ダンまちはもっと肌色が多い方がいいと思うんだ。 作:黒のトビ
今回は、定期的にベルくんをイジメたくなる病が悪化したため、ベルくんがかなり酷い目にあいます。
人によっては不快に感じる描写も含まれておりますので、カワイソウなのはヌケないという方はブラウザバックして下さい。
良心を母親のおなかの中に置いてきた、真正のドSの方だけお進みください。
スロットがジャラジャラとコインを吐き出す音。
バーテンダーがシェーカーを振ってカクテルを作る音。
トランプを握り、目の前のテーブルを睨みつける男の呻き声。
広々としたホールに健全とは言い難い騒音が響く。
ここは
「……穢れた臭いがします。」
「まあまあ、我慢するしかないですよ。」
そんな欲望の坩堝に、場違いな清潔さを孕んだ声が零れる。
そこにいたのは一組の男女。
白髪のヒューマンの少年と、薄緑色の髪のエルフの女性。
少年の名はベル・クラネル、女性の名はリュー・リオン。
片や善神たるヘスティアの眷属にしてお人好しの化身と言える冒険者。片や正義の心を内に秘めた豊饒の女主人の従業員。
二人ともに、このような人の欲と悪意が蠢く所にいるのは場違いと言える人物であった。
「依頼でなければこんな場所すぐに出ていきたいところです。
ガネーシャ・ファミリアはまだ仕事を終えていないのですか。」
「あはは、僕達はガネーシャ・ファミリアの皆さんが証拠を見つけるまでの時間稼ぎをしなくちゃいけないんですから、そんなに早くは無理ですよ。
皆さんの仕事が上手くいくよう、僕達も頑張りましょう。」
光の住人と言っていい二人がこの場にいる理由は、ガネーシャ・ファミリアからの依頼だった。
この
そこでガネーシャ・ファミリアは顔の割れている同ファミリアの人間ではなく、信頼できる外部ファミリアに協力を仰ぎ、自分達が
長くなるので経緯は省くが、そこから紆余曲折を経て適任者として【幸運】持ちのベルと、以前
「仕方がありません。
まあ、適当にチップを巻き上げていればいやでも注目されるでしょう。」
嘆息して周囲を見渡す。
一見すれば煌びやかな社交場だが、リューの目にはどこか薄暗く見えた。
その理由の一端がこの
彼らは普段の格好とは違い、スーツやドレスでめかし込みその顔には舞踏会でしか見ないようなマスクを着けていた。
これは彼らだけではなく、他の客や
ここでは個人情報を秘匿して遊ぶことが出来る。知られないということをいいことに、後ろ暗い遊びが夜な夜な繰り広げられているのだ。
「とりあえずポーカーでも――――。」
『紳士淑女の皆様。
これより一時の座興としてダンスショーを開催したいと思います。
御手透きの方は中央ステージ、もしくはお近くのモニターにご注目下さい。』
さっそくゲーム卓に付こうとしたところ、突如として
何が始まるのかと首を傾げるベルとリューを他所に、客達がゲームを中断し
二人もそれに習うようにステージ近くへと向かう。
『さあ、本日ダンサーを務めて下さりますのは、お客様としてご来場いただいたこの女性。
皆様、
ステージの上でマイクを握った男が大きな身振りでステージ中央を示すと、そこにスポットライトの光が集まる。
ショータイムの宣言と共に僅かに照明を落とされて薄暗くなったホール内で、そこだけが光に照らされて浮かび上がる。
そこにいたのは一人の女性だった。
他の客と同じようにマスクを付けた20代半ばくらいの女性だ。
しかし、その女性は周囲の人間と一点だけ致命的に違う点があった。
それは――――。
『今宵の演目は――――フルモンティダンス!』
その女性が、何も身に纏っていない全裸だったことだ。
「なっ!?」
「ええっ!?」
突然の裸体に、思わず驚愕の声を上げる。
リューは目を見開き。
ベルは顔を真っ赤に染め上げて目を覆った。
ステージ上の女性は胸と股間を両手で隠し、羞恥のためかマスクで隠した顔を真っ赤に染めている。体の震えを見るに、彼女が快く協力したという男の言葉は到底信じられなかった。
『ミュージックスタート!』
男の台詞と同時に音楽が流れだす。
すると――――。
「「「おおっ!」」」
女性は隠していた両手をほどき、己の全てを晒して踊り出した。
