「よーし、これで終わりっと。帰るよカエデ」
「……はい」
鳥たちの声が聞こえる。
現在俺たちは、野鳥の観察とかいう謎の依頼のために森の中にいる。そしてたった今、すべての記録を取り終えたところだ。
この町に来た最初のころは、薄っぺらい格好で森に入るなんてごめんだと嫌がっていたものだ。しかし、魔法というのはとても便利なものである。こんな森を舐め腐ったような服でも一切虫やら土埃やらがつかず、とても快適に歩くことができる。
「それにしても、このまま戻ったらちょっと早すぎる気がするなあ……。ねえ、そう思わない?」
「えっと……いやあ、あはは…………」
あまりにも漠然とし過ぎてないか、その質問。どう答えたものか分からないのでとりあえず愛想笑いをしておく。
「だからさ……一発ヌきたいんだけど」
「あ、えっと…………」
「そこにちょうどいい木があるから、あれに胸を押し付ける感じで抱き着いて尻をこっちに突き出しなさい」
「うぅ……分かりました…………」
ふらふらとアリシアが指差した木に向かって歩く。それほど背は高くなく、両手を広げればなんとか抱え込めそうなくらいの若木だ。
しっかりとその木に抱き着くと同時に、胸を樹皮に強く当てて乳首を擦り付ける。
…………別にやりたくてやってるわけじゃない。ただ挿入されたときに少しでも痛くないよう、無理矢理愛液を分泌させているだけだ。
――ああ、ほら。もう濡れてきた。
「うふ」
アリシアが気味の悪い笑い声を出し、俺の後ろに立つ。そして紐を解いて下着を剝ぎ取った後、無造作にクリトリスを指ではじいてきた。
――たったそれだけなのに、乳首を自分で苛めて高まっていた俺の頭は弾けてしまう。小刻みに震える俺の背中に、好色そうな視線が刺さる。次いで腰を掴まれ体が固定される。
「んっ、はぁ…………んんっ!」
膣口周辺ですりすりとねぶるように肉棒が動く。時たま上に移動して陰核を刺激するので、思わず大きな声を出してしまう。興奮して勃起し、外に曝け出された突起は、僅かな接触でも容易に快楽を受け取ってしまう。
まだ前戯だというのにもう息が上がってしまう。
「はぁ……んぁ」
「…………もう準備できてるみたいだし、始めちゃおうかな」
淫汁でぐちゃぐちゃになった膣にするりと肉棒が侵入する。そのままどんどん奥へ奥へと入っていく。
「ん……んん…………」
それほど間を置かずに肉棒が子宮口に到達する。そしてすぐに引き抜かれ、再び突くという動きが繰り返される。
――正直、ヌルい。ごくごくまれではあるが、アリシアの機嫌が頗る良い時はこうして前戯らしきものを行ってから挿入するのだ。その後のピストン運動もゆっくりになり、ガスガス突かれることはない。今日はどうやら当たりの日のようだ。
……でも、無理矢理犯されていることには変わりないのだ。なのに自分はちょっと喜んでしまっている。凌辱そのものであるいつもの行為に比べればマシなのは確かではあるが……なんとも情けない話だ。
――ふと、鳥の声が聞こえた。視線をそちらに向けると、かわいらしい小鳥が楽しそうに歌いながら木々の間を飛び回っていた。何者にも拘束されず、自由に空を羽ばたいている。
…………ああ、お前たちはいいなあ。俺はもう鳥籠の中から出られないんだ――
「ふ…………ん、ん“あ”あ“!!!」
小鳥たちを眺めて感傷に浸っていた俺の意識が急速に引き戻される。気づけば先ほどとは打って変わってアリシアが怒りのオーラを発していた。腰を掴む力が強まり、肉棒が子宮口を執拗に抉り取る。
「よそ見するな! この、優しくしてれば付け上がりやがって…………!!! 私の、おチンポを、満足させることに、集中、しなさい!!!」
「ん“う”う“う”う“~~~!!! ごめんなさい! ごめんなさい!」
アリシアはひとしきりポルチオを苛めると、今度は容赦のない激しいピストン運動を開始した。
「ふ“う“っ”、ん“ん”ん“……あ”あ“あ”あ“あ”!!!」
「ほら、もっとおまんこ締めなさい!」
奥を突かれる度に、衝撃で体が木に強く押し付けられる。当然ながら胸と乳首も押し付けられるわけであるが、その際樹皮の凸凹が勢いよく乳首を擦り上げるのでとんでもない刺激が与えられる。
それから逃れようにも、木を掴む手の力を抜けば容易にこの体は崩れ落ちてしまう。それだけは避けなければいけない。だから今は乳首から与えられる快楽に歯を食いしばって耐え、へたり込まないように必死になって木にしがみつくしかないのだ。
しかし強く掴めば掴むほど胸と乳首は押しつぶされて、快楽も強くなる。限界はそう長くないうちに訪れた。背筋がぞわっとして頭が真っ白になる。そして、体の感覚が希薄になる。
「おお、いい締め付けね……ほら、出すよ!」
「ん“っ”、う”う“う”ぅ“~~~!!!」
熱い精液が膣内を駆け巡る。射精を終えた肉棒は、その存在を刻みつけるように膣壁をゆっくりと擦り上げながら退却していった。
「はあ……あんなに調教したのに、まだ自覚が足りないなんて……。もう一回やらないとダメかなあ…………」
アリシアが恐ろしいことを言い出した。やめてくれ、それだけは絶対にイヤだ!
