なんとなく分かっていると思いますが、私は美女を殺したくない主義です。そしてウォルバクが割とお気に入りです。でも、魔王軍幹部は無力化しないといけません。じゃあ、しょうがない!酷いことするか!って感じの回になります。
またお暇な時にでもお付き合いください。
季節は初夏。夏の暑さを紛らわせようと、子供たちが水風船で遊んでいる。まぁ、たまにはそうやって童心に帰るのも良いだろう。折角カズマが作ってくれたので、あたしも同僚のウォルバクにぶつけてやろうと思う。まぁ、風船の中身が水かは別として……
「待って待って!悪かったから!虚偽の報告は本当に謝るから!だからその汚い水風船をこっちに向けないで!」
「何が二人に先を越されるだよ!あたしの覚悟とか純情とか諸々を返せ!あれからカズマの顔が直視できないんだよ!二人きりになる度にキスとか色々されるんだよ!!」
「………えっ?むしろ拒まず応じているのだから、私は感謝される立場じゃ……わぷっ!」
パシャッ!
よし!腹立つ顔面を完璧に捉えた!
「うわっ!なにこれ生臭い!あ、貴女まさか男のアレを?!女神になんてものぶつけるのよ?!」
「おっと、残念だがそれは白く着色したカエルの粘液だ!何だと思ったって?この耳年増女神め!処女だからご存じなかったようだな!」
「〜〜!!ハメたわねこの淫乱プリースト!カズマにハメられた仕返しに私をハメたわね!と言うか、貴女もギリギリ処女じゃない!」
「いやそれ全然上手くねぇし!女神が下ネタ言ってんなよ!そんなにお望みなら、カズマの方もくれてやるよ!」
バシャッ!
「な、何するのよ!こ、こんな男のなんて…なんて汚らわしい…はぁはぁ…最低だわ……」スンスン
「バーカ!そっちはブルータルアリゲーターの粘液だよ!どっちが淫乱だこの処女ビッチ女神!」
「な?!ここまで私をコケにするなんて……それなら貴女も道連れよ!女神の恐ろしさを思い知りなさい!たぁー!」
「いやこっち来んな!流石にそれは予想外で……ひぎゃー!」
べちょっ!
………………………………………
「はぁ…それで結局打ち合わせは風呂かよ……」
「貴女のせいでしょ…全く…凄い注目浴びたわよ……男共が凄い前屈みだったし……あぁ、汚らわしい…」
「いや、お前さっき粘液に興奮してた気が…」
「やめて!私は可愛い年下が好きなの!あんなおっさん願い下げよ!」
いや、それただ性癖の問題じゃねぇか!普通にお前も汚らわしいわ!っと普段なら突っ込んでやるところだが、その年下に組み伏せられた私は強気には出られない。そして、協力者との関係をいたずらに悪くしても仕方ないし、別にカズマ個人を狙ってる訳では無いようだし、今日のところは見逃してやろう。
「お前の性癖はさて置き…………結果としてカズマの籠絡は出来た訳だし、そろそろ勧誘に移ろうと思ってな。折角だからウォルバクの手も貸してくれないか?お前みたいな良識人が居れば、カズマの魔王軍への偏見も少しは解けるだろ?」
「残念だけど。それはちょっと先になるわね。私も明日から自分の任務で忙しくなるのよ。攻城戦をするらしいから」
攻城戦。あたしが把握している情報から考えると、こりゃ例の砦の話だな。あそこは戦況が硬直してるから、ウォルバクの力で押し返すつもりなんだろう。こりゃ作戦規模からして1週間はかかりそうだ。
「そうなりゃ、この計画は当面先延ばしだな。こっちも大規模討伐クエストに出なきゃならねぇ。戻るまで作戦は延期にしとくよ」
「ふふっ、精々仲良くしておきなさい?彼が魔王軍へ加入したら、イチャイチャする時間が減っちゃうからね?」
「ふざけんな!アイツはあくまで下僕だ!そこんところ忘れんな!」
ったく!本当にこの恋愛脳は扱いに困る!やはり女神と言うのは、アクアやコイツみたいなのが普通なのか……
「あっ、そうだ。あのちょむすけって猫、探し求めてた私の半身なの!次会うときは連れてきてね?」
「お、おお〜……いやそれ最優先事項だろ?!なんであたしの報告をのんびり聞いてんだよ?!」
「最優先事項はセレナの恋愛成就でしょ!!」
駄目だ!やっぱり女神って馬鹿しかいない気がしてきた!でも今は馬鹿って言えない!あたしもこいつの使い魔とちょむすけが似過ぎているって気付いてたし!