ダンスという言葉とは裏腹に、彼女の動きは踊りというには単調で、ただ単に音に合わせて体を揺らしているだけだった。しかし、只揺れているだけでも、剥き出しになった姿態はその振動をしっかりと受け止めていた。
人並み以上に実った乳房はブルンブルンと激しく躍動し、先端の赤みがかったピンク色の乳首が残像の線を描く。引き締まった尻がフリフリと揺れ、股間の秘部は無遠慮な野獣どもの視線に晒された。
「下種が……っ!」
食いしばった歯がギリッと音を立てる。
踊る女性のマスクの奥の瞳に光るものを見つけてしまったリューの心に正義の炎が滾る。出来ることなら今すぐにでもステージの上に飛び出し、女性を救出したかった。
しかし、今ここで騒ぎを起こせば潜入しているガネーシャ・ファミリアのメンバーが見つかってしまう可能性があった。この悪の巣窟を壊滅させるためにそれだけは避けなければならない。
砕けんばかりに拳を握り締め、必死に飛び出そうとする身体を押さえつけることしかできなかった。
悪夢のような時間は終わりを告げ、音楽が止まったと同時に身体を掻き抱いた女性がステージを降りると、客達は止まっていたゲームを再開しだす。
「行きますよ、クラネルさん!」
「え?は、はい!」
女性の屈辱を娯楽としか捉えていない者達に一瞬侮蔑の視線を向けたリューは、全裸ダンスの余韻に呆けていたベルの背中を叩いて戦場へと歩き出した。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「ベット……スリーカード。」
「コール。フォーカードです。」
「くっ――――!」
ディーラーの手札に呻き声を上げるリュー。
おかしい。こんなはずではなかった。
彼女は内心で、正しくギャンブルで身を持ち崩す人のような感想を浮かべていた。
彼女達の思惑は出だしから上手くいかなかった。
始めはスロットだった。
【幸運】持ちのベルであれば、運の要素が絡むギャンブルでバカ勝ちできてもおかしくない筈であったが、今宵に限ってはベルの幸運は鳴りを潜めてしまい、その他ルーレット、ポーカーなどを行って負け続けていた。
どんどん目減りしていく軍資金に、
これはある意味当然のことであった。
この
その理由としては、
スタッフの腕も高レベル冒険者ですら見抜けない程に洗練されており、高々経験が少しある程度のリューでは太刀打ちできるはずもなかった。
それに気が付くことなくゲームを始めてしまった二人は、まんまとカモにされてしまったのだ。
(このままでは時間を稼ぐどころではない!
チップもゼロどころかマイナスまでいってしまった!
いったいどうすれば……!)
危機的状況を挽回しようと必死に頭を回転させるが、何一つとしてアイデアは浮かんでこなかった。
ガネーシャ・ファミリアが突入してくる気配はない。証拠集めにはまだまだ時間がかかりそうだ。なんとしてでも、それまでの時間稼ぎが必要だというのに、もはや彼女にできることはなかった。
「お客様、チップのお支払いが足りていないようですね。」
俯くリューにディーラーがさも心配そうな顔をして話しかける。
ベルとリューの負け分は破産するといった程ではないが、それなりに大きかった。店側が上手くリュー達を翻弄し続けた結果だった。
「私共としても大変恐縮なのですが、こちらもビジネスとして不足分をお支払いいただかない訳にはいきませんでして……。」
支払いが足りない以上、それを補填するナニかが必要になる。
ディーラーはリューの耳元に顔を近づけ、悪魔のささやきを告げる。
「ですがご安心ください。
お客様であれば特別に、私共のショーにご協力いただくだけで不足分を帳消しにさせていただきます。」
リューの背筋がスーッと凍り付くと同時に、怒りの炎が燃え盛る。
こいつらはそうやって客を餌食にしていたのか。
キッとディーラーを睨みつけるが、ディーラーのにこやかな顔は揺らがない。
目の前の男を殴り飛ばしたい衝動に駆られるが必死に抑える。ここで手を出してしまえばガネーシャ・ファミリアの捜査の邪魔になってしまうし、なによりゲームに負けて暴れるなどすれば公的にも悪いのはリューになってしまう。
(くっ……!なにか、なにかないのかこの状況を覆す手はっ……!)
