて命が叫んだ。
いきなりの大声にベルの肩がビクリと震え、命の方へ振り向く。
「実はいいものを用意していたんですよ!
ちょっと待っててくださいね。」
何事かと目を白黒させるベルだったが、命は気にすることなく今までの気まずさを吹き飛ばすかのような弾んだ様子を見せる。
ザバッと水飛沫を立てながら立ち上がった命は、温泉の淵に置いてあった物に手を伸ばした。
立ち上がり温泉の淵に手をついて前屈みになった命の姿を見たベルは、しばしその光景に目を奪われた。
重力に従って垂れ下がりながらも綺麗な形を維持する乳房と、背中から腰、尻へかけての曲線があまりにも見事で目が離せなかったのだ。
正気に戻ったベルが慌てて視線を逸らすが、瞼の裏にはその光景がばっちりと焼き付いていた。
「ふふん。これですこれ。」
「……何ですかそれ?」
「水筒です!」
ドヤ顔を晒す命が見せてきたのは、一本の竹筒だった。
それは命がタケミカヅチ・ファミリアの
意図が理解できなかったベルが不思議そうに首を傾げる。
「温泉には色々な楽しみ方がありますが、今回ベル殿には温泉に浸かりながら一杯やる素晴らしさを知っていただきたく、こちらを持参いたしました。」
命が言うには温泉に浸かりながら飲むのは格別なのだとか。
確かに、温かい湯に浸かりながら冷たい飲み物を飲むのは素晴らしい悦楽だろう。
「まあ当然、中身はお酒ではなくジュースですが……。」
二人ともまだアルコールを飲める年齢ではないので当たり前だった。
苦笑しながら二つのコップに中身を注ぐ命。
差し出されたコップを受け取ると、温泉の臭いとは違う馴染みのない香りが鼻腔を擽る。極東のジュースかなと、ベルは覚えのない香しさに目を細める。
「え~と、じゃあ……。」
「ふふっ。」
「「乾杯。」」
コップを軽く合わせて二人同時にジュースを飲む。
独特な味わいだったが、そのジュースはとても美味だった。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「おかしいな……。どこにいった……?」
所変わってタケミカヅチ・ファミリアの
ファミリアの主神たるタケミカヅチが何かを探していた。
「おっ、あったあった。」
しばらくしてタケミカヅチが見つけたのは、命が温泉に持ち込んだ物とそっくりな竹筒だった。
「……ん?」
ようやく探し物を見つけたタケミカヅチがその竹筒に違和感を覚え、蓋を開け中身の臭いを嗅ぐ。
「……ジュース?」
どうやらタケミカヅチの探し物とは違ったらしい。
「……俺の般若湯はどこいった?」
◇―――――――――――――――――――――――――――
所戻ってダンジョンの温泉。
「「あははははははははっ!」」
そこには陽気に笑うベルと命の姿があった。
二人の間には、今までの気まずさなどもはや欠片も存在していなかった。
「っぷはぁ――――!このために生きているっ!」
コップの中身を一気に飲み干した命が、まるで仕事に疲れたおっさんのような台詞を叫ぶ。その表情は正しく法悦といった様子だ。
「ほらほらベル殿もグッといっちゃってくださいよ。」
「ありがとうございます。
んっ――――っはぁ、ほんと最高ですね!」
「でしょう!?」
命に注がれたコップを傾けたベルは、同じ様な蕩けた表情を浮かべる。
それを眺める命も満面の笑みだ。
互いにコップに注ぎ合いながら燥ぐ二人。
もはや二人ともに裸であることなど忘れてしまったかのように、股間や乳房を隠すこともなく堂々と笑いあっていた。
このような状況になった原因、それは当然水筒の中身だ。
命がタケミカヅチ・ファミリアから持ってきた水筒には、ジュースではなく酒が入っていたのだ。命の用意した水筒とタケミカヅチの私物の水筒が似たような形をしていたことによる取り違えだった。
それに気が付かず飲んでしまった二人は、温泉の血行促進効果も合わさって早々に酔いが回ってしまった。味で気付きそうな気もするが、二人ともに極度の緊張状態だったため違和感をスルーしてしまったのだ。
「それにしても、ベル殿って意外とスケベですよね。」
「ええっ!?」
酔いが回った命は、普段の彼女であれば決して話題にしないような内容の話を切り出した。
「だって、さっき私の裸見て大きくしてたじゃないですか。」
「え~、いや~……。」
「ベル殿のスケベ~、エッチ~。」
大きくしてしまったことは事実なので何も言えないベル。
笑顔で罵ってくる命にどうにか話題を逸らそうとするが、酩酊した頭ではいいアイデアが浮かんでこない。
このままでは完全にスケベ認定されてしましかねない。
第一、命にだって責任はある。
あれだけ綺麗な裸を見せられたら
そんなことを考えながら、命の意識を逸らす方法を思索していた。
「……っ!命さんっ!」
「はい?」
「今から芸をしますので見ててください!」
突然そのようなことを言い出したベルに首を傾げる命。
あまりにも唐突過ぎて意味が分からなかった。
命の不思議そうな視線を受けながら、ベルは湯の中を泳ぐように命の前に移動する。
「一発芸、ゾウさん!」
ザバッ。
勢いよく立ち上がったベル。
水飛沫を浴びた命の視線の先には、当然ながらベルの
いきなり目の前に現れた
「パオ~ン!」
プルルン!
