少し煤けた石づくりの廊下を進む。正直地下がこんなに広いとは思っていなかった。せいぜい書斎程度の大きさのものが数部屋あるくらいだと思っていたが、この地下三階だけでも十ほどの部屋があった。
地下一階は多少人の出入りがあったものの、ここには全く人の気配がない。こんなにたくさんの部屋をいったい何に使うのだろうかと疑問に思う。物置にでもしているのだろうか。
「――ここか」
アリシアがとある木の扉の前で立ち止まった。南京錠を開けて扉を開き、ぼんやりとした光を灯す。
――その部屋の中にはほとんど何もなかった。高さは低いが少し大きめの机が一つと棚が一つ、それからあとは部屋の隅に敷かれたむしろくらいのものである。
「うべっ!」
突然そのむしろの上に無造作に放り投げられる。
「……立ちなさい」
「うぅ……」
一切の温かみを感じない声で命令される。頭はまだ完全には回っていなかったが、体が半ば勝手に動きよろよろと立ち上がる。
「お尻をこっちに向けて、そこの壁に手を突きなさい」
「はぃ……」
これ以上機嫌を損ねないように、大人しく指示に従う。
――なんとも無様な姿勢だ。お尻と淫靡な下着が露出しはっきりと分かる。これでは、今すぐ犯してくださいと誘っているようにしか見えない。
「何か言うことは?」
「……えっ」
……何を要求されているのか分からない。後ろを振り向き顔色を窺うと、アリシアは困惑したような俺の表情を見て心底あきれたようにため息をつき、手を振りかぶった。
「ぇ――はうっ!」
ぱあん、と弾けるような音が鳴りお尻に衝撃が走る。次いで叩かれたところの周囲に痺れるような痛みが走る。
「とりあえず、あと十発いっとくから」
「え、やだやだやだ! ごめんなさい、ごめんなさ……ひうっ! んんんっ!!!」
憐れみを誘うような俺の必死の訴えを、全く聞こえていないかのように無視しひたすら叩き続ける。
「……何か言うことは?」
「はぁ……うぅ……」
「……そう。ならもう十発ね」
「ぇ、まって、まってよぉ……ああっ“!!!」
ただ息を整えるのに必死で何も答えられなかっただけなのに、アリシアは俺の事情を全く酌まずまた平手打ちをする。
――きっちり十回俺のお尻を叩いたあと、アリシアはまた俺に問いかけた。
「……そろそろ分かったでしょ、何か言うことは?」
「う……叩いてしまって……ごめんなさい……」
息が上がり喋ることさえ難しいが、さすがにこれ以上は耐えられない。必死に考え、さっき暴れてアリシアの手を叩いてしまったことを謝罪すればよいのかと推測し、何とか言葉を絞り出す。
「ねえ、それだけ?」
「えっ……」
何がいけないんだ、ちゃんと謝ったのに……
「はあ……。分かる? カエデは私の奴隷なの。謝るにしても、言い方ってもんがあるでしょう? ――もう十発ね」
「ひっ……もう無理です、いや……う“う”っ“!!!」
乾いた音が部屋に木霊する。衝撃が伝わるたびに崩れ落ちそうになる体を必死に支える。ここで許可なく地面にへたり込みなんかすれば、どんな不興を買うか分かったものではない。
「ひぅ……ぐすっ」
「……まだ叩かれ足りない?」
「あ“あ“っ! ごめんなさい、ごめんなさい、奴隷の分際でご主人様に逆らってごめんなさい!」
また叩こうとする気配を感じ、もうなりふり構ってはいられないとべそをかきながら謝る。その惨めな姿に満足したのか、アリシアの威圧感が少しばかり小さくなった。
「ふん、ようやく少しは所有物としての自覚が生まれたようね」
「っう……」
口まで出かかった文句を必死に抑える。ひとまずの危機は去ったのだ。悔しいがこれ以上ひどいことをされないために、今はこの恥辱を甘んじて受け入れなければならない。
「はぁぁ……。ふぅ」