脳裏につい先程隠すべき場所を全て晒して踊る女性の姿が浮かぶ。
あれを自分が行う。そう考えただけで全身に虫がはいずり回るかのような嫌悪感に襲われる。
絶対にそんなことはできない。したくない。
「お客様程にお美しい方にご協力いただければ、きっとショーは素晴らしい物となるに違いありません。」
マスクに隠されながらも間違いなく一級品であることが分かるリューの顔を視線で嘗め回しながら囁く。これほどの上玉逃してなるものか、と心の内に下卑た思いを秘めながら。
そう、リューは最初から
マスクで隠しきれない美貌を持つリューをステージに上げるため、
スロットは当然操作され、ルーレットやポーカーのディーラーは
そして彼らの卓越した観察眼で、リュー達には簡単に負け帰れない事情があることを見抜いた彼らは、テーブルでリューを散々煽り、引くに引けないところまで追いつめたのだ。
(このままでは私もあのステージの上で……!)
追い詰められている時に浮かぶ案など、大抵の場合ろくでもないモノばかりだ。
(…………私が……脱げば……時間稼ぎになる……か……?)
視野狭窄に陥った思考が最悪の結論を出そうとする。
任務を遂行しなければいけないという使命感。
女性をオモチャのように弄ぶ
何もできずにチップを失ってしまった敗北感。
それらが渦巻いてリューの頭はぐちゃぐちゃになっていた。
「…………わかり――――。」
遂に心が屈してしまいそうになったその瞬間。
「待ってください!僕が変わりにやります!」
リューの目の前に、小さくも大きな背中が立ち上がった。
ベルは悔いていた。
実力を見込まれて頼ってもらえたのに何もできない自分の弱さを。
ベルは怒っていた。
目の前の女性が悪意に飲まれそうになっているのをただ見ているだけな自分に。
このまま何もせずに、先程の女性のようにリューの裸体を衆目に晒すなど、男として耐えられるはずもなかった。
ならば自分が身代わりになればいい。
リューを犠牲にするよりも、自分が犠牲になった方が遥かにいい。
自分ならどんなことをされても構わない。
もしこの提案が受け入れられなければ、もはや任務など知ったことかと暴れるつもりだった。
「なっ!?ダメです!あなたがそんなことする必要は――――!」
「大丈夫です。」
リューを安心させるため、マスク越しでもわかるようにっこりと笑顔を浮かべる。
「貴方は僕が守ります。」
あまりにも男らしく、そして優しい笑顔にリューは言葉を失った。
「いえ、生憎ですが――――。」
目の前で青春の一ページのようなやりとりを繰り広げる二人に、何言ってんだこいつらと内心せせら笑っていた男がベルの提案を切り捨てようとした時、男の脳裏に一つの閃きが走った。
(いや待てよ。
最近は女の客も増えてきたし、こいつを使えば新しい固定客を獲得できるかもしれねぇ。)
このショーのダンサーは基本的に女性だ。
これまでステージに男が上がったことはなかった。
ディーラーはマスクに隠れたベルの顔をじっと値踏みする。
マスク故にはっきりとは見えないが、それでも中々に整った顔をしているのは見て取れた。
こいつのショーであれば女共も満足する仕上がりになるだろう。
ディーラーの頭の中で算盤が高速で弾かれていく。
「わかりました。」
「えっ?」
「こちらとしましても嫌がる女性を無理やりというのは矜持に反します。
であれば快くご協力いただける貴方にショーのお手伝いをお願いします。」
あれほどまでにリューに熱い視線を送っていたディーラーの手の平返しに、何か不審なものを感じた二人が警戒するが、ベルにとって都合がいいことには変わりない。
ディーラーに従ってステージ裏へと進んでいくベルの背中を眺めることしかできないリューは、無力感に唇を噛んだ。
(こいつに難癖付けて女の方も剥いちまえば一石二鳥だぜ。)
悪意は二人が想像するよりも底が知れない。
◇―――――――――――――――――――――――――――
『紳士淑女の皆様。
此度はいつもと少し違った趣向のショーをお届けしたいと思います。
特に淑女の皆様は、今回の特別ショーをしっかりと目にお焼き付け下さい。』
ステージ上で声を張り上げる司会の男の背を見ながら、ベルは死刑台を前にした囚人のような気分を味わっていた。
あとほんの少しで自分はステージに上がり、産まれてこの方受けたことのない恥辱を味わうのだ。
ベルの心に暗い影が差す。
(いや!リューさんを助けるためだ!ここで挫けてどうするんだ!