腰を突き出した。
動きに合わせて
まさかまさかの行動だった。
ベルは信じがたいことに、己の
げに恐ろしきはアルコールの力と言ったところか。
人から思考能力を奪い、心理的なブレーキを破壊するそれは、普段のベルからは想像すらできない、もはや蛮行とも言える行為を実行させた。
「パオ~ン!パオ~ン!」
ベルが腰を突き出す度に、
その様子は確かに象が鼻を持ち上げる行動とよく似ていた。
目の前でプランプランと揺れ続ける
「――――ブフッ!」
唐突に吹き出した。
「あははははははははははははははは――――――――っ!!」
それも大爆笑だった。
揺れる
普段の彼女を知る者が見たら、正気を失ったかと思われかねない有様だった。
命の性格は生真面目一辺倒だ。間違っても
しかし、今の酩酊状態の彼女にとって、ベルのゾウさん芸はこの上ない見世物だった。
短くすっぽり皮被りの
大笑いする命を見て、ベルは満足そうに笑みを浮かべる。
その顔には羞恥の色は見えず、むしろ満足感すら浮かんでいた。
後に正気に戻った際には、かつてない程に後悔するだろう。
「ベル殿のゾウさんパオ~ン。」
命は丸出しのままの
そして――――。
ピンッ!
指で弾かれた
「あはははははははははははははははっ!!」
またしても命の笑い声が温泉内に響き渡る。
あまりにも笑い過ぎて涙すら零れていた。
くるりと綺麗な回転運動する
「えいっ!えいっ!えいっ!」
楽しくなってきた命は、何度もベルの
その度
しばらくの間は命のなすがままに
「もうお終いです!」
「え~!?」
デコピンを振り払い、両手で股間を隠したベルに命が不満の声を上げる。
まるでオモチャを取り上げられた子供のようだった。それだけ命はこの
「もっと見せてくださいよ~。
小さなゾウさん。可愛いゾウさん。短いお鼻のお子様ゾウさん~。」
懇願する命の言葉がベルの心に突き刺さる。
本人はそんなつもりはないのだが、その言葉の一つ一つがベルのコンプレックスを刺激した。
確かにベルのそれは小さなゾウさんだ。
可愛いゾウさんだ。
短いお鼻のお子様
ベル自身もそれを自覚している。
しかし、だからといって女性に自分の
「小さくありませんっ!!」
突然の大声に、文句を言っていた命がビックリして固まった。
そんな命を尻目に、ベルは股間を隠していた両手を開きそのまま腰に当てると、ゾウさん芸をしていた時以上に股間を前に突き出した。
命の目の前に
「よ~く見ていてください!」
命に一言声をかけると、ベルはその格好のまま命をじっと見つめる。
正確には、ずっと丸出しのままになっている命のおっぱいを。
豊かな盛り上がりを見せる白い双丘と、その頂点に恥ずかし気に咲く桜色を、穴が開くほどにガン見する。
すると、変化はすぐに訪れた。
ムクムクッ。
ベル、再びの
それも今回は、座り込む命の目の前に
生まれて初めて目にする、比喩でも何でもない目と鼻の先での
彼女の人生で、この出来事以上の事件はこれから起こりえないだろうと確信できるほどに、衝撃的な光景だった。
呆けていた命は、無意識の内に両手を上げ――――。
パチパチパチ。
拍手を送っていた。
何故そんなことをしたのか命自身も理解できていなかったが、ともかく凄い物を見せてもらったという衝動が彼女を突き動かしていた。
拍手を受けてドヤ顔を浮かべるベル。
小さいと言われたから大きくした。
これでもう小さいだの、可愛いなどとは言わせない。
実際、
「ほ~。ほほ~。」
眼前に差し出された
こんな風になるんだ。
千草から性的なあれこれを教わっていた命だが、実物をここまで間近で見ると、また新しい発見があった。
ベルの生の性教育教材によって、命の性知識のレベルは急速に上昇していった。
「えい。」
「はうんっ!?」
