陥落*
恐る恐る寝室の扉を開けると、アリシアが満面の笑みを浮かべて部屋の中央に立っていた。
「さあさあ、まずはここに来なさい」
指示に従い姿見の前に移動する。
鏡には怯えた顔をした銀髪の少女と、下衆な表情でその少女を舐めるように視姦する女が映っていた。
「まずは履いているショーツを私に渡しなさい」
「はい……」
この場で命令に逆らってもいいことはない。大人しく指示に従い、アリシアに脱いだショーツを渡す。
「うわあ、くっさいなあ。いつもこんなに汚すなら、これからはもう下着なしで過ごしてもらおうかなー」
「な、さっきオレにやったことを忘れたのか……!」
さっきキッチンで胸を弄られた時にアソコから垂れた愛液が染みついているのだ。
「ええ~? 何のことやら……。カエデが勝手に濡らしただけでしょう?」
「クッソ、ふざけやがって……!」
抗議の視線を向けるも、アリシアは全く意に介さぬ様子であった。
「はいはい分かったから。それじゃあ次はスカートをたくし上げて、おまんこを見せなさい」
「え……」
この部屋で性行為をする際はすぐさま裸に剥かれるのが恒例だったので、予想外の命令に戸惑い反応が遅れてしまう。てっきりさっさと服を脱ぐように言われるものだと思っていたが……
「聞こえなかった?」
「っ、分かりました……」
心なしかアリシアの口調が少し冷たくなった気がした。これ以上機嫌を損ねないうちにと、大人しくスカートの裾をつまみ思い切り持ち上げる。
「ふ……あっ」
「ほうら、もうこんなにドロドロ愛液零しちゃってる……」
息をつく暇もなくアリシアが陰部を弄り始めた。
――鏡には、顔を赤くして刺激に耐える少女の痴態が映っている。その姿は、どことなく物欲しそうで……
「ぐっ!!!」
あれが自分の姿だなんて、断じて認められない! こんなことされて気持ちよさそうにするなんて何かの間違いだ! 俺はもう鏡を見たくなくて、ぎゅっと目をつぶる。
「あのさあ、目をつぶっていいなんて私言った? ほら、早く開けなさい。そして自分がいかに浅ましいメスであるかを目に焼き付けなさい!」
「……ゃ」
「ねえ、聞いてる?」
「…………っ!!!」
――もし鏡を直視すれば、自分の精神は崩壊して一生元に戻らなくなるかもしれない。なんとなくそんな予感がした俺は、一刻も早く鏡から離れることしか考えられなくなっていた。
そして俺はその場から飛びのこうとして…………ぴたり、と動きを止めた。
命令に背いたらどうなるか。ギルドの地下室での出来事がまざまざと思い出される。もうあんな辛い思いはしたくない。
――だから、ここは耐えるんだ。気をしっかり持てば、きっと大丈夫だ。
おそるおそる目を開ける。鏡には、先ほどと変わらず気持ちよさそうにする自分の姿が映っていた。
「ふふ、もうこんなに糸引いてる」
「くっ……そんなもの、見せるな…………」
アリシアが俺の秘部を指でなぞり、愛液を掬い取る。そしていやらしく濡れた指を俺の顔の前まで持ってきて、お前は淫乱だと言わんばかりにまざまざと見せつけてくる。
「ねえ、いつも口では嫌がってるけどさ……ホントは私に挿れてほしくてたまらないんでしょ?」
「は、はああ? そんなわけないだろ!」
「ふーん……」
「あっ……こりこりするの、やめろぉ……!」
「……何て?」
「ん“ん”! ん“あっ、あ”っ、あ”…………」
指で陰核をぐりぐりと弄ばれ、快楽の信号が脳まで波のように押し寄せてくる。頭がボーっとして、手から力が抜ける。
「……はあ。着衣でするのもいいかと思ったけど、この調子じゃ無理か。ほら、力を抜いて」
「ふぁい」
言われるがままに体の力を抜く。すると、衣擦れの音が聞こえてきた。まずは俺の上半身から、次いで下半身から。最後に、胸のあたりから。
「まったく、いやらしい乳首ね」
「んんっ!」
ぴん、と勃起した乳首を指で弾かれる。たったそれだけで甘い刺激がビリビリと伝わってくる。全裸になったおかげで、興奮した自分の体のようすがよく分かる。