それに人に見られるなんて今更のことじゃないか!
大丈夫!大丈夫だ!)
今にも折れそうな心を必死に鼓舞していると、袖に控えていたスタッフにステージに上がるよう促される。
ステージ上には暗幕が張られ、客からはベルの姿が見えないようになっていた。
『今宵、踊っていただくのはこの方だ!』
司会の台詞と共に暗幕が開いた。
瞬間、客席からは男たちの笑い声と、女性達の黄色い嬌声が上がった。
それも当然、ステージに立つベルは仮面以外の衣服を何一つ身に着けていないのだ。股間こそ両手で必死に隠しているものの、ベルが完全に裸であることは見て取れる。この後のショーが始まればどうなるかを想像し、観客達は愉悦に顔を歪めた。
『ショーの主役はこの少年。
なんと現役の冒険者だそうです。
ダンスのキレにも期待が持てますね。』
確かに冒険者は身体能力が一般人よりも遥かに優れているが、彼らが期待しているのがダンスのキレなどではないことは明らかだ。
『では、ショータイム!』
司会の声と共に音楽が流れだす。
それを聴いたベルは――――。
プルン。
「「「あははははははははは――――――!」」」
客席が笑いに包まれる。
ベルは音楽と同時に両手を股間から放し、隠していた己の秘部を観客に開帳した。
そこにあったのは勿論ベルの
やや小振りと言えるサイズ。
日に当たらない為、他の部位よりも色は白く。
縮こまった
観客達の目に飛び込んできたのは、
男はその小振りさに嘲笑を浮かべ、女はその可愛い様に愛くるしさを覚える。
『おおっと、レベルは伺っておりませんでしたが、どうやらレベル1だったようです。』
ベルの
笑い声を全身に浴び、股間で視線を受け止めるベルは、もう限界に近かった。
目尻に涙が浮かび、今すぐにでもここから逃げ出したい気分だった。
そんなベルの視界に、ステージ最前列に無理やり連れてこられたリューの姿が映る。
「――――っ!」
零れ落ちそうになる涙をグッと堪え、前を向く。
屈辱、羞恥、絶望。
胸に次々と浮かんでくる負の感情を無理やり抑え込み、心を奮い立たせる。
そうだ、自分はリューを助けるためにここにいるのだ。
こんなところで折れている場合ではない。
たとえ顔も知らない人達に自分の
たとえリューに自分の
決して折れるわけにはいかないのだ。
ベルが決意を固めていると、音楽がイントロを過ぎAメロに入る。
それと同時にベルは腰をグッと突き出し――――。
プルンプルンプルンプルン――――!
激しく腰を振り始めた。
「「「っあはははははははははははは――――――――っ!!」」」
客席から爆笑が起こった。
リズムに合わせて腰を振るベル。
連動して、音楽から僅かに遅れて揺れる
その滑稽さに観客はもう嗤いが止まらなかった。
もはやベルは何も考えられなかった。
ただひたすらに音に合わせて腰を振る。
自分の股間がどうなっているかなど見なくてもわかる。
設置されたモニターには画面いっぱいに揺れる
この映像は保存され、後々脅しに使われるという悪辣な仕掛けとなっていた。
しばらくすると音楽がサビに入り、テンポがさらに早くなった。
「ふっ――――!」
ピチピチピチピチピチッ――――!
「「「あーっははははははははははははははははは――――――――――――っ!!」」」
テンポに合わせてベルの腰を振るスピードも加速する。
暴れに暴れる
それが観客の更なる嗤いを誘った。
永遠とも感じる時間を、ベルは必死に
そしてとうとう、この地獄の時間は終わりを迎える。音楽が終曲へと至ったのだ。
解放される。
そう思ったベルの心に、大きな安堵が浮かんできた。
これが不味かった。
心の緩み。
それがベルの身体にとある変化をもたらした。
ピクッ!ムクムクッ――――!