命がいきなり
ただ見ているだけでは我慢が出来なくなったのだ。
「おお~!」
手でニギニギすると、その硬さが伝わってきた。
先程まではとても柔らかかったのにこんなに硬くなるなんてと、ちょっとした感動を覚える。
「あっ!んんっ!いやんっ!――――。」
手を動かす度に、ベルの口から普段聞き慣れない声が零れるのも楽しかった。
しばらく好きなように弄っていたが、ふと何かを思いついた命は
そして、これ以上下げられないというところまで持って行った瞬間――――手をパッと放した。
ペチン!
解放された
「あはははははははははははははははっ!!」
三度の爆笑である。
またしてもツボにはまった命は、
ペチンペチンと音が響く間、笑い声が途切れることはなかった。
「命さんいい加減にしてください!
僕だけオモチャにされるなんて不公平ですよ!」
命の手を掴んで止めたベルが、不満を露わにして叫んだ。
不公平も何も、股間を差し出したのはベル自身なのだから仕方のないことなのだが、酔っている人間の発言に整合性を求めるのは愚かなことである。
「う~ん、そうですよね~。不公平ですよね~。
――――よし!わかりましたっ!」
しかし、同じ酔っ払いにはなぜか通じたらしく、命は一つ頷くとザパッと立ち上がった。見事な姿態が再び露わになり、ベルの視線が囚われる。
水滴を滴らせる肌はそれだけでも色気を振りまき、本来秘められるべき部位が股間を刺激する。
温泉とアルコールによって肌をピンクに染め上げた身体は、もはやセックスシンボルと言っても過言ではなかった。
「はい、どーぞ。」
ムニュッ。
ベルは自分の股間が
なんと命は、女体に興奮を隠せないベルの目の前で、興奮を加速させるように両手でその豊かな双丘を持ち上げたのだ。
まるで召し上がれと言わんばかりに差し出されたそれは、持ち上げられたことでより豊かさが強調され、思わず飛び込んでしまいたくなるような魅惑の谷間を形成していた。
あまりにも刺激が強すぎる光景に、ベルは呼吸すら忘れて見惚れていた。
「……?どーぞ。」
何故か動きを止めたベルに首を傾げた命が、再び促すように胸をぽよんと弾ませる。
極東には”据え膳”という言葉があるが、その御馳走が美味しそうすぎると男は何もできなくなってしまうのだ。
「……む~、ど~ぞ!」
それでもなお動かないベルに、やや不満げな様子で三度乳房を差し出す。今回はより胸を張って突き出す形だ。
三度の催促に、ようやくベルが動き出した。
酔いと性欲でぐちゃぐちゃになった脳の一部で、女性に恥をかかせてはいけないという思考が湧いたのだ。
その動きは亀の歩みのようにノロノロとしたものだが、確実にベルの手は命の乳房へと近付いて行った。
羞恥のためか何なのかは不明だが、ベルと命、両者の心臓は嘗てない程高鳴っていた。
そして――――。
ツンッ。
「やんっ♡」
ベルの指が、命の乳首を突いた。
命の身体がピクンと震え、聞いたこともない可愛らしい声が零れる。
その声に反応したのか、ベルは何度も乳首を突き、次第に摘まむようになり、何時しか乳房を揉みしだいていた。
「……ん、……ぁん。」
一心不乱に乳房を揉むベル。
鼻息は荒くなり、全神経は手の平の触感へと集中していた。
手の動きに連動するように、命の口からは艶めかしい声が漏れ出る。それがさらにベルを興奮させ、手の動きを速めていった。
「ん――――っ!」
乳房を揉みしだきながらその先端を摘まみ上げた瞬間、命の身体が跳ねた。
ベルは童貞でありながら、胸だけで女性を気持ちよくさせることに成功したのだ。
荒い息を吐きながら、命は胸からベルの手を引き剝がす。離されてもなおにゅるにゅると動く手は、まだまだ揉み足りないと言わんばかりだった。