……って、待て! いつの間に裸になったんだ俺は!? 何の疑問も持たず、命令に従って素っ裸になっていたことに戦慄する。気を持てば大丈夫とか思っていたけど、これはヤバい。戻れなくなる。とにかく何でもいいから逃げ出さないと――
「や、やめろ! はなせ…………んああっ!」
「生意気言っちゃって、素直じゃないなあ……」
「ん~~! やだ、はなして!」
執拗にコリコリと乳首を弄られる。その場から離れようとするも、次々と与えられる刺激に翻弄されて体を動かすことができず、プルプルと震えることしかできない。はたから見れば、ただ与えられる快楽に喘いでいるメスの挙動だ。
「ホントに嫌なら、そんなはしたない声出さないはずよね? 弄られて気持ちいいですって、正直に言いなさい」
「っ……ふっ……」
「ほら、言って」
口元まで出かかった言葉を必死で抑える。ここで堕ちてしまっては、今まで何のために凌辱に耐えてきたのか。屈服するなど、断じてごめんだ。ピンク色の思考に支配された脳に活を入れる。そして息を吸い、高らかに宣言する。
「はっ、抜かせ鬼畜野郎が。少しは下半身以外でも物事を考えたらどうだ?」
「…………は?」
――空気が、変わった。そして次の瞬間、膣が一気に拡張された。
「ん”~~! あっ、あっ、あっ」
「メス奴隷の分際で、そんな偉そうな口利いていいわけないよね??」
何本もの指がナカをぐちゃぐちゃにかき回す。さっきからの愛撫で既に出来上がっていた膣内は、少し擦れるだけで喜びの声を上げる。
「んっ、ふぁっ……」
「…………ここかな?」
「あっ、あっ、そこ、だめ……!」
アリシアの指が膣壁のある一点を集中的に責め立てる。ちょっと触れられただけでも、頭が変になってしまいそうだ。さっきまでとは比べ物にならない快感が体を駆け巡り、一気に高みへと昇らされる。
「そら、イけ!」
「あっ、あ“あ”あ“あ”あ“~~~っ!!!」
びくん、と体が痙攣する。自然と背中が反り返り、体から力が抜ける。そしてそのまま後ろにいたアリシアにもたれかかる。
すると、さっきまでの乱暴な行為とは打って変わって、アリシアは優しく俺を抱きしめた。それから、俺の顔を鏡の方へ向けさせる。
「ほら、よ~く見なさい。これがあなたのイき顔よ」
「ふぇ……?」
――なんてはしたない顔だろう。目はとろんとして、頬は熱に浮かされたように紅潮している。口はだらしなく歪み、理性の一つも感じられない。
……肉欲に支配された、浅ましい表情だ。でも、とっても気持ちよさそう。それに、とっても幸せそうだ。
「ねえ、カエデ」
「んっ……」
膣口に硬いものが当たる。何も言われなくても、それが何であるかくらいは容易に分かる。
だって、もう何回も犯しつくされてきたのだから。
「分かるでしょ? コレを入れたら、今よりも~っと幸せになれるの」
「うん…………」
「だから、おねだりしなさい。ご主人様のが欲しいです、って」
「…………ぁ」
そして、俺は何の疑問も持たずおねだりをしようとして…………すんでのところで踏みとどまった。
「いら……ないぃ……! あっち、いけ…………!!」
危なかった。もう少しで、堕ちてしまうところだった。何とか、何とか、耐えた。
さて、一度戻って来ればこっちのものだ。頭が急速に冷静さを取り戻してくる。
「ふぅ……はぁ……。それくらいで、オレを屈服させられると思ったのか!?」
――勝った。今日もまた、理性を失わずに済んだのだ。皮肉気な笑みを浮かべ、アリシアの方を向く。
そんな俺を見て、アリシアは能面のような表情になった。
「あっそ。……はあ、興が冷めたわ。今日はもういい、勝手にしなさい」
平坦な声でそう言うと、アリシアは俺に背を向けて寝室の扉へと歩みだす。
はは、やったぞ! 一時はどうなることかと思ったが、この場を切り抜けるだけでなく、まさか挿入すらされないとはな! これは完全勝利だろう、ざまあないな!