なんとベルの
これはある種の誤作動のようなもので、決してベルが大勢に見られて興奮してしまったわけではない。
しかし、この予想外の事態にベルは咄嗟に動いてしまった。
「――――わぁっ!?」
まだ曲が終わる前だというのに股間を咄嗟に隠してしまったのだ。
『おや、これはどうしたことか。
ダンサー突然の小さなスタンドアップ。
どうやら彼は皆様に見られて興奮してしまったようです。
こんなにお子様なのに見られたがりなのでしょうか。』
司会がそんなベルの
彼はそのままベルに近寄り小さな声で話しかけた。
「お客様困りますよ。
約束は守っていただかないと。」
「す、すいません!でも、これはっ!」
「こうなってはお連れの女性にもご協力いただかなくてはいかなくなりますね。」
「なっ!?それだけはっ!」
実はベルはステージに上がる前にスタッフと一つ約束事を決めていた。
それは、演奏中は決して
しかしベルはそれを破ってしまった。
司会の男の脅しにベルの頭は真っ白になる。このままでは自分のミスでリューにもこの地獄を味わわせる破目になってしまう。
リューがこのステージに立ち、その美しい裸体を野獣の如き男達に嬲られる様を想像する。
背筋が凍った。
それだけはダメだ。絶対に許容できない。
「なんでもします!だからそれだけは!」
必死に懇願するベルを見て、男はベルに悟られないように嘲笑を溢した。
(まったく、こんなに都合よく進むとは。)
元々男は曲が終わる前に、妨害して約束を破らせるつもりだった。
そのための人員もステージの陰にスタンバイしていた。
しかし、ベルの自爆によってその必要もなくなり、男としては手間がかからず万々歳だったのだ。
「わかりました。
私も鬼ではありません。
お客様がこの後の余興にお付き合いいただければ不問といたしましょう。」
ベルにこれを拒否する力など残っていなかった。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「では、お客様方。
次のショーを執り行わせていただきます。
次はお客様参加型のゲームです。振るってご参加ください。
こちらの冒険者様には引き続きショーご協力いただきます。」
観客に説明した司会が手を叩くと、ステージ脇に待機していた露出度の高い服を着た女性が二人ステージに上がってきた。
「では失礼します。」
「えっ?――――――――ええええぇぇぇぇ!?」
ベルの下に近付いた女性二人は、ベルに一言声をかけるとベルの両足を抱え大きく持ち上げた。
一瞬呆けたベルだったが、自分の今の格好を認識すると混乱の大声を上げた。
ベルの今の格好は、二人掛かりで両脇から足を持ち上げられ思いっきりかっ開かれた、赤ん坊がおしっこをさせられる時のような姿だった。
これにはベルもより一層顔を赤く染め上げる。
なぜならば、この体勢では足を強制的に開かれていることで
しかも、がっちりホールドされているため逃げようにも逃げられない。
冒険者の膂力でも逃げられないよう、抱えている女性も第三級冒険者といった手の込みようである。
「あ、あ、あ、あああぁぁぁ…………。」
今まで以上に
どのモニターにも
それは嘲笑の視線でもあった。
視線に反応してか、時折ピクンと震える
ここにきて、ベルのい心は再び折れかけていた。
ようやくゴールというところで延長戦を告げられたのだ。
いかに不屈のベルであっても、もはや限界であった。
『お次のショーは、タイミングゲーム!
お客様のどなたかにご協力いただき、音楽が流れている間、この少年のペニスをシゴいていただきます。
そして、サビに入ったと同時に射精させられれば成功です。
サビより前、もしくはサビが終わってから射精させてしまった場合は失敗です。』
司会の言葉を聞いたベルの背筋が凍った。
あまりにもあんまりな悪趣味なゲームに言葉も出ない。
視界の端に、飛び出そうとしたリューが複数の冒険者に取り押さえられるのが見えたため、助けも期待できない。
ここにきて、
ベルのフルチンダンスが予想以上に盛り上がったため、集客の増加を予想して箍が外れだしたのだ。
ベル達の騒ぎを起こし、時間稼ぎをするという任務としては大成功に近かった。
本人の被害に目を瞑ればだが。
『ではそちらのお嬢様にご協力いただきましょう。
ステージへお上がり下さい。』
ステージに上がってきたのは、マスク越しでも初老程度の年齢であることがわかる女性だった。決してお嬢様と呼ばれるような年齢ではない。
彼女はおっぴろげられたベルの股間をねっとりとした視線でねめつけると、にちゃりと音が鳴りそうな笑みを浮かべた。