実のところ、ベルは股間で女性を満足させることはそのサイズから不得手であることが予想出来たが、手で満足させることは上手であったのだ。
勿論、ベルにそんな経験があるわけではないが、元来の小器用さと、無意識に女性の急所を突く技能が合わさり、命の乳房のいい場所をいいタイミングで刺激したのだ。
「こっちはここまでです。」
いまだ快感が渦巻いているのだろう、緋桜色の先端をビンビンにとがらせながら、これ以上ベルに乳房を揉ませまいと腕を掴んで動きを制止する。
このまま揉まれ続けたら、なにか新しい扉が開いてしまうような予感がしたのだ。
「今度はこっちをどうぞ。」
手を開放した命は素早くベルに背を向け、そのまま前屈みになると尻をベルに向かって突き出した。
「桃~。ふふっ。」
ベルのゾウさん芸へのお返しだろうか、突き出した尻を桃に例え、フリフリと揺らす。
目の前でプルンと揺れる尻に息をのんだ。
言葉の通り、それは正しく白桃のように見えた。
冒険者として鍛えているためにキュっと引き締まりながらも、程よく肉の乗った尻は腰の動きに合わせてプルプルと揺れ動く。
ベルの視線は胸の時以上に釘付けとなり、股間は最大限までそそり上がった。
本人も自覚はしていなかったが、ベルは胸よりも尻派だった。
アイズよりも豊満な身体を持つヘスティアや春姫に想いを寄せられながらも、一途にアイズを想い続けているのは、こういった性癖もほんの一部混じっているためかもしれない。
大好物を前にしたベルに、もはや胸の時のような躊躇は存在しなかった。
目の前で揺れる尻に手を伸ばし、ガシッと鷲掴みにする。
引き締まった尻肉は、指が簡単に沈む柔らかさを持ちながら、確かな反発を感じさせる張りを有していた。
端的に言って極上だった。
ベルは全てを忘れて尻に集中していった。
尻の感触を楽しんでいたベルは、ふと思い立って尻肉をグイっと左右に広げた。
そこには、普段は谷底の奥にひっそりと咲く一輪の菊の花があった。
尻を揉む手に合わせてヒクンヒクンと反応するその菊花は、非常に可愛らしかった。
ベルは夢中になって尻を揉んでは時折開いて、菊花の反応を楽しんだ。
命は自身の尻肉が開かれるのを感じて、元々赤く染まっていた顔を更なる真紅に染めた。
胸を見られるのは何とも思わなかったが、いくらアルコールに溶かされた頭でも、お尻の穴を見られるのは恥ずかしいと感じたのだ。正直、乙女の秘部を見られた方がまだマシだ。
「ベル殿、さすがにそこは見ちゃ――――ダメですっ!」
ベルの行動を止めるために命がやったこと、それはヒップアタックだった。
元々お尻を突き出すような恰好だったために、そのままさらに尻を突き出すだけでベルの手を弾き飛ばすことが出来たのだ。
そこで事故が起こった。
尻肉を開かれたままヒップアタックを敢行したことで、その進路上にあったベルの
しかしこれは、見方を変えれば致命的な事故を逃れたとも言える。
なにせ、尻の進行上には
もし、ベルの
事故で二人の初めてが失われることは免れたのだった。
挿入の危機こそ逃れたベルだが、別の事故は起こっていた。
命の尻に挟まれたベルの
ほんの一擦り程度だったが、尻フェチにとって尻による刺激は手の何倍もの威力を有していた。
先端から発射された精子は、命の背中や髪を汚していった。
「……あれ?何かかけました?」
不思議そうな命を誤魔化すために、ベルは必死でお湯をかけるのだった。
その後も、温泉を楽しむというよりも、お互いの恥ずかしい部分の見せ合いのようなことを続けていく二人の笑い声が温泉内に響き渡っていた。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「「……………………。」」