――そうやって調子に乗っていたから。俺は自分の体の中で起こっていることに、ついに気づかなかったのだ。
「…………んぇ?」
子宮が、反乱を起こした。あっという間に脳を絡め取り、全身を支配する。事態を把握した時には既にすべてが終わっていた。体が言うことを聞かない。口から性欲に支配されたひどい言葉が漏れ出る。
「ご主人様ぁ……おまんこ、ずぼずぼしてくださいぃ」
アリシアが、ゆっくりとこちらを振り返る。
「どうして? いらないんじゃなかったの?」
「生意気言ってごめんなさい……おねだりするの、はずかしくて…………。でも、やっぱり我慢できなくて……。どうか、どうか、おねがいします…………おまんこ、切ないのぉ」
「…………なるほど、ね」
アリシアが一歩一歩こちらに近づいてくる。その様を、俺はただ見ていることしかできない。
――思えば今までも、脳が肉欲に押し流されそうなときは何度もあった。しかしその度、すんでのところで踏みとどまることができた。
というのも、いくら体が感じているとはいえ、膣に挿入されて犯されている姿を実際に自分で見たことは一度もなかったからだ。そのため、犯されている最中も幾分か冷静さを保ったままやり過ごすことができた。
しかし今日、その危うい均衡は脆くも崩れ去った。自分にはオスを受け入れるための穴があって、しかもちょっと弄られただけで準備は万端。そのことを、鏡を通してこれでもかと見せつけられた俺の頭は、知らず知らずのうちに弱っていたのだ。
……そこを、突かれた。心からオスを受け入れたくて受け入れたくてたまらなかったのに、日頃から欲望を押さえつけられて鬱憤がたまっていた子宮が、ついに理性を屈服させたのだ。
一旦変わった勢力図は、そう簡単には覆らない。それどころか、淫語が口から飛び出るたびにどんどんと理性が弱っていく。自我が、拡散していく。
「……じゃあ、お望み通り、犯してあげるよ」
アリシアが後ろから俺を持ち上げ、肉棒を膣口に押し当てる。ご丁寧に、行為の最中は接合部が丸見えになるような体位だ。
「ん……いれて、いれて、ください!」
だめだ、やめてくれ、それだけは――!
「ふん!」
「あ“あ”っ”~~~っ!」
最奥まで、一気に貫かれる。ぶっとい肉棒に串刺しにされ、子宮口が痛いほど押し潰される。完全に屈服していた体が余すことなく刺激を受け取り、あっという間に深イキしてしまう。
「んっ! おく、もっとぐちゃぐちゃにしてぇ!」
「クソ、この淫乱が!」
「ん~~~!」
体が持ち上げられ、それから下に落とされる。その瞬間、ポルチオに全体重が圧し掛かって脳が灼け落ちそうなほどの刺激を受ける。
「ん“あ”あ“あ”あ“あ”!!!」
その度に、獣のような喘ぎ声を上げる。思考が、おかしくなっていく。
「はあ、締め付けつよ……そろそろヤバいな……!」
「ん“ん”っ! ごしゅじんさま、せーえき、せーえきくだしゃい!」
肉棒から精液を絞り出さんと膣肉が淫靡に蠢く。一滴も零すまいと、ぎゅうぎゅうと全体を締め上げる。
「ぐっ……!」
「あ“あ”あ“あ”あ“あ“あ”あ“あ!」
洪水のような射精だった。夥しい数の精子が子宮口を叩くたびに、自分が散り散りになっていく。
「はあ、はあ……」
「――んひっ、うへへ……せーえき、しきゅーにいっぱい…………」
――なんてことだ。まさか、射精であんなに理性を削られるなんて。これ以上行為を続けられては、それこそ本当に自分が自分じゃなくなってしまう。どうか、これで満足してはくれまいか…………
しかし無情にも、その願いは叶わなかった。幾ばくもなく、肉棒が硬さを取り戻す。
そして、再び蹂躙が始まった。
「んあっ! ごりごり、きもちいいよぉ……!」
「おら、イけ! このメスブタが!」
「ああっ! イきましゅ! ごしゅじんさまのつよつよおチンポでイきましゅうぅ!」
膣壁が抉られ、奥がごんごんと叩かれる。そのせいで、俺の体は絶え間なくイき続ける。潮をまき散らし、きゅうきゅうと肉棒を絡めとる。
「はあんっ、おチンポ、イイよぉ……」
「クソ、さっき出したばっかなのに……もう、ヤバい…………」
――待て、待ってくれ。今出されたら本当に終わってしまう。頼むから、待ってくれ!
必死に体を動かそうとするが、全く言うことを聞かない。それどころか、精液を受け止めようとして一層締め付けを強める始末だ。
「あ、ぐっ…………」
膣内で、肉棒が震える。射精の合図だ。頼む、それだけは、それだけは――
…………ぁ
「はあ、はあ、絞り、取られた…………」
「……」
「ふう…………ん? 何?」
「~~~♡」
「おわ、まだヤる気!?」
「――もっと、もっとくだしゃい♡」
「…………ふふふ、あはははは! じゃあ、今日は気絶するまで犯してやるわ!」
「~~~♡♡♡」
――結果的にその夜が、「俺」が「俺」であった最後の夜となった。
難産だった…………。あ、まだ続きます。