「あら、ほんとかわいい子。食べちゃいたいくらい。」
あまりにも粘っこい視線を浴びた
ベルの脳裏に嘗てイシュタル・ファミリアに捕らえられていた時に、フリュネに股間を揉まれた記憶が蘇っていた。
「こら、男ならちゃんと
「はぅん!?」
徐々に小さくなっていく
たったそれだけのことなのに、萎えかけていたベルの
とても素直なその反応に、
『お客様、意気込みはどうですか?』
「素敵なプレゼントを贈られた気分だわ。
しっかり
またしても観客が爆笑に包まれる。
それを後押しするように、モニターにもベルの
とうとう堪えきれなくなったベルの目から、ツーッと一筋の涙が伝う。
『ではそろそろゲームのお時間です。
お嬢様、ご準備ください。』
「ええ、よくってよ。」
「はうっ!?」
その言葉と同時に、女性がベルの
敏感な部分を触られたベルが思わず声を漏らした。
『ゲームスタート!』
音楽が鳴り始めた瞬間、女性がゆっくりと手を動かし始めた。
「あっ、いや、だめぇっ――――!」
ベルは勢いよく
先端から飛び出した精液はステージすら飛び越えて、ホールの床へと落ちていった。
なにせ音楽は、サビどころかまだイントロが始まったばかりなのだ。
シゴいていた女性も、司会の男も、観客も、リューですらポカンとした表情を浮かべて、
次の瞬間――――。
「「「あーっははははははははははははははははははははははは――――――――――――っ!!!」」」
『な、なんという速さ!
まさに一瞬の決着!
この少年、レベルは1ながらも【敏捷】だけは第一級冒険者並だった!』
その場の誰も彼もがその速さを嗤う。
観客もスタッフも、全ての人が大嗤いしていた。
中には嗤い過ぎて床に蹲っている者すらいた。
例外は沈痛な面持ちで目を伏せているリューと――――。
『短小!包茎!早漏!
少年の男としてのステイタスはあまりに低かった!』
「ぐす……ひぅっ……。」
涙を流しながらしゃくりあげているベルだけだった。
ベルの心は完全に折れていた。
ここにいるのは最早勇敢な冒険者ではなく、年相応の男の子に過ぎなかった。
「あら、もう終わり?
せめてもうちょっと頑張ってほしかったわ。」
ベルを
これが終わったらこの少年は必ずお持ち帰りしてゆっくり味わおうなどと、身勝手なことを考えながら
「あぅっ――――!」
『――――おや?これは……。』
目敏く
『どうやら【敏捷】だけではなく回復力も優秀な冒険者だったようです。
お嬢様、せっかくなのでリトライなさいますか?』
「ええ、勿論よ。」
悪夢の宴は終わらない。
これ以上続けられたらベルが壊れてしまうと、リューが形振り構わずに全力で飛び出そうとした瞬間――――。
「ガネーシャ・ファミリアだ!お前たち全員逮捕する!」
入口の扉を蹴破ってガネーシャ・ファミリア団長、シャクティ・ヴァルマが飛び込んできた。
「なっ!?ガネーシャ・ファミリアだと!?」
その隙を突き、リューが飛び出した。
取り押さえていた冒険者を弾き飛ばし、素早くステージに上がるとベルの
「遅くなってすまない。
映像はこちらで必ず処分しておくから、彼を頼んだ。」
「っ!……わかりました。お願いします。」
その言葉に
シャクティとしても、自分達の依頼でベルにここまでのことをさせてしまったと忸怩たる思いだった。
リューの腕の中の少年の様を見ると心が軋んだ。
涙の跡が伝う顔。ぐったりと力なく弛緩した手足。散々悪意に弄ばれて怯える様に縮こまった
その凄惨さに顔を背けたくなる。
しかしそれは許されないことだ。
「全員捕らえろ!一人も逃がすな!」
走り去るリューの気配を背中で感じながら、シャクティは巨悪の根絶のために前を向いた。
今宵、多くの悲劇を生み出し続けてきた悪の一つがようやく滅びを迎えた。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「うぅ、ぐすっ…………。」
なにせ今のベルの格好は、マスク以外に何も身に着けていないすっぽんぽんのままだったのだ。人目のある表通りを行くことなど出来はしなかった。
これはリューのミスで、脱出の際に服の一つでも拝借してくるべきだったが、それを忘れていた。
だがそれはしかたのないことで、リューは一刻も早くあの場所からベルを遠ざけたかったのだ。
周囲を確認し人気がないのを確認してホッとしたところ、別の問題が起こった。
一息ついたことで僅かに冷静になったのだろう、ベルが泣き出してしまったのだ。