……………………………
って話をしたのが3日前だった。
「……なんでここに居るんですか?」
「それはこっちのセリフよ……」
そんなアホ女神とあたしは、不本意ながら運命の糸が絡んでいるらしい。めぐみんの受けた『魔物の群れを連れ、爆裂魔法を使うウィザードミノタウロス討伐』のターゲットはどうやらコイツらしい。まぁ、確かに魔王軍として働くときは角付けてるし、ミノタウロスと言っても差し支えない乳をしているが、クエストの事前調査したクリスってやつの目は節穴に違いない。邪神とまで分からなくても、せめて悪魔だろ……
※同じ女神と認めたくなかっただけ
「おや、また会いましたね?シャイなお姉さん……」(イケボ)
「そ、そうね……貴方とはアルカンレティアぶりかしら……」
そして、何故か呼んでないのにあたしの風呂に付いてくるカズマ。まぁ、それは別に良い。戦地の近くの温泉だし?あたしを心配してくれた気持ちは嬉しい。だが、ウォルバクの方をガン見するのは違うだろ!そこは普通あたしじゃないのかよ?!あんな隙あらば迫りまくる癖に!
ギチギチギチ…
「痛い痛い!頬をつねるなって!なんだよセレナ、俺は懐かしの再会を喜んでただけだって!別にイヤらしい気持ちは無くてだな?!」
「それにしては視線が低過ぎます!この背教者!そんなに大きな胸が好きなのですか?!」
「おっぱいはサイズ問わず好きです!」
「誇らしげに言わない!」
ギチィ!
「あぁ〜!ごめんなさい!嘘ですセレナのおっぱいが一番好きです!」
「それも大声で言うことじゃないです!」
せめて二人きりの時に言え!
………
「うぅ…湯治のはずなのに傷が増えた……」
「自業自得です!」
「ふ、二人は随分仲が良いみたいね……」
ウォルバクの乳に暴走気味だったカズマは、両頬を真っ赤にしてやっと大人しくなった。こいつは本当に性欲にまつわる暴走が酷い。まぁ、水に浮くそのすんごいのが目の前にあれば、見ちゃうのは分かるけども……
「そういえば、セレナはお姉さんと知り合いなのか?さっきそんな会話が聞こえた気がして……」
「あっ…えっと…そうですね。旅の途中で少し……」
[おい!テレパシー使えテレパシー!]
※セレナの唇は、発声とは別の動きをしています。
「少し……なんだっけ?」
※しかし、ウォルバクに唇は読めません。
「テレパシー?それって…」
※でもカズマは読めます。
「ち、違います!そんな話してないです!」
「あれ?でも唇は……」
「気のせいです!」
くそっ!厄介な所だけ優秀なのはコイツもだった!だが、ウォルバクがボロを出したら色々と終わる!頼むからこれで気が付いてくれ!
[なるほど……テレパシーを使って口裏を合わせようってことね?]
[あぁ、あたしらの関係はまだ秘匿すべきだ。さっきので他人だって誤魔化しは無理だろうが、せめて関係性は違和感のないものにするぞ]
「任せなさい……あっ」
[任せなさい……あっ]
※ウォルバクはとても素直な性格なので、思念と発声を分けるなんて出来ません。
「えっと……任せるって何を?」
「わ、私達の出会いを語ってくれると言うことですよ!」
[本当に戦闘以外はポンコツだなお前?!]