「どうかそれだけは、ご勘弁ください……。お願いします、お願いします…………」
「…………っち、あんまりやりすぎて壊れちゃ困るしな。今回だけよ」
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」
「ふん…………ほら立ちなさい!」
「はい」
少しふらつきながらもなんとか両足を地面につけて立つ。精液と愛液で股座はぐちゃぐちゃだ。
さすがにこのまま町に入ることはないだろう。何かしてくれるに違いない。というかせめて下着返してくれ。そう思っていた俺は、次の瞬間言葉を失った。
「じゃあ帰るから。ついて来なさい」
「…………え」
――このまま? このいかにも事後ですって状態で?
「は? 何か文句ある?」
「い、いえ……なんでもないです…………」
どうやら本当に何もしてくれないらしい。多大なるショックを受けながら、俺はアリシアの後について歩いた。……溢れ出る精液と愛液を太ももに垂らしながら。
「アリシアさん、もうお戻りですか。早いですね」
「いやまあ、そんな難しい依頼じゃなかったからね」
「……それはそうでしょうよ」
「あはは」
さしものアリシアも生臭い臭いをまき散らすのは気が引けたようで、町の門の手前で自身と俺に臭い消しの魔法をかけた。
これでアリシアはぱっと見キレイになったわけだが、俺からだらだらと零れる液体はそのままにされた。そのせいでこのギルドに来るまで何とも言えない視線が突き刺さり、この上なく恥ずかしかった。
「……一発ヤってきたんですね」
突然受付の人が俺の下半身、具体的には垂れ落ちる液体を見て、それからアリシアに話しかける。
「どこからこの状態なんですか?」
「ああ、森からよ」
「……へえぇ、いい趣味してますね」
クズみたいなセリフを言った後、受付の人はニヤニヤしながら俺の方を振り向いた。
「あなた、ちゃんとアリシアさんにお礼は言ったんですか?」
「…………お、お礼?」
俺の困惑した様子を見て、受付の人は盛大な溜息をついた。
「使ってくださってありがとうございます、って普通は言うもんじゃないですか?」
――いや、そんな当たり前みたいな顔されても。言うわけないだろそんなおぞましいこと。
……しかしそんな決意は一瞬のうちに跡形もなく崩れ去った。
「ああ、いい提案ね! 今度からセックスが終わったときはそう言わないといけないってことにしようかな! ほらカエデ、言いなさい!」
「あ、う…………」
「言え」
「ひぅ……ぁ、つかってくださって、ありがとうございました…………」
アリシアがとても満足そうに頷く。
「うん、やはり奴隷はこうでなくてはいけませんね!」
ああもう、お前は黙っててくれ! 一刻も早くこの場から逃げ出したい気分でいっぱいだ。これ以上アリシアに恐ろしいことを吹き込まないでほしい。
――そんな俺の願いが通じたのかは分からないが、後ろに依頼書を持った人がやってきた。良かった。これで離れられる。
「それじゃあ私らはこれで帰るから、色々とありがとうね」
「はい、またお待ちしてます」
……これからはずっと違う人に対応してほしいなあ。俺はそう思い、死んだ魚のような目をしながらギルドを後にした。