悍ましい経験に心が不安定になっていたベルは、まるで幼子のように声を上げて泣いた。リューは必死に宥めすかしたが、しばらくの間ベルの涙が止まることはなかった。
(いったいどうすれば……。)
声を上げて泣くことはなくなったが、いまだにぐずっているベルの様子を見て途方に暮れる。
地面にへたり込むベルの姿は、普段の優し気な様子とも、戦闘中の勇ましさとも違う、恐怖に震える14歳の少年そのものだった。
丸出しのままの
傷ついたベルをこのまま帰してはいけない。
今のベルのボロボロの心では、今後冒険者として生きていくことはできないかもしれない。
なんとかベルを勇気づけなければ。
それが助けてもらったリューの義務で、正義であった。
(…………。)
シュルリ――――。
◇―――――――――――――――――――――――――――
「クラネルさん。」
俯いたままいつまでも泣き崩れているベルに、リューが声をかける。
だがベルは顔を上げることもなく俯いたままだ。
「クラネルさん。こっちを見てください。」
それでもリューは根気よくベルに声をかけ続けた。
何度も声をかけている内にようやくベルが反応し、俯いていた顔をのそのそと上げ――――。
「――――えっ!?」
驚愕の光景に目を見開いた。
「クラネルさん。これが貴方が守ってくれたものです。」
リューの優し気な声が響くが、先程とは別の理由でベルは反応できなかった。
それほどまでに目の前の光景は信じられないものであった。
ベルの視線の先に――――。
全裸のリューがいた。
着ていたドレスは脱ぎ捨てられ、完全なる一糸纏わぬ姿がそこにあった。
形よく意外なほどに大きな乳房も。
先端で淡く色付く桜色の乳首も。
キュっ括れた腰も。
安産型の引き締まった尻も。
ほんのり羞恥に赤く染まった頬も。
そして意外なほどに幼気な秘裂の奥に、うっすら見える桃源郷も
女神の如き美貌の全てがベルの眼前に晒されていた。
「え!?リューさん!?なんで!?」
泣いていたことも忘れて、大慌てするベル。
それでいて視線はリューの身体から離れることはなかった。
ベルはこれまで幾度となく女性の裸体を目にする機会があったが、それと比べても目の前の裸体は魅力的過ぎた。
「あなたのおかげで、私はあの下卑た連中にこの身体を弄ばれずに済みました。
傷付いて、こんなにボロボロになってまで私を助けてくれたのです。」
グッと手を引いてベルを立たせると、しっかりと目を合わせて真剣な表情で語りかける。胸の中に溢れる感謝の気持ちが少しでも伝わればいいと、少しでも彼の癒しになればと。
ベルの、血のように赤く、それでいて暖炉の火のように優しい瞳を見つめていると、心の中にどんどん暖かな物が溢れてくる。
羞恥ではない、何か未知の熱が頬を赤く染める。
彼の力になれるのなら何でもできる。
心からそう思えた。
「ありがとうございます。」
チュッ。
「……………………ふぇえっ!?」
リューの顔が近づいたと思ったら、頬に柔らかな感触を覚えた。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
時間が経つにつれじわじわと思考が回復し、事態を把握したベルが素っ頓狂な悲鳴を上げた。
キスされた。
あのリューさんに。
その事実が、ベルを混乱の極致に陥れる。
生まれて初めて異性から贈られる口付けに、心がふわふわとしてまるで空を飛んでいるかのような感覚を覚える。
正確には、アスフィに
「貴方は素晴らしい人です。」
ベルが呆けている間に、リューは更にベルの身体に密着する。
「誰が何と言おうと、貴方はあの場の誰より勇敢で。」
顔をなぞる指が、胸へと下がっていく。
「強く、逞しく。」
指は腹へとたどり着き、更に下へ下へと降りて行く。
「立派な男性でした。」
そしてとうとう辿り着いた。
しゃがみ込んだリューの目の前に、ベルの
トロンと熱に浮かされた目でそれを見つめていたリュー。その様は、普段のエルフ然とした態度からは想像できない程に淫靡で、どこか娼婦のような印象を受ける。
リューは流されるように指を肌に伝わせ――――。
「はぅん!?」
プルプルと揺れる
もうベルにはこれが現実なのか、夢でも見ているのか区別がつかなくなっていた。
なにせ、あのリューが全裸で跪き、自分の
ただでさえエルフは気位が高く、手に触ることさえ許さない者も多いというのに、とりわけエルフらしいリューがその白魚のような指で
しかし、股間に感じる指の柔らかさだけが、これが現実であると伝えていた。
「――――あっ!?」
ムクムクッ!