存分に温泉を堪能してようやく上がった二人は今、正座をしながら向かい合っていた。服はちゃんと着ており、先程までの乱痴気騒ぎが嘘のようだ。
その顔は、いまだ二人ともに真っ赤だったがアルコールの影響はすでに消えていた。
問題は、アルコールに飲まれていた間の記憶が二人ともばっちりと残っていたことだった。
二人とも、自分がしでかしてしまったことに悶えていたのだ。
自分のいろんなところを触らせてしまったし、相手のいろんなところを触ってしまった。
恋人同士ですらしないようなこともしてしまった。
幸い、一線は超えていなかったが、そのギリギリ手前までのことはしていまったのだ。
「「あのっ!」」
声が被る。
再び俯いてしまう二人。
そのまま、気まずい沈黙が続く。
「きょ、今日のことはお互い忘れましょう!」
「そ、そうですね!」
「ええ!私達はただ温泉を楽しんだだけです!」
「いいお湯でしたね!」
「「あははははははは…………。」」
二人とも、今日起きた出来事は全力で無かったことにすることにした。
から笑いが空しく響く。
「で、では、そろそろ帰りますか。」
「ええ、帰りましょう。」
ぎこちない動きながら、地上に戻る準備を始める。
その時だった。
アルコールの影響が抜けきっていなかったのか、立ち上がったベルを見た命がついポロっと呟いた。
「……パオ~ン。」
「!?」
咄嗟に股間を手で隠したベル。
再び顔を真っ赤に染め、キッと命を睨みつける。
その様子が面白かったのか、命の口元が僅かに緩んでいた。
「あ、いえ、その……。」
「……桃。」
「なっ!?」
今度は命が尻を隠した。
ベルとしては珍しく、やり返した形だ。
「ベル殿っ!?ついさっき忘れるって言ったじゃないですか!?」
「先にやったのは命さんでしょ!?」
「だってあんなの忘れられるわけないじゃないですか!?」
「僕だってそうですよ!」
喧々諤々と言い争いを始めてしまった。
二人の口論は留まることを知らず、あそこを見られた、どこを触られたと、先程の事件を掘り返していった。
「「はぁっ、はぁっ……!」」
だいぶヒートアップした二人が、息を整えるために一瞬黙りこくる時間が生まれた。
その瞬間、二人の視線が交差する。
すると――――。
「「……ぷっ。あはははははははっ!」」
何が琴線に触れたのか、二人同時に笑い出した。
「……まあ、やってしまったことは仕方がないですから、もういいですよ。
それより、色々と無遠慮な真似をしてしまって申し訳ございませんでした。」
「いえ、こちらこそ。女性に対してあんなことをしてしまってすいませんでした。」
「気にしてませんよ。それに私はベル殿のあんな姿を見るのは初めてではないですし。」
「その節も含めて本当にすいません。」
「いえいえ。」
お互い吹っ切れたのか、一転して和やかな雰囲気が漂う。
二人の間柄は、温泉に来るまでよりもグッと近付いていた。
お互いの全てを曝け出したことで取り繕う必要が無くなったのだろう。もはや親友と言っても差し支えないかもしれない様子だ。
それぞれに想いを寄せる相手がいなければ、行く行くは恋人になっていたかもしれない程に、二人の仲は急速に縮まっていた。
「また一緒に温泉にいきましょう。」
「その時はまた一緒に入りますか?……全裸で。」
「!?」
命の揶揄うような言葉に、ベルが顔を赤くする。
そして、その言葉で先程の命の姿が頭に鮮明に浮かび上がってしまった。
「――――あっ!」
当然の様に、ベルの股間がテントを張った。
それをしっかり目撃した命が、納得したように呟いた。
「やっぱり、ベル殿はスケベですね。」
何も言い返せないベルだった。
こうして、二人の温泉騒動は幕を閉じた。
ベル君は尻フェチ。
アイズさんの胸は揉んだことないけど、尻に顔をうずめたことは何回かある。