もう叩かれないことに安堵しほっと一息つく。
そろそろ解放されるかなと思った刹那、腰をがしっと捕獲された。
「なに終わったと思ってんの?私はまだ満足してないんだけど」
「え……え……」
「あはは、またお股ぐちゃぐちゃにしてる! スパンキングされて濡れ濡れになるなんて、やっぱりド変態じゃない!」
びちゃびちゃになってもう用をなさなくなった下着の隙間に肉棒が侵入する。
「なんで!? ちゃんと謝っただろ……はうん!」
「お前の仕事は、ご主人様のチンポがイライラした時にご奉仕することなのよ! ほら、ごちゃごちゃ言ってないで精液おねだりしなさい!」
「んぐ、はあっ!!!」
最初挿れるときこそキツかったものの、とめどなく噴き出す淫汁が潤滑剤となり膣壁が徐々にその存在を受け入れ始める。
「ん“ん”っ……う“っ……」
「うーーん、もうちょっと締め付け良くならないかな……ここか?」
「う……あ“あ”あ“あ”あ“!!!」
突然の刺激に体が弓なりになる。
「お、あったり~!」
「ん“ん”ん”~~~、やめ……はぅん!!!」
肉壁のある一点だけを執拗に責められる。今までの比じゃないくらいの衝撃が息をつく暇もなく体中を駆け巡り、このまま昇天してしまいそうになる。
「ぇ、いや……ん“あ“あ”あ“あ”あ“!!!」
「お、イった?」
突然頭が真っ白になる。もう何も考えられない。夢と現実の狭間で意識が浮遊する。
「は、気絶した? ……おい、起きろ!!!」
「ん“お”っ」
「私の許可なく勝手に休むな! しっかり雌穴締めて精液絞り取りなさい!」
「ひぐ……もうゆるして……」
いっそう抽送が激しくなる。さっきから絶え間なく刺激を与えられ続けたせいで腰の力はもうほとんど抜けてしまっていた。手と顔を壁に預けることで辛うじてその体勢を維持している状態だ。
「まさかこのまま潰れたりしないよね? どうなるか分かってるよね?」
「んう……」
「聞けよ」
「うぐう!」
子宮口がごりごりと掘削される。執拗な責めにぴくんと体が反応し、軽イキしてしまう。
「クソ、私を満足させる前に自分だけ勝手にイくなんて、なんて浅ましい奴隷なの!」
「ふぐううう!!! まって、もっとゆっくりにして……」
「うるさい!」
「ん“う“う”う“う”う“!!!」
肉壺が容赦なく蹂躙される。オナホ同然の扱いをされて頭では行為を拒絶しているのに、体はまるで言うことを聞かない。緩急つけた責めに敢え無く屈し、さっきから何回も醜態を晒している。
「くっ、もう限界――――射精るっ!」
「あ“あ”あ“!!! あ…………」
精液が子宮の奥深くを染め上げる。それと同時にぷつん、と張りつめていた糸が切れてしまった。
全身から力が抜ける。射精した瞬間に腰をつかむ手の力が弱まったため、支えを失った体が壁によりかかるようにしてその場に崩れ落ちる。その拍子にまだ精液を完全に出し切っていなかった肉棒が抜けてしまい、それらの子宮に届かなかった子種がへたり込む俺の体を汚す。
「おい」
呆然自失とする俺に、怒気を孕んだ鋭い声が浴びせられる。
「立て」
「あぅ」
恐る恐る後ろを振り向く。ぼんやりとした光の中で、アリシアは凄絶な笑みを浮かべていた。
「はっ……はっ……」
小鹿のように震える足を叱咤激励し、壁を頼りにしてなんとか立ち上がる。
「こっちに尻を向けなさい」
「はあっ……はあっ……」
空気が澱んでいる。息が詰まりそうだ。ガタガタと震える体を必死に動かし、決死の思いではじめにとった姿勢を再び作る。
「あぐうっ!」
俺の乳首に爪を立てながら、アリシアが耳元で囁く。
「せいぜい死なないでね?」
「ひ、まって、や…………あ“あ”あ“あ”あ“!!!」
――蹂躙は、声が枯れるまで休みなく続いた。