そして、
ベル、再びの
まるで、沈んでいたベルの心が再び浮かび上がってきたことを表現するかのように、それは元気に天を目指していた。
「……ふふっ。」
目の前で大きくなる一部始終を目撃したリューが小さく微笑む。
それは決して蔑んだ笑いではなく、母性すら感じさせる慈母の微笑みだった。
元気いっぱいに主張するそれを前に、リューは――――。
「クラネルさん。
これは――――――――お礼です。」
パクリと
「――――ええええぇぇぇぇっ!?」
ベルは驚愕した。
生まれてこの方これ以上に驚いたことはないと言わんばかりに声を上げて驚いた。
リューが自分の
ちゅぷ、はふ、あむ――――。
「はふんっ!?」
リューが舌で
口淫というよりもただ舐めているだけと言えるような拙く、テンポも悪いものだったが、一生懸命行われたその行為は信じられない程の快感をベルに齎した。
ベルの脳は、身体に信号を送ることはなくなり、ただただ届けられる快楽に蕩けるだけだった。
リューはエルフである。それも潔癖と言えるようなエルフらしいエルフである。
そんなリューが何故、このような男を喜ばせる術を心得ているのか。
それは、彼女が『豊饒の女主人』の従業員であることに起因している。
『豊饒の女主人』は酒場である。そこで交わされる会話は、少なからずそういった系統の物も含まれる。普段はそのような下品な話は、心の中で軽蔑しながら聞かないようにしているのだが、どうしても入ってきてしまう音は存在する。このリューの口淫も、そんな聞くとはなしに聞いてしまった猥談の中身の一つだった。
唾棄すべき事柄であっても、世の中何が役に立つか分からないものである。
仄かな温かみがあった
下品な水音を立てて
仮に誰かがこの光景を目撃したとして、彼女が娼婦ではないと言って、いったい何人が信じるであろうか。
それでもリューはその口で、舌で、ベルの
感謝はすでに言葉で伝えた。ならば今度は行動で伝えるのだ。
貴方は素晴らしい。
自分がここまで乱れてしまう程に魅力的な男性なのだと。
思いよ伝われと言わんばかりに、激しく、淫らに、一途なまでに、自らを目の前の英雄に捧げていた。
「あっ!はぅ!あぁん!――――。」
初めて体験する快感に、口から自分の物とは思えないいやらしい声が零れる。
リューの頭の動きが激しくなっていき、ベルは早々に限界を迎えようとしていた。
元々
そして遂に――――。
「――――あっ。」
小さな喘ぎ声と共に、ベルはリューの口内で
「んむっ!?」
突如として口内に溢れた生臭さに、目を見開くリュー。
勢いよく発射された精液は喉の奥を直撃し、思わずえずきそうになるが、それを意志の力で押さえつけ、一滴も漏らすことなくゴクリと飲み込んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ…………。」
精液を飲み込んだリューが、媚薬でも盛られたかのような蕩けた顔で息を荒げる。
その一部始終を見ていたベルは、そのあまりのエロさにつばを飲み込んだ。
自分の子種を口で受け止め、あまつさえ飲み込んだリューは、いつもの凛々しさが吹き飛び、とんでもない淫靡さを身に纏っていた。
一つ一つの仕草が艶めかしく、精液を嚥下した姿など、
如何なる美神でも魅了できなかったベルは、たった一人のエルフにどうしようもない程魅了されたのだった。
それからしばらくの間、裏路地には全裸で蕩けた顔を晒すリューと、それに見惚れる全裸のベルが放置された。
その後、正気に戻った二人が大いに慌て、結局二人が服を着たのは日がとっぷり暮れてからのことだった。
後日、街中で再会した二人はめっちゃギクシャクした。
リューはそのことをシルにめっちゃ詰められた。
イヤがる人が無理やり恥ずかしいことをさせられていることに興奮するのはドSの証でしょうか。
そして、ベルくんは何故こうもイジメたくなるのでしょうか。