[煩いわね!今のはケアレスミスってやつよ!ここから私の華麗なアドリブを見せてあげるんだから見てなさい!]
なにそれ不安しかねぇ!お前にアドリブとかできんの?!
「そう。私達の出会いは少し前……偶然行き倒れていた所に……」
[はいストーップ!いきなりやったなお前?!今時行き倒れ?!しかも、今あたしを行き倒れてたことにする気だったろ?!それは却下だ!あたしの今のキャラがおかしくなる!キャラの定まってないお前が行き倒れてた事にしろ!]
[何言ってるの?!私は女神なのよ!しかも、この後で魔王軍幹部として相見える可能性もあるのに、行き倒れてたらおかしいじゃない!]
[魔王軍幹部のお前が人助ける方がおかしいわ!あたしはプリーストだからセーフなんだよ!例えお前が魔王軍幹部ってボロを出しても「たとえ敵でも、尊い命に代わりはないのです」とか言うんだよ!]
[そんなの貴女の口から聞いたことないわよ?!それなら私が「争いに関係ない者は死ぬべきじゃないわ」って言う方が説得力あるわよ!]
くそぅ!やっぱり扱い辛い女神だな!あたしの外面の良さを考えろ!
「えっと……結局行き倒れってどっちが?」
「「そっちがです!」」
「いや二人とも行き倒れてたとかある?!ソレただの大ピンチじゃん!」
本当にな!くそっ!ここからカバーとかスゲー面倒だぞ!
「……せ、戦場で重症を負って倒れていたウォルバクさんと、負傷者の治療で過労を起こした私は、野戦病院の隣のベットで目が覚めまして……まぁ、お互いに情けない姿を見せ合いはしましたが、今では友人なんですよ…」
「そ、それは凄いな……」(過酷な運命が)
「うん!本当に凄いわよね!」(セレナのアドリブが)
いやウォルバクはこっち側な?!
………………………………
「へぇ、二人も戦争に参加するのね……なんか、あまり乗り気には見えないけど?」
「そうなんですよ!うちの爆裂馬鹿が「真の爆裂魔法の使い手は私です!」なんて張り切っちゃって、俺はもう帰りたいんですよ!」
「そ、そうなんだ……厄介な育ち方してるわね……」
あたし達の嘘みたいな……と言うか実際に嘘な身の上話を、カズマは疑いもせず信じてくれた。まぁ、こんなのカズマからすれば大した事はないのだろう。問題しか起こさない女神に爆裂魔法しか使えないアークウィザード、そこに攻撃が全く当たらないクルセイダーが加わるなんて確率は、普通に考えたら限りなく0だと言って良い。自殺願望でもなきゃそんな面子は集まらない。
「でも、望まない戦争なんて来るものじゃないわ。それしか生き方を知らないなら分かるけど、貴方達はそんなこと無いでしょう?」
「そうなんですけどね……いかんせん契約と言うか成り行きと言うか、俺も一応勇者候補と言いますか……」
まぁ、特典が無くても勇者候補なのは違いないしな……
「あら、戦争への貢献って前線だけじゃないと思うわよ?裏で知恵を働かせるも良いし、国の発展の為に尽くしてもいいと思うの!」
[だから、セレナも彼の子を妊娠して大丈夫よ!]
[お前は良い加減その発想からちょっと離れろ!]
まぁ、引退したら養ってもらいたいとは思うけどさ……将来の備えとか無いし……
「そ、そうですよね?!俺には商売もあるし、頑張って自動小銃の開発とか進めたいですし!やっぱり帰るって言おうかな!」
「良いじゃない!クエストなんてキャンセルして帰っちゃいなさいよ!所で自動小銃ってなに?それ私の生活も楽になるやつ?」
「生活は楽にはならないですよ。人の頭を貫通する鉄の玉を毎秒10発、1kmくらい飛ばすだけの……要は兵器ですからね」
「……何それ、どういうことなの?!」
普通はそういう反応になるよな。アクアにも聞いたが、勇者候補共が武器を持ち込んでないのが本当に有り難いと思っちまう程に、あっちの世界の武器はエグい。何より低レベルな民間人がトロールを虐殺できる火力を持てると言うのがエグい。あたしらもチートみたいな能力持ちだが、そんな兵器が量産されたら勝ち目なんてない。
[ちょっと待ってよ!それが完成したら戦況はどうなるの?!それくらいシミュレートしてるわよね?!]
[あぁ、100セット量産されたら戦争は即終結するぞ。無論、こっちの負けでな……]
だから、今やカズマを前線から外すという選択肢も消えた。こんなの本格的に作られたら、そこらの平民でも魔王が狩れる可能性が出てくる。開発理由があたしの護衛用と言うのも相まって、もうカズマを魔王軍に引き込む以外の選択肢がないのだ。すまん魔王、色仕掛けが思わぬピンチを生んだ。まぁ、あたしのせいなのは絶対に言わないが……
「………自分の宿命から逃げるのって、私はどうかと思う!やっぱり勇者なら、最期まで前線で戦うべきじゃないかしら!」キリッ!
「ウォルバクさん?!さっきと言ってる事が違いますが?!」
うん、やっぱりこいつポンコツだわ。止めるにしても頭を使え。
「しかし、過ぎた武力はコントロールが難しく危険です。アクアさんやウィズさんに情報が漏れれば、余計な被害を招きかねません。そこは、あくまで慎重にですよ?」
「そ、そうだな……あいつらに知られたら不要な血が流れそうだもんな……やっぱり無理しないで老後の資産かなぁ…」
[あ、一応抑止力はあるのね……敵に奪われるとかより、仲間のやらかしが抑止力なのは流石にどうかと思うけれど……]
それに関しては本当にな。
………………………………………
「それじゃあ、お気をつけて」
「えぇ、あなた達も」
風呂での予想外の遭遇戦を乗り切ったあたし達は、ウォルバクと別れて王国軍の拠点へと向かう。ウォルバクに頼る事なんて無かったので知らなかったが、アイツは戦闘以外では物凄いポンコツだったらしい。うん、マジで知りたくなかった事実だ。
「でも、あんな綺麗な人まで戦争に行くんだな……」
「きっとそれしか生き方を知らないんですよ。彼女もそんな話をしてたじゃないですか」
「あんな美人がかよ……絶対俺より人生イージーモードだと思うんだがなぁ……」
たしかに普通に暮らすだけならウォルバクの人生はイージーモードだろう。美人で実力もあり、冒険者として週一で働けば並の生活は容易く手に入る筈だ。だが、ウォルバクの目指す生活はそんなモノではない。怠惰の女神に恥じない……いや、ある意味では凄く恥じるべき話なのだが、アイツの目指す生活とは、チヤホヤされ甘やかされまくりの怠惰な女神生活である。魔王が天下を取るとアイツが国教の女神になり、その夢がすごく近くなるそうだ。なんで怠けるために勤勉になるのか、変なところで真面目な女神だな。
「望む未来の為に、必死になる理由があるんですよ。まぁ、彼女の場合は本末転倒な気がしますけど……」
「そっか……あの人も大変なんだな……」
一応、もっとマシな戦う理由を考えろと言っておいたのだが「至って真面目じゃない!」っと真顔で言ってたので、あたしはあいつに期待するのを辞めた。そんな理由では戦いは避けられないので、どうか遭遇しないで欲しい……
………………………………
「私は魔王軍幹部のウォルバク!過去に奪われた地位を取り返すべく!王国軍に戦いを挑む女神なり!」
バーン!
余計なことはするなと言われて、何もしないより悪い状況を作る女神なんてアクアだけだと思っていた。いやぁ、良かったなアクア……他にも居たぞ……
「ま、まさかお姉さんが魔王軍幹部だったなんて!」
「黙っていてごめんなさいね……でも、戦場で出会ってしまったら、もう誤魔化すなんて出来ないから……辛いけど戦争だなら!」
いや嘘つけ!あたしは事前に探索ルートを伝えておいたぞ!これ完璧に待ち構えてただろ!その頑張って考えた戦う理由を、誰かに言いたくて仕方なかっただけだろ?!
「あ、あなたは……その、私のことを覚えていませんか?」
どう見ても頭の悪い女神の名乗りに、普段ならノリノリで答えるめぐみんが真面目なトーンで問い掛ける。いや、なんかこれはこれで調子が狂うし、まさか因縁の相手とかじゃ……
「……さぁ、知らないわ…」
「そう……ですか……」
そんな真面目なめぐみんの問いかけを、ウォルバクは静かな口調で明確に否定した。ノリノリで格好つけていたウォルバクが静かになったあたり、恐らく知らないと言うのは嘘だ。だが関係性が読めない以上、下手に追求するつもりは無い。因縁だったら困る。
「何が女神よ!この国の女神は私とエリスだけしか居ないの!自称女神とか恥ずかしくないわけ?!流石にちょっと痛すぎよ!」
アクア、お前は普段そう思われてるって自覚しような。全員なにか言いたげにお前を見てるぞ。
「誰が自称よ!私は本当に女神なの!少なくとも、アクシズ教って名前のテロリスト集団が、偏見で私を封印するまでは間違いなく女神として崇められてたわよ!」
あぁ、お前らにも変な因縁があったんだな……巻き込まれると嫌だから、絶対に追求はしねぇけど……
「誰がテロリストよ!そんなに疑うなら、あんたにシャワーのお湯が一瞬だけ水になる天罰をかけてやるわ!女神を馬鹿にした罪、毎晩お風呂で悔い改めなさい!」
「湯船とかけ湯派の私にそんなの無駄よ!それなら、私からも休日の朝に起きられない天罰を与えてやるわ!休日の午前を無駄にして、私を愚弄し陥れたことを反省することね!」
「休日は午前まで呑んで昼まで寝てるから何も怖くないですぅ!それなら私は、お冷の氷が突然崩れて顔がビッチャビチャになる天罰をかけてやるんだから!」
「何ですってこのチンピラ女神!それなら私は、呑んでるときにスルメを噛むのが億劫になる天罰をかけるんだから!」
「なんですってぇー!」
一応女神の攻防を見ている筈なのに、なんだろうこの緊張感の無さは……髪の毛を引っ張り合う二人の光景は、まるでちびっ子の喧嘩だ。しかし、さっきの話題は割と良かった。カズマの目にはアクアへの不信感が見て取れるし、アクシズ教徒がウォルバクの魔王軍参加の理由と知れば、間違いなく敵対しにくい筈だ。
「おいアクア。女神って信仰を失うとどうなるんだ?」
「えっ?そうね……神格が無くなるレベルになると、殆ど人並の力と寿命しか無くなるはずよ?だから!この女神モドキはちょっと強めの紅魔族レベル!私の力を持ってすれば……」
「せい!」
ガンッ!
「痛い!何するの?!」
「いやどう考えてもお前は加害者じゃねぇか!向こうのが美人でグラマラスだからか?!御神体負けしてるからって妨害工作してんじゃねぇぞ?!」
「負けてないもん!御神体の可愛さなら負けてないもん!皆もそう思うでしょ?!」
プイッ
「なんでよー?!」
なんの偏見もなく二人を比較すると、多分見た目は殆ど同じレベルなのだと思う。顔は人間離れして美人だし、バランス良いアクアのプロポーションも、グラマラスなウォルバクのプロポーションも、間違いなく一級品だ。だが、他の連中がアクアから目を逸らすのは、アクアの内面を知ってしまったからに他ならない。なお、あたしが同じレベルに見えるのは、ウォルバクも負けず劣らず残念だと知っているからだ。
「えっと、ウォルバクさん?この馬鹿のせいで魔王軍に所属しているんだったら、直ぐに全国レベルで謝罪と訂正をさせますので、魔王軍を辞めて頂く訳には……」
「ふざけないで!私の力はかなり失われていて、せめて半身を取り返さないと本当に消えかねないのよ?!謝って済む問題じゃないの!」
「それはアクアの神格とか言うのをお渡しするので!」
「それじゃ私の力が減っちゃうじゃない?!」
どうかな……お前の濃ゆい信仰は、多分そんな消費はなんでもないぞ……
「そ、そんな事出来るの?!」
「と、取り敢えずドレインタッチで!おらアクア、大人しく吸われろ!」
「や、辞めなさいよ!私悪くないもん!暴虐と怠惰なんて司る奴が……ちょっ?!なんで二人まで私を取り押さえるの?!」
「いや、流石に偏見で封印されたのは気の毒だと思って……」
「と言うか、アクアが知らなくても信者の責任には間違いない訳ですし、これくらいの責任は負うべきでは……」
あたしの画策と思惑は大きく外れたが、取り敢えず即戦闘となる事態は免れた。まぁ、ウォルバクが魔王軍になった経緯がそれなら、ただの因果応報なのだが……
「さぁ!ウォルバクさんも胸元を開いて!心臓近くの方が効率良いんで!一気に流し込みますから!」
「へっ?そ、そんな所からなの?!せめて首とか鎖骨じゃ……」
「自分の命がかかってるんです!何を悩む必要があるんですか!」
「そ、そうよね?!どうぞ!」
ガバッ!
自分の命を天秤にかけられたウォルバクは、躊躇いなくカズマに谷間を差し出した。だがちょっと待て?アクアの首から吸ってるなら、ウォルバクに注げる量はそれに依存する。つまり、別に首筋でも同じってことなんじゃ……
ふにゅん!
「おぉ……このしっとりと吸い付く柔らかさ……まさに女神級ですね!」
「な、なんか触り方がイヤらしい気が……でも、なんか熱いのが入って……んんっ!」
「大丈夫です!メッチャ神格も注げてます!直ぐにでも元気にしてあげますから!!」
「あぁん!力込めちゃ駄目ぇ!左胸が潰れちゃう!」
「それは不可抗力です!我慢してください!」
あっ!やりやがったなコイツ!お前ただウォルバクの胸触りたいだけだろ?!ただ勢いで押し切って乳揉んでるだけにしか見えないんだが?!
「あのカズマ?これ本当に効果があるんですか?なんか普通に魔力を注いでいるようにしか……」
「ある!間違いない!俺の手に熱いものが伝わってるから間違いない!」
「ちがっ…これ殆ど魔力で………」
「『フリーズ』」
「ひゃぁ〜?!」
やっぱり間違いねぇ!こいつ普通に魔力送ってるだけだ!ただウォルバクの乳を揉みながらアクアの魔力流してるだけだ!今の明らかにアクアを黙らせたろ?!
「ウォルバクさん…今後はこうしてコイツに責任を取らせ、日常的に注いであげますからね?」
「駄目ぇ…これ癖になっちゃう…魔力の注ぎ方に変な波が……はぁん!」
そしてなんて高度なセクハラを織り交ぜてやがる!あの野郎、あたしというモノがありながら!!
「さぁ!このまま平和的に終わりましょう!大丈夫です!ウォルバクさんは美人でグラマラスだから直ぐにアクシズ教は超えられますよ!今後とも仲良くしましょうね!」
「はぁはぁ…その……えっと…それはぁ…」
「そいっ!」
ドゴッ!
「ごふぁっ!」
どんどん下衆な表情になるカズマの顔へ、あたしは助走からのドロップキックを決める。これは決してヤキモチなどではない。カズマの嘘が露見するリスクを見据えた、実に合理的な制裁である。他の方法があるのかって?そんなものは………着地する前に考えます!!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
ウォルバクをポンコツにするネタが実はメッチャあるんですが、あまり沢山入れると「いや、流石にそろそろポンコツって気付くやろ!」ってなるのでこちらに追記してます。ネタで進みが遅くなるのが私の作品クオリティなので、今後とも気長にお付き合いください。